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(論)要配慮者の避難(2021年2月17日)

要配慮者の避難支援/共に助かる工夫と準備を(2021年2月17日配信『河北新報』-「社説」)

 長く激しい揺れに、10年前を思い出さずにはいられなかった。13日深夜に宮城、福島で最大震度6強を観測した東日本大震災の余震。犠牲者を出さなかったのは、震災後の心構えや準備が功を奏したからだと前向きに考えたい。

 津波は発生しなかったが、反射的に警戒した人は多かったはずだ。震災では60歳以上の死者が全体の約65%を占め、自力避難が難しい高齢者や障害者の犠牲が目立った。

 一方で避難をサポートした消防団員、民生委員らも亡くなった。支援が必要な人たちの救助と支援する人たちの安全確保の両立は、震災が残した課題の一つだ。次に津波が発生した際、共に助かる用意はできているだろうか。

 地域で救助や避難の要になるのは共助だ。震災発生後、津波が迫る沿岸部で避難の声掛けや誘導で力を発揮したのは、家族や地域住民ら身近な人たちだった。

 支援する側の準備は、ハザードマップなどで地域のリスクを把握し、避難先や避難経路を確認することから始まる。その上で高齢、肢体不自由、持病、視覚障害、聴覚障害の特徴を踏まえた避難誘導や情報伝達の方法を決める。

 支援を受ける側も準備が求められる。まずは被災時に自力で対応が難しいことを、周囲に知ってもらう必要がある。聴覚障害や持病によっては、見た目で分からない場合もある。家族と一緒に地域の防災訓練に参加すれば、防災の担い手に不安や悩みを相談するいい機会になる。

 さらに支援を生かす「受援力」も付けたい。できないことなどを記した「ヘルプカード」や「お薬手帳」を持ち歩いたり、補聴器、入れ歯など生活に必要なものはすぐ持ち出せるようにしたりすると、備えの相乗効果が増す。

 太平洋を臨む高知県黒潮町浜町地区が取り組む「日本一短い避難訓練」は、共助と受援力を生かす試みだ。住民が要配慮者宅を訪れ、お年寄りらが寝室や居間から玄関先まで屋内を移動する。たったそれだけのことだが、共に助かるための示唆に富む。
 まず、けがや動線の妨げになる屋内の危険を点検できる。倒れそうな家具、落下しそうなものを見付けたら、固定や置き場所の移動を促す。

 自宅からその先への避難にもつながる。支援者が1軒1軒回って声掛けしていては、逃げる時間が無くなりかねない。要配慮者がなんとか玄関先まで出ていれば、安否確認と避難誘導が一度にできる。

 日本一短い避難訓練を通して、住民は要配慮者の居住環境と同時に、支援がないと通常の避難訓練への参加が難しいことを知ったという。

 災害時の支え合いは日頃の交流の延長線上にあり、住民が助け合うことで、地域はより安心感が高まる。今回の余震を機に、地域で暮らすみんなが共に助かる方法を改めて話し合っておきたい。




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