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「指導熱心」な教員、女児7人にわいせつ行為繰り返す…「学校の死角」で5年半 [見えない被害]<上>(2021年1月29日配信『読売新聞』)

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 わいせつ行為で処分される教員が増えている。立場を利用し、言葉巧みに言い寄り、その言動で児童や生徒の心と体に傷を負わせる。5年半にわたり、二つの小学校で女子児童7人にわいせつな行為を繰り返し、懲役14年の実刑判決を受けた教員の男は、校長や同僚からは「指導熱心」と信頼されていた反面、学校には特異な行動への苦情も寄せられていた。「顔」を使い分け、「学校の死角」で犯罪に及んでいた事件を通して、学校という特殊な場所、教員との主従のような関係のもとで起こるわいせつ教員問題を考える。

「児童とイチャイチャ」「手をつないで歩いている」との情報も

学年主任の逮捕に児童と保護者の間には動揺が広がり、学校側も急きょ、メールを送り、後日説明会を開いた(画像の一部を修整しています)

 関東地方のある小学校には2018年までに、30代の男性教員の行動について複数の保護者から苦情が寄せられていた。

 「児童と私的なメールのやり取りをしている」「中学校の運動会に無断で訪れ、写真を撮影していた」――。保護者の間では、「校内で女子児童と手をつないで歩いている」「児童とイチャイチャしている」という情報も出回った。教え子とLINEを交換していたこともわかると、校長はすぐに教員を呼び出し、やめるように注意した。

 その年の7月、事態は急展開する。

 女子児童が友人に対して、「先生に変なことをされた」と具体的にしゃべったことをきっかけに、保護者が警察に相談。18年8月、教員は担任として受け持っている児童に対する強制性交容疑で逮捕された。その後、次々と余罪が明らかになった。

 裁判所は19年12月、教員が13年1月~18年7月の5年6か月の間に、二つの小学校で6~12歳の女子児童7人にわいせつな行為を繰り返していたとして、懲役14年の判決を言い渡した。判決で、裁判長は「低学年の被害児童においては、いずれ性被害の意味を理解して自己への嫌悪感を抱くなど、人格形成に多大な悪影響を及ぼしかねず、児童の肉体的、精神的被害は重大だ」と指摘した。

「指導」と称して空き教室へ…「担任だから」周囲は疑わず
 
 教員の犯行は大胆かつ巧妙だった。

 判決や関係者によると、教員は自分が受け持たない「音楽」などの授業中に、忘れ物をした児童を「指導」と称して空き教室や倉庫に堂々と連れ出し、犯行に及んでいた。担任としての立場と信頼を悪用し、児童の年齢と性格に応じて、ある時は目隠しをしたり、またある時は「傷の状態を確認する」と伝えたりして、わいせつな行為に及ぶなど、児童たちを意のままに従わせていた。

 公判で、教員は「欲望のコントロールができなかった。被害者の気持ちをくみ取ることができなかった」などと謝罪の言葉とともに、「だれかに相談すればよかったが、結果的にこんなに多くの子にやってしまった」と後悔の気持ちも述べた。

 授業中に教員が教室を抜け出すような行動があっても、学校関係者は「担任が指導のために児童を教室から連れ出すことには、疑問を持たなかった」と振り返る。こうした行動が問題視されなかった背景には、「わいせつ教員」とは別に、教員が学年主任という立場にあり、「指導熱心」という顔を持ち合わせていたこともある。

 自治体が事件を検証するために実施したヒアリングで、歴代校長らは「教育熱心で信頼していた」と口をそろえ、元同僚の教員は読売新聞の取材に対し、「厳しいけれど面倒見が良い先輩だった」と評価した。

 ある保護者は、「熱意があり、とても良い先生だった。うちの子供も先生が大好きでした」と語る。教員が逮捕されたと聞いたとき、「誰かにはめられた」と思い込んだほどだ。

被害児童「ざまあみろ」「やっと捕まった」

 被害を受けた児童たちは、信頼する教員から受けた裏切りを受け止められなかったり、事態を正しく認識できなかったりするケースが多い。そして、教員との信頼関係を壊したくないと考えて誰にも言えず、それはいつしか心の大きな傷となる。

 公判で意見陳述に立った被害児童は、「被害を親にも誰にも話せなかった。逮捕のニュースを見て『ざまあみろ』『やっと捕まった』と思った。一生、刑務所で生活して、私たち家族の前から消えてください」と声を絞り出した。

 被害児童の保護者も「眼鏡の男性を怖がるようになった。心に、体に、どんな影響が出るのだろうか」と述べた。

 当時、捜査に携わった関係者は、「教員が撮影していたわいせつな動画が決め手になった。名前がわからない児童も映っていた」とやりきれない様子で漏らす。

 近年、各地の小学校では児童数が減り、空き教室などが増えている。事件が起きた小学校にも、五つの空き教室があった。この事件では空き教室や倉庫がだれの目も届かない「死角」となり、児童への犯行場所として使われていた。教員が勤務していた小学校で管理職だった学校関係者は、読売新聞の取材に、「まさか校内の死角で、あのような犯行が行われるとは。気がつけず、悔しい……。守ってあげられなかった子供たちには本当に申し訳ない」と、声を震わせて悔恨の思いを語った。

 ある保護者はいまも憤りが消えない。「一つひとつの情報を学校と教育委員会が共有し厳格に対応していれば、被害者を一人でも減らせたはずだったのに……」

 教員は現在、服役している。読売新聞では、教員の代理人を務めた弁護士に取材を申し込んだが、「対応できない」と回答した。

「廊下の片隅」「放課後の教室」…心理的な「死角」も

 教員による児童生徒らへのわいせつ行為は、学校で行われるケースも多い。

 文部科学省が昨年12月に発表した2019年度の調査結果によると、わいせつ行為などで処分を受けた公立小中高校と特別支援学校の教員は273人で、過去2番目の多さ。このうち、自校の児童生徒らにわいせつ行為をしたのは、半数近くの126人にも上った。

 わいせつ行為などが行われた状況では、放課後が23人、授業中が20人、休み時間が16人、部活動が10人、学校行事中が6人だった。場所についても、教室が29人、保健室や生徒指導室が28人、運動場、体育館、プールなどが17人と校内が一定数を占めた。

 被害者の支援を行う公認心理師の斎藤梓さんは「もともと学校は行為が発覚しにくい構造となっている。廊下の片隅や放課後の教室など、学校内には人の目が届きにくい『死角』が生まれやすく、保護者らにとって学校は安全な場所だという認識も心理的な『死角』となる。教員が明確に口止めするケースもあるが、信頼している教員との関係性のなかで子供も被害を言い出しづらい。誰かに話すと先生が怒られると思ったり、自分が言っても信用されないと思い込んだりしてしまう。特に低学年の子供への継続的な性被害は学校内で行われることが多く、子供たちには逃げ場がない。周りの大人も性暴力被害について理解を深め、子供たちの話にきちんと耳を傾けることが重要だ」と話している。




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