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コロナ「罰則化」の愚…“後手後手”菅政権が「国民のせい」にしようとしている!(2021年1月21日配信『現代ビジネス』)

 政府は新型コロナウイルス対策で「罰則」の導入を決めた。1月19日の自民党総務会で、特別措置法や感染症法、検疫法の改正案が了承されたのを受けて、近く法案を閣議決定し、今の国会で成立させる方針だという。

 焦点は新型コロナ対策での「罰則」の導入。特別措置法の改正案では、緊急事態宣言が出されていない地域でも集中的に対策を講じられる「まん延防止等重点措置」を新設、政府が対象地域とした都道府県の知事は、事業者に対し、営業時間の変更などを要請し、立ち入り検査や命令もできるようにする。

 こうした知事の命令に従わず、営業時間の変更などに応じない事業者に対して、行政罰としての「過料」を科すことができるようになる。過料は、緊急事態宣言が出されている場合は「50万円以下」、「重点措置」の段階では「30万円以下」としている。また、立ち入り検査を拒否した場合も20万円以下の過料を科すという。

 さらに凄まじいのが感染症法の改正案だ。知事が宿泊療養の勧告を行うことができるようになり、応じない場合や入院先から逃げた場合には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の刑事罰が科される。

 また、海外からの入国者に対して、14日間の自宅待機などを要請できる規定を明確化した上で、それに応じない場合に、施設に「停留」させる。従わない場合にはこれも「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される。

なぜ休業ではなく時短なのか

 12月以降の新型コロナの感染急拡大を受けて、政府は緊急事態宣言を発出したが、4月の緊急事態宣言時に比べて人出の減り方は小さい。また、飲食店などへの時短要請にも従わない事業者も出ている。これを「厳罰」で抑え込もうというわけだ。

 だが、順序が逆ではないか。政府は飲食が感染拡大の大きな原因だと繰り返し説明しているが、夜8時以降だから感染し、それまでの時間なら感染率が低いという話ではない。

 批判の声が上がると西村康稔経済再生担当相は会見で「昼間も含めて外出自粛をお願いしている。昼食・ランチは、みんなと一緒に食べてもリスクが低いわけではない」と発言。それならば飲食店に「時短要請」ではなく「休業要請」すべきだろう。十分な休業補償をすれば、大半の店舗が休業するだろう。

 4月の時と同様、大規模商業施設などを含めて一斉に「休業要請」しなければ、人出は減らないし、その人出を見込んだ飲食店が要請を無視して開店する事態も防げない。

 要は、対策の打ち出し方がまずいから人出が減らないのであって、それを「厳罰」で抑え込もうとしてもうまくいかないだろう。50万円の過料ならば払ってでも営業した方が経営にプラス、と判断するところが出てくれば、モグラ叩き状態になるだけだ。それらをすべて摘発して歩くマンパワーも経験も地方自治体にはない。

「一体政府は何をやっていた」

 感染症法改正案はさらにひどい。宿泊療養や入院を拒否したら懲役だという。今の状況は、入院したくても入院先がない。入院先を探している間に死亡する例まで出ている。政府自身がやるべきことをやらず、国民に責任を負わせようとしているようにみえる。

 自民党の二階俊博幹事長は、記者会見で「国民を信頼しないわけではない」と語り、「罰則でみんな縛ってしまうわけではなく、しっかりやりましょうということで罰則も用意するということ、誤解のないようにしてもらいたい」と述べた。だが、罰則をもうけるというのは、国民を信頼していないからに他ならないのではないか。

 1月13日の菅義偉首相の記者会見の最後にビデオニュースの神保哲生氏がこんな質問をしていた。

 「総理、今日、会見を伺っていると、基本的に国民にいろいろ協力を求めるというお話をずっとされてきましたが、もう一つ我々が是非知りたいのは、その間、一体政府は何をやってきたのか」

 まさしく国民が感じていることをズバリと言い放ったのだ。そのうえで、病院の病床を(新型コロナ患者用に)転換というのは病院任せで、お願いするしかない状況だが、医療法などの改正は今の政府のアジェンダに入っていないのか、と問うたのだ。

 菅首相は「ベッドは数多くあるわけでありますから、それぞれの民間病院に一定数を出してほしいとか、そういう働きかけをずっと行ってきているということも事実であります」と述べるにとどまった。

 改正法案では、必要な協力の求めに応じない医療機関名を公表できるとした規定が盛り込まれている。これも「罰則」で言うことを聞かせようという発想だ。しかも、政府が直接罰を与えるのではなく、名前を公表して国民の怒りを向けさせようという話である。

 田村憲久厚生労働相は会見で、「命に関わる患者が多くいて医療機関がひっ迫していたり、医師や看護師がいて地域医療体制が確保できているのに患者を受け入れていなかったりするなど、その時の状況を総合的に勘案したうえで、丁寧に対応していきたい」とし、「決して強制力を持って無理やりという話ではなく、お互いの信頼のもと対応、協力をいただくということだ」と述べた。

元厚労相の暴露


 こうした改正案には自民党内からも苦言が出ている。

 塩崎恭久・元厚労相は自身のブログで問題点を指摘、メディアや厚労省内で話題になっている。

 ブログでは、マスコミなどが公立病院71%、公的病院83%、民間病院21%という数字を使って、新型コロナ患者の受け入れ率が民間病院が低いとし、厚労省が民間病院に受け入れさせることを前提に「罰則」導入を検討していることに疑問を呈して、こう書いている。

 「経営体力的にも、人材調達力においても脆弱な民間病院が、有事にあって制裁手段を恐れながら強制されて渋々コロナ患者を受け入れる事が問題解決につながるとは到底思えない」

 そのうえで、「報酬面でも『特定機能病院』として優遇され、人材も豊富でありながら、22もの大学病院が重症患者を1人も受けていなかったり、今でも法的に厚労大臣が有事の要求ができる国立国際医療研究センターが重症患者をたった1人しか受けていない状態を放置している事の方が問題だ。ちなみに東大病院には約1000人の医師がいるが、重症患者受け入れはたった7人だ(いずれも、1月7日現在)」と暴露。

 「知事と厚労大臣に重症・中等症者の入院につき、大学病院、公的病院等に対し、要請と指示ができるよう明確に法定するとともに、そうした受け入れ病院への公費補助、および他の医療機関からコロナ中核施設に一時的にサポートに入る医師の身分保障などを明確に規定すべきだ」と提言している。

 新型コロナの新規感染者数はようやく増加ペースが落ちてきたが、重症者は1000人を超え、1日の死者数も100人を突破するなど「医療逼迫」は深刻化している。今、政府がやるべきことは何なのか。罰則は、後手後手に回ったという政府への批判を糊塗し、国民のせいにする手立てのように見えてならない。

磯山 友幸(経済ジャーナリスト)



有事に真に機能する法改正実現を

15日(金)、厚労省で感染症部会が開かれ、今国会で早期成立を図ろうという感染症法・特措法・検疫法改正法案の骨子が、様々な異論もあったようだが、結果、了承されたと聞く。これを受けて、明日18日(月)朝8時から、自民党のコロナ本部・関係部会合同会議が開催され、その法案審議が行われる予定だ。

2度目の緊急事態宣言の下、新型コロナウィルス感染症の深刻な「有事」に対処するにふさわしい、感染拡大と経済規制の悪循環を断つ、真に機能する、確かな法改正が不可欠だ。しかし、感染症部会の資料を見る限り、そのままの内容の法改正では、現在の感染急拡大を阻止し、同時に医療崩壊を回避するには、いくつか重要な課題があると思う。

本年明け2日から4本のメルマガにおいて、私なりに考える感染症有事対応に必須の法改正案内容をお示ししてきたが、先週金曜日に示された厚労省案に対し、明日以降、皆の英知を結集し、修正すべき点は修正し、足らざる点は足し、早期の感染拡大阻止と経済と暮らしに活力を取り戻さねばならない、と強く思う。

感染症部会資料を見ると、大きく分けて、3点の重要な点の修正と補足が必要と私は思う。

1.重症等患者と医療資源の公的病院等への「選択と集中」

(厚労省案の内容と課題)
厚労省案では、現行感染症法第16条の2に定める「医療関係者への協力要請」の「要請」に代えて「勧告」ができるよう改正し、コロナ患者引き受けを推進し、正当な理由なく勧告に従わない場合にその旨を「公表」可能とするものだ。

しかし、この条文の「医療関係者」とは、通常、医師、看護師等の有資格者全般を指すものであり、この規定を使ってコロナ重症患者等の受け入れを要請しても、病院組織としての義務や責任を負わせるのではなく、院長(管理者)であっても個人の医師への要請となり、従わない場合に公表しても、それはあくまで個人名公表となるはずだ。

マスコミでは、しきりに「公立病院71%、公的病院83%、民間病院21%」という相対的に民間病院が低いコロナ患者引き受け病院数比率であることを良く取り上げている。そして厚労省も、あくまで民間病院に、より多くのコロナ患者を受け入れさせるために、今回、報酬面でのインセンティブに加え、担保措置として新たに制裁的にこうした「勧告・公表」との厳しい仕組みを導入しようとしている、と聞く。

しかし、医療崩壊に瀕する今、われわれに必要なのは、政府を含め国民が揃って心を一つに力を合わせ、相協力して問題解決を図る事であり、病院数でこそ全体の7割を占める民間病院は、病床数では半分強しか占めておらず、経営体力的にも、人材調達力においても脆弱な民間病院が、有事にあって制裁手段を恐れながら強制されて渋々コロナ患者を受け入れる事が問題解決につながるとは到底思えない。

むしろ、報酬面でも「特定機能病院」として優遇され、人材も豊富でありながら、22もの大学病院が重症患者を一人も受けていなかったり、今でも法的に厚労大臣が有事の要求ができる国立国際医療研究センターが重症患者をたった一人しか受けていない状態を放置している事の方が問題だ。ちなみに東大病院には約1000人の医師がいるが、重症患者受け入れはたった7人だ(いずれも、1月7日現在)。ハーバード大学の附属病院的な存在のマサチューセッツ総合病院は、昨年春、ICUに120人余りのコロナ重症患者を受け入れていたのとは雲泥の差だ。有事にあって、平時の発想は通用しない。

(あるべき法改正の姿)
やはり、それぞれの地域でのコロナ重症・中等症患者引き受けは、1月13日付「独り言」で書いたように、有事に限っての対応として、専門人材的にも、ICU等の設備面でも大学病院や公的病院(地域の実情によっては、これに準ずる相当規模の民間病院を含む)中心で、コロナ病棟の切り分けも可能な大病院に集中させ、この病院だけで必要な人材が足りなければ、他の施設から募るべきだ。同時に、「コロナフリー」の一般医療病院も地域で守り切らないといけない。

従って法改正では、知事と厚労大臣に重症・中等症者の入院につき、大学病院、公的病院等に対し、要請と指示ができるよう明確に法定するとともに、そうした受け入れ病院への公費補助、および他の医療機関からコロナ中核施設に一時的にサポートに入る医師の身分保障などを明確に規定すべきだ。当然、地域によって民間のゆとりがある大規模病院があるならば、ともに重症等患者引き受けを積極的に進めるべきだろう。

2.徹底検査による無症状患者の積極的把握と隔離推進

(厚労省案の内容と課題)

無症状患者が感染拡大の最大の源、とされていながら、病院、介護福祉施設等でのスクリーニング検査を行政検査の対象とすることを明確にせず、検査を単なる都道府県の「努力義務目標」に止めている。また、民間検査センターへの支援導入による検査促進を明確にしていない。

(あるべき法改正の姿)
病院、介護福祉施設等の職員・入所者全員へのスクリーニング検査を行政検査としてできるように法定し、民間検査機関等による検査費用への公費補助を規定すべき。

3、有事の最終責任者・司令塔としての国の位置づけ:「直接執行」により明確化

(厚労省案の内容と課題)
感染症法第63条の2に基づく緊急時における国による都道府県知事等に対する「一般的指示権」を、「緊急の必要があると認めるとき」以外のいつでも発動できるようにする、との案だ。

しかし、「一般的な指示」では、緊急時において、的確、迅速に必要な対応ができず、国民の生命は守り切れないだろう。

(あるべき法改正の姿)
感染症有事にあっては、1.の公的病院への重症等患者の「選択と集中」指示、でも、また、2.の広範かつ大規模な病院・介護福祉施設などでの、全員に対する行政検査としての「スクリーニング検査」実施などが、有事対応として必要でありながら知事が執行しない場合でも、また、特に必要性・緊急性が高い場合に、厚労大臣、特措法大臣が知事に代わって自ら執行できるようにすることが、真の国の司令塔機能であり、感染症有事の国のガバナンスの基本だと思う。この仕組みは、武力事態法にも入っており、動こうとしない知事を批判しても危機回避はできず、国が代わってやるべきことをやって初めて国民を守ることができるのだ。当時野党の民主党は、この事を含め、武力事態法案に賛成している。


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