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かつての武士はツバキの花をきらったそうだが、理由はその散り…(2021年1月31日配信『新聞』-「筆洗」)

 かつての武士はツバキの花をきらったそうだが、理由はその散り方にあるらしい

▼ツバキが花を散らす季節である。路上に落ちた花を見れば、ツバキは花弁をハラハラとは散らさない。花ごとぽとりと落ちる。その様が首が落ちるのに似ているところから縁起が悪い花とされたようだ

▼縁起を気にすればきりがない。不吉なものを避ける「忌」の漢字は「己」の「心」。縁起にさわろうとも己の心次第であり、気にしすぎるな。いにしえにそんな教えもあるが、これはツバキ以上に気になるだろう。大阪市が新型コロナウイルスの感染者に送付する封筒に、葬儀社の広告が印刷されていたそうだ

▼ただでさえ気持ちの落ち着かない感染者に、いやでも死を想像させる広告はやはり無神経である。市はこの封筒の使用をやめたそうだが、当然で、広告主の葬儀社の方にしたって、人の不幸を当て込んでいるような印象を持たれては広告として逆効果だろう

▼不思議なのはこの封筒を使えば「縁起でもない」と市民から苦情を頂戴することになるという想像を誰もできなかったことである。行政側もコロナ対応に追われ、気働きに欠けるほど疲れているのかもしれない

▼封筒を受け取った人はショックだっただろう。その広告は葬儀社だけに「治療がはか(墓)どる」という縁起のよいシャレと受け取りましょうよとお慰めするしかない。



大阪のコロナ陽性者に市から葬儀会社の広告入り封筒 「配慮が足りなかった」と担当者(2021年1月25日配信『まいどなニュース』)

キャプチャ
PCR検査で陽性が出た市民に対して送られてきた封筒の裏面(読者提供)

 大阪市で、新型コロナウイルスに感染した市民に送付される勧告書と自宅療養に関する書類が、葬儀会社の広告が印刷された封筒に入れられていたことがネット上で物議を醸している。実際に受け取ったある市民は「コロナで大変な思いをしているときにこの封筒を見て、どういうつもりなのかと力が抜けた」とショックを受けている。

 大阪市のAさん(男性、30代)は1月中旬に発熱し、PCR検査を受けたところ陽性反応が出た。区の保健福祉センターから行動歴のヒアリングを受け、自宅療養を選択。後日、陽性者に対する勧告書と自宅療養中の注意点や相談先などが記載された書類の計2枚が自宅に送られてきた。その封筒の表面には手書きでAさんの住所と名前が記され、裏面には葬儀会社「公益社」の広告が大きく印刷されていたという。

 Aさんは「力が抜け、情けない気分になった。自分を否定されたように感じ、思い出すたびに涙があふれてくる。不用意な対応が感染者を精神的に追い詰めることもあるのだということを理解してほしい」と訴える。

 大阪市会計室の担当者によると、収入確保のため業務用封筒に広告を掲載するようになったのは2006年度から。当初は角形2号のみで、翌07年度から長形3号にも掲載を開始。掲載企業は随時募集しており、公益社の広告は2020年6月から長形3号に掲載しているという。

今回の声を受け、「コロナ陽性者への連絡だから葬儀会社の広告入りの封筒を使ったのではないが、確かに配慮が足りなかった。運用については今後あらためて検討したい」としている。

 区の保健福祉センターの担当者は「封筒はこれしかないので、特に広告のことは意識せずに使っていた」と話す。しかしこうした声を受け、市の保健所から配慮するよう連絡があったといい、「今は古い封筒をかき集めて対応している」と説明する。

 一方、公益社の広告の問い合わせ番号に「567」が含まれていたことから、「コロナ陽性者を対象に新しく設けた番号なのでは」との憶測もあったが、大阪本社の担当者は「そのような意図は全くない。10年以上前から紙媒体向けに使っている番号で、そう受け止められたことについては非常に驚いている」とした上で、「どういう用途の封筒で使われているかまでは認識していなかった」と話している。




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