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新型コロナ関連法案 修正しても私権制限に懸念残る 多忙な保健所にはさらなる負担(2021年1月29日配信『東京新聞』)

 新型コロナウイルス対策の関連法改正案を巡る自民、立憲民主両党の修正協議は28日、最大の焦点だった刑事罰の導入を見送ることで合意に達した。早期成立を目指す自民が立民の要求の多くを受け入れて「政治決着」を図った格好だが、罰則が設けられることには変わりなく、緊急事態宣言発令前から行政の権限を強化する「まん延防止等重点措置」の創設もそのままだ。感染拡大への国民の不安を背景に、行きすぎた私権制限が横行する懸念は残る。(山口哲人)

◆「罰する側」に立つ保健所の負担

 「国民の不安な気持ちを考えた時、スピーディーに合意できたことは大変ありがたく、深く感謝したい」

 修正協議を主導した自民党の森山裕国対委員長は合意後、わずか3日間の議論での決着を記者団にアピールした。

 立民の福山哲郎幹事長が「まだまだ求めたいこともあった」と語ったように、強制力を持って対策の実効性を高めるという改正案の骨格は維持されている。

 修正案では入院措置を拒んだり、感染経路の追跡調査に答えなかったりした患者に対し、行政罰の過料を科すとした。飲食店などに休業や営業時間短縮を求める手段として、都道府県知事による「命令」を新設。違反した事業者への罰則のほか、懲罰的な店名公表の規定もある。

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 中でも患者の入院拒否に関しては、政府がこれまで起こった実態を詳しく把握していないことなどが判明し、罰則が必要である根拠を欠くとの指摘は根強い。罰則を盛り込んだ改正内容を了承した15日の厚生労働省の専門家による部会でも「罰則まで組み込むのは疑問だ」などと反対・慎重意見が続出していた。

 罰則の導入により、コロナ対応に忙殺される保健所に違法行為を認定する業務が加わる。日本公衆衛生看護学会理事長の麻原きよみ聖路加国際大教授は「過料であっても罰則だ。保健師は患者らと信頼関係を築きながら仕事をするので、罰する方の側に立つことの影響はある」と懸念する。

◆行政権乱用の歯止めも乏しく

 まん延防止等重点措置については、改正案採決時の付帯決議に実施の際は政府が「国会への報告を行う」との一文を盛り込む。ただ、決議に法的な拘束力はなく、事前に行うとも限らない。休業・時短命令に従わない事業者への過料を設けるなど、緊急事態宣言下に近い私権制限が可能となるのに、どのような状況が該当するかは国会が関与しない政令に委ねられ、行政権乱用の歯止めは乏しい。

 改正案で国と地方自治体に義務付けた事業者への財政支援の規定も、罰則を設けるのに比べてバランスを欠く。憲法が保障する財産権の制約に伴う補償とは異なり、金額や対象業種などは行政の判断に委ねられている。

 改正案は2月初めに成立し、中旬に施行される見通しだ。2月7日が期限の11都府県への緊急事態宣言が1カ月延長されれば、新たな規定が適用される。

 立民の安住淳国対委員長は記者団に、私権制限は最小限に抑えるべきだと強調。「伝家の宝刀は抜かないに越したことはない」とくぎを刺したが、施行後は野党に止める手立てはない。




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Author:gogotamu2019
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