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嫡出推定見直し(2019年8月2日配信『宮崎日日新聞』ー「社説」)

◆時代の変化に広く目配りを◆

 離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定するなどと定める民法の「嫡出推定」規定を見直すよう法相から諮問を受けた法制審議会部会の初会合が開かれた。この規定は120年以上も前の明治時代、生まれた子の戸籍上の父親を早く確定させ、子の利益を図るために設けられた。しかし時代にそぐわなくなり、弊害が出てきた。

 例えば別居中か離婚直後、女性が別の男性との間に子をもうけると、300日規定で前夫の子とみなされる。これを避けようとして出生届を出さないと、子は無戸籍者になってしまう。住民票がなく、銀行口座も持てない。進学や就職、結婚などで不利益を強いられる。

 6月時点で無戸籍者は830人。約8割は嫡出推定が原因とされる。法務省の有識者研究会は先に、女性が離婚して300日以内に出産した子について、その時点で再婚していない場合は前夫の子、再婚していれば現夫の子とみなす―などとする見直し案を公表している。これも参考に議論が進められる。

 国連の女性差別撤廃委員会から完全廃止を勧告されている女性の再婚禁止期間や、生殖補助医療を巡る親子関係も論点になるとみられ、家族に関わる法制が変わる転機となるだろう。

 戸籍問題にとどまらず、女性の社会進出など時代の変化に広く目配りすることが求められる。離婚や再婚が珍しくなくなり、民法はさまざまな点で改正が重ねられてきた。

 2013年、結婚していない男女間の子の遺産相続分を法律上の夫婦の子の半分とする規定を削除、18年に男女の婚姻年齢が統一された。16年には女性の再婚禁止期間が6カ月から100日間に短縮された。しかし、嫡出推定規定は存続。結婚から200日経過後か、離婚から300日以内に生まれた子は婚姻中に妊娠と推定する制度だ。

 再婚禁止期間を巡っては、法制審が1996年に100日間への短縮を選択的夫婦別姓制度の導入とともに答申したが、保守派が「伝統的な家族観を壊す」と反発。「100日以上は違憲」とした最高裁判決を経て実現するまで20年かかった。

 さらに今回は嫡出推定否認の訴えを夫だけでなく母親や子にも認めるか、生殖補助医療で生まれた子にも嫡出推定は及ぶかなどの課題もあり、議論はより複雑になるだろう。

 先の参院選当選者に占める女性の割合は22・6%で前回より後退した。女性の社会進出の壁となっている制度の在り方にも検討を加える必要がある。




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