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【点描・永田町】案里被告議員辞職の“権謀術数”(2021年2月21日配信『時事通信』)

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参院経済産業委員会に臨む自民党の河井案里氏(中央)=2020年6月9日、国会内

 「広島の乱」とも呼ばれた2019年参院選広島選挙区での巨額買収事件で逮捕・起訴され、1月21日に一審の東京地裁で有罪判決を受けた参院議員の河井案里被告(自民離党)が3日、議員辞職し、控訴も断念したことが政界に波紋を広げている。当初から「無罪」を主張し、公判で徹底抗戦を続けてきただけに、控訴期限(4日)直前のギブアップには「裏に何かある」(立憲民主党幹部)と勘繰る向きが多いからだ。検察側も控訴せず、案里被告の懲役1年4月、執行猶予5年の有罪判決も確定。これにより、案里被告の当選も無効となって参院広島選挙区の1議席は再選挙となり、4月25日実施の衆参統一補欠選挙に組み込まれる。その結果、現時点ではすでに決まっている衆院北海道2区と参院長野選挙区と共に「4・25決戦」は“トリプル選挙”となる見通しだ。

 そこで注目されるのが、菅義偉政権発足後初の国政選挙となるこの4・25決戦の勝敗と、それによる政局への影響だ。昨年末にダブル補選が決まったことを受け、年明けに自民党の下村博文政調会長が「両方負ければ政局になる」と発言、二階俊博幹事長を激怒させて謝罪したが、それ以来下村は「政局会長」と揶揄されている。

 これは、4・25決戦の勝敗が政権危機につながることへの首相や二階氏の強い不安の表れでもある。というのも、すでに補選実施が決まっている「鶏卵」汚職での吉川貴盛元農林水産相(自民離党)の議員辞職に伴う衆院北海道2区と、立憲民主党参院幹事長だった羽田雄一郎元国土交通相の死去に伴う参院長野選挙区は、いずれも野党側の勝利が確実視されているからだ。自民党はすでに北海道2区では不戦敗を決め、参院長野は候補を擁立するものの「野党側は故羽田氏の弟を擁立しての弔い選挙なので勝ち目はない」(地元県連)と諦め顔だ。

◇克行被告議員辞職の“ウルトラC”も

 ただ、2人区の参院広島は残る現職が立憲民主党所属議員で、自民党は「4年後の改選をにらむと、野党は強力な候補を出しにくく勝機は十分」(選対幹部)と読む。だからこそ、4・25決戦の全敗を回避したい自民の思惑が、案里被告辞職の背景にあるとみられるのだ。案里被告議員辞職の直前には、コロナ感染拡大による緊急事態宣言下での与党4議員の「銀座の夜遊び」が発覚し、それぞれ議員辞職や離党に追い込まれている。それだけに、事件発覚以来雲隠れを続けてきた案里被告に対する「歳費泥棒」(立憲民主幹部)との批判が加わることでの政権運営への打撃を恐れる首相や二階氏が、「水面下で案里被告に圧力をかけた」(閣僚経験者)との臆測も広がった。

 そこで、自民党内の一部でささやかれているのが案里氏の夫で元法相の河井克行被告(自民離党)の議員辞職説だ。克行被告の公判は途中で案里被告とは分離され、結審は今年度末以降とみられている。克行被告も徹底抗戦の構えだが、首相の元側近でもあり、「判決が出る前の3月15日までに議員辞職すれば、衆院広島3区も補選となる」(自民選対)からだ。克行被告の離党に伴い、すでに広島3区では与党統一候補として斉藤鉄夫・公明党副代表の擁立が固まっている。与野党全面対決の構図となるのは確実だが、圧倒的保守地盤とされる広島だけに「自公が一体となって戦えば負けない」(自民幹部)との声も多い。そうなれば「4・25決戦も自民の『2勝2敗』となって政権危機も避けられる」(同)という“ウルトラC”の策謀だが、「有権者に見透かされて、かえって傷口を広げるだけ」(自民長老)と冷笑する向きも少なくないのが実態だ

【政治ジャーナリスト・泉 宏




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