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頑なな菅政権 GoTo、五輪に“しがみつき”では収束不可能(2021年1月27日配信『日刊ゲンダイ』)

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 どこが「安心」と「希望」なのか。施政方針演説で「安心」と「希望」を掲げた菅首相。しかし、25日からスタートした予算審議を見た国民は、「やっぱりこの男はダメだ」「コロナ禍は収束しない」と絶望したに違いない。

 いま国民が求めていることは、とにかく一日も早い、新型コロナ禍の収束だろう。この1年間で分かったことは、このウイルスは想像以上に手ごわいということだ。あらゆるものを後回しにしてでも、総力をあげて対応しないと封じ込められない。

 多くの先進国は「経済」と「コロナ封じ」の両方を目指しながら対応してきたが、ことごとく失敗している。物理学博士のメルケル独首相でさえ、新たな感染爆発と都市封鎖を招いてしまった。残念ながら「経済」と「コロナ封じ」の二兎を追って成功した例は、いまだどこにもないのが現実である。日本もコロナ封じに徹するしかないのだ。

 ところが、菅政権は、これだけ感染が拡大し、医療崩壊が起きているのに、この期に及んで「GoTo」と「五輪開催」に邁進しているのだから話にならない。

 26日の衆院予算委員会。立憲民主党の辻元清美議員から、第3次補正予算に計上されている1兆円の「GoTo予算」を医療支援に振り向けるべきだと要求されても、菅首相は「必要な予算はしっかり確保している」と強弁して拒否。東京五輪についても「安全安心な体制を組むなかで準備したい」と言い放った。なぜ、1兆円のGoTo予算をコロナ対策に振り替えないのか。

 経済評論家の斎藤満氏がこう言う。

「経済対策とコロナ対策は、トレードオフです。両立しない。日本政府のコロナ対策が後手後手に回ったのも、経済を重視してきたためです。GoToをむりやり決行して感染を広げてしまったのが典型です。新型コロナの怖さは、二兎を追うと一兎をも得られないどころか、結局、景気もコロナ禍もさらに悪化させてしまうことです。むしろ、中国のように、まずコロナ封じに徹した方が景気回復が早い。なぜ、菅首相はそれが分からないのでしょうか。多くの人が命を落としているのに、菅首相からは危機感が感じられない。予算審議を聞いていても、有事ではなく、平時の感覚です。いまだにGoToと五輪にしがみついている。感覚が完全にズレています」

 いま日本は有事だということが分かっていないのではないか。

五輪強行の真意は“マネーファースト”

 そもそも菅は、東京五輪を開催できると本気で考えているのか。世界の感染状況を考えたら、とてもじゃないが五輪を開催できる状況じゃないだろう。

 欧米の感染状況は、日本よりはるかに深刻である。イギリスでは1日当たりの新規感染者が約3万~7万人で推移。変異種の影響もあるのだろう。年明け早々に3度目のロックダウンに入ってしまった。

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どうみても開催はムリだ

 感染者が世界で最も多いアメリカも、1日当たりの新規感染者が20万人前後という状況がつづいている。五輪どころではないのは明らかだ。トップアスリートが揃う欧米が不参加となったら、大会として成り立たない。

 頼みの綱であるワクチンも、製薬会社の生産体制が整わず、停滞している状態だ。米ニューヨーク市ではワクチンが底を突き、接種会場が閉鎖されたほどである。菅は「ワクチン接種が広まれば見通しが立ってくる」と楽観論を口にしているが、まったく現実が見えていない。

 都内の医療従事者はこう言う。

「もし、東京五輪を強行するとなったら、東京を中心に、1万人の医療従事者を“動員”する必要があります。ただでさえ医療現場は深刻な人手不足なのに、どうやって人を集めるのか。まさかコロナ患者の対応にあたっている医療従事者を引きはがすつもりなのでしょうか。いくらなんでも、やれるはずがありません」

 どう考えても、この夏の五輪開催はムリがある。なにより、国民はもう五輪開催を望んでいない。世論調査でも「中止」「再延期」が8割を超えている。菅政権は「五輪開催は30兆円の経済効果がある」と皮算用しているが、国民に歓迎されない五輪に一体どんな意味があるのか。

 スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう言う。

「菅首相や大会組織委員会の森会長が強行する姿勢を崩さないのは、マネーファーストだからでしょう。これまでのコストと、今後得られるであろう利益を失うわけにいかないということ。『コロナに打ち勝った証し』という建前は、あまりにしらじらしい。リスクにさらされる選手や国民をないがしろにしています」

 もし五輪を強行し、海外から選手団を受け入れれば、秋以降、感染が拡大し、日本は壊滅状態になるだろう。

■変異種の蔓延で「第4波」襲来危機


 いまだに頭の中が「GoTo」と「五輪開催」でいっぱいの菅では、この新型コロナ禍は絶対に収束しない。徹底した「コロナ封じ」へのゲームチェンジが必要なのに、「GoTo」と「五輪開催」に執着し、シフトチェンジしようとしないのだから、どうしようもない。このままでは第4波に襲撃されるのも時間の問題である。

 ヤバイのは、日本国内で変異ウイルスが複数確認されていることだ。感染力が従来の1・7倍とされる英国型は、すでに市中感染が疑われる事例が発生。英国の科学者は、変異種は感染力が強いだけでなく、死亡率も従来の1・3倍の恐れがあると発表している。

 英国型の変異種は、上陸から3カ月後に猛威を振るうと試算されている。春先以降、日本も欧米のような地獄に突入する可能性がある。

 1918年に世界中に拡大したスペイン風邪も、第1波より第2波の方が強烈だった。結果的に世界で約5000万人もの死者を出している。

 懸念されるのは、もし、これ以上感染者が増えたら、これまで気力と責任感だけで踏ん張ってきた医療従事者が、限界を迎える恐れがあることだ。過労死したり、医療現場を離れる医師や看護師が続出する可能性だってあり得るだろう。そうなったら、日本の医療は完全崩壊である。

 この1年間、新型コロナは、「夏になったら消える」「日本人はかかりにくい」などといった希望的観測をことごとく打ち砕いてきた。むしろ、希望的観測をあざ笑うように、強力化してきたのが現実である。菅政権も、新型コロナを甘く考えたら、しっぺ返しを食らうこと、細心の準備が必要なことは分かっていたはずだ。なのに、その経験をまったく生かさず、「GoToだ」「五輪だ」と、浮かれてきたのだから最悪である。

 政治評論家の本澤二郎氏が言う。

「菅首相は、新型コロナの脅威から目をそらしているとしか思えません。本当は、最悪のシナリオを想定しなければいけないのに、怖くてわざと考えないのか、楽観的なシナリオばかり描いているのだと思う。五輪やGoToに固執しているのは、利権や保身、政権維持を最優先しているからです。とくに、東京五輪は、中止したら即退陣につながる恐れがあるので、国民が反対しようが、いいつづけているのでしょう」 

 GoToや五輪強行を止めるには、菅をクビにするしかない。




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