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議長交代発言 立法府軽視は許されぬ(2019年7月31日配信『中国新聞』ー「社説」)

 自民党の萩生田光一幹事長代行が、憲法改正の論議が滞るようなら、大島理森衆院議長を交代させる必要があるとした発言が波紋を広げている。

 一議員でありながら、自らの党から出している衆院議長の議事運営に注文を付けた上、交代論にまで言及するとは勘違いも甚だしい。

 立法府を軽んじ、三権分立の理念をも踏みにじるような暴言といえよう。とても容認できることではあるまい。

 萩生田氏は安倍晋三首相の側近として知られている。参院選前には「消費税増税の延期論」や「衆参同日選の可能性」に言及するなど、首相の威を借りた発言を繰り返してきた。

 今回の発言も改憲議論に前のめりになっている首相の意向を忖度(そんたく)する思惑があったと見られても仕方あるまい。

 萩生田氏の発言は26日夜のインターネット番組でのことだ。衆参憲法審査会の議論が低調だとして「憲法改正するのは総理ではなく国会で最終責任者は議長だ」と主張。「なかなか動かなければ、有力な方を議長に置き、改憲シフトを国会が行うのは大事だ」などと述べた。

 野党だけでなく、与党から反発や疑問の声が相次いでいるのも当然だろう。

 自民党の高市早苗衆院議院運営委員長は「萩生田さんが議長を交代できるわけではない」と突き放し、「議長は憲法審だけを見ているわけではなく、衆院全体の運営に責任を持っている」と批判した。

 二階俊博幹事長から注意を受け、萩生田氏は「言葉足らずで誤解を与えた」と釈明したという。それで済まされる問題ではなかろう。

 萩生田氏は4月にも「新しい(令和の)時代になったら、少しワイルドな憲法審査を進めたい」などと発言。野党の猛反発を受けて陳謝したが、また同じような発言を繰り返した。

 党としても、国会への介入と受け止められる発言の意図を明らかにし、萩生田氏に対し何らかの処分が必要ではないか。

 そもそも衆院議長の人事に口出しすること自体、筋違いである。議長は与党から選出され、公正な議会運営をするため所属会派を離脱して就任するのが慣例だ。審査会など個別の委員会に審議を働き掛けるようなことはほとんどしない。

 さらに大島議長の任期は衆院議員の任期と同じ2021年までで、解散されるまで議長を務めるのが筋である。健康問題で交代した事例はあるが、職務を巡っての辞任となれば異例の事態だ。

 にもかかわらず、議長交代に踏み込んでまで改憲にこだわる真意はどこにあるのか。

 大島議長は昨年10月、首相が加速を目指す改憲論議について「できるだけの合意形成をつくりながら進めていかなければならない」と注文を付けた。議長として当然の判断といえるが、こうした発言にいら立ちでも感じたのだろうか。

 参院選で自民党は議席を減らし、改憲勢力は3分の2を割り込んだ。各種の世論調査からも改憲は喫緊の課題ではないことは明らかだ。

 政府・与党はまず民意と向き合いながら、立法府の役割を再確認し、落ち着いて議論できる環境を整えるべきだ。





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Author:gogotamu2019
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