FC2ブログ

記事一覧

(論)緊急事態宣言の延長(2021年2月3・4・5日)

緊急宣言延長 確実な収束につなげねば(2021年2月5日配信『新潟日報』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大を、何としても収束に向かわせなくてはならない。

 菅義偉首相は、約束を果たせずに国民に重ねて負担を強いる事態になったことを重く受け止め、毅然(きぜん)とした覚悟を持って指導力を発揮してもらいたい。

 首相は、7日が期限となっていた新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を、発令中の11都府県のうち栃木県を除く10都府県で3月7日まで延長することを決めた。

 首都圏の4都県を対象に宣言を再発令した1月7日、首相は「1カ月後には必ず事態を改善させる」としたが、延長地域のほとんどは「ステージ4」(爆発的感染拡大)にとどまる。目標達成にはほど遠い状況だ。

 背景には、首相が当初「限定的、集中的」にと飲食店の営業時間短縮や夜間の外出自粛に重点を置いていたことがある。

 影響が幅広い業種に長期間及ぶことによる経済へのダメージを懸念したためだが、飲食重視の中途半端な対策は緩みを招き、昼間の人出も減らなかった。

 長引く感染拡大で国民にウイルス対策への「慣れ」や「疲れ」が生じている。それを踏まえた対策を構築し、首相がもっと国民に届く言葉で方針を示すべきではなかったか。

 今後気掛かりなのは、首相がメッセージや丁寧な説明で国民の理解を得るのではなく、強制力のある対策で実効性を高めようとしている点だ。

 政府は、新たに罰則の導入などを盛り込んだ改正特別措置法と改正感染症法を今月3日、成立させた。13日に施行する。

 これにより、入院を拒否した感染者や時短営業に応じない飲食店に、行政罰の過料を科すことができるようになった。

 だが強制力を伴う措置は感染者への差別を助長し、かえって感染を拡大させるとの懸念が根強い。罰則から逃れようとして関係者が本当の事を言わなくなる恐れがあるためだ。

 感染が潜在化しては本末転倒だ。罰則適用は慎重でなければならない。

 有効な対策とするために、時短営業を求められる事業者への支援は不可欠だ。

 改正特措法には事業者に対し「必要な財政上の措置」を講ずる規定が盛り込まれたが、休業要請などに応じた事業者への「補償」は明記されなかった。財政支援は明確とは言い難い。

 事業者に支援が行き届くように、政府や自治体にはしっかりした目配りが求められよう。

 改正法では、宣言に至る前段階でも「まん延防止等重点措置」を取れるようになった。宣言前でも繁華街や自治体などに対象を絞った対策を打てる。

 今回の宣言延長で政府は、感染状況が改善した都府県は期限を待たずに解除する方針で、解除後はまん延防止措置に移行する対応が想定されている。

 確実に収束につなげるには、感染指標の十分な低下を見定め慎重に判断することが不可欠だ。解除が性急なものとなっては感染がぶり返しかねない。





【新型コロナ 緊急事態宣言延長】政府は万全の対策を(2021年2月4日配信『福島民報』-「論説」)

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、政府は栃木県を除く10都府県で3月7日まで延長することを決めた。菅義偉首相は「感染の減少傾向を継続させ入院者、重症者を減らす」と延長の理由を説明した。対象地域で依然、医療体制が逼迫[ひっぱく]している現状を考えるとやむを得ない措置といえ、国民の多くが同じ思いではないだろうか。

 今後、ワクチン接種が動きだすことを考えると、これからの1カ月はまさに最後の正念場であり、そうでなくてはならない。菅首相は国民に対し、「もうひと踏ん張りしていただきたい」と呼び掛けた。政府は成立した補正予算を有効に活用し、万全の対策を講じてほしい。

 病床の確保は喫緊の課題だ。政府の基本的対処方針では、回復した患者の転院先の確保と高齢者施設での受け入れが加えられた。国が今日まで効果的な手だてを講じなかった分野でもある。回復傾向にある人を他の病院などに移していかなければ、ベッドは空かない。ただ、中小規模の民間病院では、設備不足や受診控えの懸念などから、受け入れに二の足を踏む傾向があるとも聞く。

 政府は強いリーダーシップを発揮し、転院対策を地域全体の課題としてとらえるよう促してほしい。病院、施設が受け入れのために何を求め、どうすれば円滑に進むのか。実情を調べ、きめ細かく対応すべきだ。政府諮問委員会の尾身茂会長は2日の記者会見で、転院調整を保健所だけに任せるのでなく担当する臨床医を地域で任命してはどうか、と私見を明かした。実効性のある対策だと思う。

 10都府県の飲食店は引き続き、営業時間の短縮を強いられる。出口の見えないトンネルに再び入った心労は察するに余りある。補償の継続は言うまでもない。ただ、一律給付ではなく、店舗の規模に応じた対応を検討してもいいのではないか。

 福島県は7日まで設定している緊急対策期間を延長するかどうか、4日にも決める方針だ。内堀雅雄知事は、感染者数や医療体制の逼迫状況などを踏まえ判断するとしており、対応が注目される。

 3月は異動や就職、入学の準備など自粛が難しい行動が求められる節目の月だ。菅首相は、10都府県について状況が改善されれば、3月7日の期限を待たず順次解除していく考えを示した。当然の判断だ。解除への道筋が見え、実際に進めば、国民全体に希望が生まれ、明日への活力も生まれる。(荒木 英幸)



緊急事態宣言延長(2021年2月4日配信『福井新聞』-「論説」)

首相の覚悟こそ問われる

 菅義偉首相が新型コロナウイルスの緊急事態宣言を栃木を除く10都府県で1カ月延長することを決めた。感染者数は減少傾向にあるものの、死亡者、重症者数が依然、最多水準で医療提供体制逼迫(ひっぱく)への懸念が続くためだ。感染力が強い変異株の拡大も危惧されている。宣言延長は飲食店の時短営業を含めた我慢の延長でもあり、医療と雇用を守るための追加対策を早急に進めなければならない。

 宣言が発令されている11都府県の1日までの1週間の新規感染者数は、前週を「1」とすると栃木が「0・61」、東京が「0・73」など全ての都府県で減少した。飲食店の時短営業など「急所」を押さえた対策が一定程度の効果があったことは確かだろう。

 だが、道半ばというのが現状だ。繁華街などでは人出が増えている場所もあり、再び感染が急拡大する可能性も否めない。収束に向け時短営業は無論、不要不急の外出自粛やテレワークのさらなる拡大などの要請が緩んではならない。

 懸念されるのは、重症者数の高止まりだ。とりわけ死亡リスクの高い高齢者への感染拡大に歯止めがかからず、2日に報告された死者数は過去最多の119人に上った。1日公表のデータでも病床使用率が東京など5都府県は70%以上と深刻な状況にある。

 東京では1日、入院患者2899人に対して、入院・療養先の調整中が3472人に上っている。調整中に急変し亡くなる人も相次いでいる。政府のコロナ対策分科会が提言した2本柱「医療界との連携で病床・医療従事者を確保」「自宅・宿泊療養、待機中の患者への支援」に向け急ぎ対策強化を図る必要がある。

 加えて、自粛の長期化で倒産や廃業の危機にある飲食業や観光業などの事業者への配慮も忘れてはならない。時短協力金や雇用調整助成金、緊急小口資金の特例延長に限らず、事業規模や地域の実情に応じた追加支援も打ち出すべきだ。

 首相は1月7日の4都県への宣言発令に際し「1カ月後には必ず事態を改善させる」と言い切った。「必ず」とまで言った政治責任をどう取るのか。「誠に申し訳なく思っている」では済まされない。「背水の陣」の構えで対策の不備を早急に検証し、生かすことで責任を果たすしかない。

 昨年12月の「ステーキ会食」参加について、首相は「真摯(しんし)に反省している」との陳謝だけで済ませた経緯がある。この姿勢が、国民の自粛の緩みに加え、与党議員による深夜の銀座訪問という増長を招いたとの指摘がある。首相は対策が後手に回らなければ、救えた命があったことを肝に銘じるべきだ。自身の進退をかける覚悟こそ問われる。



緊急事態の「公約」 出口閉ざす反省なき政治(2021年2月4日配信『信濃毎日新聞』-
「社説」)


 政府が緊急事態宣言を1カ月延長すると決めた。新規感染者は減少傾向にあるものの重症者は高止まりし、十分な医療を受けられない人も少なくない。

 政府は1月に緊急事態を再発令した際に、1カ月で事態を改善させるとしていた。なぜ「公約」を果たせなかったのか。原因を探り、今後に生かさなければ同じことの繰り返しになる。

 必要なのは、科学的な根拠を示した上で、国民に対し真摯(しんし)に理解を求めることだ。これまでの政府対応は、いずれも欠いていた。

 政府は飲食店の営業時間短縮や夜間の外出自粛に重点を置き、「限定的、集中的に取り組む」と訴えた。ただし、飲食店への協力金は経営の維持には足りず、夜間に限る理由も不明確だった。昨春と比べると都市部の昼間の人出は減らず、夜間も十分でなかった。

 菅義偉首相は昨年末、政府が5人以上の会食自粛を呼びかける中、多人数で会食したことが批判を浴びた。自民、公明の衆院議員4人も宣言の中、東京・銀座のクラブで会食していた。国民に自粛を呼びかける一方で、政府、与党がこの醜態では説得力を欠く。

 経済支援も行き届いていない。厚生労働省のまとめだと、解雇や雇い止めは1月29日時点で約8万4千人に上る。野村総合研究所の推計だと、仕事が5割以上減り、休業手当も受け取っていない「実質的失業者」が昨年末時点で90万人に及ぶという。経営の限界が近い飲食店も少なくない。

 宣言の延長で事態の深刻化が予想される。実情に応じた対応が欠かせないのに、現時点の具体策は収入減の人に貸し付ける資金の拡大くらいだ。困窮者向けの融資で問題が解決するのか。

 新型コロナウイルス特措法などの改定では、時短を守らない飲食店などに罰則を導入する。不十分な政策を強権で埋め合わせる姿勢も国民の理解から程遠い。

 宣言解除の要件も政府と専門家で異なる。政府が目安とする「ステージ3」では、すぐにぶり返すとの指摘が専門家に根強い。専門家の意見を受け止め、丁寧に国民に説明する姿勢が欠かせない。

 政治は結果責任だ。国会で問われると、菅首相は「全力でやってきた」など抽象論に終始。政府対応に批判が高まっていることに、自民党の二階俊博幹事長はNHK番組で「いちいちケチをつけるものじゃない」と述べた。

 政府と与党が責任を自覚して反省し、現状に向き合わなければコロナ禍の出口は見えない。



「緊急宣言」の延長 苦境の事業者へ目配りを(2021年2月4日配信『山陽新聞』-「社説」)

 7日に期限を迎えることになっていた新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、政府が来月7日まで1カ月の延長を決めた。発令中の11都府県のうち栃木県を解除し、首都圏や大阪府、愛知県など10都府県で延長する。状況が改善すれば来月7日を待たずに順次解除していく方針という。

 菅義偉首相は、先月の宣言発令時に「1カ月で必ず事態を改善させる」と述べた。その後、感染者数は減少傾向にあるものの、リスクの高い高齢の感染者が目立ち、死者や重症者が増えている。警戒を緩めるわけにはいかず、延長はやむを得ない判断だろう。

 この1カ月で医療機関の逼迫(ひっぱく)は解消できなかった。病床使用率は高止まりが続き、病床に余裕がないため、自宅や宿泊施設で療養する人が増えている。自宅で容体が急変して亡くなる人も出ている。

 政府が呼び掛けた不要不急の外出自粛も徹底されたとは言い難い。昨年春の最初の緊急事態宣言時に比べ、宣言の対象となった地域では、繁華街の人出が増えるなど自粛要請は行き渡らなかった。コロナ禍の長期化に伴う慣れや気の緩みもあろう。

 政府が対策の鍵の一つと位置付けるのが、きのう成立した関連法である。コロナ特別措置法と感染症法の改正で、入院を拒否した者に過料を科すことなどが可能になった。

 当初案にあった入院拒否者への懲役刑は、厳しすぎるとの批判を受けて見送られた。私権を制限する罰則には慎重さが求められて当然だ。

 課題も残されている。コロナ特措法には、宣言の前段階として「まん延防止等重点措置」が新設された。

 この措置によって、都道府県知事は時短営業の要請に応じない事業者に命令でき、拒んだ場合には過料が科せられる。ただ、発令要件は明確になっていない。政府は、要件を政令で定めると説明しているが、野党からは、多くが政令に委任され、曖昧すぎるとの批判も出ている。恣意(しい)的な判断に陥らぬように丁寧に運用してもらいたい。

 宣言の延長でさらなる苦境に陥りかねない事業者への配慮は忘れてはならない。

 延長に合わせて政府は、飲食店の取引先を支援するために支給する一時金の上限額を40万円から60万円に引き上げる。宣言の対象となった地域で、飲食店1店舗当たり1日最大6万円を支給する営業時間短縮協力金の支給も引き続き行われる。

 ただ、規模の大きい飲食店は現行の協力金で全く足りていない状況がある。営業規模や雇用人数など実情を踏まえた支援の仕組みを検討する余地があろう。同じように時短営業をしている飲食店以外の事業者に対して同様の支援を求める声もある。

 コロナ禍が長期化し、生活が困窮している人は増えている。きめ細かい目配りを重ねていくことが欠かせない。



緊急事態宣言延長 反省踏まえて感染の早期抑制を(2021年2月4日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 政府は、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、発令中の11都府県のうち栃木県のみ解除し、10都府県で3月7日まで延長すると決めた。

 年明けの宣言再発令から約1カ月。新たな感染者数は全体的に減少傾向にあるが、医療体制は依然として逼迫(ひっぱく)している。宣言を解除できる状況にはなく、延長はやむを得まい。

 菅義偉首相は、国民に向けて「もうひと踏ん張り」を呼び掛けた。疲弊が深まる中で協力を得るには、これまでの反省を踏まえた対策の改善や強化が欠かせない。専門的な知見や現場の実態に応じて柔軟に見直しを重ね、早期の感染抑制につなげねばならない。

 昨年11月ごろから始まった流行の「第3波」による感染者数の激増で、宣言の発令は1月7日の首都圏4都県に加え、東海や関西などに範囲を広げた。東京では2400人を超えた日もあったが、飲食店の時短営業や不要不急の外出自粛が徐々に効果を上げてきている。

 しかし、病床使用率は高止まりしたままだ。東京は病床数の上積みを進めているが、延長地域のほとんどが感染状況でステージ4(爆発的感染拡大)から脱却できていない。病床不足で自宅や宿泊施設で療養する人が増えており、重症化しても受け入れ先の確保が難しいなど現場の負担は減っていない。

 対策として政府は、病状が回復した人の転院先の確保や、自宅療養の人の体調を管理する機器の配備などを掲げている。公立、民間問わず病院間の連携を進めるなど、医療資源を効率よく生かすことが重要だ。新型コロナ以外の患者も含め、助かる命を守る仕組みづくりを急がねばならない。

 飲食に起因する感染が減少する一方で、高齢者施設での集団感染が増えているのも見過ごせない。政府は施設の従業員へのPCR検査を3月までをめどに集中的に実施するとしている。重症化のリスクが高い高齢者に感染を広げないよう、ウイルスを持ち込まない対策を徹底してもらいたい。

 宣言の延長で、飲食業や観光業などへの影響はさらに長期化する。事業者の中には、規模に応じた補償を求める声も出ている。よりきめ細かな支援を検討していく必要があろう。

 政府は宣言解除の目安について、感染状況がステージ3(感染急増)になることが前提との認識を示している。ただ、解除で緊張が緩み、すぐに感染が再拡大することがあってはならない。地域の実情に応じた慎重な判断が求められよう。

 国民の協力を促すには、政府がメッセージの出し方に留意することも大切だ。宣言当初は、外出自粛でも日中はかまわないと受け止められた面もあった。宣言解除後も見据え、中長期的な視点で行動変容を促す情報提供の在り方にも知恵を絞ってもらいたい。



「分」への責任感(2021年2月4日配信『愛媛新聞』-「地軸」)

 江戸時代の社会は「分」の社会だという。身分の「分」、本分の「分」、分際の「分」である。明確な役割社会となっており、人々も自分の「分」に対する責任感が強い(田中優子、松岡正剛著「江戸問答」岩波新書)

▲武士だけではなく商人の中にも浸透している。町の人も簡単に物を盗んだりしない。盗みの処罰は厳しく、倫理観が強いのだ。そんな社会は個人が自分の役割を認識し、行動するからつくられるものらしい

▲自らの役割、立場を認識できていたかどうか疑わしい。緊急事態宣言中に深夜、東京・銀座のクラブを訪れたとして自民、公明両党の衆院議員4人が議員辞職や離党に追い込まれた

▲国民に我慢を強いながら自身は我慢しなかった。居酒屋の店長が憤っていた。「何のために必死に頑張っているのか分からなくなる」。新型コロナウイルス禍で皆が役割を果たそうとしている。見本となるべき政治家の方が国民のやる気をそいだ

▲政府は栃木県を除く10都府県で宣言延長を決め、罰則を強化する改正特別措置法と改正感染症法を成立させた。さらなる国民の協力が欠かせない。そのために必要な政治への信頼を損なう不祥事が続いている

▲同席の後輩をかばったり、役職辞任で済まそうとしたりした対応は身内の論理だ。与党内に間違った特権意識はないだろうか。「本分」をわきまえない政治家がいるようだ。非常事態にあってはならないことである。



緊急事態宣言延長(2021年2月4日配信『しんぶん赤旗』ー「主張」)

危機打開の積極的方策を示せ

 菅義偉首相が東京など10都府県での緊急事態宣言延長を表明しました。期間は3月7日までです。コロナ感染は拡大傾向に歯止めはかかりつつあるとはいえ、新規感染者数はまだ高い水準です。医療機関の逼迫(ひっぱく)も危機的状況を脱していません。一方、営業時間短縮要請の延長に飲食店から「持ちこたえられない」と悲鳴が上がります。しかし、菅首相は延長発表の記者会見で、医療・検査拡充や営業への補償についての抜本的強化に踏み込みませんでした。国民には「もうひと踏ん張り」とさらなる努力を求めながら、自ら積極的方策を示さない姿勢は極めて重大です。

どこが弱点か説明もなく

 菅首相は、当初予定した1カ月で宣言解除ができなかったことについて記者会見などで「申し訳なく思う」と述べました。しかし、政府の対策のどこに問題があったのか、具体的説明はありません。自らの施策の弱点を率直に認め、ただす立場をとらなければ、打開の道は開けません。

 感染者の急増で病床が足りなくなる医療崩壊の危機を招いたのは、菅政権の医療機関への財政支援が全く足りないからです。医療機関を対象にした政府の交付金で3・2兆円の支援をしたといいますが、3分の1も現場に届いていません。交付金の使い勝手の悪さは各地で指摘されています。医療機関全体に届く支援の仕組みへの切り替えが必要です。コロナによる医療機関の打撃は、感染者を受け入れている、いないに関係ありません。地域全体を連携しながら支えている医療機関や介護施設などにいきわたる減収補填(ほてん)に踏み切るべきです。感染者把握や在宅対応などにあたる保健所職員の大幅増員も差し迫った課題です。

 首相が宣言延長の会見でPCR検査拡充に全く触れなかったのは深刻です。政府のコロナ分科会の最新の提言(2日)は高齢者施設職員の定期的検査への国の支援などを求めています。現場が速やかに検査を行えるよう全額国庫負担にすることは待ったなしです。

 2度目の緊急事態宣言によって夜8時以降の営業時間短縮を要請されてきた飲食店からは、宣言延長について「頑張ってきたのに心が折れる」と悲痛な叫びが相次いでいます。1日最大6万円の協力金ではやっていけないとの声が噴出しているのに、首相は「おおむねまかなえる」と背を向けています。持続化給付金や家賃支援給付金の再支給もしません。大問題です。感染抑止のためには飲食店などの一層の協力が不可欠なのに、万全の補償をしないままでは実効性ある対策にはなりません。

国民の心は離れるばかり

 菅首相は営業時間短縮について「支援と行政罰をセット」と繰り返し、罰則頼みの構えです。生活のために要請に応じられない店舗に罰則を振りかざすことは、国民の間で対立・分断を広げることにしかなりません。感染抑止に逆行するやり方は許されません。

 首相は与党議員の「夜の銀座会食」は「あるまじき行為」と非難しつつも、自身の二階俊博自民党幹事長らとの「ステーキ会食」については、緊急事態宣言前だったからなどとあれこれ弁明し、根本的な反省がありません。苦しい言い訳を続ける首相から国民の心は離れるばかりです。国民から信頼される政治への転換が急務です。



(罰則よりも、そのために汗をかく2021年2月4日配信『しんぶん赤旗』ー「潮流」)


 知り合いのラーメン屋がもう1カ月休むと話していました。ひとりで店を回し、家賃もかからない。1日6万円の協力金で持ちこたえられるといいます

▼一方、それではやっていけない店も多い。場所によっては家賃も高額、規模によっては固定費だけでも大赤字。いつまでも行き届かない国の支援策に、飲食関連の業界からは「もう無理」「疲れ切った」という悲鳴が上がっています

▼10都府県で緊急事態が延長されました。切迫する現場は医療でも。コロナで容体が悪化した人や、救急患者も受け入れられないほどの病床不足。従事者の心身の疲弊。神奈川県内のある病院長は燃え尽きる寸前だと訴えます

▼社会的に弱い立場にある人たちの生きづらさにも拍車をかけています。生活の困窮や失業、置き去りにされ孤立していく恐怖や不安。市民団体による食料や生活物資の配布の場には、若者とともにお年寄りやシングルマザーの姿も

▼先日の国会。小池晃議員がそれぞれの実情に見合ったきめ細かな補償を政府に求めていました。罰則よりも、そのために汗をかくことが「国民のために働く内閣」ではないかと。しかし連日伝わるのは、おごりゆえの失態や不祥事ばかりです

▼集団感染したクルーズ船が帰港してから3日で1年。今も後遺症に苦しむ人がいます。1日の感染死者はいまだに最多をぬりかえています。人びとが苦境にあえぎ、命が失われていく日々。なのにこの政権からは、手を携えてそれを乗り切る意志も覚悟もみえません。





緊急事態延長 検証せずに収束できぬ(2021年2月3日配信『北海道新聞』-「社説」)

 菅義偉首相がきのう、新型コロナウイルスの感染拡大による医療体制の逼迫(ひっぱく)を受け、発令中の緊急事態宣言を来月7日まで延長すると表明した。

 栃木県は今月7日で解除し、延長の対象は10都府県とする。

 首相は発令した先月7日の記者会見で「1カ月後に必ず事態を改善させる」と明言し、期間内の解除に力を尽くす考えを示していた。

 感染者数は減少傾向にあるが、解除の約束は守られなかった。

 首相はきのうの会見で「誠に申し訳なく思う」と陳謝した。

 安倍晋三前政権から続くコロナ対策は、決意の表明ばかりで実行が伴わないことが多い。

 政府が外出自粛やテレワークなどを求めても、いまひとつ国民に浸透しないのは、コロナ対策への慣れだけでなく、政権への信頼度が低いこともあろう。

 政府に著しく欠けているのは、コロナ対策への科学的検証だ。

 首相は会見で「感染の減少傾向を確かなものにしなければならない」と述べた。

 しかし、重症者や死亡者が高止まりし、宣言の解除レベルまで状況を好転させられなかった理由については語らなかった。

 徹底した分析による改善策を示さねば、国民の協力は広がるまい。

 昨年5月の宣言解除は時期尚早だったため、第2波を招いたとの専門家の分析もある。感染者数が十分に抑えられていない段階での解除は新たな波を招きかねない。

 国民生活への影響も鑑みながら拙速な解除は避けるべきだ。

 重症者の増加で、各医療機関の通常診療にも影響が出ている。

 いま急がれるのは、医療機関の役割分担や減収の補填(ほてん)などだが、行政側の動きは鈍い。

 ワクチン接種のスケジュールも全体的に遅れ、会場や医療従事者の確保などで課題は尽きない。

 審議中のコロナ特別措置法と感染症法の改正案では、行政側の権限を強化する規定が目立つ。

 政府は現場の視点に立った具体的な対策を示す必要がある。

 宣言発令下の深夜、与党の国会議員が銀座のクラブなどで会食していたことは言語道断だ。

 公明党の遠山清彦幹事長代理は役職を辞任後、議員辞職した。

 自民党の松本純国会対策委員長代理は当初、同党議員2人の同席を隠していた。あきれるほかない。3人は役職を辞し、離党した。

 政権が国民に生活上の制限を要請しているのに、政治家が危機感を欠いてはその声は届かない。



緊急事態宣言の延長/政権の危機感欠如も原因だ(2021年2月3日配信『河北新報』-「社説」)

 3度目の感染の波はかつてなく大きく、緊急事態宣言は栃木県を除いて10都府県で1カ月間延長された。

 新型コロナウイルス禍が切迫した状況から脱せないのは、未曽有の国難と闘っている危機感が菅政権と与党に欠如していることが一因だ。

 宣言が出されているさなか、与党議員が東京・銀座のクラブを深夜訪れていたことが発覚した。公明党の遠山晴彦衆院議員は議員を辞職し、松本純元国家公安委員長ら自民党の3人は離党した。

 いま最も求められているのは、逼迫(ひっぱく)する医療供給体制にさらなる負担をかけない行動だ。そのための不要不急の外出自粛と飲食店の時短営業だ。我慢と協力を呼び掛け、模範となるべき国会議員の裏切り行為は何をか言わんやだ。

 宣言の対象地域に限った制約ではない。飲食店の時短営業は仙台市などでも実施されている。宣言は継続されたが、議員の緩んだ行動が市民の緊張感を途切れさせないか懸念される。

 政府の対策が的外れで、後手に回っていることにも批判が絶えない。その最たるものが観光支援事業「Go To トラベル」だった。

 菅義偉首相は昨年12月14日、トラベルの全国一時停止を決めた。その翌日、約20兆円の第3次補正予算案が閣議決定された。予算案にはトラベル延長の関連経費が盛り込まれた。アフターコロナより、きょうあすの暮らしのためになる予算措置を優先させるべきだった。

 自民党政調会は宣言の延長を見越し、追加の経済対策を模索している。ひとり親世帯や非正規労働者、所得が低い世帯など生計の維持に窮している人たちの救いとなる支援、補償の具体化を急いでほしい。

 既存の持続化給付金と家賃支援給付金の申請受け付けは1カ月延長されたが、2月15日までだ。制度が命綱になっている人が大勢いる。終了は妥当ではない。

 第3波の1日当たりの新規感染者数は、トラベル事業が全国展開されていた昨年11月下旬の3連休前後に2000人を超え、正月明けに8000人近くに達した。

 第1波に見舞われた昨年春は最多でも700人台だった。今回の感染規模は前回の10倍以上だ。

 菅首相は首都圏の4都県に宣言を出した1月7日、解除までの目安を「1カ月」と区切った。延長を余儀なくされた要因をしっかり検証することが肝要だ。

 医療態勢の再構築に全力を挙げなければならない。マンパワーの集中と再配分、病床の確保は、首相が指導力を発揮し、実現すべき課題だ。

 後手に回る対策と政権与党議員の相次ぐ失態。政治不信が高まる中では、国民の協力は得られまい。菅首相は、政治も危機的な事態に陥っていることを自覚すべきである。



緊急事態宣言延長 問題は医療の逼迫だ(2021年2月3日配信『茨城新聞』-「社説」)


 政府は新型コロナウイルスの緊急事態宣言を栃木を除く10都府県で1カ月間延長した。高齢患者、重症者数が高止まりし医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が改善していないためだ。感染力が強い変異ウイルスの拡大も懸念されており、政府は「最後のとりで」である医療体制の強化、効率化を早急に進めなければならない。

 宣言が出ていた11都府県の1日までの1週間の新規感染者数は、その前の1週間を「1」とすると、栃木「0・61」、東京「0・73」、岐阜「0・77」、兵庫「0・7」となるなど、全ての地域で前週より減少した。厚生労働省の専門家組織は、今冬の第3波の要因とされた20〜50代の若年世代の飲食を通じた感染が減少していると状況分析する。飲食店の営業時間短縮など「急所を押さえた対策」が一定程度成果を上げたことは積極評価したいが、なお道半ばだ。収束に向け外出自粛、時短営業、テレワークなどの要請が緩むことがあってはならない。

 一方、重症者や死亡のリスクが高い80、90代など高齢者への感染拡大は止まっていない。若者から感染するとみられる高齢患者らは遅れたタイミングで増えるからだ。この影響で、1日公表データでも栃木、京都を除く9都府県は判断指標の一つ「確保想定病床の使用率」が50%超と「ステージ4」(爆発的感染拡大)のままだ。特に東京など3都県は70%以上で深刻と言わざるを得ない。
 
 菅義偉首相は1月7日、4都県にまず宣言発令した際に「1カ月後には必ず事態を改善させる」と述べた。成果が出なかった場合について「仮定のことは考えない」とまで言った。その首相が今回「もうひと踏ん張りしてもらい、感染減少を確かにする」として延長した。1カ月で解除できなかった政治的責任は当然ある。対策の不備を早急に検証し、次に生かすことで責任を果たすべきだ。

 政府のコロナ対策分科会が提言した宣言延長後の対策強化も医療関連が多くを占めた。「医療界との連携で病床・医療従事者を確保」「自宅・宿泊療養、待機中の患者への支援」が2本柱だ。特に病床確保についてはコロナ専門病院、回復期の患者の転院を受け入れる後方支援病院、さらには臨時医療施設の整備を国と都道府県に求めた。いずれも従来難航してきた課題だが、宣言解除に向け今こそ進展させたい。

 東京では1日、入院患者2899人に対し、入院・療養先を調整中が3472人だった。病床逼迫を防ぐには、医療体制強化の一方、「入院予備軍」である新規感染者を減らす基本的な感染症対策の徹底に結局は立ち返らざるを得ない。

 その点で首都圏4知事は先に「宣言を延長する場合は、休業要請などより強い措置を検討せざるを得ない」と表明した。「限定的、集中的」(菅首相)として1カ月に絞った飲食店への時短営業要請がさらに強化されて1カ月続くとなれば事業者には死活問題だ。政府は事業者への支援も同時に強化する必要がある。

 政府は、感染状況が「ステージ3」相当まで下がれば宣言を解除するとしている。しかしステージ3とは「感染急増」の状態を指し、収束とは程遠い。分科会が提言の中で指摘するように、宣言が解除できたとしても「ステージ2(感染漸増)」まで対策を続行すべきなのは言うまでもない。



緊急事態宣言の延長 もう1周頑張れる説明を(2021年2月3日配信『毎日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の延長を政府が決めた。東京都や大阪府など10都府県で来月7日まで続く。

 1日当たりの新規感染者数は減少傾向にあるが、医療体制は機能不全が懸念される状況だ。延長はやむを得ない。

 菅義偉首相は宣言の発令時に「1カ月後には必ず事態を改善させる」と強調した。国民や事業者に「もう1周」の努力を求めるならば、問題点を洗い出して今後に生かさなければならない。

 飲食店でのクラスター(感染者集団)は減少し、専門家は夜間の営業時間短縮要請は一定の効果があったとみている。

 一方で、昼間や休日の人出は昨春の宣言時ほどは減らなかった。テレワークの実施率も低い。

 当初、政府が夜の飲食の感染リスクを強調する中で、昼の外出は問題ないとのメッセージが伝わった。その影響が尾を引いたのではないか。政治家にも緊張感を欠く無責任な行動が目立った。

 テレワークでは、出勤者数7割削減の目標を浸透させられなかった。中小企業には「生産性が下がる」などの懸念もあるようだ。

 最近は高齢者施設でクラスターが増えている。陽性者が確認された場合は速やかに全ての利用者や職員を検査し、感染対策を助言する専門家を派遣できるよう、政府や自治体が連携して体制を強化しなければならない。

 延長に伴い飲食店など事業者の経営は厳しさを増す。支援策の拡充が必要だ。時短営業に応じた場合の協力金を、事業規模に合わせて増額するよう検討すべきだ。生活が困窮した人へのきめ細かな対応も欠かせない。

 宣言解除について、政府は感染状況や医療体制の逼迫(ひっぱく)が「ステージ3(感染急増)」相当に下がることを一つの目安に挙げている。

 ただ、性急な解除は短期間での感染再拡大を招きかねない。経済との両立を考えても、感染者数をさらに抑制する必要がある。

 大阪府は早期の宣言解除を見据えた独自の基準を公表した。国と自治体で出すメッセージが異なれば、人々が混乱する。

 政府は対策の検証と説明を尽くし、国民の協力を得る努力を続けるべきだ。



緊急事態延長 コロナ禍収束へ道筋付けよう(2021年2月3日配信『読売新聞』ー「社説」)

 菅首相が、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて発令した緊急事態宣言について、今月7日の期限を3月7日まで延長することを決めた。

 この1か月でコロナ禍の収束に道筋を付けられるよう、政府や自治体、医療関係者、国民が協力して取り組みたい。

 感染者が減った栃木県は予定通り解除する一方、なお高い水準にある東京都や大阪府など10都府県では継続するという。病床の使用率も高止まりしている。一定期間の宣言延長は、やむを得ない。

 政府は、具体策をまとめた基本的対処方針をおおむね維持し、住民への不要不急の外出自粛や、飲食店の営業時間の短縮を要請し続けることを決めた。会食に焦点をあてた施策には、一定の効果があったと言えるだろう。

 全面的な宣言解除に向けて、感染者数を一層減少させるだけでなく、逼迫ひっぱくしている医療提供体制を改善することが不可欠だ。病床に空きがなく、入院したくてもできない人が多数いる。自宅待機中に亡くなる例も相次いでいる。

 政府と自治体は、民間を含めた医療機関に粘り強く病床の確保を促す必要がある。待機を余儀なくされている患者に対しては、医師会などと連携し、開業医などが訪問診療やオンライン診療を実施する態勢を整えるべきだ。

 重症期を脱した後の転院先が見つからないことも問題である。体力が回復せず、入院の継続やリハビリが必要な高齢者は多い。中小の民間病院は、こうした患者を積極的に受け入れてもらいたい。

 医療に携わる人が役割を分担し、診療の「目詰まり」を解消することが肝要だ。首相や知事は、明確な戦略を示すことが求められる。軽症者にホテルなどでの療養を促す一方、仮設の医療施設を整備することも検討してほしい。

 政府はこれまで、感染経路や濃厚接触者を調べ、感染者を隔離するクラスター(感染集団)対策を重視してきた。だが、経路不明の人が増え、職員が不足する東京などの保健所は、調査対象を絞らざるを得なくなっている。

 高齢者施設や市中での感染拡大を抑えるため、PCR検査を抜本的に拡充し、感染者の発見と隔離につなげる手法を真剣に検討すべきだろう。変異したウイルスの監視態勢の強化も急務である。

 多くの人が感染抑止に取り組んでいるさなかに、複数の与党議員が都内の飲食店を深夜まで利用していた事実が発覚した。軽率な行動は慎まねばならない。



「コロナは~外!」(2021年2月3日配信『日本経済新聞』-「春秋」)

「コロナは~外!」。1897年以来、124年ぶりというきのうの節分の夜、家々には、こんな声が響いたかもしれない。明けて、きょうは二十四節気の立春である。元日に準ずるこよみの起点とされ、ここからの日数は農作業を進めるうえでの目安ともなっている。

▼唱歌「茶摘み」に「夏も近づく」とうたわれる「八十八夜」は霜が降りなくなって、気候が安定するころという。今年は5月1日だ。同じく8月31日に当たる「二百十日」は、稲の実りを襲う台風への警戒がいる時分だ。さて、10都府県を対象に延長が決まった緊急事態宣言、果たして立春から何日で解除となるだろうか。

▼新たな期限は来月7日までだが、感染状況や医療提供の体制が改善すれば前倒しの解除も検討するという。そうなることを切に望むが、朝夕の列車は混み合っている路線も多いし、場所によっては繁華街の人出も大きくは減っていないようだ。「コロナ慣れ」で宣言が長引けば、人々の心理や経済には大きな重荷となろう。

▼「立春より七十五日」と徒然草はヤマザクラの盛りを記した。ソメイヨシノなら東京では六十日足らずだろう。今年は昨年より少しは落ち着いて、花をめでられるか。そのころのワクチンの接種の進み具合も気になる。予測がしにくいことばかりだが、最も見通せないのが「立春から170日」。東京五輪ではあるまいか。



「緊急宣言」延長 気を緩めず対策を講じよ(2021年2月3日配信『産経新聞』-「主張」)

 政府が、新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言について、発令中の11都府県のうち栃木県を除く10都府県で延長することを決めた。7日までの期限を1カ月延ばし、3月7日までとする。

 菅義偉首相は2日、飲食業の営業時間短縮などにより新規感染者数が減少してきたことを踏まえ、国民に一層の協力を呼びかけた。

 延長はやむを得ない判断だ。政府や自治体は感染の抑え込みへさらなる手立てを講じてほしい。

 緊張感のない与党幹部らが深夜に銀座のクラブを訪れた。政治に携わる自覚に欠けた不祥事に怒りを禁じ得ないが、国民は気を緩めずコロナとの戦いを続けたい。

 これまでの対策には一定の効果があった。対象地域を含め全国の新規感染者数は減少してきた。ただし、厚生労働省の専門家組織が指摘したように重症者数や死者数は過去最多の水準にある。

 新規感染者数にしても、今の水準で宣言を解除すれば再び増加に転じ、さほど間を置かずに宣言発令を余儀なくされるだろう。

 医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は解消されていない。現場の医師や看護師らは疲れている。入院先の調整や自宅での待機を余儀なくされた人の死亡例が相次いだ。東京都だけで入院・宿泊療養先を調整中の人がなお3500人近くいる。

 欧米諸国と比べれば感染者数が少ない日本で医療提供体制が崩壊状態になったのは政府と自治体の失態だが、急に立て直すことは難しい。新規感染者を減らす努力が引き続き重要となる。

 菅首相には、今の宣言を最後のものにする決意で取り組んでほしい。感染状況がステージ4(感染爆発)からステージ3(感染急増)になっても、軽々に対策を緩めては危うい。ワクチン接種が一般国民に広く行われるまで、感染を十分低い水準に抑え込まねばならない。菅首相のいう「東京で1日500、大阪で300を下回る」という新規感染者数の当面の目標は緩すぎないか。

 時短などに応じた事業者への協力金支給は引き続き重要だ。飲食業以外へも時短要請が行われ、受け入れた事業者があるのに支給がないのはおかしい。

 感染力が強い変異株のクラスター発生に危機感を持ち、疫学調査や検査に積極的に取り組んでもらいたい。



緊急宣言を延長 早期解除へ追加対策を(2021年2月3日配信『東京新聞』-「社説」)

 政府は新型コロナウイルス感染症を巡る緊急事態宣言の期限を1カ月延長した。感染拡大の勢いは鈍っているが、高止まりが続き、油断できない状況だ。早期の解除には、さらなる対策が必要だ。

 緊急事態宣言は栃木県を除き、首都圏四都県と愛知、岐阜両県などで延長された。これら10都府県での感染は、宣言解除の目安となる状況にまでは改善しておらず、宣言の期限延長はやむを得ない。

 菅義偉首相は1月の再宣言の際、感染状況を「1カ月で改善させる」、対策を「限定的、集中的に行う」と強調していた。

 なぜ感染収束に至らなかったのか、対策は効果的だったのか。国民の納得がいく説明が必要だ。今後の対策と見通しについても合わせて語るべきだろう。

 厚生労働省の専門家組織は再宣言後の状況について、夜間の人出が減り、飲食店からの感染拡大が一定程度抑えられたと分析した。

 飲食店に午後8時までの営業時間短縮を求めた成果は確実に出ている。時短営業に取り組んだ事業者の協力をたたえたい。

 ただ、事業規模が大きい事業者には経営支援が不足しているとの意見がある。宣言の期限延長で、これ以上の営業自粛には応じられない事業者の増加も懸念される。

 事業者への経営支援の在り方や規模について検証し、より必要とされる施策を講じる必要がある。

 サービス業などシフト制で働く女性や学生ら非正規労働者に、休業手当が支払われない現状も見過ごせない。労働者が国に直接申請して受け取れる休業支援金・給付金も十分には行き渡っていない。

 若い世代の感染者は減少傾向だが、アルバイトもできない中で生活に困窮し、退学の危機に直面している学生も出ているという。就学支援策の検討も不可欠だ。

 政府には困窮している人に支援を確実に届ける責任がある。誰も取り残さない手だてが必要だ。

 感染は飲食店から高齢者施設や医療機関にも広がっている。入院先が見つからず、入居する介護施設で待機せざるを得ない高齢者もいて、クラスター(感染者集団)の発生につながっている。

 新規の感染者が減少傾向に転じたとしても、重症者は遅れて増えてくる。感染症の治療を終えた患者を、別の病院が受け入れるなど医療機関同士の連携は早急に進める必要がある。

 感染を抑え込むにはどんな対策が有効か。政府はそれを見極め、確実に実行しなければならない。



星新一さんのショートショートに「程度の問題」という心配性の…(2021年2月3日配信『東京新聞』-「筆洗」)

 星新一さんのショートショートに「程度の問題」という心配性のスパイの話がある

▼アパートの部屋では盗聴器が隠されていないか、壁や床をしつこくたたいて調べるのはもちろん、公園でボールが転がってくれば、爆弾ではないかと疑い、親切な人がたばこの火を差し出せば、毒ガスが出てくるのではとライターをたたき落とす

▼結局、度を越した心配ぶりが人の目を引くため、スパイをくびになる。男のことを笑いたくなるが、ここはやはり、それぐらいの用心深さが必要なのだろう。コロナ対策の緊急事態宣言が一部を除き、一カ月延長される

▼経済への影響も心配だし、なによりも息苦しい生活に解除を期待した方もいるだろう。新規感染者数も減少傾向にあるが、ここで宣言を解除すれば、再拡大の心配もぬぐいきれぬ。用心深く延長することに異論はない

▼この生活がまた一カ月とはうんざりだが、ものは考えようか。感染者増の傾向の中での延長ならともかく、対策の効果は出てきている。この延長の一カ月を仕上げの期間と思えば少しは心も軽くなるだろう。少々遅れることにはなるが、「春」は確実に近づいている

▼そうそう、あのスパイの話には続きがあった。後任のスパイは前任者とちがって、のんき者。見知らぬ人からもらったお菓子をいい気になって食べ、たちまち毒殺された。用心に越したことはない。



結束(2021年2月3日配信『中日新聞』ー「中日春秋」)

 人をもっとも強く結束させるのは、強く、さりとて歯が立たないほどではない強さの敵が現れた時である。英政治学者ブライスが残した言葉という

▼コロナ禍に思い出しているが、地球規模でみれば敵はどうも強すぎるようで、互いを非難した米中のように、結束とは言い難い例も目立つ。ワクチンの奪い合いが激しくならないか。この先の国際的な結束にも気がかりがあろう

▼一方で、敵の強さを小さく見積もっていたとしか思えない政治家が、わが国にはいる。深夜、銀座のクラブに行っていたことが明らかになった与党の国会議員たちである。まとまって敵に立ち向かおうと呼びかける立場の人が「そんなに真剣にならなくてもいい」と本音をみせたようなものだろう

▼人の行動を厳しく責めるのは気分がいいことではないけれど、まじめに協力するのが、いやになってしまう人が出かねない。せっかくの結束が乱れよう

▼政権の言葉が人々に届きにくくなっている時に10都府県で緊急事態宣言の1カ月延長が決まった。残念だが、解除に時間が必要であることは否定できない。対象地域では気が重くなった人も多いだろうが、かの議員たちの行動に、心乱されてはいけない時だろう

▼指標によっては宣言の効果が表れている。この冬の感染拡大についていえば、歯が立たない敵でも強すぎて勝てない敵でもない。それも確かだ。



緊急事態延長 医療の状況を改善せねば(2021年2月3日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の1カ月延長が決まった。栃木県を解除し、発令中の10都府県が対象になる。

 政府は、解除の目安として感染状況の指標で最も厳しい「ステージ4」(爆発的感染拡大)からの脱却を掲げている。

 第3波は、宣言が首都圏1都3県に発令された翌日の1月8日に全国の新規感染者が7800人を超えてピークに達した。その後、減少傾向に転じ、2月1日時点で1千人台にまで低下している。

 宣言の対象地域も全てで、同日までの1週間の新規感染者数が前週との比較で下回った。

 延長せざるを得ないのは、医療の逼迫(ひっぱく)が続いているからだ。病床使用率や療養者数の指標はほとんどでステージ4。入院先や療養先が決まらない感染者が東京都だけで3千人を超え、治療を受けられず死亡する事例も起きている。

 新規感染者が減っても、すぐに病床が埋まる状況は当面続くだろう。宣言の延長で、この状況を改善しなければならない。

 厚生労働省の専門家組織は、宣言下の感染状況について、20~50代は減少しているが、重症化リスクが高い高齢者の感染拡大が止まっていないと分析している。

 高齢者施設でのクラスター(感染者集団)が増えたのが要因の一つだ。政府は、会食対策が感染の急所として飲食店を的に絞り取り組んでいる。施設へもより手厚い対策を検討する必要がある。

 強い感染力がある海外からの変異株への対応も重要だ。埼玉県で初のクラスターが確認された。水際対策の強化とともに、素早く変異株を捉える態勢を整え、市中への感染拡大を防がねばならない。

 病床や療養する宿泊施設の効率的な運用も欠かせない。病院間の役割を明確にし、重症や中等症が回復したら、軽症者を受け入れる病院や施設に移ってもらう仕組みをつくりたい。

 経済の停滞は長引く。対象地域にある飲食店の営業時間短縮要請や、応じた店に1日6万円を支払う協力金は継続される。一方で、損失を補えないとして時短に応じない店は少なくない。

 人出が戻らなかったり、食材の需要が減ったりして、飲食店以外の職種や対象地域以外へも影響は及んでいる。

 国会で審議中の新型コロナ特措法改定案は、財政支援を明確にしないまま成立する見通しだ。

 生活基盤が崩れれば命の問題に直結しかねない。損失を補償する観点で考え直す時ではないか。



緊急事態延長/医療に余力生じるまでは(2021年2月3日配信『神戸新聞』-「社説」)

 政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づき兵庫などに発令中の緊急事態宣言について、栃木を除く10都府県での延長を決めた。期間は3月7日までの1カ月となる。

 延長に伴い、飲食店の午後8時までの営業時間短縮や不要不急の外出自粛要請などは継続する。感染状況などが改善すれば、期限前でも解除する方針という。

 菅義偉首相は1月7日に首都圏1都3県に宣言を出した際、「1カ月後には必ず事態を改善させる」と表明した。その公約は果たせなかったことになる。延長を報告した国会で「国民にもう一度協力いただき、何としても感染拡大に終止符を打ちたい」と述べたが、何が足りなかったのか、解除時期をどう判断するかについて納得できる説明はなかった。

 厚生労働省の専門家組織は、宣言に一定の効果があったとしながらも「重症者数、死亡者数は過去最多の水準で、減少には一定の時間が必要」と分析している。

 対象地域の新規感染者数は減少傾向にあるものの、病床使用率などは最も深刻な「ステージ4」にある地域が多い。兵庫県も1日時点で70%超と高止まりしている。

 こうした状況は、各地で事実上の医療崩壊を招いている。入院先が見つからず、自宅で死亡する事例が相次ぐ。一般診療にもしわ寄せが生じ、国民の命を守る仕組みそのものが危機にひんしている。感染を下火にし、医療機能の回復を待つ上で、延長は致し方ない判断と言える。

 医療現場の過度な負担が落ち着くまで1カ月程度はかかるとの専門家の見方もある。解除後、すぐに再拡大に転じるようでは元も子もない。感染の抑制を確認し、医療機関や保健所の職員が一息つけるまで、状況を慎重に見極めるべきだ。

 その間に、病床の確保や医療機関・保健所の体制強化を早急に進める必要があるのは言うまでもない。

 自粛の長期化で、飲食店だけでなくさまざまな業種や対象地域外の事業者にも苦境が広がっている。非正規労働者を中心とする雇用の悪化も深刻だ。痛みを和らげるきめ細かな支援策は欠かせない。

 国会では、入院拒否者や営業時短に応じない事業者に罰則を科す特措法などの改正案が、衆参計4日間のスピード審議で今日にも成立する。

 与野党の修正協議で懲役を含む刑事罰こそ削除されたが、事業者支援の中身や国会報告の位置付けは曖昧なままだ。私権制限を強化する法改正の審議として拙速は否めない。

 行き過ぎた罰則適用がないか、必要な支援が届いているか、国会は法の運用を厳しく監視する役割を忘れてはならない。



緊急事態延長 「出口」を示し理解求めよ(2021年2月3日配信『西日本新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大を収束に向かわせるには、やむを得ない判断だろう。特別措置法に基づき福岡県など11都府県に出ている緊急事態宣言が、栃木県を除いて3月7日まで延長される。

 1日当たりの新規感染者数は全国的に減少傾向へ転じたとはいえ、延長された都府県の医療提供体制は依然として厳しい状況にある。暮らしと経済への影響に配慮しつつ、医療崩壊だけは絶対に避けねばならない。

 感染状況を判断する6指標のうち新規感染者数やPCR検査陽性率などは自治体によっては改善してきたが、コロナ病床の使用率は高止まりしている。特に不安なのは重症者病床の逼迫(ひっぱく)だ。重症者の増加に比例し、亡くなる人も急速に増えている。

 福岡県の1月31日現在の病床使用率と重症者病床使用率はともに現在の宣言が出た約3週間前より高い水準にある。自宅療養中の死者も出ている。宿泊施設の確保も含め、医療提供体制の底上げを急ぐ必要がある。

 緊急事態宣言の延長で時短営業や外出自粛の要請も継続する方向だ。飲食や観光、交通業界などへの打撃がさらに深刻化する。政府はこうした業界や失業者などの生活困窮者に対し、きめ細かな支援を続けてほしい。状況に応じた支援策の拡充も柔軟に検討するべきだろう。

 「1カ月後には必ず事態を改善させる」-菅義偉首相は2回目となる現在の宣言を出す際に言い切った。結果を見る限り、政府の見通しと対策には甘さがあったと言わざるを得ない。

 政府はこれまでの施策をつぶさに検証し、対策全体を立て直すべきだ。とりわけ、重症化リスクが高い高齢者が集まる施設や病院のクラスター防止策の拡充は喫緊の課題である。

 国民の間には各種の自粛に対する疲労や不安、不満が蓄積している。今後の対策にも幅広い層の協力を得るには、事態収束に向かう「出口戦略」の議論を深め、その道筋を国民に示すことが欠かせないだろう。

 感染力が強いとされる変異株が各国に拡散し、日本国内でも確認が相次ぐ。市中感染が広がれば病床はさらに逼迫する。水際対策の強化も怠れない。

 宣言解除の目安は、感染状況が最も深刻なステージ4からステージ3相当に下がることだ。あすにも成立する特措法改正案に盛り込まれた「まん延防止等重点措置」は、緊急事態宣言前でも自治体によって同様の措置を認めるもので、ステージ3相当での適用を想定している。

 市民生活や経済への影響を考えると、どちらの判断基準も曖昧さが残る。適用と解除のより分かりやすい基準を求めたい。



早期治療は遅れたが…(2021年2月3日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 中学1年の冬、風邪をひいたのに学校を休みたくなくて登校した。数日後、声のかすれがひどくなり、やむなく病院へ。結局、1週間ほど休んだ。「無理すっけんくさ」。様子を見に来てくれた友達の言葉が耳に残る

◆注射嫌いだったせいもあるが、子どもの頃から「軽症で病院に行くと怒られそう」と思っていた。実際は軽症のうちが治りやすい。苦しい思いを我慢したのに、「もっと早く受診してもらったら…」と医師に言われたこともある。早期発見早期治療がみんなにとってよいことだろう

◆コロナ対策の緊急事態宣言がきのう2日、10都府県で1カ月間延長されることが決まった。症状がひどくなってから受診しても、治るのに時間がかかるのと、どこか似ている。時短営業に協力する飲食店には苦しい日々を強いるが、「一緒に乗り切ろう」との言葉しか出てこない

◆きょう3日は立春。「寒さの中での光の強まりにいちはやく春を感じる節気」と気象エッセイストの倉嶋厚(くらしま・あつし)さんがコラムに書いていた。寒さのどん底でも光に春を見つける感性を持ちたいと思う

◆コロナが覆う分厚い雲も、隙間から少し光が差し込んでいるような気がする。新規感染者は減少傾向。気を抜かずに対策をとればコロナと付き合っていける証明だろう。注射の痛みも薬の苦さも、治ると信じるから我慢できる。



緊急事態延長 抑制への見通しを確実に(2021年2月3日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 11都府県を対象にした新型コロナウイルス特別措置法の緊急事態宣言が、栃木県のみを解除して3月7日まで延長された。

 菅義偉首相は1月7日の宣言発令時、「1カ月後には必ず事態を改善させる」と語っていた。しかし実現できず、期間を1カ月延ばさざるを得なくなった。

 大きな理由として医療提供体制の逼迫[ひっぱく]が挙げられているが、十分な病床やスタッフを確保する責任はそもそも政府や行政にあるということを忘れてはならない。期間の延長によって国民はさらに長く、行動制限や営業の自由の制約を強いられることになる。

 3月下旬には東京五輪の聖火リレーがスタートする。学校の卒業や入学準備など年度替わりで人の動きが活発化する時期でもある。事態が好転しなければ、それらの実施も危うくなりかねない。緊急事態の延長はやむを得ないだろうが、政府は今後1カ月内に感染抑制への見通しを確実なものとしてほしい。

 昨年から増加してきた全国の新規感染者数は、宣言後の1月8日にピークとなった。その後は減少傾向が続き、外出自粛や飲食店への時短営業要請に一定の効果があったとみられる。

 しかし、療養者数はさほど減らず、宣言対象地域での病床使用率も目立って改善していない。しかも、感染者に占める高齢者の割合は高まっている。高齢者は重症化リスクが高く、重症者数と死者数は高止まりの状態だ。政府の専門家組織は「重症者数、死亡者数は過去最多の水準で、減少につながるには一定の時間が必要」と分析している。

 政府は引き続き新規感染を抑えるとともに、病床の効率的な運用をさらに調整していくべきだ。自宅療養中の感染者の死亡や、福祉施設でのクラスター多発も問題化している。対策を急いでほしい。時短営業や休業の長引く飲食店は、さらに苦境に立たされるはずだ。協力金などの支援継続と拡充が欠かせない。

 熊本県は法に基づく宣言対象となっていないが、知事が独自の緊急事態宣言を出し対象地域に準じた措置を取っている。新規感染者数はかなり減ってきたが、全国と同様に病床使用率は顕著には改善していない。首都圏をはじめとする対象地域での感染抑え込みの成否は、熊本など地方の対策とも密接に関わってくる。

 政府が国民に会食自粛などを求めている中、あきれ返るのは政治家らの振る舞いだ。緊急事態宣言下、外出自粛要請が出ていたにも関わらず、自民党と公明党の衆院議員がそれぞれ深夜に銀座のクラブに出かけていた。自民を離党した松本純議員は問題発覚後、実は同僚3人で訪れていたのに「1人だった」とうそをついていた。

 宣言前ではあったが、菅首相も年末、俳優らを交えて多人数で会食して謝罪に追い込まれた。

 感染抑え込みをリードする側がこれでは、話にならない。襟を正してもらいたい。



[緊急事態延長] 医療体制強化が急務だ(2021年2月3日配信『南日本新聞』-「社説」)

 政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の1カ月間延長を決定した。来月7日まで現在発令中の栃木県を除く東京や大阪、福岡など10都府県が対象になる。

 1月7日の再発令後、新規感染者数は減少傾向にあるが、医療体制は逼迫(ひっぱく)した状態が続く。いま解除すれば再び増加に転じる恐れがある。命を守ることを優先した判断は妥当だろう。

 高齢者を中心に重症者が高止まりし、入院先の医療機関や宿泊先が決まらない「入院・療養等調整中」の感染者が自宅で亡くなる例も報告されている。医療機関の病床確保など医療体制の強化が急務である。

 緊急事態が再発令されたころの1日当たりの新規感染者数は全国で7000人を超えていたが、最近は2000人を切る日もある。

感染リスクの高いとされる飲食店に時短営業を要請するなど急所を押さえた対策が一定の効果を上げていると見ていいだろう。

 一方で、新型コロナの診療と通常の医療の両立が困難な状況を招いている。重症や死亡のリスクが高まる80代や90代など高齢者の感染拡大が止まらず、福祉施設などでクラスター(感染者集団)が発生しているためだ。

 政府は宣言解除の目安として感染状況を「ステージ3」(感染急増)相当に押し下げることを挙げる。だが、指標の一つである「確保想定病床の使用率」は高い状態が続く。政府は宣言を早期に解除できるよう自治体や医師会などと改善策を検討してほしい。

 緊急事態が長引けば、企業経営や雇用は一段と悪化しかねない。

 2020年の有効求人倍率は19年比0.42ポイント減の1.18倍で45年ぶりの大幅下落となった。非正規労働者数も比較可能な14年以降、初めて減少に転じた。企業の経営悪化で解雇や雇い止めが増加したためとみられる。

 国が休業手当の一部を補償する雇用調整助成金や中小企業で働く人向けの休業支援金・給付金といった制度はあるが、暮らしを支えるにはまだ不十分だろう。苦境に立つ飲食業などに対してもさらなる支援が必要だ。

 これからの1カ月間は感染を抑え込めるかどうかの正念場となる。年度末は進学や就職などで人の往来が増える。東京五輪・パラリンピック開催の可否判断も迫られる。

 そんな中、与党国会議員4人が深夜に東京・銀座のクラブで飲食していたことが明らかになった。政治への信頼が感染防止の実効性確保につながる。範を示すべき立場にあることを忘れたかのような行動は言語道断だ。

 菅義偉首相はきのう記者会見し、感染収束に向けた協力を呼び掛けた。“コロナ疲れ”している国民はこれ以上何をすべきなのか。新たな具体策が聞かれなかったのは残念である。



[緊急事態宣言延長]長期化に見合う支援を(2021年2月3日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 政府は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を、栃木を除く10都府県で1カ月延長すると発表した。

 新規感染者数は減少傾向にあるが、高齢患者や重症者が依然多く、医療体制が逼迫(ひっぱく)しているためだ。現状を考えれば、延長の判断はやむを得ない。

 沖縄県は対象地域に入っていないが宮古島などで医療体制が逼迫しており、玉城デニー知事は県独自の緊急事態宣言を延長する最終調整に入った。

 1月8日に始まった制約のある生活は2カ月間に及ぶことになる。「もう少しの辛抱」と耐えてきた人も多いはずだ。

 長期にわたる不自由な生活は人々の心身をむしばみ、雇用と経済を直撃している。

 懸念されるのは自殺者の急増だ。女性は過去5年で、小中高校生は統計のある1980年以降最多という深刻な状況だ。

 経済への打撃も大きく、新型ウイルスに関連する全国の企業倒産件数は昨年2月から、わずか1年で累計千件の大台に乗った。

 県内でも昨年の休廃業・解散件数が2000年の集計開始以来、最多に上っている。

 菅義偉首相は1月の緊急事態宣言の際、「1カ月後には必ず事態を改善させる」と自信を見せたが、期待された結果を出せなかった。

 国民に我慢を強いる延長期間中にこれまでの方法を再検証し、抑え込みへ、急ピッチで対策を講じるべきだ。

■    ■

 政府は当初、「ウィズコロナ」をうたい、感染拡大防止と経済を両立させることに力を注いできた。

 首相肝いりで、巨額をつぎ込んだ観光支援事業「Go To トラベル」は昨年末に全国一斉停止となり、再び停止継続が決まった。

 政府は、状況が改善すれば期限前にも解除する方針を示しているが、急ぎすぎれば再々延長という事態になりかねない。

 まずは感染を徹底的に抑え込み、経済活動を再開させたほうが、早道になるのではないか。

 菅首相は会見で、緊急小口資金の限度額拡大や大企業非正規労働者に雇用調整助成金が活用されていない問題に対応する考えを示した。

 ただ、これだけでは足りない。国民に自粛、時短営業を徹底してもらうためには、延長に見合った新たな追加の経済支援策を講じるべきだ。

■    ■

 菅首相はワクチン接種を2月中旬に前倒しして開始する意向を示したが、諸外国に大きく後れを取っており、早急に体制を整える必要がある。 いまだ十分でないPCR検査の拡充も急務だ。

 衆参両院の議院運営委員会に出席した菅首相は、与党幹部による銀座のクラブ訪問について「あってはならないこと。素直におわびする」と国民に謝罪した。

 会見では「あらゆる方策を尽くし、私の全ての力を注いで取り組んでいく」との決意も示した。失われた政府への信頼を取り戻すためにも、言葉通り、全力でコロナ対策に当たってほしい。





スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ