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【点描・永田町】不安と不信の「緊急事態再宣言」(2021年1月24日配信『時事通信』)

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新型コロナウイルス感染症対策本部で、1都3県に緊急事態宣言の発令を表明する菅義偉首相=1月7日、首相官邸

 令和3(2021)年は、全国民がパンデミック(世界的大流行)の恐怖に怯える「悪夢のような年明け」(閣僚経験者)となった。新型コロナウイルスによる感染が年末年始に急拡大し、首都圏が「感染爆発」状態になったからだ。慌てた菅義偉首相は7日、東京、神奈川などまず1都3県を対象に2度目の緊急事態宣言を発令し、国民に最大限の協力を呼び掛けた。ただ、飲食店の営業時間短縮や住民の外出自粛要請など「前回宣言よりかなり手ぬるい内容」(自民党幹部)となった。このため、首相が明言した「1カ月での事態改善」は困難視され、相次ぐ「場当たり的な首相発言」(自民若手)には、国民の不安と不信が広がる。

【写真】緊急事態宣言再発令後初めての週末、東京・渋谷のスクランブル交差点を行き交う人たち

 昨年12月下旬まで緊急事態宣言に慎重だった首相が、方針大転換を決断したのは、大晦日の東京の新規感染者が一気に1300人超に激増したのが原因だ。首相はこの事態を「想定外」(政府筋)と受け止め、宣言発令に踏み出さざるを得なかった。年末から宣言発令を求めていた小池百合子都知事が2日、埼玉、千葉、神奈川の3県知事を引き連れて、西村康稔経済再生担当相に直談判したことも踏まえ、首相は4日の年頭会見で宣言発令を「検討する」と明言。政府は7日に基本的対処方針等諮問委員会と国会報告の手続きを経て、同日夕の対策本部で8日から2月7日までの1カ月間、1都3県を対象とする宣言の発令を決定した。

 その後官邸で記者会見した首相は、冒頭発言で「国民の皆さんへのお願い」としてマスク着用、外食・外出自粛、テレワーク7割の徹底を求め、「1カ月後には必ず事態を改善させる」と決意表明した。ただ、従来通り発言はほぼメモの棒読みで、しかも最後に顔を上げて「(冒頭発言を)私からの挨拶とさせていただきます」と、通常の会合のような結びの言葉を付け加えたことが「本気度を疑わせる大ミス」(閣僚経験者)となった。会見はネット上でも中継されており、画面には瞬時に「挨拶とはなんだ!」「危機感ゼロ!」などの書き込みがあふれた。

◇相次ぐ発言が“自滅の刃”に

 そもそも首相は、昨年秋口から多くの専門家の「寒くなったら必ず感染が拡大する」との危惧を無視するかのように「経済の活性化」を掲げてGo To トラベルなどの観光業救済策を推進した。このため、年明け早々にアクセルとブレーキを突然踏み換えるような宣言発令には「後手後手の極致」(立憲民主党幹部)との批判が集中。首都圏の住民も、「政府は信用できない」と前回宣言時のような外出自粛を徹底せず、都心部での劇的な人出減少にもつながらなかった。

 こうした国民の鈍い反応の中、首相は宣言が発令された8日夜の民放テレビの情報番組に録画出演したが、その中で年末年始の首都圏での「感染爆発」については「想像していなかった」と開き直ったことも批判を呼んだ。さらに、1カ月後の宣言延長の可能性を問われると「仮定のことは考えない」とはぐらかして「危機意識の薄さ」(共産党幹部)を露呈。有識者も「想像力も決断力も感じられず、首相の器ではない」と厳しく指弾した。

 首相は10日午前のNHK番組「党首に問う」でも「批判は真摯に受け止める」としながらも、「国民の皆さんにいま一度協力していただければ、必ず1カ月で(感染の)ベクトルは下がる」と哀願するだけだった。就任4カ月、発信力不足を指摘されてきた首相だけに、年明け以降は連続的にテレビ出演を重ねているが、「出るたびに不信を招く“自滅の刃”」(自民長老)にも見える。現状の「神頼みのような対応」(同)を続ければ、3月にも政権危機に陥りかねないのが実態だ【政治ジャーナリスト・泉 宏/「地方行政」1月18日号より】。 




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