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青(2019年7月30日配信『東京新聞』-「筆洗」)

 昭和の流行歌の歌詞に出てくる色を調べると戦前から終戦直後までは青色が圧倒的に多いそうだ。演出家の鴨下信一さんが書いていた

▼<青い背広で心も軽く>は「青い背広で」。<青い山脈雪割桜>は「青い山脈」。淡谷のり子の「雨のブルース」にもある。<ああかえり来ぬ心の青空>。暗く苦しい時代に明るい青が求められたか。青空、青春、青雲。日本人は青に前向きさや希望を感じるのかもしれぬ

▼見事な青を東京の空に描いた方の訃報である。1964年の東京五輪の開会式。上空に五輪マークを描いた航空自衛隊「ブルーインパルス」の編隊長だった松下治英さんが亡くなった。87歳。1番機で青を担当。あの日空を見上げた読者もいるだろう

▼真円をスモークで描くのは至難の業でパイロットの勘と技術が頼りとなる。失敗の連続に焦りの声も上がったが、松下さんだけはのんびり構えていたとは恐れ入る

▼開会式前夜は雨。明日も雨で飛行は中止だろうと松下さんたちは早合点し、かなり飲んだ。翌朝の青空に松下さんがあわててメンバーを起こしたという逸話が残る。そんなおおらかさも当日の大成功の秘密か

▼東京大空襲は中学生の時でB29の大編隊を防空壕(ごう)から見て震えたそうだ。暗黒の空だっただろう。その空にまず松下さんが上塗りした平和の青。あの歌でいえば<ああかえり来た心の青空>である。







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