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オンライン手話講座人気 聴覚障害者にマスクが苦境 「伝えたい意識大切に」(2021年2月13日配信『産経WEST』)

 新型コロナウイルス感染予防のために多くの人がマスクをするようになり、相手の口元や表情を見ながらコミュニケーションをとる聴覚障害者にとって厳しい状況が続いている。そんな中、手話を使った演劇などを行う「手話エンターテイメント発信団oioi(オイオイ)」(大阪市)が今月から、オンラインでの手話講座を始めた。「相手に気持ちを伝えようという意識を大切にしてほしい」。手話だけでなく、そんなメッセージも伝えている。(木ノ下めぐみ)

学ぶ場が激減

 「人さし指と親指を閉じてあごの下に持ってきて離す。これが『嫌い』。表情も意識してみてください」

 3日に開かれたオンライン手話講座。講師を務める聴覚障害者の中川綾二さん(31)がそう言葉を発しながら手話を示した。後ろのメンバー2人がおどけたような様子で中川さんに向かって顔をしかめ、「嫌い」の手話。すかさず中川さんが「僕に、じゃなくてあっち(画面の向こうの受講者)に見えるように」と画面を指差す。軽妙なやりとりに、受講者らから笑みがこぼれた。

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オンライン講座で、表情豊かに手話を教えるオイオイのメンバーら=大阪市淀川区(木ノ下めぐみ撮影)

 講座は全7回で、初回のこの日は秋田や東京、大阪など全国から10人が参加。「好き」「大丈夫」「お願い」などの手話を学び、音楽に合わせて手話を使うゲームや、手話の動作とともに大きく体を動かすオリジナルの手話体操も行った。

 オイオイの岡崎伸彦代表理事(38)によると、新型コロナの影響で、全国の手話サークルの多くが活動停止。長年手話を使った演劇などのパフォーマンスを披露してきた同団体でも、昨年の対面でのパフォーマンス活動はすべて延期となった。手話に関心を持った人が学ぶ場が減ってしまったという。

 こうした現状を打開しようと、オンライン講座を企画。SNSで参加者を募ると数日で定員を上回る申し込みがあり、キャンセル待ちも出た。現在は3グループで約30人が受講。難聴の長男(1)との会話のために参加した東京都の会社員、若松紗綾さん(31)は「思い切り体を動かし、楽しく手話が身につきそう」と喜ぶ。

表情も重要

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 コロナ下でのマスク生活によって、聴覚障害者やその家族は困難を強いられている。若松さんは長男に口元を見せて会話をするが、外出時にはマスクをするため口元を見せられない。両手で抱っこしていたら、覚えた手話を試すこともできない。「マスクがもどかしい」と若松さんはいう。

 オイオイのメンバーによると、たとえばコンビニでのやりとりは従来、店員の声掛けが定型だったため、唇の動きを読むなどして対応できたという。だが、現在はマスクで口元が見えない上に、昨年7月からのレジ袋有料化も重なり、やり取りのパターンが増えた。中川さんは「袋も箸も欲しかったのに、店員が何を話しているか分からず、もらえなかった」と苦笑する。

 たとえマスクをしていても、目を合わせ、表情豊かに接客してもらえれば、身ぶり手ぶりで要望を伝えることもできる。しかし無表情での接客だと意思が伝わりにくく、「このご時世でマスクは仕方ないけれど、本当に困っている。僕たちにとって表情はとても重要な情報なんです」(中川さん)。

 目元に感情をにじませたり、大きく身ぶり手ぶりで表したりする表現は耳の聞こえに関係なく、人とのコミュニケーションを円滑にする。手話では、手の動きだけでなく表情も重要な役割を果たしている。このため、岡崎代表理事は「手話によって、障害の有無にかかわらず、日常でのコミュニケーション能力が磨かれる」という。

 手話講座では「大切なのは相手に伝えようとする意識だ」とも教えている。手話ができなくても、口元が見えなくても、熱意があれば伝わるといい、岡崎代表理事はこう訴える。「障害やコロナを理由にコミュニケーションをあきらめないでほしい」



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Author:gogotamu2019
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