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介護疲れで末期がんの夫を絞殺か 東京・練馬、同じスカーフで自らも…献身的に寄り添った妻(2021年1月28日配信『東京新聞』)

 今月、東京都練馬区の住宅で、70代の夫婦が息絶えているのが見つかった。室内には妻(72)の遺書が残され、警視庁は末期がんの夫(78)の介護に疲れた妻が、夫を絞殺した後に自殺を図ったとみている。正月に子どもや孫たちと自宅で家族の時間を過ごしていた夫婦。妻は長年連れ添った夫を手にかけたのと同じスカーフで自ら命を絶ったという。(奥村圭吾)

キャプチャ
妻が散歩の際によく歩いたという自宅脇の通路=東京都練馬区で

 捜査関係者によると、埼玉県内で暮らす40代の長男が14日、夫婦が電話に出ないのを心配し、合鍵を使って室内に入ると、夫が居間のカーペット上で倒れ、妻は近くのドアノブに巻き付けたスカーフで、首をつって死んでいた。死後数日が経過していた。

◆金庫内に心中ほのめかす遺書


 夫は遺体の状況から、同じスカーフで首を絞められた可能性が高い。金庫内に心中をほのめかす内容の直筆の遺書が残されていた。

 近隣住民によると、夫婦は30年ほど前からこの家に暮らし、妻は主婦として、70歳ぐらいまで個人タクシーの運転手を続けた夫を支えた。自宅周辺を2人で散歩する姿も見られ、妻は甲状腺に持病を抱えながら、前立腺がんに苦しむ夫を世話していたという。

◆医師の勧めも入院、施設入居拒む

 近くの80代女性は2年前に妻と知り合い、日課の散歩ですれ違うたびに世間話をしてきた。話題はいつも夫の相談事。コロナ禍の昨夏には「がんの末期症状で精神的に追い詰められた夫が遺言状を書きたいと言っている」と相談され、弁護士を紹介したことも。

 女性によると、妻は夫の担当医の勧めで、神経内科や介護施設を自転車で回ってパンフレットを集め、夫に通院や入居を勧めたが「そんなところ行くか」と断られていた。区の福祉制度などは利用していなかったとみられ、自宅で闘病生活を送っていたという。

 女性が最後に妻と会ったのは昨年末。緑内障の手術を受けた女性を心配し、自宅を訪ねてくれたという。女性は「『年明けに磁気共鳴画像装置(MRI)を撮りに夫を病院に連れて行く』と言って、面倒を見続ける様子だったのに。もっと話を聞いてあげられればよかった」と悔やんだ。

◆介護の果て殺人、心中などで過去10年間に224人が死亡

 介護生活の果てに、配偶者や親を死亡させてしまう事件は後を絶たない。厚生労働省によると、2010年4月~20年3月に、妻や夫、子ら養護者による殺人、傷害致死、心中事件などで計224人の高齢者が命を落としている。

 内訳は殺人が86人で最も多く、ネグレクト(介護放棄)での死亡は64人、ネグレクトを除く虐待で亡くなったのは37人だった。被養護者を死亡させた後に養護者が自殺したケースは18人に上った。被害者のうち、半数超の120人が介護保険サービスを利用していなかった。

 介護問題に詳しい淑徳大総合福祉学部の結城康博教授によると、介護する側に「自分でやらなければならない」と強い使命感や思い込みがある一方で、認知症などを患った介護される側が施設利用などの提案を拒むケースが多い。いかに自治体の福祉や保健医療のサービスに結び付けられるかが課題という。

 コロナ禍でこれまで以上に地域のつながりが希薄になり、周囲の人も介護で追い詰められた家庭の存在に気付きにくくなっている。 結城教授は「関係機関の協働やアウトリーチ(訪問支援)に加え、近隣で異変を感じたら、自治体などが高齢者支援のために設置している『地域包括支援センター』に積極的に連絡するなど、地域住民の意識も大切だ」と指摘する。




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