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(論)COCOA(ココ)」(2021年2月6・7・8・9・10・11・12日・4月19・20日)

接触アプリの失敗 無責任の連鎖にあきれる(2021年4月20日配信『毎日新聞』-「社説」)

 政府と企業の無責任な対応が、デジタル技術を活用した感染防止対策の失敗を招いた。

 新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性を知らせるアプリ「COCOA(ココア)」が4カ月以上機能していなかった問題の調査結果がまとまった。

 所管する厚生労働省に専門知識のある人材が少なかった上、開発に携わった事業者の役割が曖昧で、不具合が見落とされたという。あまりにもずさんな管理運営だ。

 不具合は昨年9月の更新作業時に生じ、その後の動作確認を怠ったために見逃した。技術者が意見交換するサイトで問題が指摘されたにもかかわらず、厚労省と事業者の情報共有が遅れた。

 担当者がITに疎く、動作確認の必要性や不具合の深刻さに気づかなかったと、厚労省は釈明する。

 とはいえ、政府にはITに精通した内閣情報通信政策監(CIO)ら専門家がいる。厚労省に常駐させて開発を支援することもできたのに、連携が不十分だった。

 安倍晋三前首相は、このアプリを感染対策の切り札と位置づけていた。必要な体制を整えなかった政治の責任は重い。

 民間委託のあり方にも問題があった。厚労省と契約した企業はアプリ開発の経験が少なく、実務を他社に再委託した。再々委託を含め、関わった企業は6社に及ぶ。

 各企業がどこまで開発に責任を負うかの役割分担が明確でなかったため、不具合に気づいた後も対応が後手に回った。

 アプリ開発は、使い勝手や不具合を確認し、改修するという作業の繰り返しだ。発注者と受注者の緊密な連携が欠かせず、事業者への丸投げは許されない。

 国民へのワクチン接種が進み、効果が出るまでには時間がかかる。アプリの利便性を向上させ、約2割にとどまる普及率を高めることが急務だ。

 デジタル化への対応力の強化は、各省庁に共通する課題だ。コロナ禍で打撃を受けた中小企業や個人に対する支援策が遅れた背景にも、IT基盤の弱さがあった。

 災害対策や社会保障など、行政サービスでITを活用する必要性は高まる一方だ。人材登用や民間委託のあり方を、前例にとらわれず見直さなければならない。





COCOA失態を行政電子化の教訓に(2021年4月19日配信『日本経済新聞』ー「社説」)

 新型コロナウイルス感染者との接触を知らせるスマートフォンのアプリ「COCOA(ココア)」で起きた不具合を検証した厚生労働省の報告書で、同省のシステム開発・管理能力が驚くほど低い実態が明らかになった。政府全体がこの失態を重い教訓としてデジタル化に臨むべきだ。

 新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触した可能性を知らせるアプリ「COCOA(ココア)」
2020年6月に提供されたCOCOAは感染者から1メートル以内に15分以上いた場合に接触を知らせるアプリだ。だが同年9月末のアップデートからアンドロイド端末で陽性者と接触があっても通知が届かない不具合が発生。21年2月まで4カ月以上も放置された。

 この問題を検証した厚労省の検討チームの報告書で明らかになったのは、デジタル分野の専門人材が乏しいために業者任せになり、プロジェクトを適切に管理できないという行政機構の欠陥だ。

 COCOAのように複数のシステムを連携させる複雑なアプリでは、提供を始めてから不具合が起きること自体は避けられない面がある。あらかじめ不具合が発生することを織り込んだ上で、その発生に早く気づき、原因を突き止めて迅速に対応することが非常に重要になる。厚労省はこの態勢がまったくできていなかった。

 問題となったアップデートは通知が届くかどうか動作確認のテストをしないまま昨年9月に実施し、翌月にテスト環境が整ってもやらなかった。同年11月にはCOCOAのプログラムを公開していたサイト「GitHub(ギットハブ)」に不具合を指摘する書き込みがあったのに、対応しなかった。業者任せで認識が甘く、アプリにかかわる民間6社の役割分担が不明確な無責任体制を放置した厚労省の管理に問題があった。

 中央省庁はどこも民間企業にシステム開発を委託している。ITに疎い職員が業者任せで発注する現状が変わらなければ、他の省庁でも似たような失態が起きうる。今年9月に設置されるデジタル庁を司令塔に職員のITリテラシーを高め、足りないところは民間の専門人材で補うなど体制強化を急ぐべきだ。

 委託先との契約形態の見直しも進めてほしい。納品された後も改善が続くシステム開発には、完成品に対価を支払う契約はなじまない。デジタル時代にあった発注の仕方を検討すべきだ。





コロナ接触確認アプリ「COCOA」不具合放置は「お粗末」では済まない(2021年2月12日配信『東京新聞』-「社説」)

 またか、という厚生労働省の失態だ。新型コロナウイルス陽性者との接触確認アプリ「COCOA(ココア)」で、通知が届かない不具合が放置されていた。原因究明と再発防止で信頼を取り戻すしかない。

 ココアは、陽性登録者と1メートル以内で15分以上接触をした利用者に通知が送られるスマートフォンアプリ。政府が感染拡大防止の重点施策の一つとして昨年6月から配信を開始し、約2500万人が利用している。

 このうち3割強、約770万人に昨年9月末から接触情報が送られていなかった、という。アプリを修正した際、一部の基本ソフトの仕様に適合しなかったとみられる。

 アプリに不具合が生じるのは仕方ない。問題は重大な欠陥が四カ月以上も放置されたことだ。
 技術者が利用するネットサイトでは、昨年11月にココアのプログラムミスが指摘されていたという。年明けには「家族が感染したのに通知が来ない」などとSNSに投稿されるようになり、一月下旬になってようやく、業者から厚労省に不具合が報告された。

 厚労省側が気付かなかったのはアプリの開発も保守管理も業者に丸投げしたからではないか。今月中旬の復旧を目指すというが、業者の選定、監督に問題はなかったのか、徹底的な検証が必要だ。

 何より、ココアの機能を信じてきた利用者を裏切ったことは深刻だ。人口の約2割の普及率は十分ではなく、さらに普及拡大が必要な中での背信行為は痛手だろう。

 個人情報の収集、利用に議論はあるものの、韓国や台湾では感染対策へのアプリ活用に一定の支持があり、効果も得られている。
 ココアが正常に機能し、陽性者との接触が通知されていたら、大都市圏中心に緊急事態宣言が再発令された要因となった年末年始の感染急増も、一定程度は防げたのかもしれない。

 菅義偉首相は、厚労省の対応を「お粗末だ」と認めたが、問題の深刻さを理解しているのか。徹底した原因究明と対策を講じようとの意欲は見えない。

 今月中旬から予定されるコロナワクチン接種では、大規模な個人情報管理が必要となる。ココアを巡る対応を見ると政府のデジタル政策は信頼が置けるのか疑問が生じる。

 「国全体のデジタル化」は、菅政権にとって重要政策のはずだ。国民の命と暮らしを守るためにデジタル技術をどう活用するのか、菅内閣全体でいま一度気を引き締める必要がある。





接触確認アプリ 信頼裏切る不具合の放置(2021年2月11日配信『山陽新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス対策で厚生労働省が提供しているスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」について、昨年9月から、一部の利用者に陽性者と接触があった場合にも通知されない状態になっていると同省が発表した。対策を進めているが、不具合の解消には至っていないという。

 不具合が約4カ月にわたって放置されていたことに驚かされる。利用者が増えれば感染拡大防止が期待できると推奨していたのに、感染の「第3波」にアプリが機能せず、利用者の信頼を裏切った責任は極めて大きい。

 アプリは希望者がスマホにダウンロードして使う。1メートル以内の距離に15分以上いた利用者同士のデータをスマホに記録し、後日、検査で陽性が分かった人が登録すると、接触した相手のスマホに通知が届く仕組みだ。

 安倍晋三前首相時代の昨年6月に導入され、米アップルのアイフォーン版と米グーグルのアンドロイド版がある。これまでに約2500万件がダウンロードされ、感染が確認された1万人以上が陽性登録をしている。

 厚労省はアプリの管理や運用を業者に委託している。不具合があったのは利用者の約3割が使うアンドロイド版で、昨年9月28日にバージョンアップをした際、不具合が発生した。模擬的なテストは行ったものの、実際にスマホを使った動作確認をせず、ミスに気づかなかったという。

 さらに問題なのは、その後も長く不具合に気づかなかったことだ。昨年11月には多くの技術者が閲覧するインターネットのサイトで指摘されていたが、そうした情報も生かされなかった。昨年末以降、会員制交流サイト(SNS)で「感染者と接触があったのに通知が来ない」などと話題になり、業者が調査し、今年1月下旬に厚労省に不具合を報告したという。

 菅義偉首相が国会で認めたように「お粗末」としか言いようがない。業者に任せきりにしていた厚労省の責任は免れまい。業者には、さらに複数の下請けもいたようだ。責任の所在が明らかでないのが問題との指摘も出ている。

 菅首相は国会で「二度とこうしたことが起きないよう徹底調査して対応する」と述べた。厚労省は、外部の専門家を入れた調査チームをつくり、3月末までに検証結果をまとめる方針だ。今回のアプリの委託業者は、新型コロナウイルスのワクチン接種の情報管理システムも担うという。きちんとした再発防止策が示されなければ、政府が掲げるデジタル化推進にも国民は不安を抱かざるを得ない。

 アプリは今夏の東京五輪・パラリンピックの参加者に適用される感染防止対策の一つでもある。信頼という土台がなければ、アプリの普及は進まない。失われた信頼の回復に向け、政府は全力を挙げなければならない。



ココアの不具合(2021年2月11日配信『宮崎日日新聞』-「くろしお」)

 夫の帰りを待つ妻の嘆きを、艶っぽく歌った「あゝそれなのに」(サトウハチロー詞、古賀政男曲)。1936年に発売され、大ヒットした。本県にも、この曲の浸透ぶりを物語るエピソードが残っている。

 翌37年4月13日。県の学務課長が「教科書以外の歌はいけない。学校からも特に注意を徹底させる」との談話を発表したのだ。小学1年生がこの歌を大声で歌いながら登校したり「君が代」を知らない児童もこの曲は知っていたりしたことが問題視されたらしい。

 ふいにこの歌が頭をよぎったのは、コロナ禍における政府の不手際が相次いだから。今も10都府県では緊急事態宣言下にあり、市民は夜間の外出や会食を我慢している。あゝそれなのに…複数の与党議員が、深夜の銀座で会食したことが発覚。離党や辞任に追い込まれた。

 かと思えば今度はスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」である。昨年9月28日以降、陽性者との接触があっても、その通知が届かない不具合があったことが判明。米国の調査会社によると、昨年、日本国内で最もダウンロードされたアプリだったらしい。あゝそれなのに…。

 ココアについては、昨年9月にも表示や登録などに関して複数のトラブルが報告されている。果たしてこまめな検証は行われてきたのか。改めてくだんの曲のさびの部分。「あゝそれなのにそれなのに」。続くのは「おこるのはあたりまえでしょう」である。





[新型コロナ 接触アプリ障害] 信頼回復へ徹底検証を(2021年2月10日配信『南日本新聞』-「社説」)

 厚生労働省が提供する新型コロナウイルス対策のスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」が昨年9月から、利用者の3割が使えない状態になっている。

 原因となったプログラムミスが同11月末にはインターネット上で指摘されていた。しかし、厚労省は対応をアプリの開発業者に任せきりにしていたため、今年1月まで障害を把握していなかったという。

 「クラスター(感染者集団)対策の鍵」と鳴り物入りで導入しながら、あまりにお粗末な対応である。政府は機能の回復を急ぐとともに障害が放置された経緯を徹底的に検証し、信頼を取り戻さなければならない。

 アプリは昨年6月に導入され、これまでに約2400万件がダウンロードされている。このうち障害が発生しているのは米グーグル社の技術を利用するアンドロイド版の約770万件だ。スマホの近接通信機能を利用。検査で陽性と判明した人が処理番号などを入力すると、濃厚接触の可能性がある人に通知される仕組みだ。

 だが、アンドロイド版では、ミスにより正しい情報を引き出せず、全ての接触を「濃厚接触ではない」としていた。昨年9月にバージョンアップをした際に発生した不具合が原因とみられている。

 障害に気づかなかったのは、実際にスマホを使わず模擬的なテストで済ませていたからだ。業者任せの姿勢と併せ、感染「第3波」の抑え込みへアプリを頼みにしていた利用者を裏切るずさんな対応と言わざるを得ない。

 アプリを巡っては、最初の緊急事態宣言の期間中に導入が間に合わず、導入後も陽性登録できないなどトラブルが続いていた。グーグル社などの頻繁なシステム変更に対応しなければならない難しさはあっただろう。ただ、開発を急ぐあまり、導入後のメンテナンスに時間や労力をかけていなかった可能性があるという厳しい見方もある。

 厚労省はアプリの品質を確認できる専門家を増員し、今月中旬の障害解消を目指す方針という。早期の復旧を目指すのは当然である。問題があれば開発業者に指示して対応を迫る責任ある運用も徹底すべきだ。

 アプリは、今夏の東京五輪・パラリンピックの参加者に適用される感染防止対策にも盛り込まれているが、利用者は思うように伸びていない。今回の障害放置で、さらにアプリ離れが起きる可能性もある。

 これまで1万人超が感染を知らせるために陽性登録している。政府はアプリが感染抑止にどれだけ効果があるか検証した上で、科学的な根拠を示して利用を呼び掛けるべきである。





接触確認アプリ IT頼みの危うさ露呈(2021年2月9日配信『北海道新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染対策で政府の失態がまたも発覚した。

 陽性者との接触を知らせるスマートフォン向けアプリ「COCOA(ココア)」が、一部の端末で不具合があったにもかかわらず、4カ月以上放置されてきた。

 昨年6月、厚生労働省は「クラスター(感染者集団)対策の切り札」として導入したが、運用は業者へ丸投げしていた。IT(情報技術)頼みの危うさが表れたと言える。

 菅義偉首相は衆院予算委員会で「お粗末だった」と陳謝した。感染拡大が続く中、利用者は正常に機能していると信じていただろう。人の生命にかかわる問題だけに国の責任は重い。

 これでは感染対策の前提となる国民の信頼は得られまい。政府は原因を検証し、どこに問題があったのか明らかにするべきだ。

 ココアは、陽性登録した人と1メートル以内に15分以上接触した利用者に通知される仕組みだ。

 昨年9月、利用者の3割が使うアンドロイド版を改修した時に、スマホを使って実際に確認しておらず障害を見落とした。

 11月には障害の原因となったプログラムミスがネット上で指摘されていた。その後もツイッターなどで「家族が感染したのに通知が来ない」などの投稿があった。

 にもかかわらず厚労省がこの事態を把握したのは今年1月だ。

 この間、陽性者との接触があっても通知されない状態になっていた。接触した人が知らずに感染を広げなかったか懸念される。

 専門家は今回の障害について「開発を急ぎ、導入後のメンテナンスに時間や労力をかけられなかった可能性がある」と指摘する。

 政府はITの活用で効率的に感染者を追跡し、保健所の人手不足を補うことを狙いとしていた。

 だがアプリの利用は想定を大きく下回っている。現状では効果は疑わしいと言うしかない。

 厚労省のオンラインシステムでは雇用調整助成金の申請でもトラブルが起きている。今回の問題で感染対策はいっそう混乱した。省内にIT活用の全体像を描く人材が不足しているためだろう。

 そもそも個人情報に関する根強い不安は置き去りにされている。

 IT利用は地道なクラスター追跡と両輪にすべきである。

 政府は改正特別措置法と改正感染症法で、私権制限を強めるなどした。国民がさらに不安を募らせるようなずさんな対応は許されない。肝に銘じるべきだ。



コロナアプリ障害 失墜した信頼、回復急げ(2021年2月9日配信『秋田魁新報新聞』-「社説」)

 国の新型コロナウイルス対策の重要ツールにしては随分お粗末だ。スマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」で陽性者との接触通知が利用者に届かない障害が判明した。昨年9月下旬から4カ月間、全利用者の約3割が使うアンドロイド端末で起きた不具合で影響は深刻だ。

 陽性者と濃厚接触した可能性があっても、ココアの不具合で通知が届かないのは重大な障害だ。このため陽性者との接触をいち早く知る機会を逃した利用者がいたかもしれない。

 国の推奨に応えたココア利用者の信頼を裏切った責任は極めて重い。失われた信頼の回復に国は全力を挙げて取り組まなくてはならない。

 ココアはスマホの近接通信機能を利用し、陽性者と濃厚接触した可能性を通知する。アプリをダウンロードしたスマホ同士が15分以上、約1メートル以内にあった場合が接触とされる。検査で陽性と分かった人が手続きすれば2週間以内に接触したスマホを通じて利用者に通知される。

 これまでココアは約2460万件がダウンロードされた。このうちアンドロイド版は約770万件。このほか米アップルのiPhone(アイフォーン)版もある。陽性登録は計1万人超あった。

 障害の原因となったバージョンアップから4カ月間、厚生労働省はなぜ不具合に気付くことができなかったのか。そこにこそ大きな問題がある。

 障害の原因となったプログラムミスは11月末時点で、インターネット上で指摘されていた。さらに年末以降は会員制交流サイト(SNS)で不具合が話題となり、業者が調査を開始していた。一方、厚労省が事態を把握したのは今年1月。「対応は開発業者に委託」との姿勢ではあまりに無責任ではないか。

 バージョンアップ時の動作試験は「濃厚接触があった」との情報を直接ココアに送って実施しただけ。模擬的なテストだけで、スマホから利用者に接触通知が届くかどうかを確かめていなかったのは大きな手抜かりといえよう。

 ココアは利用者が増えなければ感染拡大防止の効果を上げるのが難しい。つまり国民の信頼と協力をなくしては役立つツールにならない。その土台が揺らいでしまったのは残念だ。

 不具合を長期にわたって放置していた厚労省の対応は、政権の掲げるデジタル化推進の看板も傷つけた。菅義偉首相には「徹底調査して対応するのが私の役割だ」との国会答弁の通り、厳しい対応が求められる。

 厚労省はココアの作動状況などを確認するための専門家を増員する一方、今月中旬にも不具合を解消するとしている。アプリの改善対策はもちろんだが、原因や責任の所在を明らかにした上で再発防止策を示すべきだ。それなくしては失墜した信頼の回復は到底かなわない。



接触アプリ障害 業者任せの姿勢が過ぎる(2021年2月9日配信『新潟日報』-「社説」)

 対応を業者任せにし、不具合を放置するようでは無責任だ。政府の呼び掛けに応じて協力した国民の信頼も損なう。

 国が導入した新型コロナウイルスのスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」が一部で4カ月間、陽性者と接触した通知が届かない状態になっていた。

 この事態について、菅義偉首相は5日の衆院予算委員会で「大変申し訳ない」と陳謝した。

 対策の鍵として導入した仕組みが機能しなくては意味がない。首相は急いで体制を立て直してもらいたい。

 ココアでは、利用者同士が1メートル以内の距離に15分以上いると「濃厚接触の可能性がある」とみなされ、互いのスマホに2週間、記録が残る。検査で陽性が分かった人が手続きをすると、スマホに通知される。

 ところが、昨年9月28日にアプリをバージョンアップした際に障害が発生し、ダウンロードされた約2484万件(2月4日現在)のうち、約3割が使うアンドロイド版で通知が届かない不具合が生じていた。

 年末から年始にかけて「感染者と接触があったのに通知が来なかった」という報告が会員制交流サイト(SNS)上などで相次ぎ、アプリ担当会社の調査で明らかになった。

 多くの技術者が閲覧するインターネット上のサイトでは、昨年11月末にココアのプログラムにミスが指摘され、12月にはその分析も掲載されていた。

 しかし厚生労働省は今年1月までその指摘を把握できておらず、「対応は開発業者に委託している」としていた。

 昨年9月のバージョンアップでは、実際にスマホを使った確認作業もしておらず、模擬的なテストだけで済ませたため、障害に気付かなかったという。

 最終的な確認作業を怠るとは考えられないミスだ。厚労省は「速やかに使ってもらうことを重視した」と弁明するが、検証態勢には明らかに不備がある。

 ココアはそもそもトラブルが多い。導入は昨年6月で計画より1カ月遅れた。その後も感染者が陽性登録できないといった不具合が相次ぎ、バージョンアップは計7回に及んでいる。

 こうした経緯を踏まえれば、厚労省は頻繁にサイトを確認するなど主体的に情報を収集し、アプリの品質をチェックする必要があったはずだ。

 再発令された緊急事態宣言は8日、10都府県で延長された。新規感染者は減少傾向にあるとはいえ収束にはまだ遠い。

 感染拡大で逼迫(ひっぱく)している保健所の負担を軽減するため、首都圏では濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」を大幅に縮小して運用し始めた自治体もある。

 そうした中で濃厚接触の可能性をいち早く知るために、ココアはより重要性を増している。

 アプリを確実に機能させ感染拡大を防ぐことは国民の安心につながる。政府はそのことを肝に銘じ、しっかりとした運用を心掛けてもらいたい。



計画は計画通りに進まない(2021年2月9日配信『神戸新聞』-「正平調」)

 計画は計画通りに進まない。歯車がたった一つかみ合わなかっただけですべてが台無しということもよくある。「計画とはできないことを並べたリスト」だと、意地悪く言う人もいる

◆新型コロナワクチンの接種スケジュールを伝えるニュースが日ごとに増え、かつ具体化してきた。来週には医療従事者1万人への先行接種が始まり、高齢者への接種を4月上旬からと見込む自治体も多いという

◆まあその通りにいけばいいが、政府の方針はころころ変わるし、受ける側としてはおおまかな目安くらいに考えておきたい。何しろ、規模としては空前の集団接種計画である。多少なら、目算外れもあるだろう

◆あえて甘めに計画をたてて実行しても、1カ月もたてばそのうちの2割はできていないもの-。自身の体験から、作家の阿刀田高さんはそれを「こぼれの法則」と名付けた。言われてみれば、確かに実感に近い

◆とはいえ、スマートフォン向け接触確認アプリの不良を長らく見過ごすなど、この頃の厚生労働省はちょっと大きな「こぼれ」が目立ちはしないか。これでは難題の多いワクチン計画の行く末だって案じられる

◆不測の事態や混乱もあろうが、こぼれは最小限に。でないと、コロナ政策への信頼も人の心からこぼれゆく。



接触アプリの不具合 政府の本気度疑われる(2021年2月9日配信『中国新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス対策でスマートフォンに取り入れるよう、政府が国民に活用を勧めてきた接触確認アプリ「COCOA(ココア)」が昨年9月から4カ月にわたり、不具合なまま放置されていた。

 厚生労働省が昨年6月に運用を始めたアプリである。陽性と判定された利用者が登録すると、過去2週間以内に1メートル以内で15分以上、接触した別のアプリ利用者に通知が届く仕組みのはずだった。その通知機能が、利用者の約3割には働いていなかったという。

 非常時だというのに、緊張感を欠いた失態である。感染封じ込めに対する政府の本気度が疑われるのも無理はない。

 既にダウンロードされた2500万件近くのうち、不具合が見つかったのは約770万件のアンドロイド版だ。重症化リスクの高いシニア世代もよく使っている基本ソフトだけに、信頼失墜の罪は重い。

 厚労省の説明では、委託業者が昨年9月にアプリを改修した際、障害が生じた。うまく直ったかどうか、端末で試すことも怠っていたという。

 責めを負うべきなのは、業者に任せきりにした厚労省の姿勢にとどまらない。そもそも開発当初のアプリには不具合が付き物なのに、なぜ4カ月間も捨て置かれていたのだろう。

 「接触家族や知人が感染したのに通知が届かない」といった疑問や苦情の声は、すでに昨年から報道や会員制交流サイト(SNS)で上がっていた。本年度だけで約2億5千万円もの公費を投じる事業の割に、対応の感度があまりに鈍い。

 これでは、接触確認アプリの普及が伸び悩んでいるのも仕方あるまい。

 普及率の数値目標を厚労省はいまだに示さないが、海外の研究者によれば、十分な効果を得るには少なくとも人口の60%前後が望まれるという。国内では、まだ20%にも満たない。また、肝心なコロナ陽性者の登録にいたっては、わずか約2%にとどまる。いつ、どこで、誰と接触したか、国にも分からぬようプライバシーに配慮したにもかかわらず、である。

 信頼感なくして、人は動くまい。アプリの利用でも同じだろう。低迷する普及率や陽性者登録の数字は、むしろコロナ対策に対する信頼度と、政権は受け止めるべきだろう。

 一連の対応について、菅義偉首相が「お粗末」と認めたのは当然として、厚労省には根深い病根が巣くっていると疑った方がいいのではないか。

 というのも、コロナ関連行政のお粗末ぶりは今回に始まったことではないからだ。陽性者の報告を当初はファクスで保健所や医療機関から求めていたり、雇用調整助成金のオンライン申請が滞ったりと目に余る。

 今回のアプリ導入でさえ、この始末である。国民全てに対するコロナワクチンの集団接種という、前例なき難事業を任せるには不安が拭えない。国民全員分の数量の確保を今年前半までに、とのハードルは高い。

 ワクチンには国民の命と健康が懸かる。流通と接種にスピードと公平性の両立が求められ、体制整備は言うほど簡単なものではあるまい。「国民のために働く内閣」を金看板にする菅政権の正念場である。 



【接触アプリ障害】感染防止へ真剣さ足りぬ(2021年2月9日配信『高知新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、政府が普及を図るスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」で昨年9月、障害が出た。ところが、所管する厚生労働省は4カ月余りたった今月、障害についてようやく明らかにした。その障害の原因が昨年11月にインターネットで指摘されていたことも分かった。

 菅義偉首相が衆院予算委員会で「お粗末だった。緊張感を持って対応する」と陳謝はしたが、組織の緩み具合にあきれるしかない。
 政府は国民に不要不急の外出、移動の自粛、飲食店の営業時間短縮などを求めている。大勢の人が生活の中で犠牲と不便を強いられつつ、早期の収束へと協力を続けている。

 アプリに関しては広く利用を呼び掛けた上での度重なる失態である。感染防止に果たして本気で臨んでいるのか、政府の根本的な姿勢が問われる。

 このアプリは近距離無線通信「ブルートゥース」を使って、利用者同士が1メートル以内の範囲に15分以上いると「接触」と判断する。検査で陽性と診断された人があらかじめ登録していれば、陽性の人と接触した記録のある人に後で通知が届く。プライバシー保護のため具体的にいつ、どこで誰と接触したかは分からない仕組みになっている。

 しかし、利用者の約3割が使うアンドロイド版で、感染者と接触したはずだが通知が来ないという報告が会員制交流サイト(SNS)などで相次いだ。

 この障害の原因となったプログラムミスに関する指摘が、多くの技術者が閲覧するサイトに11月に投稿されていた。

 SNSで障害の話題が広がったことから、開発業者が調べた結果、障害発生とサイトで指摘されていることが分かった。厚労省は「対応は開発業者に委託している」としてサイトの件は把握していなかった。

 情報技術を活用したものには不具合の可能性が付きまとう。ミスもあり得よう。ただ、このアプリは命に関わる疾患への対策として開発された。万全の態勢が不可欠だったはずだ。厚労省は委託業者任せで放置したと言われても仕方ない。

 アプリは昨年6月、クラスター対策強化のためとして登場した。当時の安倍晋三首相が「人口の6割近くに普及すればロックダウン(都市封鎖)を避けることが可能になる」と利用を呼び掛けた。

 だが利用は現在、約2500万件と6割にほど遠く、陽性確認は約40万人だが登録は約1万件にとどまっている。利用が広がらないことには、感染拡大防止への効果は上がらない。性能が信頼されなければ普及が進むはずもない。信じて利用していた人にしてみれば、裏切られた気分だろう。

 国民の大多数は、先行きの見えないコロナ禍に不安なまま日々過ごしている。政府は国民が安心できるよう真剣に取り組む必要がある。漫然とした対応で不安をこれ以上膨らませてはならない。



COCOA不具合 早急に再発防止の体制を(2021年2月9日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ手段として厚生労働省が推奨してきたスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の一部で、陽性者との接触が通知されない不具合が、4カ月放置されていた。

 アプリへの対応を開発業者任せにして、厚労省が実機での動作確認を怠っていたのが原因とみられる。特別定額給付金の手続きを巡るトラブルに続き、デジタルによるコロナ対策の信頼を揺るがす大失態だ。「第3波」での新規感染は減少傾向とはいえ、国や自治体独自の緊急事態宣言は延長されている。システム修正と再発防止の体制を早急に整える必要がある。

 COCOAは、スマホの近接通信機能を利用して、感染者と濃厚接触した可能性を通知する。安倍晋三前首相時代の昨年6月に導入され、感染経路の追跡に有効とされている。米アップルのiPhone(アイフォーン)版とアンドロイド版があり、ダウンロード総数は約2500万件。今回の不具合は3分の1を占めるアンドロイド版で起きた。

 9月末のバージョンアップ時に潜んでいたプログラムミスを見落とし、陽性者との接触通知が送られなくなっていた。11月末にインターネットの技術系サイトで指摘があり、年末には会員制交流サイト(SNS)でも投稿が相次いだため業者が調査開始。厚労省は業者からの報告を受け、今年1月ようやく事態を把握した。

 この時期には首都圏を中心に感染が急拡大していた。早期にシステムを修正していれば、感染抑制の効果を発揮できていた可能性もある。最初の指摘を受けてから、なぜ即座に確認作業へとつなげなかったのか。厚労省は今後、アプリ品質の確認をできるよう専門家を増員する考えだが、業者との役割分担なども含め、不具合放置の詳しい検証を行い、対策を練ってもらいたい。

 スマホアプリには多少の不具合がつきものとはいえ、今回のケースでは初動対応が遅れ、どれだけの人に陽性者との接触通知が送れなかったのかも把握できていない。「速やかに使ってもらうことを重視していた」(厚労省)という事情があるにせよ、緊急性の高いアプリとして致命的なミスを招いた。菅義偉首相は「お粗末だった」と陳謝したが、菅首相が重要施策としている「行政デジタル化」への信用低下は避けられないだろう。

 マイナンバーカードを含め、政府のデジタル政策は、システムが完成すればそれで終わりという印象が強い。平井卓也デジタル改革担当相は、9月のデジタル庁創設後はCOCOAのようなアプリは「自ら開発し、責任をもってやりきる」と述べたが、従来の各省庁のシステム対応すべてを新組織に丸投げするわけにもいくまい。

 政府全体で情報通信技術(ICT)分野での知識や理解を深め、システム導入後のメンテナンスに努めなければ、トラブルは減らせないのではないか。





古い映画などで炭鉱従事者がカゴに入ったカナリアを連れて坑道…(2021年2月8日配信『東京新聞』-「筆洗」)

 古い映画などで炭鉱従事者がカゴに入ったカナリアを連れて坑道を進んでいく場面にお目にかかることがある。いわゆる、「炭坑のカナリア」である

▼人間よりも有害ガスに敏感なカナリアが衰弱すれば、危険な場所ということが分かる。動物を使うあたり、古い方法かと思えば、存外新しく、広まったのは1910年代という。80〇年代以降は性能が高く、安価な検出器が使用され、カナリアはお役御免になったそうだ

▼どうやら、わが国の「カナリア」は危険を教えてくれないらしい。新型コロナウイルス対策のスマートフォン向けの接触確認アプリ「COCOA」のことである。不具合のせいでアンドロイド版のスマートフォン利用者には感染者と濃厚接触していた場合でも、通知されていなかったそうだ

▼厚労省もよほど、お忙しいのだろう。昨年9月からの不調が最近まで分からなかったという。「COCOA」という名の炭坑のカナリアはとうに息絶えていたが、利用者はそれを知らされぬまま危険な炭坑を歩き回っていたということか

▼<歌を忘れたカナリヤはうしろの山にすてましょか>。古い童謡の「かなりや」(西条八十作詞)が浮かぶ。危険を教えてくれぬアプリならば「うしろの山に」と言いたくな

る▼不具合の解消は3月中旬の見通し。感染のピークには間に合わなかった、冷めた、「COCOA」である。





接触確認アプリ 政府は不具合放置を猛省せよ(2021年2月7日配信『読売新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ重要な手段として国民に利用を呼びかけながら、4か月も不具合を放置していた。厚生労働省の対応は怠慢のそしりを免れない。

 感染者と接触した可能性を知らせるスマートフォン用の接触確認アプリ「COCOA(ココア)」について、利用者の3割が昨年9月から機能を使えない状態に陥っていると厚労省が発表した。

 昨年6月の導入後にダウンロードされた約2460万件のうち、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」用の約770万件で、感染者との接触があっても通知が届かない障害が続いているという。

 ココアは、スマホの近距離無線通信機能「ブルートゥース」を使い、「1メートル以内、15分以上」の利用者同士の接触をスマホに記録する。感染した利用者が管理システムに登録すると、14日以内の接触履歴がある人に通知が届く。

 通知を受けた人がPCR検査や外出自粛などを行えば、昨秋以降の感染拡大期に一定の効果を期待できたのに、機能しなかったことになる。菅首相が陳謝し、徹底調査の方針を示したのは当然だ。

 不具合は、委託業者が9月にアプリを改修した際に生じたという。改修に伴う障害はしばしば起きることだが、発注者の厚労省は業者任せで、動作確認を実際の端末で行うことを怠っていた。

 SNS上では「感染者と接触したはずなのに通知が来ない」という声が広がっていたが、1月に報道や国会で取り上げられるまで調査せず、事態の把握が遅れた。発注者としての責任感が欠如していたといわざるを得ない。

 ココアの利用は任意だ。個人情報保護への配慮から、誰に通知したかといった情報を政府は把握できない。その分、アプリの動作をしっかり管理し、機能を周知して普及を図るべきなのに、自ら信頼を落としているのではないか。

 普及率や陽性者の登録数は低調なままだ。政府は東京五輪を見据えて訪日客にも活用してもらうことを想定しているが、これではおぼつかない。

 厚労省は、感染状況を国と自治体が共有するシステムや雇用調整助成金のオンライン申請でも、使い勝手の悪さなどを批判された。システム構築を急ぐあまり、業者の管理や現場の声を聞く姿勢が不十分だったと指摘されている。

 コロナワクチンの流通でも信頼できるシステムが必要になる。厚労省は、これ以上失態をくりかえしてはならない。



デジタル化の足元(2021年2月7日配信『愛媛新聞』-「地軸」)

 マスクなど保健用消耗品は8割増。冷蔵庫や炊飯器などの買 い替えが活発になったのは巣ごもり需要だろう。総務省の2020年家計調査で新型コロナウイルスの影響がくっきり

▲スマートフォンでも。米調査会社によると日本で多くダウンロード(DL)されたゲーム以外のアプリはビデオ会議「Zoom(ズーム)」、食事宅配サービス「ウーバーイーツ」が上位に。1位はコロナ感染者と濃厚接触した可能性を知らせる「COCOA(ココア)」。DL数は現在約2500万件

▲その約3割に当たるアンドロイド版で昨年9月末から接触通知が届かない障害が起きている。安倍政権がクラスター対策の鍵として6月に導入したが、トラブル続き。今回はバージョンアップの際、スマホで実際に検証せず見落としていた

▲11月にネット上で既に障害が指摘されていた。年末年始に「接触があったのに通知が来なかった」と会員制交流サイト(SNS)などで報告が相次ぎ、アプリ管理業者が確認。政府が今月発表した。コロナ対応での後手後手ぶりがここでも

▲政府は利用を呼び掛けてきた。1万人以上が感染を知らせるために陽性登録したが、水泡に帰してしまったケースは少なくないだろう。菅義偉首相が認めたように「お粗末」な運用

▲菅政権が看板政策に掲げるデジタル化の足元がおぼつかない。推進に躍起のマイナンバー制度などデジタル化への不安や不信は募る。





失った信頼は小さくない(2021年2月6日配信『東奥日報』-「天地人」)

 新型コロナ感染対策の「切り札」として昨年6月に導入されたのがスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」。ところが昨年9月以降、約3割の利用者に感染者と「濃厚接触した可能性」を示す通知が届いていなかった。不具合の見過ごしが4カ月間にも及ぶとは目に余る。

 ココアは、検査で陽性が判明した利用者が登録すれば、その人と2週間以内に接触した利用者に通知が届く。人手不足に悩む保健所などの業務を補えるという触れ込みから、県もイベントなどの参加者に活用を呼びかけてきた。しかし、これまでも不具合などで7回も改修を重ねており、全国的に普及は進んでいない。

 今回の不具合もアプリ更新の際、スマホを使ったテストを怠り、障害を見落としたというお粗末さ。しかも、原因となったプログラムミスは昨年11月末にインターネット上で指摘されていたにもかかわらず、業者任せの厚生労働省は今年1月まで把握できなかった。

 デジタル化を看板政策の一つとする菅義偉首相は「大変申し訳ない」と陳謝し、再発防止を誓った。今月中旬までに改善するというが、失った信頼は小さくない。

 全国民へのワクチン接種をめざす一大プロジェクトでは、マイナンバーを活用して接種情報を一元管理するシステムを作るという。ワクチンに関することは、不具合ではすまされまい。



接触アプリの不具合 感染抑止への姿勢を疑う(2021年2月6日配信『毎日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス禍に伴う緊急事態宣言の下、感染対策で政府の大失態が明らかになった。

 感染者と濃厚接触した可能性を知らせるスマートフォン向けアプリ「COCOA(ココア)」で、約3割の利用者への通知が機能しない不具合が発生し、4カ月以上も放置されていた。

 1メートル以内で15分以上接触した人が陽性と確認された場合、通知する仕組みだ。だが、米グーグル製基本ソフト、アンドロイドを搭載したスマホでは、この条件に当てはまっても「接触なし」と誤って判断される状態だった。

 厚生労働省によると、昨年9月末にアプリを改修した際に設定を誤った。保守を受託した業者が実際の端末で動作確認しておらず、発見が遅れたという。厚労省も先月25日に報告を受けるまで「気付かなかった」と説明している。

 しかし、技術者が利用するネット上のサイトでは昨年11月下旬にプログラムミスが指摘されていた。厚労省自身がココアの改善に役立てるため、技術情報をこのサイトに公開していた。

 年明け後はSNS(ネット交流サービス)上に「家族が感染したのに通知が来ない」などといった苦情が多数投稿されていた。

 先月中旬には野党議員が国会で不具合を問いただしている。だが、厚労省の担当者は「スマホの無線通信機能をオフにしていたことも考えられる」と、利用者に非があるかのような答弁をしていた。

 致命的な欠陥をこれほど長く放置したのは言語道断だ。ココアの運用まで業者に丸投げしてきた結果ではないか。

 政府は昨夏、「感染対策の切り札」としてココアを導入した。これまでも不具合を重ねてきたが、2500万人近い国民が利用している。感染抑制に協力したい思いからだろう。年末年始にきちんと機能すれば、クラスター(感染者集団)対策に役立ったはずだ。

 菅義偉首相は厚労省の対応を「お粗末だ」と認めたが、徹底して原因を究明しようとする姿勢はうかがえない。

 不具合は今月半ばまでに解消されるという。だが、失態の教訓が今後の感染対策に生かされなければ意味がない。さもなければ、国民の不信は深まるばかりだ。





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