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「音」ならおまかせ 初の視覚障害ナレーター専門事務所「みみよみ」(2021年2月22日配信『東京新聞』)

 音の世界で生きる人に自身の声を強みにしてもらおうと、視覚障害者専門のナレーション事務所「みみよみ」が昨年、全国で初めて誕生した。立ち上げたのは全盲の両親を持つ女性。視覚障害者の仕事の選択肢を広げるのが狙いだ。

 「みみよみ」を立ち上げたのは、新宿区の荒牧友佳理さん(35)。二年前からウェブサイトの企画運営会社を営んでおり、昨年六月、新規事業として「みみよみ」を始めた。

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「みみよみ」の荒牧友佳理代表

 きっかけは新型コロナウイルス禍。ヘルスキーパーとして企業でマッサージの仕事を担う視覚障害者が自宅待機になる例を聞き、在宅でもできる仕事として思い付いた。

 ともに全盲の荒牧さんの父は鍼灸(しんきゅう)院を営み、母は企業のヘルスキーパー。子どものころから、視覚障害のある両親の友人も皆「仕事が同じだな」と感じていた。はり・きゅうやあん摩マッサージ指圧師の国家資格を取り、手に職をつけて働く視覚障害者は多いが、コロナ禍では今後、企業での需要が減る可能性もある。

 見えない人はその分耳が良く、足音で人を判別したり、声色で相手の感情を推し量ったりできる。荒牧さんは「視覚障害者は、声が良いと学校でもモテるから意識しているという。録音は在宅でもできるし、声を生かしたナレーションの仕事は向いているのでは」と考えた。

 ナレーターは養成中を含め現在約30人。留守番電話の応答メッセージやインターネット教材の音声など、少しずつ仕事を請け負い活動を始めている。両親の知り合いなどに声を掛け、主婦や他の仕事をしている人も「やってみたい」と集まってきた。

 留守番電話の応答メッセージは数千円、株主総会や会社説明会などの事前収録のナレーションは約5万円の一律料金で受け付ける。「障害者だから」と同情的に仕事をもらうのではなく、質の高さで選んでもらいたい。今はまだプロと呼べるレベルのナレーターは数人で、今後、研修を重ね収録環境も整えていく。

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江東区の自宅で防音ボックス(右)と点字ディスプレー(下)を使って録音をする全盲の声優の北村直也さん

 江東区の北村直也さん(27)は三年前から既に声優として活動する主力のナレーターの一人だ。先天的に眼球が小さい病気で全盲。大学卒業後は企業でシステムエンジニアとして働いた後、以前から興味のあった声優となり、声優事務所に所属する。「アニメのアフレコは難しくても、できることはある」と訴えたのが事務所側に響いたという。

 自宅での収録はパソコンで行う。音声読み上げでパソコンを操作しつつ、文字データを点字で表示する機器で原稿を読む。パソコンとつないだマイクは、部屋に設置した防音ボックスの中。室内で音が反響し聞きづらくなると気づき、探した海外製のボックスだ。

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録音は防音ボックスの中で。音声は右下のミキサーを通ってパソコンに録音される

 北村さんは視覚障害があるのを初めは表には出していなかった。声優として仕事をもらえるようになってから全盲という特徴をツイッターなどで発信するようになり、荒牧さんの目にもとまった。「自分自身が『商品』となって勝負できるのは楽しい。声の細かいニュアンスから相手の気持ちを読み取れるのは強み」と話す。

 問い合わせはみみよみ=電050(5361)9475、メールmimiyomi@yururi.be=へ。

 文・神谷円香/写真・戸田泰雅



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