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(論)予算案(2021年1月26・27・28・29日)

3次補正成立 感染対策が置き去りだ(2021年1月29日配信『北海道新聞』-「社説」)

 19兆円超の追加経済対策を盛り込んだ本年度第3次補正予算がきのう、成立した。

 だが新型コロナウイルス感染の急拡大と緊急事態宣言の再発令を想定しておらず、感染防止策の費用は4兆3千億円余にすぎない。

 より多くの予算を振り向けるのは、コロナ後を見据えた経済構造転換や国土強靱(きょうじん)化関連だ。補正は3月末までの執行が原則だが、再開が見通せない「GoToトラベル」延長に1兆円超を計上する。

 医療が逼迫(ひっぱく)する中で最優先すべき施策とは到底考えられない。

 野党が医療機関や生活困窮者への支援を強めるよう組み替えを求める動議を出したが、十分な検討をすることなく否決された。

 感染力の強い変異ウイルスの出現もあり、再拡大を見据えた医療体制整備や生活支援拡充が急務だ。新年度予算案の審議で今度こそ徹底した議論が求められる。

 国会審議で菅義偉首相は困窮者支援について、無利子の特例貸し付けなどを挙げ、国民一律の特別定額給付金の再支給を否定した。

 貸し付けの限度額まで借り切った世帯も増え、感染拡大が続けば状況はさらに悪化しかねない。

 首相は「最終的には生活保護」があるとも述べた。最後の安全網である生活保護を利用する状況に至るまでにまず施策を駆使し、支えるのが政治の使命ではないか。

 それなのに「自助・共助・公助」と持論まで展開した。収入が途絶え命を落とす人も増える中、自助を口にする時ではなかろう。

 中小企業などを支援する持続化給付金の継続や再支給も拒んだ。時短要請に応じた飲食店と取引業者への給付創設が理由だが、外出自粛の影響は幅広い業種に及ぶ。

 GoTo費用の撤回と医療支援への振り替えも、「予備費も十分確保している」と応じなかった。

 自宅療養中に死亡する感染者が相次ぎ、首相は必要な医療体制を提供できていないことを認めて陳謝したのに、理解に苦しむ。

 看過できないのは、新年度予算案も宣言の再発令や今春以降の再拡大を想定していないことだ。

 コロナ対策予備費5兆円を除くと、医療体制確保は533億円、検査体制強化は207億円にとどまり、十分とは言い難い。

 長引くコロナ禍で雇用情勢の一段の悪化も懸念される。雇用と生活を守るための支援拡充を含め予算案を柔軟に組み替えるべきだ。

 首相はGoToなど一度決めた方針に固執し、事態を悪化させてきた。同じ轍(てつ)を踏んではならない。





第3次補正予算 コロナ対策に組み替えよ(2021年1月28日配信『琉球新報』-「社説」)

 なぜ新型コロナウイルス感染防止対策より、観光支援事業「Go To トラベル」にこだわるのか。

 本年度の第3次補正予算案は衆院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。

 感染収束後の経済対策に軸足が置かれすぎている。Go To事業を削って、窮地にある医療や個人、事業者への支援などさらなるコロナ対策費に組み替えるべきだ。

 政府が第3次補正予算案に盛り込んだ経済対策の総額は19兆1761億円。このうち新型コロナ感染症の拡大防止策は約2割(4兆3581億円)にすぎない。

 残りは「Go To トラベル」(約1兆円)や「Go To イート」(515億円)、脱炭素社会実現に向けた基金創設(2兆円)など成長戦略や景気刺激策に重点配分されている。

 補正予算案の最大の問題は、感染拡大が拡大し緊急事態宣言を出す前(昨年12月15日)に閣議決定されていることだ。医療が逼迫(ひっぱく)し自宅療養していた感染者が容体が急変しても搬送先が見つからず死亡するケースが増えている。補正予算案は、こうした深刻な状況に対応できていない。

 菅義偉首相肝いりのGo To事業の停止や緊急事態宣言の発出が遅かったため、感染拡大を招いたと批判を浴びている。「政治によって救えた命が救えなかったかもしれない。『公助』で救えなかった責任を感じているか」(立憲民主党の辻元清美氏)という指摘はもっともだ。

 首相は「責任者として大変申し訳なく思う」と陳謝した。だがGo To事業や脱炭素化の基金創設を削除し、医療機関や生活困窮者への支援に振り向ける予算組み替えを求めた野党提案は与党に退けられた。

 一方でGo To事業再開の前提となるコロナの収束が見通せないのに、首相は「しかるべき時期に事業を再開するときに備えて計上する」と譲らなかった。

 1次補正予算で確保したGo To予算のうち1兆円近くが年度内に使いきれないという見方がある。加えて予備費から3119億円を確保している。今回の3次補正でさらに約1兆円を積み増す根拠はどこにあるか。衆院予算委員会で議論は深まらず数の力で押し切られた。

 3兆円余りが計上された「防災・減災、国土強靭(きょうじん)化」も、補正に盛り込む緊急性があるのか疑問である。立憲民主党の江田憲司氏は、自民党幹事長の「二階氏の影を感じる」と述べ、二階氏への配慮が影響したとの見方を示した。事実とすれば問題だ。

 一度決めたら譲らないという菅首相のかたくなな姿勢は、予算委員会でも目立つ。新型コロナ対策は国民の協力が不可欠だ。異論や批判を排除する姿勢を改めなければ乗り切れない。





菅首相の予算委答弁 これでは議論が進まない(2021年1月27日配信『毎日新聞』-「社説」)

 緊急事態の宣言下、衆院予算委員会が開かれた。

 新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する中での論戦だ。自宅療養中に亡くなる患者も相次いでおり、コロナ対応や第3次補正予算案を巡る突っ込んだ議論が期待された。

 ところが、菅義偉首相は国民の不安を払拭(ふっしょく)するメッセージを出さなかった。相変わらず官僚のメモを読み上げる場面が目立った。

 医療体制については、新たに病床を確保した医療機関への支援金制度を設け、厚生労働省に指示していると強調した。

 だが、金銭的な支援があっても、コロナに対応できる人材や施設がない民間病院が病床を増やすことはできない。金銭で解決できない問題をどう乗り越えるのかが問われているのに、明確な答弁はなかった。

 医療機関への支援策が利用されていないと追及された場面では、「なぜ回らないんだと関係大臣に強く指示している」と述べた。これでは責任は厚労相にあると言わんばかりだ。

 批判が強い「答弁を控える」という言い回しについては、これを封印し、「指摘を受け止める」などの表現を使った。しかし、対策や方針にどう生かすのかを具体的に語らなければ議論にならない。

 首相の答弁には、自身の判断は間違っていないという思い込みと、一度決めたら変えないというかたくなな姿勢がうかがえる。

 宣言下で再開のめども立たない「GoToトラベル」について、延長経費として約1兆円を予算案に計上しているのもその一つだ。

 予算を削除し、医療体制の整備などに使うべきだという野党の要求を、首相は「しかるべき時期に事業再開する時に備えて計上する」とはねつけた。

 首相はGoTo停止の判断は遅れたわけではないと主張した。だが、専門家は、GoToが感染拡大に影響を及ぼした可能性を指摘している。

 コロナ対策の実効性を上げるためには、国民の協力が欠かせない。首相が自分の言葉で方針や目標を説明し、問題点があれば率直に認めて改める柔軟さが必要だ。それがないままでは、国民との距離は広がるばかりだ。



補正予算の可決 現状直視しない拙速審議(2021年1月27日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 拙速のそしりを免れないだろう。

 衆院がきのう、19兆円超の経済対策を盛り込んだ本年度の3次補正予算案を可決した。

 閣議決定は昨年12月15日だ。新型コロナウイルスの急激な感染拡大と、緊急事態宣言の再発令を想定していない。観光支援事業「GoToトラベル」の延長や国土強靱(きょうじん)化関連などに多額の経費を計上している。総額19兆円超のうち、感染防止策は4兆3500億円しかない。

 トラベル事業は観光業者の支援になり、災害対策も重要だ。ただし、補正予算案は3月末までの執行が原則だ。感染拡大で医療機関の病床逼迫(ひっぱく)が続く中、最優先で取り組むべきことなのか。

 専門家には、トラベル事業が感染拡大の一因になったとの指摘も根強い。事業の功罪を客観的に分析しないまま、延長経費を計上するのは看過できない。

 職を失ったり、給与が大幅に減少したりして、暮らしの維持が難しくなっている人も出ている。感染防止策に加え、そうした人の生活支援や、医療機関、飲食店、観光業者などの直接支援を重視した予算に組み替えるべきだ。

 野党はきのう、補正予算案の組み替え動議を提出した。立憲民主党などの案は、トラベル事業の延長経費などを削除した上で、生活困窮者支援に重点を置いた。

 低所得の子育て世帯への給付金などに約3兆4千億円を充てるほか、医療機関への支援として3兆円を計上。時短営業に応じた事業者や、持続化給付金の再開などに7兆5千億円を盛り込んでいる。検討していくべき内容だ。

 菅義偉首相らは補正予算案の成立にこだわり、組み替えは一顧だにしなかった。

 菅首相は衆院予算委で、トラベル事業の削除を求められ、「地域経済の下支えに貢献する。事業の再開に備えて計上している」と拒否。医療機関などの支援策については「補正予算案に十分に計上している」などと述べている。衆院予算委員会は動議について十分に検討せず、否決した。

 現在で十分と考えているのなら、政府と与党には医療機関や国民の窮状が見えていない。参院では野党案を含めて、組み替えを視野に議論する必要がある。

 野党の対応も問題がある。補正予算案の審議日程について、2日間で審議を終え、採決することに早々に合意した。組み替え動議成立のため、与党と交渉する意欲がみられない。形だけの動議なら国民の支持は得られない。



予算委の論戦 不安払拭に資するものに(2021年1月27日配信『新潟日報』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染拡大により11都府県で緊急事態宣言が再発令され、医療提供体制は逼迫(ひっぱく)の度を増している。

 感染拡大を食い止め、国民の命を守るため、政府と国会は真摯(しんし)な議論を重ね、国民不安の払拭(ふっしょく)につなげてもらいたい。

 衆院予算委員会は25、26の両日、ウイルス対策を盛り込んだ総額19兆円超の2020年度第3次補正予算案を審議した。予算案は26日に衆院を通過し、論戦の舞台は参院に移る。

 焦点となっているのは、ウイルス対策を巡る政府の対応遅れや医療提供体制の確保、観光支援事業「Go To トラベル」延長経費の是非などだ。

 衆院予算委での菅義偉首相の答弁は「棒読み」を減らす工夫はうかがえたが、予算案や新型ウイルス対策として新設する罰則規定などを巡る説明ではちぐはぐな印象が否めなかった。

 緊急事態宣言下の11都府県では入院や宿泊療養の対応が追いつかず「調整中」とされる人は多く、自宅待機を余儀なくされ亡くなる人も増えている。

 26日の予算委で首相は自宅療養中に急変して亡くなったケースについて問われ、「責任者として大変申し訳ない」と陳謝した。医療提供体制に不備があり、国民が不安を感じているとの認識も示した。

 一方で、約1兆円のGoToトラベル関連経費を医療支援へ組み替えるよう求められても拒否し、「地域経済の下支えに貢献するものだ。しかるべき時期の再開に備えて計上した」と強調した。

 医療支援で4兆円を超える感染症拡大防止策を計上しているとし、備えが十分であることを訴えたが、やはり経済へのこだわりから抜け出せないのか。

 緊急事態宣言が期限の2月7日で解除できるか見通せない。3月末までの執行を前提とする補正予算案へのトラベル事業費計上に固執するのは理解に苦しむ。首相の危機感にまたも疑いを持たれはしないか。

 「専門家の判断」や「知事会の要望」を盾に取り、説明責任に背を向けるような姿勢が目立ったことも気掛かりだ。

 宣言の再発令が遅すぎたとの野党の指摘に対し、首相は専門家と相談して決めたことを強調し、「専門家に聞くように国会で付帯決議を出しているではないか」と言い返した。

 新型ウイルス対策関連法の改正案に盛り込まれた懲役刑の撤回を求められると、「全国知事会の緊急提言を踏まえ、実効性を高めるために罰則を設けたい」と自治体の要望を前面に出して批判をかわそうとした。

 これでは政府が政策や罰則の必要性を人任せで判断したようで、主体性が見えない。

 関連法改正について入院拒否者への懲役刑や、営業時間短縮の命令を拒んだ事業者への行政罰の導入などを巡り、与野党の修正協議が26日、始まった。

 人権侵害の懸念を払拭し、同時に感染防止の実効性を持たせるため慎重に協議し、成案を得てもらいたい。



どこ行った?国民のために働く内閣(2021年1月27日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★予算委員会がスタートしても首相・菅義偉の昼あんどんぶりには閉口する。「コロナ対策についてはできることはすべてやる」と言ったのは何だったのかと感じる国民も多いはずだ。自民党中堅が言う。「すべてはワクチン頼み。だが、そのワクチン接種も遅れそうだ」。国民の多くが五輪は絶望的だと思っている。ところが関係者は中止にするとカネがかかるというものの、第3次補正予算19兆1700億円のうち、経済構造転換費用という名の項目に11兆7000億円が計上され、その内訳はGo To トラベル、Go To イート費用などだ。

★それでいてコロナ対策費は4兆3500億円あまり。どうも計算の間尺が合わない。26日の予算委員会で首相は、国民一律に現金を配る「定額給付金」について「再び支給する考えはない」と述べ「Go To追加予算は予定通り」とした。五輪開催についても「まさに万全な安全安心の体制を組む中で、オリンピックは準備をしていきたい」と答弁。やはりコロナ対策は最優先ではないようだ。これに立憲民主党と共産党は共同で予算編成の動議を出し「Go To関連予算をやめて、医療に全部振り向けようと総理が決断したらみんなも納得する。どうか」と問うたが、首相は聞く耳を持たなかった。

★以下は昨年9月16日、首相就任会見での発言だ。「私は、常々、世の中には国民の感覚から大きくかけ離れた数多くの当たり前でないことが残っていると考えてきた。それらを見逃さず、現場の声に耳を傾けて、何が当たり前なのか、そこをしっかりと見極めた上で、大胆に実行する。これが私の信念です」「国民から信頼される政府を目指していきたいと思います。そのためには行政の縦割り、既得権益、そしてあしき前例主義、こうしたものを打ち破って、規制改革を全力で進める」「国民のためになる、ために働く内閣をつくります」。もうそのかけらも残っていない。(



3次補正予算審議(2021年1月27日配信『しんぶん赤旗』ー「主張」)

コロナ集中対策に組み替えよ

 コロナ対策として菅義偉政権が提出した2020年度第3次補正予算案が衆院を通過しました。昨年、政府が緊急事態宣言は必要ないと明言していたときに編成した予算案のままです。医療崩壊が起きつつある今、必要な措置が盛り込まれていません。「Go To」事業をはじめ不要不急の経費が多すぎます。日本共産党と立憲民主党は共同で医療、暮らし、営業への支援を拡充する組み替え動議を提出しました。急を要するコロナ対策に集中したものにつくり変える必要があります。

国民の苦難打開できず

 3次補正19・2兆円のうち「ポストコロナに向けた経済構造の転換」と「国土強靱(きょうじん)化」が合わせて14・8兆円です。病院のベッドが足りず、自宅で亡くなる人が出ている時に「コロナ後」に向けた経費が大半とは、全く逆立ちしています。医療機関の減収補填(ほてん)はせず、無症状者を把握、保護する積極的検査の予算もありません。

 経済対策には雇用調整助成金の特例延長や中小業者への資金繰り支援が入っているものの、マイナンバーカード普及や5G(次世代通信規格)の研究開発支援など、コロナで苦しむ事業者と無関係なものばかりです。持続化給付金、家賃支援給付金は打ち切ります。営業時間短縮に応じた飲食店への協力金の増額もありません。

 衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員は「感染防止には協力したい。せめて月々の固定費さえ補償してくれれば」との居酒屋の切なる声を紹介し、売り上げが減った全ての業種への十分な補償を求めました。この声に応えるのが政府の責務です。

 「Go To」は感染抑止に逆行するため中止せざるを得なくなった事業です。1・1兆円の全額撤回が当然です。

 「国土強靱化」は、高規格道路の建設、自動運転の研究、スマートシティの海外展開といった3月末までの補正予算で行う緊急性のない事業がほとんどです。

 「国民の安全・安心」の名目で軍事費3867億円まで盛り込んでいます。2816億円が潜水艦やミサイルなど兵器購入の前払いにあてられます。軍備増強がコロナ対策の役に立たないことは誰が見ても明らかです。

 緊急事態宣言前につくった補正予算案を何の修正もせず国会に提出するところに、危機的現実を見ようとしない菅政権の政治姿勢があらわれています。

 政府・与党は予備費をあてると言いますが、コロナ対策は焦眉の中心課題です。使い道を事前に国会に諮らない予備費に頼ることは無責任です。

不要不急の経費は撤回を

 2野党共同提出の組み替え案は歳出総額17・9兆円です。医療の強化、検査の徹底に4・5兆円、持続化給付金の再開をはじめ事業、雇用への支援に7・5兆円を充てます。生活困窮に3・4兆円、地方自治体に2・5兆円の対策も盛り込んでいます。

 「Go To」事業、災害復旧以外の「国土強靱化」、軍備購入の前払いといった不要不急の経費6兆円は政府案から撤回します。

 緊急事態への対応は一刻の猶予もなりません。参院で徹底審議し、与党は野党の組み替え要求に応えて、国民が求める補正予算に改めるべきです。





3次補正予算案 喫緊の感染対策優先を(2021年1月26日配信『中国新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス対策費などを盛り込んだ2020年度第3次補正予算案の国会審議がきのう始まった。総額で19兆円を超え、経済対策などの財源となる。政府は年度末まで切れ目ない予算執行が必要として、月内の成立を目指しているという。

 しかし3次補正の編成に取りかかった昨年秋ごろは感染者は増えつつあったものの、まだ急増する状況には程遠かった。その後、爆発的に感染が拡大し、東京など11都府県に緊急事態宣言が出されるなどした。

 崩壊の危機にさらされている医療や、緊急宣言に伴い営業時間の短縮を求められた飲食業界などに待ったなしの支援策が求められている。にもかかわらず3次補正案には今の厳しい状況が織り込まれておらず、コロナ禍の収束を前提にした施策が多くを占めている。

 不要不急の項目を精査し、現状に合うよう柔軟に組み替えてもいいのではないか。国民の命と暮らしを守るため、優先すべき施策に限られた財源を集中させなければならない。

 補正予算案のうち感染防止対策には4兆3千億円余りを充てる。最も規模が大きいのはコロナ後を見据えた経済の再生・成長を促す分野で、11兆6千億円余りを計上した。防災・減災・国土強靱(きょうじん)化にも3兆1千億円余りが振り向けられている。

 立憲民主党など野党各党がとりわけ問題視しているのは、経済再生を図る観光需要喚起策の「Go To トラベル」を延長する事業費で、1兆円超を計上している。これを撤回するよう、予算案の組み替えを求めている。

 GoTo関連事業は少なくとも緊急宣言の期限である2月7日まで停止が決まっている。観光業などの経済的な救済策としては大きな効果があった一方で、移動を促す事業の実施が感染者の増加に影響した可能性も指摘されている。

 感染の広がりを抑え込んでいない現状を踏まえれば、慎重に事業の再開を判断したい。経済活動を促す施策よりも、今は医療や生活への支援に「公助」を集中させるときだという野党の訴えは理にかなっていよう。

 国土強靱化も大切だが、今回の補正予算に盛り込む必要があるのか、甚だ疑問だ。そもそも補正予算は特に緊急を要する経費のために編成してきたものだ。中長期のスパンで取り組む施策は本来、最初から本予算で手当てするのが道理だろう。

 ところが、菅義偉首相は予算の組み替えについて「十分な予算は確保している」と述べ、応じるつもりはないようだ。

 一度決めた方針に固執し続ける政権の姿勢が、昨年末のGoTo停止の判断の遅れを招き、結果的に感染拡大を防げなかった。轍(てつ)を踏まない施策の見直しが欠かせないのではないか。何より思い切った方針転換は政権として感染抑止に気概を示す明確なメッセージになるはずだ。

 経済構造の転換にも取り組まなければならないが、漫然と支出を続けていいわけではない。財政悪化を放置すれば、かえって経済に悪影響を及ぼす。

 予算の組み替えは異例であり、容易でない。コロナ危機を乗り越えるには幅広い国民の理解と協力が欠かせない。政権には予算修正などに臨機応変に対応する柔軟さが求められる。 




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