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くしゃみの飛沫、目のかゆみ、鼻がムズムズ…コロナ禍の花粉症でこれだけは知っておきたいこと(2021年1月21日配信『AERA.com』)

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今年の花粉の飛散は例年より少ない地域もあるとはいえ、楽観できない。くしゃみなどで他人を新型コロナに感染させるリスクがあるだけに、これまでにない「注意」が必要だ

 本格的な花粉のシーズンが、まもなく到来する。だがコロナ禍の今年は、いつもと違う。目をこすったりはなをかんだり──花粉症のつらい症状にコロナ感染のリスクが潜む。AERA 2021年1月25日号では、コロナ禍の花粉症対策について専門家に話を聞いた。

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早いところで2月上旬から! 春の花粉飛散予測を見る

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 今年もスギ花粉に悩まされる季節がめぐってきた。すでに鼻がムズムズし始めている人もいるのではないか。だが今はコロナ禍。しかも緊急事態宣言が発出中だ。テレワークなどでそもそも外出機会が減り、外出時はマスクを着けるのが習慣になっている。そんな状況下で、花粉症に悩まされる人は例年よりも少なくなると考えてもよいのだろうか。

■マスクと「在宅」で軽減

 アレルギー疾患のエキスパートで、花粉症治療の先駆者である日本医科大学の大久保公裕教授はこう話す。

「インフルエンザ、新型コロナウイルス、風邪、花粉症のいずれにも通じる対策としてマスクは有効です。加えてテレワークの導入が進み、花粉の飛散シーズンに外出を控えることが可能な人が増えれば、花粉症の症状は総じて軽減されることが期待できます」

 コロナウイルスは直径0.1マイクロメートルで、スギ花粉は直径30マイクロメートル。一般的な不織布マスクは5マイクロメートル程度より大きな粒子の侵入を防ぐとされている。隙間をつくらず顔面にぴったり張り付くようにマスクを装着すれば、花粉の侵入はほぼ防止できる上、飛沫に含まれるウイルスの感染を防ぐのにも一定の効果がある。

 実際、この冬は新型コロナとインフルエンザの同時流行が危惧されたが、今のところインフルエンザの患者は記録的に少ないことが報告されている。新型コロナ対策として実施されてきたマスク装着や手洗いの励行のほか、海外との人の出入りが少ないことなどが要因に挙げられている。

 ただ、楽観は禁物だ。花粉症患者にとって今年は修羅場になる可能性もある、と大久保教授は見込んでいる。

「花粉症の症状が出ると、手で目をこする回数が増えます。はなをかむ際はマスクを外さないといけません。そのとき目や鼻の粘膜に直接触れる可能性があるため、自分の手が新型コロナウイルスに汚染されていると感染リスクが高くなります」

 花粉症の典型的な症状は目のかゆみ、鼻水、くしゃみだ。これらの症状は、自分が新型コロナに感染しやすくなるリスクを誘発するだけでなく、他人に新型コロナを感染させるリスクも高めてしまうという。

「新型コロナの感染者が花粉症になり電車内などで頻繁にくしゃみをすると、多くの飛沫が飛び散り、マスクをしていてもウイルスを拡散させてしまう可能性があります」

■くしゃみで拡散リスク


 新型コロナは感染しても症状の出ない人(無症候感染者)がいることや、感染後に無症状の期間があることがわかっている。新型コロナの症状がなくても、花粉症によってくしゃみが出れば、ウイルスの拡散リスクを高めてしまうのだ。その結果、花粉症の社会的意味が変容する、と大久保教授は見据える。

「花粉症はこれまで患者個人の生活の質や作業効率に影響するのが問題でしたが、今年は新型コロナの感染流行と重なったことで他人を新型コロナに感染させる引き金にもなり得る、新たな社会的意味をもつ疾患になったのです」

 では、私たちは花粉症とどう向き合えばいいのか。大久保教授は「コロナ禍の今年は、花粉症の症状を完全にコントロールすることが求められる」と言う。

 これまで花粉症治療といえば、症状を緩和し、仕事や睡眠に大きな支障が出ないように処置すればよかった。しかしコロナ禍の新常態では、ほぼ完全に症状が抑えられる水準まで治療しなければ社会生活に支障をきたしかねない状況になった、というわけだ。

 このため、大久保教授が呼び掛けているのは「例年よりもステップアップした治療」だ。毎年のことだから仕方がない、と考えて放置するのではなく、抑えられる症状は抑える。インフルエンザの予防接種を受けるような感覚で、それぞれが自分の体調に照らして事前の備えをしておくことが必要になる。

たとえば、例年は花粉の飛来シーズンにマスクや眼鏡を着ける程度の対策で過ごしてきた人は、症状の兆候が出ればすぐに服用できるよう市販薬を購入しておく。これまで市販薬で対応してきた人は医療機関を受診し、処方薬をもらっておく、といった一歩先の対応だ。

 ただ、花粉症で最もポピュラーな抗ヒスタミン薬でほぼ症状を止められる人は7割ほどに限られる。十分な効果を得られない人は、レーザーで鼻の粘膜を一時的に凝固させる「レーザー療法」や、抗IgE抗体製剤「ゾレア」を摂取するなどの治療法も選択肢になる。

 日本気象協会が昨年末に発表したスギ花粉の飛散予測によると、2月上旬には九州や四国、関東地方の一部から花粉シーズンがスタートする見込みだ。

 飛散量は広範囲で例年より少ないと見込まれているが、留意しなければならないのは前シーズン比(昨春との比較)では九州から関東にかけて非常に多くなるエリアもあるということだ。前シーズンの飛散量が例年よりも非常に少なかったためで、前シーズンに花粉症の症状が軽かった人も今春は注意が必要だという。

 そんな中、花粉症の人にとって「逆風」ともいえるのが室内の換気だ。新型コロナ対策では換気が必要とされているが、花粉症では逆に外気を遮断することが求められるからだ。

 環境省の花粉症環境保健マニュアルによると、3LDKのマンションで花粉の最盛期に1時間の換気を行った場合、約1千万個の花粉が屋内に流入した、との実験結果がある。

 新型コロナ対策の換気は飲食店や職場、電車などの公共交通機関にも広がっている。店舗で食事中や電車で移動中に花粉を吸い込み、くしゃみが出れば、周囲の厳しい視線を浴びるのは必至。どうすればいいのか。

■オンライン診療も可能

 都内で保険調剤薬局を展開している「メトロファーマシー」の管理薬剤師の守(もり)麻美さんは「命にかかわる新型コロナ対策を優先させるのはやむを得ない」と換気の必要性を認めた上で、空気清浄機を設置したり、立体吸着シートでこまめに床掃除をしたりして花粉をできるだけ除去するよう室内環境を整えることを勧める。室内に入る花粉をできるだけ抑えるには、カーテンを閉めたまま窓を開ける幅を小さくして換気することも大切だ。送風機を使って、室内に入った花粉を室外に送り出す空気の通り道を確保するのも有効だという。

 守さんは花粉症患者の「変化」も感じている。守さんが勤務する都内の店舗では12月に入ると花粉症の処方薬を受け取る人がちらほら現れ、年明けに増えてくるのが例年のパターン。しかし今シーズンは1月上旬時点で皆無という。守さんは「新型コロナの影響で花粉症の患者さんの足が遠のいているのかもしれません」と懸念を示す。

「緊急事態宣言下で受診しにくいと考える人もいると思いますが、オンライン診療でも薬の処方は可能です」

 そう受診を呼び掛けるのは前出の大久保教授だ。受診をためらう人の中には、新型コロナの初期症状と花粉症の症状の見分けがつきにくい、という人もいるかもしれない。大久保教授はこうアドバイスする。

「新型コロナに特徴的なのは味覚や嗅覚に障害が出ることです。鼻づまりによって匂いがしなくなる花粉症の症状と似ていますが、鼻づまりが治まったときにも匂いがしない場合、新型コロナに感染した可能性も疑うべきでしょう」

(編集部・渡辺豪)

※AERA 2021年1月25日号




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