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(論)非正規(2021年2月22・25日・4月10日)

非正規の待遇を公正・透明に(2021年4月10日配信『日本経済新聞』ー「社説」)

働き方改革

 正社員と非正規従業員の不合理な待遇格差を禁じる「同一労働同一賃金」の制度が、4月から中小企業にも適用された。

 中小企業は雇用されている人の約7割が働く。制度が浸透すれば、非正規の人の処遇を改善する効果は大きい。中小企業の経営者に真摯な対応を求めたい。

 同一労働同一賃金は政府の働き方改革の柱の一つとして制度化された。基本給、賞与、各種手当や休日・休暇、教育訓練といった待遇全般について、仕事内容や責任の程度などに違いがないなら、雇用形態にかかわらず差をつけてはならないというものだ。昨年4月から大企業に適用された。

 基本給は能力、経験や成果が異なれば差を設けることが認められ、賞与も会社業績への貢献度に応じて額を決められる。このため非正規従業員の十分な処遇改善は進みにくいという指摘もある。

 だが大企業ではパート従業員らに賞与を支給し始めたり、正社員だけに出していた手当を廃止したりする動きが出ている。格差是正へ一定の効果はある。

 求められるのは公正で透明性の高い賃金決定の仕組みだ。正規、非正規を問わず、職務に応じて対価を明確にした賃金制度を整えることが望ましい。

 待遇格差をめぐる訴訟で最高裁は昨年、たとえば扶養手当について、契約社員でも養う家族がいて継続的な勤務が見込めるなら、支給が妥当とする判決を出した。賃金項目ごとに趣旨や目的を見極めての判断が定着してきた。

 経営者は正社員と非正規従業員の待遇の違いについて、明確な説明ができなければならない。同一労働同一賃金の制度で雇用主は、非正規の人から求めがあった場合、待遇差の理由の説明義務を負っていることを銘記すべきだ。

 非正規従業員の待遇改善の本筋は、仕事に必要なスキル(技能)を自ら高め、賃金の引き上げを積み重ねていくことだ。政府は職業訓練の充実など能力開発の支援に力を入れる必要がある。





休業支援の拡充 非正規救済へ周知進めよ(2021年2月26日配信『山陽新聞』-「社説」)

 従業員が休業手当を直接、国に請求できる「休業支援金・給付金」の対象を、中小企業だけでなく大企業で働く非正規労働者にも広げることを政府が決めた。

 労働基準法は休業が企業の責任である場合、平均賃金の6割以上を支払わなければならないと定めている。正規、非正規の区別はない。

 この手当を企業の申請に基づき政府が肩代わりする「雇用調整助成金」の制度もある。だが、新型コロナウイルス感染拡大による休業は「会社の責任でない」などとして支給されないケースが後を絶たず、看過できない状況だ。

 こうした労働者を救済するため、政府は昨年6月に労働者自らが申請する休業支援金・給付金を新設し、日額上限1万1千円で賃金の8割を支給することにした。ただ、大企業は雇用調整助成金を利用できるだけの事務能力があるとして、対象は中小企業の労働者に限られた。

 それ以降、正社員には支払っているが、パートやアルバイトには払わない大企業があるとの訴えが続発した。労働政策研究・研修機構が昨年8月に実施した調査では、勤務先から休業を命じられたが、休業手当が全く支払われていない非正規は33・4%で、正社員の2倍を超える。休業を命じられた割合も非正規の方が高く、待遇格差が改めて浮き彫りになったと言える。

 特に、緊急事態宣言後の短縮営業を巡り、シフトが決まっていない分は休業手当を支払う義務はないと通告したケースが問題となった。これに対し、政府の要請があったにせよ、最終的に休業するかどうかは企業の判断で、シフト勤務でもコロナ前の実態に応じて企業に支払い義務があると指摘する弁護士もいる。

 政府も支援に消極的だったと言わざるを得ない。今月初め、対象を大企業にも拡充すると発表したが、その期間を2度目の緊急事態宣言と同じ1月8日以降としたことに対し、「あまりにも対象期間が狭すぎる」などの批判を招いた。その後、同様に宣言発令中だった昨年4~6月分などの休業についても賃金の6割を支給すると決めた。

 その一方、休業手当を正社員にしか支払わないことは「同一労働同一賃金」の規定に違反する恐れがあるとして厚生労働省が手当の支給を求める通知を大企業に送っていたことも明らかになった。通知は昨年11月に全国の労働局に出され、少なくとも25の大企業に送付された。

 しかし、先月までに支払いに応じた企業はなく、実効性の確保も課題となった。今回、支援が拡充されるとはいえ、負担を逃れるための企業の安易な不払いが許されないことは言うまでもない。

 特例を重ねて仕組みは複雑になった。心配なのは、自分が対象であることを知らず、申請に至らない非正規労働者が出ることだ。制度の周知をもっと進めるべきである。





非正規休業補償 企業規模問わず適切な支援を(2021年2月22日配信『読売新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス流行の影響により、多くの非正規労働者が休業を迫られている。大手や中小といった企業の規模にかかわらず、必要な支援を講じたい。

 政府は、勤め先から休業手当が出ない従業員に支給する休業支援金について、中小企業の正規・非正規労働者に加え、大企業の非正規労働者の一部も対象とする方針である。シフト制などで働く人を加えるという。

 対象の拡大は妥当だろう。適切に運用すべきだ。

 会社の都合で仕事を休んだ人には本来、各企業から休業手当が支払われるが、実際には支給されないことも少なくない。

 このため、中小企業の従業員については、正規・非正規を問わず、昨年7月、1日1万1000円を上限に、国が賃金の8割を支給する支援制度が導入された。

 コロナの感染が拡大した昨年から、飲食店の営業時間短縮などにより、多くのアルバイトやパートが休業した。大企業は支援金の対象ではないため、大手飲食チェーンなどの従業員が救済されず、問題になっている。

 非正規で働く人には、家計を支えるひとり親や、学費や生活費を稼ぐ学生もいる。不安定な生活基盤を支えることが重要である。

 支給対象を広げる期間は原則として、緊急事態宣言と連動させる予定だ。今年1月以降と、初めて発令された昨年4月から6月の休業にも遡って適用するという。

 従業員が国に申請する際は、休業していたことやその期間について、勤め先に証明してもらう必要がある。国は、手続きを簡素化するとともに、企業に丁寧に説明し、使い勝手を良くしてほしい。

 ただ、支援制度は休業手当が出ない人を緊急避難的に救うものであることを忘れてはならない。支援金が出ることを理由に、休業手当を支払わない企業が増えるようでは本末転倒である。

 休業手当を支給した企業に対してはもともと、手厚い雇用調整助成金を出している。非正規雇用でも、1人について1日1万5000円まで補助される仕組みだ。

 政府は、助成金の活用を促し、非正規労働者にきちんと休業手当を支払うよう、企業に強く働きかけていくことが大切である。

 企業が従業員を解雇せず、休業にとどめる意義は大きい。人手不足の業種や成長産業での就業に向けた訓練を充実させると同時に、雇用を継続するための支援策をさらに検討してもらいたい。




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