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(論)代表質問(2021年1月21・23・24日)

原稿を棒読みする菅義偉首相(2021年1月24日配信『東奥日報』-「天地人」)

 先週始まった国会中継を見て、拍子抜けした。施政方針演説、衆参代表質問ともに、用意された原稿を棒読みする菅義偉首相の淡々とした姿が目立った。緊急事態宣言の再発令後、初めての質疑だが、国難に挑む為政者としての気概が感じられない。

 代表質問で、経済への配慮にこだわったあげく、新型コロナ対策が「後手」と野党に指摘された。「根拠なき楽観論で対応が遅れたと考えていない」と反論する場面があったものの、従来の政策の説明を繰り返す「守り」の答弁が主だった。

 経済のテコ入れが欠かせないことは理解できる。ただ、政治は「結果責任」である。首相が「闘いの先頭に立つ」と言うのなら、これまでの反省も交え、このように具体策を考え、努力すると、自らの言葉で率直に語りかけるべきではないか。

 政治は「言葉」でつくられる。かつて竹下登元首相は、発声や滑舌はいいが「言語明瞭、意味不明」と揶揄(やゆ)された。最近、閣僚の答弁などで、質問に答えず論点をずらす話法が「ご飯論法」と批判された。言葉がいたずらに長ければ聞き流されるが、言葉が短くても、血の通ったメッセージなら耳を傾けてもらえるだろう。

 国会論戦が週明けに再開する。心一つに感染防止対策を進めるため、国民の力を引き出すのは為政者の務めだ。老若男女の心に響く、首相の「政治家の覚悟」を聞きたい。




2021.01.24 08:00
【代表質問】説得力を欠く首相答弁(2021年1月24日配信『高知新聞』-「社説」)

 通常国会で、菅義偉首相の施政方針演説などに対する各党の代表質問が行われた。

 新型コロナウイルスの感染拡大は11都府県が緊急事態宣言下にある危機的な状況だ。沈静化に向けては国民的な協力が必要だが、首相答弁は説得力を欠き、危機感が伝わってきたとは言いがたい。

 野党側は「第3波」の拡大を「政治に引き起こされた人災だ」と指摘。観光支援事業「Go To トラベル」の全国停止や、緊急事態宣言の再発令を挙げて「判断の遅れを認め、反省から始めるべきだ」と追及した。

 これに対し、首相は「根拠なき楽観論で対応が遅れたとは考えていない」と反論。宣言再発令も「専門家の意見を聞きながら判断した」と述べ、判断の遅れも自らの責任も認めなかった。

 果たしてそうだったか。GoTo事業については、昨年11月下旬には政府の感染症対策分科会が運用見直しの提言を始め、日本医師会は感染予防に対する国民の「緩みにつながった」との認識を示していた。

 緊急事態宣言のタイミングも、共同通信の今月の世論調査で8割近くが「遅過ぎた」と回答している。経済を重視する首相の方針が裏目に出たという見方は強い。

 首相は施政方針演説で「この闘いの最前線に立つ」と述べ、国民に協力を呼び掛けた。ならば、これまでの政策を検証し、多くの国民が疑問視している問題点は率直に反省して、今後の対策に生かす姿勢を見せなければなるまい。

 当面の焦点には、国民に行動変容を促すために政府が切ったカードといえる罰則導入の是非がある。

 政府は営業時間短縮の命令を拒んだ事業者に過料を科す新型コロナ特別措置法、入院を拒んだ感染者らへの懲役、罰金刑を明記した感染症法の改正案などを国会に提出した。

 首相はこれも議論の開始や検討の遅れは認めず、「罰則の周知期間に配慮しながら、できる限り速やかに施行したい」と述べた。

 野党側には、飲食店などへの十分な補償を優先すべきだという指摘もある。病床数の不足で自宅療養している感染者が死亡するケースが相次ぐ中、専門家には全ての患者を病院や宿泊施設に収容できる体制を整える方が先だという反発もある。

 今後の国会審議で議論を深め、政府は反対意見にも耳を傾ける必要がある。対策の不備や遅れのつけを、私権の制限という形で国民に回すような拙速な結論は許されない。

 コロナ対応の後手批判を背景に内閣支持率が続落する中、首相は失点回避へ「守り」を優先しているとされる。参院では、首相答弁が淡泊で「短過ぎる」と野党が改善を申し入れた。首相には、国会は国民を説得する場でもあるという自覚をあらためて求めたい。

 論戦の場は25日から予算委員会に移る。与野党とも国民が危機感を共有し、納得して行動できるような議論を深める責任がある。



思います(2021年1月24日配信『高知新聞』-「小社会」)

 昨年亡くなった英文学者の外山滋比古さんが中学生の頃だから、戦前の話だろうか。弁論大会に出場した生徒を上級生が批判した。「あいつは話し方を知らん。『AはBである』というように言い切っている。ナマイキだ」。
 
 自分の考えを真理と決めつけるのはけしからん。「AはBだと思います」と言うべきだということらしい。確かに日本人は断定を和らげる「…と思います」という物言いを好む。
 
 逆に英国人は、日本人はいつも不必要な「I think」をつけておかしいと言う。外山さんは日本人の好む「思います」は敬語を使う気持ちにも通じ、「それに言おうとすることに自信がない」と解釈する(「ことばの教養」)。
 
 これが政治のリーダーとなると物言いも難しいようだ。菅首相は年頭記者会見で、主にコロナ対策について「思います」を連発した。自信のなさや責任逃れの印象を与え、人々をかえって不安にさせたとみる専門家もいる。
 
 通常国会の施政方針演説で「闘いの最前線に立つ」と訴えたリーダーの発信力は、国民にどう映っているだろう。コロナ対応の後手批判で内閣支持率が続落する中、首相は守りを優先した答弁の棒読みが目立つ。野党側から答弁が淡泊で「短過ぎる」と珍しい抗議を受けたのも、いささか心もとない。
 
 長引くコロナ禍に苦しむ国民に、納得感ある政策と政治の危機感を伝えるメッセージが必要だ、と思いますが。





国会代表質問 コロナ禍克服への道 徹底議論を(2021年1月23日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 衆参両院で各党による代表質問が行われた。政府の新型コロナウイルス対策を問う通常国会での本格論戦となったが、感染抑制策を巡る議論はかみ合わなかった。

 新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言が、1都3県に出てから2週間が過ぎた。新規感染者数は高止まりが続き、通常医療に十分対応できない医療崩壊が大都市圏を中心に進行している。与野党は国民の命と暮らしの危機を一層直視し、徹底した論議を通じてコロナ禍克服への道を示さなければならない。

 感染拡大に歯止めがかからない現状は、政府対応に不備があったことを示す。改善を図り、よりよい政策に生かすには真摯(しんし)に省みることが不可欠だ。

 立憲民主党の枝野幸男代表は「なぜ後手に回っているのか。判断遅れを認め、反省から始めるべきだ」と政府対応を問題視した。しかし菅義偉首相に反省の言葉はなく、「根拠なき楽観論で対応が遅れたとは考えていない」と反論。自らの対応は妥当だとする答弁を重ねた。

 観光支援事業「Go To トラベル」の全国停止、緊急事態宣言の再発令、変異種への水際対策強化など、いずれも感染拡大につれ、首相は慎重姿勢から方針転換を強いられた。野党の求めに応じず、昨年12月上旬に早々と臨時国会を閉じたことも先手を打つ姿勢に欠いた。

 経済重視にとらわれたことが判断遅れにつながったのは否定し難い。景気対策は重要だが、感染対策との両立は難しく裏目に出た。世論調査では6割以上が政府のコロナ対応を「評価しない」と回答している。妥当だとする首相の言い分を容認することはできない。

 首相から感染封じ込めに向けた強力なメッセージが伝わってこないことも不安を募らせる。羅列した政策も打ち出し済みのものばかりで、新味に欠く。かえって気になったのは棒読みがちで淡泊な答弁だ。野党の質問時間30分に対し、10分弱で切り上げ、「短すぎる」と改善を申し入れられる始末。丁寧な説明なしには、議員の後ろにいる国民の理解も深まらない。

 代表質問では「政治とカネ」の問題も取り上げられた。野党は吉川貴盛元農相の収賄事件や河井克行元法相と妻案里参院議員による選挙買収事件を挙げ、首相に再発防止策に乗り出すよう求めた。だが「政治家は責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう常に襟を正すべきだ」と語るのみ。政治への信が揺らいでいるという危機感は感じられないままだ。

 野党も正念場を迎えている。政権への逆風が強まっているにもかかわらず、支持率上昇につながっていない。とりわけ最大野党の立民の責任は重い。政権担当能力を磨き、国民の信頼を集めなければ、秋までに行われる衆院選で「自民1強」支配を崩すのは困難だろう。政府、与党が抱える課題を追及し、力量を示さなければならない。



強引な政権運営止める覚悟があるならば(2021年1月1日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★与党を応援する人たちの中で、野党は何ら建設的なことを言わない。批判だけだという人がいる。支持していない政党の動きや情報に興味がなく、積極的にどころか、自然と野党のニュースを避けているか、お手持ちの情報端末のAIが自動的に耳ざわりの良い、お好みのニュースだけを送り続けるので、野党の動きが目に留まらないのかも知れない。だが野党は立憲民主党、国民民主党、共産党とコロナ禍で役所がしゃくし定規なルールにあてはめたり、融通の利かない対応をしていることを指摘し、柔軟な運用や改正を訴えるなど、数多くのコロナ対応の知恵と法改正の指摘をし続けている。

★無論、いつの間にかそれが与党の発案で実現していたり、提案自体がパクられていたりするが、プロセスを知らない与党支持者は「与党が既にやっていること」と思い込んでいるので、野党の後出しじゃんけんのように見えるのだろう。別に野党も頑張っていると言いたいわけではない。国民の多くがそう考えるように与党だろうが野党だろうが国民のためになる、困っている人たちを救えるのならば誰がやってもいい。それがスムーズに改定されることを願うだけだ。手柄争いではない。

★その意味では20日の衆院本会議での立憲民主党代表・枝野幸男の代表質問には覚悟があった。Go To トラベルが新型コロナウイルスの感染拡大を招いたと指摘して「首相・菅義偉がこだわったGo To キャンペーンは、税金を使って『旅行に行って、会食に行って』と勧めるもの。感染が収まらない中で強行すれば、火に油を注ぐと初めから心配されていた。結果として緊急事態宣言が出され、経済にもかえって大きな打撃を与えた。政府の動きを止められなかったことにじくじたる思いだ。国民に深くおわび申し上げる」。同党は民主党政権時代から自画自賛が好きで、良いことをやったと自分で言う政党だった。この丁寧さが続くようならば、そして何が何でも強引な政権運営を止める覚悟があるならば、政府より信頼できると考える国民が野党に理解を示すはずだ。



衆参代表質問(2021年1月23日配信『しんぶん赤旗』ー「主張」)

危機見ない政治の転換不可欠

 菅義偉首相の施政方針演説への代表質問が国会で行われ、日本共産党の志位和夫委員長(衆院)と小池晃書記局長(参院)が、政府の大失政で危機を拡大している新型コロナウイルス感染の抑止策を中心に首相をただしました。志位氏は、検査、医療、補償で三つの緊急提案を行い、実行を求めました。さらにコロナ収束に集中するため今夏の東京五輪の中止も提起しました。ところが、首相の答弁は棒読みばかりで、誠実さを欠いています。深刻な現実が見えていないのか。無為無策に反省がなく、感染抑止に逆行する政治をこれ以上許すわけにはいきません。

緊急提案の実行を求める

 菅政権のコロナ対策がなにより深刻なのは、緊急事態宣言で国民に多くの努力を求めながら、政府としてどのような積極的方策をとるかが、全く見えないことです。

 三つの緊急提案は、政府がすべきことを具体的に示しています。第一は、PCR等検査の抜本的拡充で無症状者を含めた感染者を把握・保護し、新規感染者を減らすことです。志位氏は▽感染者が集中する地域での大規模検査▽全額国費による医療機関と高齢者施設などの社会的検査▽陽性者保護のための宿泊療養施設の借り上げ、スタッフの確保・容体管理―の重要性を力説し実施を求めました。

 第二の提案は、医療機関と医療従事者、保健所への支援の抜本的拡充です。各地で医療体制が逼迫(ひっぱく)・崩壊し医療従事者の疲弊は極限に達しています。全ての医療機関に対し減収補填(ほてん)をはじめ十分な財政支援を直ちに行うことは切実な課題です。保健所がパンク状態になり濃厚接触者追跡などの機能を果たせていないことは深刻です。保健所の臨時的な人員強化に全力をあげつつ、抜本的な定員増に踏み切ることは待ったなしです。

 提案の三つ目は、営業時間の短縮要請と一体の十分な補償など、雇用と営業を守るための大規模な支援策の実行です。1日最大一律6万円の協力金では足りません。事業規模に応じた補償など事業継続を可能にする施策でなければ、実効ある感染抑止はできません。

 志位氏が今夏の東京五輪中止を提起したのは、いま日本と世界はコロナ対策に力を尽くすべきだと考えるからです。ワクチン接種の効果は五輪に間に合わないことは世界保健機関(WHO)も認めています。先進国と途上国とのワクチン格差、感染状況の国ごとの違いなどアスリートの置かれている状況からもフェアな大会として開催できる条件はありません。五輪開催期間中に多数の医療関係者を現場から引き離し、五輪に振り向けることは、非現実的です。いまこそ立ち止まり、ゼロベースから開催の是非を再検討すべきです。

大切なのは国民の信頼

 菅首相の答弁は、適切にやっていると繰り返すばかりで失政を認めません。やっていないことをやっていると事実と違うことも口にしました。無責任です。安倍晋三前首相の「桜を見る会」問題のウソ答弁や、吉川貴盛元農水相の汚職事件でも説明をしません。

 小池書記局長は、東日本大震災の被災地支援強化、沖縄米軍新基地建設中止などを迫りましたが、首相は住民の声にこたえません。危機時に重要な政治リーダーとしての信頼を首相は失っています。政権の交代はいよいよ急務です。





国会代表質問 またも疑問は素通りか(2021年1月21日配信『北海道新聞』-「社説」)

 国会は各党の代表質問に入り、立憲民主党の枝野幸男代表と逢坂誠二氏は感染拡大が続く新型コロナウイルスへの政府対応を中心に菅義偉首相の見解をただした。

 GoTo事業の停止や緊急事態宣言の再発令が後手に回ったとの指摘に、首相は「根拠なき楽観論で対応が遅れてきたとは考えていない」と反論した。

 そう考える理由や根拠は示さずに断言して質問をかわす。相変わらず説明しない首相のかたくなな姿が露骨に表れた。

 疑問を素通りして「強力な対策を講じ、何としても感染拡大を食い止めていく決意だ」と主張しても、国民は納得できない。

 感染収束には外出自粛などへの国民の協力が欠かせない。首相の発する言葉への信頼度が対策の成否に直結すると自覚すべきだ。

 首相は緊急事態宣言の再発令について「専門家の意見を聞きながら判断した」と説明した。

 しかし、経済への影響を懸念した首相が慎重姿勢をとり続けた結果、医療崩壊を招き、急に方針転換したのが実態だろう。

 2020年度補正予算案や21年度当初予算案も「感染拡大防止策に十分な予算を確保している」として、組み替えを拒否した。

 枝野氏は補正に停止したGoTo事業の追加費用を計上していることについて「ピント外れの極み」と批判した。うなずく人が多いのではないか。

 コロナ特措法を巡り、枝野氏は昨年の臨時国会を延長して改正しなかった責任を追及した。

 首相は「国会の会期は国会が決めること」と決まり文句で答えた。不誠実な態度と言うほかない。

 それにもかかわらず、特措法とともに見直す感染症法に関し「入院を拒否した場合に罰則を設けるなどの改正を行う」と言明した。

 政府の不手際を顧みずに、強権的に従わせるようなやり方は反発を招こう。

 吉川貴盛元農水相の収賄事件で、首相は贈賄側の鶏卵生産大手の元代表と政権との関わりについて「農水省で第三者による検証を始めると承知している」と述べた。

 まるで人ごとだ。安倍晋三内閣の官房長官だった首相は、率先して真相解明に努める責務がある。

 日本学術会議の会員任命を一部拒否した問題も「法令にのっとり適切に判断した。取り消す考えはない」と重ねて強弁した。

 法律違反が明らかで、学問の自由を脅かす重大な事案である。引き続き究明が必要だ。



危機打開へ首相は反省を/コロナ対応巡り代表質問(2021年1月21日配信『東奥日報』-「時論」/『茨城新聞』-「論説」))

 菅義偉首相の施政方針演説に対する各党の衆参代表質問が始まった。新型コロナウイルス感染拡大を巡り首相は、経済再生にこだわり結果的に深刻な第3波を招いたことも、緊急事態宣言の再発令が後手に回ったことも「失敗」とは認めず、反省の姿勢を示さなかった。

 今、多くの国民が懸念を強めているのは、大都市圏中心の1カ月程度の宣言発令や、飲食店の営業時間短縮を中心とする対策で本当に収束するのかということ。知りたいのは、欧米に比べ人口当たりの病床数が多い日本でなぜこれほどコロナ病床確保が難航するのか、どうして入院拒否者に懲役刑まで科さなければならないのか-などだ。

 国内でコロナ感染者が初確認されてから1年が過ぎた。首相は「最前線に立つ」と強調し、危機打開に国民の協力を求めるなら、まずこれまでの政策の不備、問題点を率直に認め、反省するところから始めるべきだ。そうでなければ、現下の対策の趣旨、私権制限強化の必要性が伝わらず、感染拡大抑止へ向けた国民の一体感は生まれない。

 立憲民主党の枝野幸男代表は、首相が観光支援事業「Go To トラベル」続行に執着した末、爆発的な感染拡大を招き、緊急事態宣言の再発令も判断が遅かったと追及。新型コロナ特別措置法についても野党が昨年末、改正案を提出したにもかかわらず国会を閉じたと批判した。

 これに対し首相は「根拠なき楽観論で対応が遅れたとは考えない」「宣言発令は専門家の意見を聞きながら判断した」「特措法改正は私権の制約にかかわり慎重意見もあった」などと述べ、判断の遅れも、それへの自らの責任も認めなかった。

 何ら問題点がないなら、なぜ第3波到来を防げず、GoToトラベル停止や宣言再発令に追い込まれたのか。「失敗の本質」を特定して、それゆえに対策が必要なのだと国民を説得すべきではないか。飲食店の時短営業に力点を置くことに「これまでの経験に基づき効果がある」だけでは、負担が集中する飲食業界も納得しにくいままだろう。

 緊急事態宣言が再発令された11都府県などで逼迫(ひっぱく)するコロナ病床の確保が難航していることについて、首相は「政府として強力な財政支援を行い都道府県と一体となって病床確保を進めている」と強調した。新たに病床確保に応じた病院には1床当たり最大1950万円を支援することなどがその具体策だ。

 だがコロナ患者を受け入れ可能な医療機関は、公立・公的病院では7~8割なのに対し、全医療機関の7割を占める民間は2割程度だ。コロナに対応できるだけの人材、規模、施設がない民間病院が多い日本特有の事情を踏まえずに財政支援を強めても、病床は急には増やせないだろう。

 感染拡大防止へ感染症法を改正して入院措置の拒否に罰則を科せるようにする方針は、第3波を防げなかった政府の失策のツケが、国民に私権制限という形になって押し付けられる印象も否めない。

 首相は施政方針演説で「国民に負担をお願いする政策の必要性を説明し、理解してもらわなければならない」という政治の師、梶山静六元官房長官の言葉を胸に全力を尽くすと述べた。それには、まず首相が自らの政策の結果に責任を取る姿勢を示すことが欠かせない。



コロナ下の代表質問 論戦を対策に生かさねば(2021年1月21日配信『毎日新聞』-「社説」)

 菅義偉首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まった。深刻化する新型コロナウイルスの感染に与野党はどう向き合うのか。それが問われる中での論戦だ。

 立憲民主党の枝野幸男代表は、「政治とカネ」の問題は取り上げず、大半をコロナ対策に絞った。政府による緊急事態宣言再発令などの対応が後手に回ったことを認めるよう首相に迫り、感染封じ込め策を一層強化するよう求めた。

 首相は対応の遅れを認めなかった。「根拠なき楽観論で対応が遅れたとは考えていない」と反論した。感染が収まらない中で「GoToキャンペーン」を続けた理由については説明しなかった。

 では、なぜ感染の「第3波」を防げなかったのか。菅政権の経済重視の姿勢が影響したのではないか。検証や反省を欠いたまま、有効な対策をとれるのかは疑問だ。

 もう一つのポイントは、第3次補正予算案だ。政府が宣言を出す前に作ったもので、感染拡大防止策の予算が少ない。GoToトラベルの延長に約1兆円、国土強靱(きょうじん)化などに約3兆円の予算が計上されている。

 枝野氏は、GoToの予算を削除して感染症対策に振り向けるように求めた。だが、首相は予備費を確保しているとして予算の組み替えを拒んだ。今は喫緊の対応に予算を集中する時ではないか。柔軟な対応を検討すべきだ。

 逼迫(ひっぱく)する医療提供体制を巡っては、枝野氏が、医療機関がコロナ患者の受け入れにかかる費用やそれに伴う減収を事前に全額補塡(ほてん)するよう提案した。野党4党で提出した医療従事者に慰労金を再給付する法案への賛同も求めた。

 これに対しても、首相から前向きな発言はなかった。

 宣言を解除する時期などに関する首相の答弁は、記者会見や施政方針演説で述べたことを繰り返す場面が目立った。野党の提案を取り込んでも、速やかに感染を封じ込めなければならないという危機感が乏しいと言わざるを得ない。

 感染が再拡大した昨年12月から、国会は40日以上開かれず、国民の不信は高まっている。

 菅政権は、慣例や体面にとらわれず、野党の提案にも耳を傾けるべきだ。国会での論戦をコロナ対策に生かさなければならない。



代表質問 コロナ禍克服への方策論じよ(2021年1月21日配信『読売新聞』-「社説」)

 失政を追及するだけでなく、直面する課題をどう克服するか、具体策を打ち出すことが政治の役割だ。与野党は建設的に論じてほしい。

 菅首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まった。

 立憲民主党の枝野代表は、政府の新型コロナウイルス対応が後手に回っていると指摘し、「今回の感染拡大は政治によって引き起こされた人災だ」と批判した。

 首相が景気回復を急ぐあまり、冬の本格的な流行への備えがおろそかになっていたのは否めない。野党は、菅内閣の責任を厳しく問う考えなのだろう。

 枝野氏は、コロナとの共存ではなく、「ゼロコロナ」への転換を主張した。徹底した感染対策を実施し、その間は補償や給付で支えるべきだという。

 経済や社会活動を全面的に停止する措置は、国民生活への影響が大きい。感染者をゼロにするという目標は現実的と言えるのか。

 喫緊の政策課題は、病床の逼迫ひっぱくをどう解消し、いかに医療従事者を確保するかである。営業時間短縮に応じた飲食店や困窮者に対しても、きめ細かい支援が不可欠だ。野党は現実に即して、効果的な政策を提案してもらいたい。

 枝野氏は、入院勧告に従わない人への刑事罰を設ける感染症法改正案について、「懲役刑まで設けるのは到底、容認できない」と述べた。与野党は、罰則の是非を慎重に検討する必要がある。

 2020年度第3次補正予算案について、枝野氏は、一時停止中の観光支援策「Go To トラベル」事業を延長するための費用として、1兆円超が計上されていることを批判し、感染症対策に振り替えるよう主張した。

 首相は「コロナ対策には十分な予算を確保している」と反論したが、早期収束が難しいなかで、事業の再開を急ぐべきではない。

 補正予算案には、ワクチンの接種費用も含まれる。政府は2月下旬から接種を開始するという。

 すでに接種が始まった欧米では、予定よりペースが遅れている。政府は自治体と連携し、ワクチンの運搬や保管、会場確保などの準備を整えることが重要だ。

 立憲民主党の逢坂誠二氏は、吉川貴盛・元農相の収賄事件や、安倍前首相側による「桜を見る会」前夜祭の政治資金規正法違反事件について、真相解明を求めた。

 政治への信頼が揺らげば、政策遂行に対する国民の協力は得られまい。自民党は緩みを排し、厳しく襟を正さねばならない。



代表質問 協力して危機を乗り切れ(2021年1月21日配信『産経新聞』-「主張」)

 菅義偉首相の施政方針演説に対する国会の代表質問が始まった。

 新型コロナウイルス対策をめぐり、立憲民主党の枝野幸男代表は「なぜこんなに後手に回っているのか」と述べ、緊急事態宣言の再発令などをめぐる政府対応の遅さを批判した。

 菅首相は「専門家の意見を伺いながら判断をした」と述べ、再発令が遅れたという見方を否定した。

 枝野氏は、今回の感染拡大は昨年11月に兆候が表れ、政府自身が「勝負の3週間」と言ったにもかかわらず、人の移動を促す「Go To キャンペーン」は続け、宣言再発令などの対策が後手に回ったと指摘した。首肯できる。

 菅首相は対応に問題があった点を真剣に反省し、今後は迅速な行動をとるよう努めてほしい。

 静岡県では海外渡航歴がなく、渡航歴のある感染者との接触も確認できない人が英国型の変異種に感染していた。市中感染ではないかとみられている。

 英国の惨状をみればわかるように感染力の強い変異種が日本国内でも広がれば、脆弱(ぜいじゃく)な医療・療養体制が崩れてしまう。政府は、変異種が見つかった地域などの対策強化を急ぐべきだ。知事に任せきりにして済む問題ではない。

 コロナとの戦いの最前線に立つ医療従事者に対し、20万円の慰労金の再支給を求めるなど、枝野氏の提案には耳を傾けるべき点があった。

 ただし、枝野氏がコロナ対策のための感染症法改正案に盛り込まれた入院拒否者への懲役刑に反対したのは誤りだ。新型コロナウイルスから感染者本人や周りの人々、社会を守るために確実な入院が求められる場合はある。罰則は合理的で、立民は容認へ舵(かじ)を切るべきだ。

 自民党の二階俊博幹事長は、政府のコロナ対策を支持する立場で質問した。先進7カ国(G7)で日本だけワクチン接種が始まっていない点などを、もっと叱咤(しった)すべきだった。

 二階氏は各党に「幅広く政治の力を結集しよう」と呼びかけた。一方、枝野氏が政府・与党とも協力して危機を乗り切る立場を代表質問で明確に語らなかったのは残念だった。批判すべき点は批判しても協力はできるはずだ。

 改めて言う。非常時の国会にふさわしい論戦をしてほしい。



代表質問始まる 党派超え危機克服せよ(2021年1月21日配信『東京新聞』-「社説」)

 菅義偉首相の施政方針演説に対する各党代表質問が始まった。新型コロナの感染拡大により国民の暮らしが脅かされる非常時だ。与野党の枠を超え、議論を通じてよりよい政策を決定すべきである。

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中で始まった与野党論戦だ。国民の命や暮らし、雇用は危機にさらされており、菅政権の対応のまずさは否定できない。

 感染をどうやって抑え込み、暮らしを守るのか。与野党が緊張感を持って積極的に論戦を展開するよう、まずは望みたい。

 最初に質問に立った立憲民主党の枝野幸男代表は、質問時間の半分以上を新型コロナ関連に充て、「GoTo」事業の停止や緊急事態宣言の発令が「なぜこんなに後手に回っているのか。判断の遅れを認め、反省することから始めるべきだ」と政府対応を批判した。

 こうした声は、野党のみならず国民の多数の思いではないか。

 これに対し、首相は「対応が遅れたとは考えていない」とし、緊急事態宣言の発令時期についても「専門家の意見を伺いながら判断した」と答弁した。責任は専門家らにあり、自分にはないかのような口ぶりだ。責任逃れを続けるような首相が何を言っても、国民の胸に響くわけはない。

 枝野氏の質問で評価したいのは政府批判にとどまらず、新型コロナの感染拡大を抑えるための「三つのプラン」を提案したことだ。

 三本柱として「医療機関・従事者への支援拡充」「感染者の早期把握と確実な隔離」「倒産や廃業を防ぐ補償と生活支援」を掲げ、感染者受け入れ病院の減収分の全額補填(ほてん)や、医療従事者らの公費による月二回のPCR検査実施など具体策の受け入れを迫った。いずれも妥当で実現可能と考える。

 枝野氏に続いて質問した自民党の二階俊博幹事長は「政治の真髄(しんずい)は国民の命を守ること」「各党はこの危機を乗り越え、国民の命と暮らしを守り抜くため幅広く政治の力を結集しよう」と訴えた。

 ならば、二階氏が率先して野党の意見に耳を傾け、野党案の検討を政府に促してはどうか。

 今国会は、秋までに行われる衆院選をにらみ、与野党舌戦の激化が想定される。議論の活性化は歓迎したいが、最も重要なことは国民の命と暮らしを守ることだ。

 そのためには、互いに批判すべきは批判すると同時に、政策を競い合う論戦とすべきだ。どちらが優れているか、それを選ぶのは主権者たる私たち国民である。



代表質問答弁 国民の不安拭うつもりで(2021年1月21日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 菅義偉首相の施政方針演説に対する代表質問が始まった。

 初日は衆院で、立憲民主党の枝野幸男代表と逢坂誠二氏、自民党の二階俊博幹事長が登壇した。いずれも新型コロナ対策を中心に質問した。

 厳しさを増す生活や事業経営への支援は。逼迫(ひっぱく)する医療への対応は。ワクチンの準備状況は…。国民の不安は尽きない。

 菅首相はこれまでの対策を列挙して成果を主張し、「引き続き必要な対策に取り組む」と繰り返した。「安心して暮らせる日常を取り戻す」との決意を裏打ちする危機感は伝わってこない。

 枝野氏は、菅政権が「GoToキャンペーン」にこだわり、緊急事態宣言の再発令が遅れたと非難。楽観論に立った判断の誤りを認めるよう迫った。1兆円のGoTo延長費用を盛った補正予算案や来年度当初予算案を組み替え、医療、感染抑止、生活と経済の支援に充てるよう求めた。

 首相は、専門家の意見を聞いて発令を判断したと「楽観論」を否定した。感染対策に十分な予算を確保しているとの認識も示し、組み替えを認めていない。

 逢坂氏は、経営の危機にあるのは宣言発令地域の飲食業界に限らないと訴えた。協力金を給付する業種を広げ、全国に適用するよう提言した。首相は「各自治体の判断で地域の実情に応じた取り組みを推進してもらいたい」と、地方にげたを預けている。

 ワクチン接種には安全性への懸念のほか、超低温での保管や輸送という難題が横たわる。

 二階氏と逢坂氏が準備状況をただしたものの、返ってきた説明は「自治体と連携して万全の体制を確保し、努力を尽くして速やかに届ける」にとどまった。

 正面から答えず、答弁書を読み上げるだけの素っ気ない場面が目につく。暮らしの現場の苦境を認識しているのだろうか。

 罰則を設ける新型コロナ特別措置法と感染症法の改定案については、感染抑止のため「実効的にする」と答えたにすぎない。

 強力に私権を制限する法改定の是非を判断するのは国会だ。首相が出席して審議する法案として扱い、参考人質疑も交えて討議するよう与野党に求める。

 感染をどう収束させるのか、誰も正解を持たない。それだけに菅政権は野党の提言にも耳を傾け、最善の策を探る必要がある。代表質問は22日まで。国民に語りかけるつもりで、首相自らの言葉で質疑に応じてもらいたい。



国会代表質問 現実を謙虚に受け止めよ(2021年1月21日配信『新潟日報』-「社説」)

 政権の新型コロナウイルス対応は問題ない。そう、自己正当化しているようだ。感染拡大で行動が制約される国民の実感とずれがあるのではないか。

 これで、国民の協力を得て速やかに感染を封じ込めることなどできるのか。菅義偉首相は現実を冷静に見据えるべきだ。

 菅首相の施政方針演説に対する各党代表質問が20日、衆院本会議で始まった。立憲民主党の枝野幸男代表は質問時間の多くをウイルス対応に割いた。

 枝野氏は後手に回った政権対応について首相に反省を促し、ウイルスとの共存を意味する「ウィズコロナ」ではなく、封じ込めの徹底を優先する「ゼロコロナ」への転換を提案した。

 観光支援事業「Go To トラベル」の全面停止や緊急事態宣言再発令を巡り、政権の対応は後手、泥縄などと批判されてきた。背景にあったのが経済活動重視方針への固執だ。

 中途半端な対策では感染拡大の迅速な抑止は難しく、経済は打撃を受け続ける。枝野氏の主張はもっともだろう。

 だが、首相から反省の弁は聞かれなかった。緊急事態宣言の再発令が遅れたとの指摘を否定し「専門家の意見を聞きながら判断した」と述べた。

 枝野氏はほかにも政権の対応の不備をただし、生活困窮世帯への支援策などに関する提案を行ったが、首相に聞き入れる様子は見られなかった。

 一方、ワクチン接種に関して首相は「感染対策の決め手になる」と強調。東京五輪・パラリンピックへの懸念に対しては「(東京都など関係機関と)緊密に連携し、準備を進める」と開催に改めて意欲を示した。

 依然として政権の危機感が伝わってこない。

 自民党の二階俊博幹事長は代表質問の冒頭で「まさに国難。心を一つにして乗り越えなければ」と述べたが、政府・与党の対応を自賛するばかりだった。

 本気で速やかな収束を実現したいなら国内が結束し、知恵を出し合うことが不可欠だ。真摯(しんし)な反省もなく、そうした態勢を構築できるのか。

 政府が早期成立を目指すウイルス対応の特別措置法改正案などを巡り、私権制限の行き過ぎやチェック手続きの緩さが不安視されている。

 例えば、特措法改正案で緊急事態宣言の前段階に新設が盛り込まれた「まん延防止等重点措置」。事業者に休業や営業時間短縮を命令でき、拒否すれば行政罰の過料を科せられるが、国会報告や承認は求められない。

 感染症法改正案では感染者が入院を拒んだり保健所の行動歴調査を拒否したりしたとき、罰金などの刑事罰が科される。医師らは、検査を避けたり感染を隠したりする恐れを指摘する。

 野党などが批判するのは当然だろう。いずれも政権側が当初案に固執しては国民の不安を払拭(ふっしょく)できまい。

 感染拡大防止へ一致結束するためにも、首相は独善や保身を排し、批判や不安の声に謙虚に耳を傾けるよう求めたい。



衆院代表質問(2021年1月21日配信『福井新聞』-「論説」)

首相の危機感が伝わらぬ

 菅義偉首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まった。新型コロナウイルス感染による1日当たりの死者数が19日に104人と初めて100人を超え、さらには重症者数も初めて千人を上回るなど危機的な状況にあるにもかかわらず首相の答弁からは危機感が伝わってこなかった。

 立憲民主党の枝野幸男代表は、首相が「Go To トラベル」の継続にこだわった結果、爆発的な感染拡大を招き、緊急事態宣言の再発令も後手に回ったと批判。新型コロナ特別措置法についても野党が昨年末、改正案を出したのに国会を閉じてしまったと追及した。

 これに対し首相は「根拠なき楽観論で対応が遅れたとは考えない」「宣言発令は専門家の意見を聞きながら判断した」「特措法の改正は私権の制約にかかわり慎重意見もあった」などと答弁し、判断の遅れや自らの責任も認めなかった。

 首相は施政方針演説で「最前線に立つ」と訴え、危機打開に向け国民に協力を求めたが、まずはこれまでの政策の不備や問題点を率直に認め、反省するところからスタートすべきだ。代表質問は国民を説得する貴重な場でもあるのに、答弁時間が質問時間よりも短いとあっては、感染拡大抑止への国民の一体感は生まれるはずもない。

 政策の中身も、飲食店の時短営業など、これまでの政策を羅列するだけでは何らインパクトがない。「経験に基づき効果がある」との紋切り型の説明だけでは、負担が集中する飲食業界の納得も得られない。

 加えて、宣言が再発令された11都府県などではコロナ病床が逼迫(ひっぱく)状態にあることを受け、首相は「政府として強力な財政支援を行い、都道府県と一体となって病床確保を進めている」と述べた。新たに病床確保に応じた病院には1床当たり最大1950万円を支援することを挙げたが、人材不足などで、すぐには増やせないとの指摘もある。

 感染拡大防止を図るために、特措法や感染症法を改正し、違反した飲食店に罰金、入院措置の拒否に罰則を科せるようにする方針に関して、首相は野党との協議を持ち出すなどした。第3波を防げなかった自身や政府の「失敗」のつけが、国民に私権制限という形になって押し付けられようとしているのに、これでは責任回避としか映らない。

 首相は施政方針演説で、政治の師と仰ぐ梶山静六元官房長官の「国民に負担をお願いする政策も必要になる。その必要性を国民に説明し、理解してもらわなければならない」という言葉を胸に全力を尽くすと訴えた。ならば、まず自らが政策の結果責任を取る姿勢を示さなければならない。



[代表質問] 危機打開へ徹底論議を(2021年1月21日配信『南日本新聞』-「社説」)

 菅義偉首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党の代表質問がきのう、衆院本会議で始まった。

 新型コロナウイルスの感染が拡大し、11都府県に緊急事態宣言が再発令されているさなかだ。いかに収束に向かわせるか、議論を尽くすことが求められる局面である。

 しかし、首相は経済再生にこだわり結果的に深刻な「第3波」を招いたことも、宣言の再発令が後手に回ったことも認めず、議論は深まらなかった。

 現在の危機を打開するには、これまでの政策の不備や問題点を率直に反省した上で、国民に協力を求めるべきである。

 立憲民主党の枝野幸男代表は、感染拡大は失政による「人災」と指摘。首相が観光支援事業「Go To トラベル」続行に執着したため、爆発的な感染拡大を招き、宣言の再発令の判断が遅かったと責任を追及した。

 さらに新型コロナ特別措置法についても、野党が昨年末に改正案を提出したにもかかわらず国会を閉じたと批判した。

 これに対し、首相は「再発令は専門家の意見を聞きながら判断した」「特措法改正は私権の制約にかかわり慎重意見もあった」などと反論した。

 コロナの自宅療養者は3万人を超え、宿泊療養者も8000人に迫り、病床の逼迫(ひっぱく)が進む。今後の対策の実効性を高めるためにも、首相は厳しい指摘を真摯(しんし)に受け止めなければならない。

 枝野氏は、政府が早期成立を目指す感染症法改正案に盛り込む方針の入院拒否者への懲役刑について「到底、容認できない」と反対を明言した。

 首相は「与野党の意見を聞き、速やかに国会提出する」と述べた。罰則による感染抑止効果を疑問視する専門家は少なくない。私権を強く制限する内容である以上、拙速に陥ることなく慎重に議論を深めることが必要だろう。

 一方、立民の逢坂誠二氏は「政治とカネ」の問題を取り上げた。安倍晋三前首相側による「桜を見る会」前日の夕食会費補填(ほてん)問題、収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元農相の問題などを挙げて真相究明を迫ったが、首相は明確な答弁を避けた。このままでは国民の政治不信は膨らむばかりだ。

 首相は施政方針演説で「国民に負担をお願いする政策の必要性を説明し、理解してもらわなければならない」という政治の師、梶山静六元官房長官の言葉を胸に全力を尽くすと述べた。そのためには、政策の結果に責任を取り、丁寧に説明する姿勢が改めて問われよう。

 代表質問は22日まで行われる。衆院議員の任期満了が10月に迫る中、衆院解散・総選挙をにらんだ攻防にもなろう。野党は対案を示しながら、緊張感ある質疑を展開するべきである。






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