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(論)性的少数者の権利(2021年2月8日・3月27日・4月7日)

カミングアウト(2021年4月7日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 「カミングアウト」という言葉がある。自分の秘密を打ち明けること。一般的には性に関することが多い。出自や病気など誰にでも一つくらい、他人に知られたくない秘密、あまり見せたくない弱みはあるだろう。でも、オープンにしたことで気持ちが楽になることはある

◆きょうから「ライフ面」で連載を始める。6年前のきょう、筆者を襲った「脳出血」からの職場復帰を振り返る。左半身麻痺(まひ)という、中途障害者となったわが身を題材にすることを不快に思う人がいるかもしれない。だが、病気やけがはお互いさまだし、この世に一人として同じ人間はいない

◆童謡詩人金子みすゞさんの「わたしと小鳥と鈴と」に出てくる「みんなちがって、みんないい」の言葉には、多様性を認め合う大切さが込められていると思う。自分はもちろん、一人一人が大切な存在だと再認識したい

◆カミングアウトは悩んだ末の告白で勇気も必要なため、親しい人から順に行うことが多く、打ち明けられた人は単純に聞いてあげるだけでいいといわれる。その秘密を他人に話すのは「アウティング」といわれ、これは許されない行為。近年、条例で禁止する自治体も増えてきた

◆筆者の場合、カミングアウトというほど大げさなものではないが、せめて「みんなちがって、みんないい」社会への一助になればと思う。





[性の多様性尊重条例] 少数者の人権守る力に(2021年3月27日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 性の多様性の尊重に特化した条例が県内で初めて可決された。

 LGBTの人ら性的少数者への差別を禁じた浦添市の「性の多様性を尊重する社会を実現するための条例」だ。10月に施行される。

 条例は、前文で「人には多様な性の形があり、誰もが自分らしく生きていく権利がある」とうたう。職場や教育の場など社会のあらゆる分野の活動で、性の多様性の尊重を求めている。

 性的少数者への理解は社会の中で少しずつ深まっているものの、まだ十分ではない。差別や偏見にさらされやすい現状を人権問題としてとらえ、浦添市が条例を定めた意義は大きい。生きづらさを感じている当事者を勇気づけるものだ。

 注目したいのは、性的少数者であることを本人の意に反して公表したり、本人に公表を強要したりすることなどを人権侵害として禁じた点だ。

 性的指向や性自認は極めてデリケートな事柄である。それを本人に同意なく第三者へ暴露することは「アウティング」と呼ばれ、深刻な問題となっている。

 東京都内で2015年、男子大学院生が同性愛者であると同級生に暴露された後に転落死した事案があり、それを機に社会問題化した。

 全国の当事者約1万人を対象にしたインターネット調査では、約25%がアウティングされた経験がある、と答えている。「職を失ったり不登校になったり、居場所を奪うことになりかねない」と当事者団体は危険性を指摘しており、対策は社会的な要請だ。

■    ■

 国は昨年6月施行の女性活躍・ハラスメント規制法の指針で、アウティングをパワハラと規定した。大企業には防止対策を義務付けているが、職場以外に規制はない。

 東京都国立市や豊島区などがアウティング禁止条例を制定し、都道府県では初めて三重県で4月の施行が決まった。

 ただ、条例を制定しただけで被害をなくすことは難しい。学校や家庭、社会への啓発活動、被害が発生した際の相談体制の整備など、実効性を高めるための施策が欠かせない。浦添市も今後の取り組みが重要になってくる。

 浦添市の条例には、同性のカップルらを公的に認めるパートナーシップ制度の導入も盛り込まれている。市は市営住宅の入居対象者の見直しを検討するという。自分らしく生きたいと願う当事者の権利保障につなげてもらいたい。

■    ■

 県も性の多様性尊重宣言「美ら島 にじいろ宣言」を発表した。「多様な性を理由とする偏見・差別やあらゆる種類の暴力を許さない」などの意思を示し、県民全体で共有するとしている。

 県による県民意識調査では回答者の4・6%が自分の体の性や心の性、性的指向に悩んだことがあると答えた。県は相談窓口を新たに開設するが、条例制定など、より踏み込んだ対策も求めたい。

 国の積極的な対応も問われる。包括的なアウティング防止策を含め差別解消に向けての法整備を検討すべきだ。





【パートナー制度】性的少数者の権利守ろう(2021年2月8日配信『高知新聞』-「社説」)

 高知市が今月から「パートナーシップ登録制度」の運用を始めた。申請した同性カップルらを男女の夫婦と同等の関係と認める。
 全国の自治体に広がりつつある仕組みで、高知市の導入は国内で75番目、県内では初めてである。

 多様な性のあり方を認め、性的少数者の権利を守る。県内でもその流れが生まれ、施策の第一歩が踏み出されたことを評価したい。

 性的少数者とは、同性愛者のゲイやレズビアン、出生時の性別と自認する性別が異なるトランスジェンダーらの総称である。

 多くの場合は思春期の頃に気付くものとされる。趣味や嗜好(しこう)の問題ではなく、当然ながら治療の対象でもない。

 電通の全国調査では、性的少数者に該当する人は約9%に上っている。ただし、そのうち約65%が「誰にも打ち明けていない」とも答えている。差別や偏見を恐れて「ありのままの自分」を周りに伏せている性的少数者は多い。社会が理解を進めることで、彼らの生きづらさを解消しなければならない。

 パートナー制度は2015年の東京都渋谷区などを皮切りに広がった。都道府県レベルでは茨城県、大阪府、群馬県が導入している。

 高知市では、当事者らのNPOが要望し、署名活動も展開して実現した。同市は昨年11月に「にじいろのまち宣言」を行い、多様な性のあり方を尊重する自治体であることを対外的に示してもいる。

 具体的には、登録カップルは市が行う公共サービスで夫婦と同じ扱いが受けられる。市営住宅の入居時に親族と認めるなどだ。利点は限定的だが、当事者は公的に自分たちの存在が認められた意義を感じている。

 登録第1号の女性カップルは「これまで『見えない存在』として暮らしてきた。少しずつ理解されるようになってうれしい」と話している。

 「家族」として共に生きている同性カップルも、その絆は男女の夫婦と変わらないはずだ。しかし、自分たちの関係がなかなか認められない社会の状況に苦しんでいる。

 欧州を中心に同性間の法律婚を認める国や地域が増えている。菅義偉首相は「家族のあり方の根幹に関する問題」と慎重な姿勢だが、日本でも国政レベルで議論を始める時期に来ているのではないか。

 日本の同性カップルは法律婚ができず、相続などで不利益を被っている。その現状に目を向け、人権の問題として取り組む必要がある。

 併せて、性的少数者への差別や偏見をなくさなければならない。

 どのような性別の人を好きになるか。自分の性をどう認識しているか。そうした「性的指向」や「性自認」を本人の同意なく暴露する「アウティング」が問題になっている。

 暴露された人が命を絶つケースもある。三重県のように禁止する条例の制定を目指す自治体も出てきた。

 性的指向や性自認は、その人の尊厳に直結している。からかいや嘲笑を許さない意識改革が急がれる。




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