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夏月、もっとも保養すべし(2019年7月30日配信『産経新聞』-「産経抄」)

 徳川幕府の3代将軍、家光の乳母となり、大奥を支配した春日局は、厳しい残暑の最中に65歳で急死した。精神科医の和田秀樹さんは、加齢により体温調節機能が低下し、臓器細胞が障害を受けて死に至ったと診断する。つまり死因は、今でいう熱中症だった(『日本史100人のカルテ』)。

 ▼「夏月、もっとも保養すべし」。貝原益軒は健康指南の書『養生訓』で、警告している。江戸時代中期にはすでに、熱中症の存在は知られており、中暑(ちゅうしょ)や霍乱(かくらん)という言葉が当てられていた。

 ▼当時の人々は、米こうじを原料とする甘酒を熱くして飲んで保養に努めていた。甘酒が俳句で夏の季語となっているのはこのためだ。最近では、糖分とアミノ酸、ビタミンがバランス良く含まれた健康飲料として、みそメーカーなどが新製品を次々に発表している。江戸の知恵を生かした熱中症対策というわけだ。

 ▼うんざりするほど長かった日照不足の日々が終わると、いきなり真夏の太陽が日本列島に照りつけてきた。昨日ようやく梅雨明けした関東では、今年一番の暑さを記録した。他の多くの地域でも、35度以上の猛暑日となった。急激な変化に体がついてゆけず、不調を訴える人も少なくないだろう。

 ▼実は熱中症で亡くなったとされる有名人が、古代ギリシャにもいた。七賢人の一人であるタレスである。紀元前546年ごろ、五輪を観戦中に急死した。「万物の根源は水である」。熱中症の脱水症状で苦しんだ可能性がある哲学者が残した、有名な言葉である。

 ▼東京五輪・パラリンピックは来年の今頃、酷暑のなかで行われる。国の内外から訪れるたくさんの人々の命を守るために、熱中症について、今から万全の対策を立てておく必要がある。



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