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(論)6府県の宣言解除(2021年2月27・28・3月1・2日)

6府県宣言解除 感染再燃防止に全力を(2021年3月2日配信『秋田魁新報』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い首都圏など10都府県に再発令されていた緊急事態宣言は、東海・関西圏と福岡の計6府県で3月7日の期限を待たずに前倒し解除された。東京をはじめとする首都圏の4都県について、政府は予定通り7日解除を目指す。

 新規感染者の減少や医療体制の逼迫(ひっぱく)がある程度抑制されたことを受けての判断だ。しかし感染者の減少ペースは鈍化しており、医療逼迫が解消したとは言い難い。政府は状況を慎重に見極め、感染防止に緩みが生じないようにするべきだ。首都圏を解除するかどうかについて適切かつ冷静な判断が必要だ。

 今回の緊急事態宣言は昨年11月以降の感染急拡大を受け、年明け早々に発令された。当初は首都圏4都県だけだったが、後に計11都府県に拡大。2月初めにはこのうち10都府県で宣言が延長された。

 首都圏と6府県で判断が分かれた理由は、感染者数の推移や医療現場の逼迫度の違いだ。東京の1日当たり新規感染者数は解除の目安である500人を下回っている。しかし昨年夏の流行「第2波」に比べて依然多い上に病床使用率も高止まり。千葉、埼玉の両県は病床使用率が50%以上で「ステージ4(爆発的感染拡大)」にとどまった。解除見送りは妥当な判断だ。

 6府県は感染者数や病床使用率などで改善が見られた。しかし解除の判断は、菅義偉首相が宣言の「成功」演出のために押し切った面がある。

 専門家からは慎重論が多かった事実は重い。政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は、感染力が強い恐れがある変異株ウイルスが各地で確認されていることが懸念材料と指摘した。感染再燃の兆しを早期に把握し、素早く対策を打てるよう、繁華街などで無症状の人たちに検査を実施するよう求めている。

 6府県では、宣言に伴う行動制限が段階的に緩和される。当面は約1カ月の経過措置として、これまで5千人だったイベントの人数上限を最大1万人に拡大。午後8時終業としていた飲食店の営業時間も、知事判断で午後9時まで緩和される。

 懸念されるのは宣言継続中の首都圏やそれ以外の地域も含め、感染防止に取り組む国民の気持ちに緩みが生じることだ。今後、進学や就職、転勤の時期を迎え、人の移動や会食の機会は増えるとみられる。そうした機会が感染拡大につながらないよう、大人数での飲食の抑制やマスク着用など基本的な対策を徹底することが重要だ。

 新型コロナワクチンの医療従事者への先行接種が始まったが、先行きは不透明。感染が再拡大すればワクチン接種に割く人材確保などの面で困難が生じかねない。東京五輪・パラリンピック開催に影響を及ぼす可能性もある。感染拡大防止はこれからが正念場と言うべきだ。



6府県宣言解除 再拡大抑止へ緩み警戒を(2021年3月2日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 政府は大阪や福岡など6府県の新型コロナウイルス緊急事態宣言を解除した。感染状況がある程度落ち着いたとみて、7日までの予定だった期限を前倒しした。しかし、これが対象地域にとっての「出口」を意味するわけではない。感染再拡大(リバウンド)の懸念は続いており、抑止に向けた手だてを一気に緩めないよう警戒が必要だ。

 6府県は、政府の感染症対策分科会の基準で最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」の状態をほぼ解消。各知事らの意向も踏まえ、政府は適用短縮の判断に踏み切った。このうち福岡県については病床使用率の改善の動きが鈍く、ぎりぎりまで判断がずれ込んだ。政府に助言する専門家らの諮問委員会の中では、6府県の前倒し解除への懸念も強く示され、政府も対策を求めた上での「条件付き解除」と強調した。

 このため飲食店に対する営業時間短縮の要請は継続し、イベント開催制限も段階的に緩和することとした。6府県の知事らも時短要請を全面的には解除せず、午後8時までとしていた時間を1時間延長するにとどめた。

 3月から4月にかけては卒業、入学、就職、花見などのイベントが集中し、人の動きが活発になる時期だ。通常なら「3密」になる機会が増えるため、とりわけ感染防止に注意が必要になる。加えて感染力の強い変異株が国内でも広がり始めているとされ、新たな懸念材料となっている。

 政府は当面、緒に就いたばかりのワクチン接種を全力で進めるべきだ。もし感染再拡大を招くことになれば、医師らを含む医療体制が逼迫[ひっぱく]状態に戻り、ただでさえ人手不足となっているワクチン接種作業にしわ寄せが及びかねない。日本医師会の中川俊男会長が強調するように、新規感染を徹底的に抑え込んで接種を推進し、一気に収束までの道筋を付けたい。

 今月25日には福島県から東京五輪の聖火リレーがスタートする予定で、大会本番の在り方を判断する時期も迫っている。今後、感染の「第4波」が起きることになれば、大きな影響は避けられない。

 6府県の前倒し解除を受け、緊急事態の対象は東京など4都県を残すだけとなった。政府は7日の全面解除を目指しているが、繁華街の人出が増加傾向にあるなど気分的な緩みもうかがえる。新規感染者の減少スピードも他地域に比べて鈍い。大都市圏での感染増加は、熊本などを含む地方にも大きな影響を及ぼすとされてきた。そうであればなおさら、首都圏の解除判断には慎重さが求められる。必要ならば先送りの判断も躊躇[ちゅうちょ]すべきではない。

 感染症対策分科会は解除地域で卒業旅行や歓送迎会を控えること、花見を宴会なしで行うことなどを呼び掛けている。私たちの側もこうした注意喚起の意味を十分に理解しておきたい。引き続き国民に自粛や我慢を求める以上、菅義偉首相をはじめ政府は丁寧な説明を尽くしていくべきだ。





「二月は逃げて走る」(2021年3月1日配信『秋田魁新報』ー「北斗星」)

「二月は逃げて走る」。2月が早く過ぎてしまうことのたとえ。日数が少ない分、そう感じるのは自然なことだろう。ことわざ辞典には同様な言い方として「一月いぬる(行ってしまう)」「三月去る」もある

▼ただ今年に限れば1、2月は長かったと感じる。年明け早々に新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が再発令。その後も与党国会議員の不祥事や東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長辞任、首相の長男による接待問題など大ニュース続きだったからだろう

▼緊急事態宣言は6府県で先行解除された。今後、首都圏の解除、ワクチン接種が順調に進み、国内聖火リレーがスタートとなればよいのだが、懸念材料も少なくない

▼これらの問題について先の全国知事会では多くの意見が出た。「解除という言葉が緩みを招く」「感染が飛び火すれば五輪も経済回復もままならない」など危機感は相当なものだ。ワクチンに関する情報の遅れに不満も噴出した。そもそも国に確たる情報が存在するのかどうか心もとない

▼県内に目を向ければ最近は感染者ゼロが続くが、飲食・観光を中心にコロナ禍の影響は依然深刻。そうした中で知事選と9市町長選などが中・下旬に告示される

▼11日は東日本大震災の10年の節目。地震や津波とともに本県では大雪対策も忘れてはならない。自然災害やコロナ、人口減対策などで先頭に立つリーダーを決める大切な首長選だ。3月を簡単に「去る月」にはできない。



上杉鷹山(2021年3月1日配信『愛媛新聞』-「地軸」)

 遠い江戸で重病となった実父の看病をしたいが、出府の費用は逼迫(ひっぱく)する藩の財政に負担をかける。悩んだ末、厳しく倹約して費用を捻出し、出府した。江戸時代の藩政改革で知られる米沢藩主、上杉鷹山の逸話だ

▲親孝行する道徳を家臣や領民に分かってもらうために、自己を律して実践したのだという(小関悠一郎著「上杉鷹山」岩波新書)。家臣に倹約への協力を呼び掛ける際は、自ら絹ではなく木綿を着用し、食事は一汁一菜とした話も有名だ。領民に何かを求めるならば、藩主が自身の言動で範を示さねばならない

▲国民に協力を求める必要があるのだから、自身が前面に立ち、時間をかけて丁寧に説明するべきだった。菅義偉首相は新型コロナウイルス緊急事態宣言の一部解除決定に伴う記者会見を開かなかった

▲解除された6府県は医療体制の逼迫が緩和されたとはいえ、厳しい状態のままだ。警戒の緩みから感染再拡大を引き起こしてはならない。だから各府県は飲食店への時短営業要請を続けるのだ

▲首相は、国民にさらなる我慢をお願いする必要があるのに会見を拒んだ。応じた取材では語気を強め、顔は紅潮気味だった。あのようにいら立っている人の話は、すとんと胸に落ちない

▲藩主の行いは衆人環視の下にあることを十分自覚するよう側近は鷹山に説いていたらしい。その自覚が首相に十分あるだろうか。一度、落ち着いて自分の映像を視聴するといい。



「元の木阿弥(もくあみ)」(2021年3月1日配信『しんぶん赤旗』ー「潮流」)

 ふだん、なにげなく使っている言葉でも由来までは知らないことも。いったん良くなったものが元の好ましくない状態に戻る。そんな意味をもつ「元の木阿弥(もくあみ)」もその一つでしょうか

▼起源は戦国時代。大和の武将、筒井順慶が幼いころ父が病死。それを隠すため、声の似た木阿弥という男を影武者に仕立てる。しかし順慶が長ずるに及び、木阿弥は元の市人の身分に戻ったとの故事から。諸説あるものの辞典の例に挙げられています

▼関西など6府県で緊急事態宣言が解かれました。「ここで気を抜けば元の木阿弥になる」。医師会や自治体の長をはじめ、市井の人びとからは不安や心配の声が相次いで上がっています。ふたたび、波を引き起こさないかと

▼新規感染者の減少傾向は鈍り、医療現場の逼迫(ひっぱく)は続き、死者の数も多い。さらに変異ウイルスへの警戒もある。何よりも昨年の悪夢がよみがえります。いちどは抑え込みながら、その後の対応を怠ったうえにGoToで感染を拡大させた失政を

▼先行解除を決めた日に通例の記者会見を開かず、ぶら下がりで応じた菅首相。こうした懸念に答える姿勢は皆無でした。ていねいな説明どころか「基準はクリア」の一点張り。専門家の危惧について問われると、いら立ちさえも

▼首都圏の宣言解除の判断も迫ります。検査、医療、補償を柱とした感染を抑える戦略もなく、成り行き任せ。その間に、国民や国はどんどん疲弊していきます。この政権は、いつまで「元の木阿弥」をくりかえすのか。





作家の向田邦子さんはかなりの早口だったそうだ。電話で用件を…(2021年2月28日配信『東京新聞』-「筆洗」)

 作家の向田邦子さんはかなりの早口だったそうだ。電話で用件を伝える時など、つい早口になり、相手から「恐れ入りますが、もう一度」と聞き返されてしまう

▼用件を繰り返すのだが、やはり伝わらず、「念のためもう一度」と懇願される。結局、同じことを3度。これなら「ゆっくりと1回しゃべったほうがよほど早かったが、持って生まれた癖はなかなか直らない」(『霊長類ヒト科動物図鑑』)。こういう方はいらっしゃる

▼話は新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言である。対象だった10都府県のうち、愛知、岐阜の東海2県、大阪、兵庫、京都の3府県、福岡県の計6府県については期限の3月7日を待たず、週明けに先行解除される

▼解除されない東京、神奈川などの首都4都県は取り残された気分だろうが、ここは向田さんの伝わらぬ早口を思い出すしかないか。宣言解除を急いだところで感染拡大を抑制できなければ、意味はあるまい

▼事実、東京の新規感染者の減少ペースは一時に比べ鈍っている。感染力がより強いと聞く変異株の影響も心配で、およそ解除は難しかろう

▼よその県は解除されると聞けば気も緩みがちだが、「よそはよそ、うちはうち」でいま一度、対策に力を入れたい。先行解除の六府県も同じこと。ここで宴会、花見だと浮足立てば、待っているのは「恐れ入りますが、もう一度」である。



緊急事態6府県解除(2021年2月28日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 菅義偉首相は、新型コロナウイルス緊急事態宣言について岐阜、愛知の東海2県、京都、大阪、兵庫の関西3府県、福岡の計6府県を月末までで解除すると表明した。一方、首都圏4都県は解除を見送り、継続する。

 解除が決まった6府県は、新規感染者数が減少傾向で、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)も緩和され、3月7日の宣言期限を前倒しできると判断した。しかし、これから人の移動が増える3~4月になり、感染力が強いとされる変異ウイルスも出現している。解除したとしても警戒を緩めることはできない。感染の再拡大を起こさないよう政府は感染状況を注視しながら、引き続き感染防止に力を尽くさなければならない。

 6府県は、ほぼ全ての指標で感染状況が最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」を脱した。ただ、福岡県については病床使用率の改善が鈍いとの見方がある。他の府県も医療提供体制に余裕があるとは言い難い状況が続いている。

 各県では宣言が解除された後も飲食店への営業時間短縮要請を継続する方針だ。段階的に閉店時刻を繰り下げたり、対象地域を狭めたり、要請を緩和していく。大阪府は感染再拡大の兆候を早期につかむため、社会活動が活発な20~30代の新規感染者数を監視項目に追加することを検討する。今後も解除前と変わらず警戒することが肝要だ。

 解除が見送られた首都圏は医療体制に強い懸念が残る。東京都などで感染者数の減少が鈍化している。病床使用率は25日時点の内閣官房の集計で千葉県、埼玉県で50%台に達する。神奈川県は30%と落ち着きつつあるが、決して楽観はできない。

 政府には、首都圏を3月7日の宣言期限で解除することを事前発表するプランもあったようだが、感染症対策分科会の尾身茂会長が反対したという。尾身会長は6府県の解除についても強い懸念を示している。専門家は緩みによる感染リスクの増大を恐れている。

 専門家が大きな懸念材料とみているのが変異株の出現だ。英国、南アフリカ、ブラジルに由来する3タイプなどがあり、いずれも感染性が強まった恐れがある。昨年末に初の変異株感染者が公表され、2カ月で200人を超えた。既に国内で感染が継続する状態だ。変異株による新たな流行が発生しないよう監視を強化する必要がある。

 この重要な局面で、首相が記者会見を開かなかったのは看過できない。首相会見の司会を務める山田真貴子内閣広報官が高額接待を受け問題化しており、野党は「山田氏隠し」と批判を強める。記者団が囲む「ぶら下がり取材」には対応したものの十分な時間とはいえない。

「自粛疲れ」「自粛慣れ」も指摘される中、国民に警戒を緩めないようお願いするのは首相の責務だ。重要な政策決定について首相は説明責任をしっかり果たさねばならない。



[新型コロナ・6府県宣言解除] 気緩めず再拡大阻止を(2021年2月28日配信『南日本新聞』-「社説」)

 政府はきょう、10都府県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言について岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の6府県を解除する。

 新規感染者数が減少傾向で、医療体制逼迫(ひっぱく)も緩和され、来月7日の宣言期限を前倒しできると判断した。ただ、宣言が続く首都圏4都県は新規感染者の減少スピードが鈍っており、医療体制への負荷は高いままだ。まだ「出口」ではない。

 これからの季節は卒業や進学、就職、花見など人の移動や集まる機会が増え、感染力の強い変異ウイルスが流行する恐れもある。「第3波」で露呈した課題を洗い直し、再拡大の阻止に全力を挙げる必要がある。

 今回の緊急事態宣言は先月、11都府県に2月7日を期限として順次発令され、このうち栃木を除く10都府県は3月7日まで延長されていた。

 6府県はほぼ全ての指標で感染状況が最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」を脱している。しかし、専門家からは変異ウイルスが流行段階に入りつつあるとして、現時点での解除を懸念する声も強い。引き続き監視を強化したい。

 再拡大を防ぐため、解除後も各知事の判断で飲食店に営業時間の短縮要請を継続し、応じた店には最大4万円の協力金を国が支援する。コロナ禍が長期化する中、苦境に立つのは飲食店にとどまらない。感染対策を求めると同時に、必要な支援が行き届くよう目配りが欠かせない。

 一方、首都圏4都県の知事は感染状況が依然としてステージ4の水準にあり、まだ解除は難しいとの見方で一致する。政府は期限通りで解除したい考えだが、必要なら再延長という選択肢も排除すべきではないだろう。

 一時停止中の観光支援事業「Go To トラベル」再開や強化中の水際対策の緩和は当面見合わせる。経済の立て直しは必要だが、政府が感染対策との両立にこだわった結果、第3波が広がった経緯がある。

 感染対策の決め手と期待されるワクチンの普及には時間がかかりそうだ。再び感染者が増加に転じれば医師らが治療に取られ、接種作業にしわ寄せがいき、感染収束がさらに遠のく悪循環に陥りかねない。ワクチンだけを頼みの綱とするのではなく、検査や医療体制の強化も急務と言えよう。

 国民もまた楽観できる状況でないことを十分に認識し、マスク着用や手洗いの励行、3密の回避に努めたい。

 一部解除を伝える正式な記者会見を見送った菅義偉首相の姿勢には疑問が残る。「自粛疲れ」が広がる国民の協力を得るには、首相は自らの言葉で説明を尽くすべきである。





宣言の一部解除 コロナ再拡大招く恐れ(2021年2月27日配信『北海道新聞』-「社説」)

 政府は来月7日まで10都府県に発令している新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言について、東海、関西圏と福岡の計6府県はあすで解除することを決めた。

 菅義偉首相は解除の理由として、6府県はほぼ全ての指標で感染状況が最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)から脱したことと、地元知事の意向を挙げた。

 だが解除基準がそもそも甘い。

 日々の全国の新規感染者数はなお千人前後で推移しており、収束には程遠い。宣言継続中の首都圏4都県は下げ止まり、解除する6府県でも病床逼迫(ひっぱく)を訴える医療現場の声は強い。

 宣言の一部解除によって国内全体の緊張感が緩み、人出が増加して感染再拡大へのきっかけになりはしないか。

 日本医師会の中川俊男会長が「解除は慎重であるべきだ」と求めたのは当然だろう。

 経済への影響を心配して拙速に感染対策を緩めれば、結果的に経済全体の打撃は大きくなる。宣言を解除する際は慎重、丁寧かつ段階を踏んだ対応を尽くすべきだ。

 首相が対策の決め手とするワクチン接種が今月から始まったが、全国民への供給スケジュールは見通せていない。

 米国ではワクチンの効果を弱める可能性がある変異ウイルスが急拡大している。重要なのは水際対策の徹底と、人同士の接触を極力減らす対策を続けることだろう。

 その点で、解除後にイベントの参加上限を5千人から最大1万人に拡大するのは早過ぎないか。

 政府は解除地域の繁華街などで、無症状の人を対象に無料のPCR検査を新たに実施する。

 感染状況を早期に把握し、手を打つことは重要だ。政府のコロナ対策分科会が求めた卒業旅行や歓送迎会、謝恩会、宴会を伴う花見などの自粛も欠かせない。

 今回の対応で看過できないのは、首相が記者会見をせず、記者団から短時間の質問を受ける「ぶら下がり取材」にとどめたことだ。

 会見を取りやめた背景には、司会を務める山田真貴子・内閣広報官が、首相の長男らから高額接待を受けた問題があるとみられる。

 首相は「山田広報官のことは全く関係ない」とした上で「宣言期間の最後まで状況を見極め、解除するかどうかの判断をした後に会見を行う」と述べたが、説得力に欠ける。

 首相は重要な政策決定の根拠を国民に向け、時間をかけて説明するべきだった。



時短要請終了へ 生活守る対策が必要(2021年2月27日配信『北海道新聞』-「社説」)

 道はきのう、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として実施してきた札幌市内の飲食店への時短要請や、札幌と小樽を対象にした不要不急の外出自粛要請を月末で解除すると決めた。

 道内の新規感染者が減少傾向にあることに加え、札幌市内の病床の逼迫(ひっぱく)も解消されたと判断した。

 ただ、全道を対象にした飲食の抑制などを求める集中対策は続ける。恵庭の医療機関などでクラスター(感染者集団)も発生しており、警戒を怠ってはいけない。

 時短要請はススキノ地区を中心に昨年11月から4カ月間続き、飲食業や観光業などの経営は悪化した。関連業を含め廃業した事業者も多く、深刻な状況だ。

 道は時短要請中の対応について十分な分析をしていない。道有識者会議を活用するなどして効果を詳しく検証し、今後の対応に生かさなければならない。

 鈴木直道知事は感染防止策を徹底するとともに、道民の暮らしを支える対策に力を注ぐべきだ。

 来月から異動や入学で人の往来が激しくなることも予想される。再拡大のリスクが高まる懸念がある。予兆を見逃さず、覚知すれば敏速に対応することが何よりも重要になる。

 再拡大防止には、PCR検査による早期発見と隔離が欠かせない。札幌市や北見市は、福祉施設職員らを対象に検査を行う。道は独自の取り組みをする自治体への支援も検討したい。

 道は昨秋以降、感染防止策として一貫してススキノ地区にある飲食店の時短を重視してきた。市中感染拡大の温床になったと推測したためだ。

 当初は同地区を含む札幌市内の飲食店でクラスターが多発したが、その後は医療・福祉施設での発生が目立つようになった。状況の変化を踏まえた対策を求めたい。

 道と自治体との連携にも乱れがあった。旭川では昨年11月以降、複数の医療施設でクラスターが発生した。道の対応が適切だったか改めて検討する必要がある。

 経済活動に関しては、事業継続を検討する事業者に必要な資金が届かなければ、苦境は拡大するばかりだ。十分な資金を準備し、目詰まりなく行き渡るように対処することが大切だ。

 コロナ収束後に向け、鈴木知事は2021年度道政執行方針で企業誘致や移住促進に力を入れる考えを示した。他の自治体でも同様の取り組みをしており、道の独自性を発揮することが求められる。



感染拡大 再燃の阻止を/「緊急事態」6府県解除へ(2021年2月27日配信『東奥日報』-「時論」・「茨城新聞」-「論説」)

 政府は新型コロナウイルス緊急事態宣言を巡り岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の6府県を今月末で解除すると決めた。残る首都圏4都県は3月7日解除を目指す。

 宣言解除は「出口」ではない。ワクチン接種の効果が出るまでの間、感染拡大の再燃は何としても阻止しなければならない。むしろこれからが正念場であり、菅義偉首相は先頭に立って国民に理解、協力を求めるべきだ。にもかかわらず官邸玄関で取材対応はしたものの正式な記者会見は開かなかった。首相は説明責任から逃げてはいけない。

 6府県は、ほぼ全ての指標で感染状況が最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」を脱している。ただ福岡は病床逼迫(ひっぱく)の改善が鈍く、ぎりぎりまで検討が続いた。それでも県側が解除を求め、政府は感染者減少に伴い医療体制も改善していくとして解除対象に加えた。「見切り発車」の感が否めず、再燃しないか警戒が特に求められる。

 首都圏4都県は新規感染者が減少傾向だが、他地域より減少スピードが鈍化し医療体制への負荷が高い。千葉は増加に転じる動きも見られた。政府は期限通り3月7日で解除したい意向だが、冷静さが必要だ。あと1週間状況を見極め、必要なら解除先送りの選択も排除すべきでない。

 なぜ再燃が怖いのか。それは、感染力が強い変異ウイルスが出現しており、感染大流行の「第4波」の引き金になりかねないからだ。3、4月は卒業、入学、就職、花見など人が多く集まり、交流するイベントが多い。火が付けば一挙に広がりやすい季節を迎えたことを認識したい。

 今また感染者が増加に転じれば、医師らが患者の治療に当たらざるを得ず、ただでさえ人手が足りないワクチン接種作業にしわ寄せがいく。そうなれば感染収束が遠のく悪循環に陥る。日本医師会の「新規感染者数を徹底的に抑え込み、その状態でワクチン接種を推進し一気に収束までの道筋を付けることが重要」(中川俊男会長)との指摘は的確だ。

 政府は、宣言解除後も飲食店に時短営業を引き続き要請し、イベント制限は段階的に緩和していく方針だ。さらに解除地域での再燃を防ぐため、1日1万件を目標に繁華街などで無症状者を対象に無料のPCR検査を実施する。「ようやく」の感もあるが、従来にない「攻め」の検査態勢は前向きに評価したい。

 宣言が発令されていた10都府県の繁華街への人出は、既に夜間で増加傾向にある。改めて不要不急の外出は自制したい。卒業旅行、謝恩会、歓送迎会なども控え、宴会を我慢し純粋に花をめでる「コロナ下の花見」に徹しよう。

 東京五輪は3月25日に聖火リレーが福島県からスタートし、重要なステージを迎える。観客の上限や海外からの観客受け入れ可否の判断もそのころに想定される。感染拡大の再燃を抑止することで、五輪・パラリンピック開催に明るい展望をもたらしたい。

 首相は首都圏で宣言が続くとして会見を見送った。司会役の山田真貴子内閣広報官が、首相の長男らから高額接待を受けた問題の渦中にあり、自身も含め質問攻めに遭うのを避けたと思われても仕方あるまい。首相は昨年末、コロナ対応で「国民に丁寧にコミュニケーションを取る」と明言した。約束を忘れては困る。



首都圏以外で宣言解除 緩み招きかねぬ首相対応(2021年2月27日配信『毎日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言について、政府は大阪府や愛知県など6府県で28日に解除することを決めた。

 来月7日までの期限を前倒しする。残る宣言対象地域は東京都など首都圏の4都県となる。

 感染の再拡大が懸念される中での解除だが、菅義偉首相は自ら説明する記者会見を開かなかった。首相は記者団に対して、4都県で宣言が続いていることを理由に「発言は控えるべきだ」と繰り返した。

 6府県の感染状況はある程度落ち着いている。だが、1日当たりの新規感染者数は昨春に宣言を解除した時より高い水準だ。病床使用率はほぼ「ステージ3(感染急増)」にとどまり、油断はできない。特に福岡県は50%に近い。

 懸念されるのは、解除後に感染者数が増加に転じることだ。3月はとりわけ、卒業旅行や歓送迎会など感染リスクが高まる恒例行事が多い。

 専門家による分科会は、昼夜を問わず会食を4人までとすることなどを提言している。

 高齢者施設などでのクラスター(感染者集団)が引き続き発生していることも懸念材料だ。

 宣言を一部解除すれば、首都圏の人々の行動にも影響が及びかねない。

 4都県ではすでに新規感染者の減少スピードが鈍化している。いったん抑制された人出は、夜間も含めて増える傾向がみられる。

 このままでは、来月7日の期限で宣言を解除できるかどうかも見通せない。

 医療機関は長期にわたる患者の治療で疲弊している。新型コロナのワクチン接種は、当初の想定よりスケジュールがずれこみそうだ。感染力が強いとされる変異株は広がりをみせつつある。

 感染再拡大の芽を摘み、首都圏を含めて「第3波」を十分に収束させるために重要な局面だ。

 宣言の発令から2カ月近くになる。国民の間には「自粛疲れ」がみられる一方で、生活不安も広がっている。感染対策のかじ取りにはより目配りが必要な状況だ。

 だからこそ、言葉を尽くして国民の理解と協力を求めなければならない。首相には、その重い責任がある。



6府県宣言解除 段階的緩和で感染再拡大防げ(2021年2月27日配信『読売新聞』-「社説」)

 緊急事態宣言の解除で気の緩みが生じれば、元も子もない。政府は感染防止対策の徹底を促し続ける必要がある。

 菅首相が、新型コロナウイルスに関わる緊急事態宣言の対象地域のうち、大阪府や福岡県など6府県を2月末で解除することを決めた。首都圏の1都3県では継続し、期限である3月7日の解除を目指している。

 6府県の新規感染者数は、先月13日の宣言発令時に比べて大きく減少している。医療機関の負担も一定程度、軽減された。感染状況が落ち着いた地域から、宣言を解除する判断は理解できる。

 政府は今後、解除した地域では、現在は午後8時までとしている飲食店に対する営業時間の短縮要請を、段階的に緩和する方針だ。大規模イベントも、参加人数の制限を緩めていくという。

 外出自粛や時短営業の影響で、経済的に打撃を受けている事業者は多い。地域の感染状況を見極めつつ、徐々に日常の生活に戻していくのが妥当だろう。

 昨年5月に初の緊急事態宣言を解除した際も徐々に経済活動を再開したが、夏の第2波を招いた。その轍てつを踏んではならない。

 新型コロナの感染が収束したわけではない。ワクチンの接種も始まったばかりだ。宣言の繰り返しを避けるためには、一人ひとりが気を引き締め、地道に感染抑止に取り組むことが重要である。

 政府の新型コロナ感染症対策分科会は、感染の「リバウンド防止策」として、外出は、すいた時間と場所を選ぶよう呼びかけている。歓送迎会や、花見での宴会を控えることも求めた。

 年末年始に感染者が増えたのは、主に忘年会が原因とされる。飛沫(ひまつ)が拡散しやすい会食には、細心の注意を払わねばなるまい。

 政府は、都市部の繁華街や高齢者施設などを対象に、幅広くPCR検査を実施する予定だ。検査費用を国が負担し、民間の検査会社に委託するという。

 市中で感染拡大の端緒をつかむことができれば、迅速な対策が可能になる。検査の体制を早急に整えてもらいたい。

 全国各地で様々な変異ウイルスが見つかっている。今後、感染力が強いウイルスが主流になる恐れもある。監視態勢を強めたい。

 首相は、宣言解除に関する記者会見を見送り、簡素な方式での記者団とのやりとりにとどめた。感染抑止策への理解を深めてもらうために、もっと積極的に自らの言葉で国民に語りかけるべきだ。



宣言解除後の感染再拡大防げ(2021年2月27日配信『日本経済新聞』ー「社説」)

 政府は首都圏を除く6府県について、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を、2月末をもって解除する。予定より1週間早い。新規感染者数が減り、病床にも余裕が出てきたと判断した。感染の再拡大に最大限注意しつつ、経済活動の再開を進めたい。

 全国の新規感染者数は減少傾向だが、依然多くの地域で昨年4月の「第1波」のピークを上回る。感染源が不明なケースも目立つ。

 年度末にかけてはイベントの多い時期だ。宣言解除という言葉がもたらす安心感や開放感が重なり、外出や会食が増えれば、感染が再び急増するリバウンドが起きかねないと専門家は懸念する。

 重要なのは政府が解除の理由と解除で何が変わるのかを、わかりやすく説明することだ。引き続き警戒すべき点も丁寧に伝えなければならない。菅義偉首相が正式な記者会見を見送ったのは残念だ。

 これまでの緊急事態宣言下でどの対策がどれだけ感染抑制の効果を発揮したのか。政府はデータをもとに示してほしい。解除後の段階的な行動制限の緩和を説得力をもって進めるうえでも必要だ。

 大阪府などは宣言の解除後も、時短要請を継続する。こうした要請は、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に新設した「まん延防止等重点措置」に基づくべきだ。曖昧な権限による規制は避けなければならない。

 東京都などでは感染者の減少ペースが鈍っている。入院が長引く高齢患者が多く、いま感染者が増えれば病床はすぐに埋まり医療が再び逼迫するだろう。宣言の早期解除の見送りはやむを得ない。

 最近、変異ウイルスによるクラスターが相次ぎ発生しているのも気になる。感染力が従来のウイルスより強いものやワクチンが効きにくいタイプが報告され、患者急増の引き金になる恐れがある。

 海外からの流入に加え、市中感染が知らぬ間に広がっていないか。民間の協力も得て、変異ウイルスを素早くとらえられる検査・分析体制を早急に整えるべきだ。



6府県の宣言解除 ウイルスへの警戒怠るな(2021年2月27日配信『産経新聞』-「主張」)

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて10都府県に発令中の緊急事態宣言に関し、政府は6府県について2月末で先行解除することを決めた。

 この6府県は大阪、京都、兵庫の関西3府県、愛知、岐阜の東海2県、福岡県で、新規感染者数などほとんどの指標で、最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」を脱した。残る首都圏の1都3県については、3月7日の期限通りの解除を目指している。

 6府県では解除後、イベントの入場制限を緩和する。午後8時までとしている飲食店の時短営業の要請も段階的に緩める。緩和後は協力金を減額して支給する。6府県の知事や政府は地域の感染状況を注視し、再拡大の傾向が表れれば引き締め措置をためらってはならない。

 西村康稔経済再生担当相は26日、「これで大丈夫ということではない」と述べ、緊急宣言を先行解除する6府県でも感染防止対策を徹底する必要性を指摘した。

 その通りである。ウイルスは人々の気の緩みに付け込む。再拡大を招いて、3度目の宣言発令に陥らないよう警戒は怠れない。

 先行解除によって、対象外となった首都圏の人々が影響を受け、自粛が緩む恐れはある。東京都は都立公園の駐車場や運動施設の使用の緊急停止を決めるなど、一層の引き締めを呼びかけている。

 首都圏の新規感染者数は下げ止まりの傾向にあり、医療機関の逼迫(ひっぱく)は続いている。政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は24日、「首都圏は中京圏や関西圏に比べて改善のスピードが弱い」と述べた。危機感を共有して緊急事態を乗り切りたい。

 残念だったのは、菅義偉首相が先行解除の決定を受けた26日の記者会見を見送ったことだ。記者団からぶら下がり形式の取材を受けるにとどまった。

 首相は記者会見で国民に対して丁寧にコロナをめぐる状況を説明し、なお気を引き締めるよう呼びかけるべきだった。

 加藤勝信官房長官が、宣言の全面解除ではないから首相会見は必要ないと説明したのはおかしい。首相の長男が勤める放送事業会社「東北新社」から高額接待を受けた山田真貴子内閣広報官が司会役であるため、会見をとりやめたとの見方がある。新型コロナとの戦いを優先すべきである。



中部など解除へ ここで緩んではならぬ(2021年2月27日配信『東京新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い発令中の緊急事態宣言について、政府は愛知、岐阜など六府県の解除を決めた。一つの節目ではあるが、感染再拡大を防ぐためにも、ここで緩んではならない。

 政府は26日、愛知、岐阜、大阪、兵庫、京都、福岡の6府県の今月末での解除を決めた。東京、神奈川、埼玉、千葉の四都県については予定通り3月7日に解除できるよう対策を続ける。

 政府は最も深刻な「ステージ4」(爆発的感染拡大)を脱し、「ステージ3」(感染急増)以下に改善することを解除の前提にしてきた。六府県はこの基準をほぼ満たしており、政府の解除決定に一定の理解はできる。

 中部・関西については、愛知県の大村秀章知事と大阪府の吉村洋文知事ら関西3府県の知事が23日、政府に月内解除を要請していた。地域経済の回復に責任を持つ知事らの要望にも耳を傾けた先行解除といえる。

 しかし、忘れてならないのは、解除は安全宣言ではないということである。医療現場を中心に「もう少し状況が落ち着くまで待つべきでは」と早期解除を危ぶむ声が根強いのも確かだ。それでも解除する以上、「元のもくあみ」にならぬよう、危機感の維持、より説得力のある感染防止策に一層知恵を絞ってほしい。

 感染対策を助言する厚生労働省の専門家組織も、中部と関西について「高齢者の感染者数の減少に鈍化が見られることなどに留意が必要」と警鐘を鳴らした。感染者の下げ止まりの可能性やウイルスが変異するリスクもあり、官民ともにリバウンド(再拡大)の危険性に十分注意する必要があろう。

 愛知県の25日の新規感染者は41人と、ピークだった1月7日の1割になった。大村知事は解除後も、飲食店に要請している午後8時までの営業時間短縮を「午後9時まで」に緩和して続ける方針。知事が訴えてきた「行動の変容」が、解除によって急に緩むことのないよう慎重に段階的な緩和を進めてほしい。

 岐阜県は24日の病床使用率が20%で「ステージ3」からの脱却が期待できるレベルに改善した。だが、美濃加茂市の病院で発生したクラスターは220人余の深刻な状況だ。

 県独自の緊急警戒宣言を続ける三重県を含む東海3県は経済、生活圏が重なる。県をまたぐ移動が感染拡大につながらぬよう、注意深く見ていく必要がある。



宣言先行解除へ リバウンドの警戒十分に(2021年2月27日配信『新潟日報』-「社説」)

 宣言が6府県で先行解除されても気を緩めるわけにはいかない。国民全体が危機感をしっかり持ち、引き続き感染防止策を徹底することが肝要だ。

 3、4月は一年の中でも最も人の移動が増える。ここで感染がぶり返せば全国に急速に再拡大し、本格化するワクチン接種にも支障を来しかねない。

 政府は10都府県で発令している新型コロナウイルスの緊急事態宣言を、岐阜、愛知の東海2県と京都、大阪、兵庫の関西3府県、福岡の計6府県で2月末に先行解除すると決めた。

 東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県については「第3波」感染者の減少が鈍くなっているため改めて判断する。

 6府県の宣言は1月13日に2月7日を期限に出されたが、1カ月延長されていた。ほぼ全ての指標で最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」を脱したとして解除を前倒しした。

 肝に銘じるべきは、感染収束には程遠く、安心できる状況ではないということだ。

 6府県の解除を了承した26日の諮問委員会では、解除による感染再拡大(リバウンド)に対する懸念が多くの専門家から示された。

 政府の新型ウイルス感染症対策分科会は25日、解除後の最重要課題はリバウンドを生じさせないことだとし、感染対策の徹底と、予兆の探知を求める提言をまとめている。

 厚生労働省に助言する専門家組織会合は解除後も4段階の感染状況の基準で下から2番目の「ステージ2(漸増)」以下を目指す必要があるとしている。

 注意が求められるのは変異株だ。厚労省によると国内の変異株感染者は空港検疫を含め200人を超え、本県では24日時点で29人と多い。

 専門家は変異株が今後、感染の主流になる可能性があるとし、感染者の再増加を加速させる恐れがあると指摘する。

 収束への切り札として注目されるワクチンは、高齢者への接種が4月12日にスタートするが、供給量不足で国際的な争奪戦になっており、十分な量を確保できるめどは立っていない。

 日本医師会の中川俊男会長は今月25日の記者会見で、宣言解除後に感染者が増加する可能性を指摘し、「第4波の中でワクチン接種を行っていくことは困難だ」と訴えた。

 国民の警戒心が緩んでリバウンドが起きれば医療提供体制が再び逼迫(ひっぱく)し、ワクチン接種もおぼつかなくなる。

 そうした事態を避けるために政府の丁寧な説明が不可欠だ。

 それだけに、菅義偉首相が26日の記者会見を見送った判断には強い疑問が残る。

 首相は記者団に会見を開かない理由を「最後まで状況を見極め、判断した後にきちんと会見を行うべきだ」と力説した。

 首相は首都圏の宣言を3月7日で解除できるよう全力を挙げるとした。ならば先行解除の時点でも会見を通して国民にきちんと語り、感染防止に協力を求めるべきだったのではないか。



6府県 緊急事態解除へ(2021年2月27日配信『福井新聞』-「論説」)

再拡大防ぐ手だて尽くせ

 政府は10都府県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言について、愛知、岐阜の東海2県、京都、大阪、兵庫の関西3府県、福岡の計6府県を今月末で解除するとした。6府県はほぼ全ての指標で感染状況が最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」を脱しているが、福岡は病床逼迫(ひっぱく)の改善が鈍い状態にある。県側が解除を求めたため政府がやむなく認めた形だが、「見切り発車」の感が否めない。再拡大しないか警戒を怠ってはならない。

 問題は、今回解除が見送られた首都圏の1都3県の現状だろう。東京都では1日の新規感染者数が300人前後を行き来し、千葉では増加に転じる日があるなど、他地域よりも減少傾向が鈍化している。このままでは医療体制への負担が解消されない。政府は期限通り3月7日に解除したい考えだが、あと1週間状況を見極め、必要なら解除先送りに踏み切るべきだ。

 懸念されるのは、感染力がこれまでより強い変異ウイルスがじわじわと広がっており、感染大流行の「第4波」の引き金になりかねないことだ。3、4月は卒業や入学、就職に加え、花見など人が多く集まり、交流する機会やイベントが少なくない。一挙に拡大しやすいシーズンが来たことをいま一度肝に銘じる必要があるだろう。

 日本医師会の中川俊男会長は「新規感染者数を徹底的に抑え込み、その状態でワクチン接種を推進し一気に収束までの道筋を付けることが重要」と述べた。的確な指摘だろう。だが、コロナ禍が再燃すれば、医療機関が対応を迫られ、ワクチンの接種作業に支障が出かねず、収束が遠のく悪循環に陥る。

 政府は再拡大を防ぐ手だてを尽くすべきだ。飲食店への時短営業を引き続き要請するほか、イベントの入場制限も段階的に緩和していくという。遅ればせながら、繁華街などで1日1万件の無料のPCR検査を実施するとしたことは前向きに捉えたいが、掛け声倒れに終わらせてはならない。

 感染が再拡大すれば、東京五輪の聖火リレーにも影響が出かねず、国民への呼び掛けが欠かせない。なのに菅義偉首相は6府県解除の記者会見を見送った。不要不急の外出や、卒業旅行、謝恩会、歓送迎会などを控えるよう、行政のトップが訴える格好の場ではなかったか。

 司会役を務める山田真貴子内閣広報官が首相の長男らから7万円もの高額接待を受けた問題の渦中にあり、自身も含め質問攻めに遭うことを避けたと思われても仕方がない。昨年末にコロナ対応で「国民に丁寧にコミュニケーションを取る」と明言していたことをはや忘れたのだろうか。



宣言前倒し解除/危機感の継続が不可欠だ(2021年2月27日配信『神戸新聞』-「社説」)

 政府は10都府県で発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言を、兵庫など6府県についてあすで解除すると決めた。知事らの意向も踏まえ、3月7日の期限を前倒しした。

 昨年秋から続く感染の「第3波」が大きな山となり、昨年末から各地で医療が崩壊の危機にひんした。宣言の効果もあり、最近は6府県とも状況が改善しつつある。

 ただ、新規感染者は全国的に減少傾向にあるものの、再拡大を警戒する専門家は多い。ワクチン接種を順調に進めるためにも、さらに感染者数を抑え、医療現場の負担をできる限り軽減する必要がある。

 西村康稔経済再生担当相も「条件付きの解除」としている。それなら期限まで待って慎重に判断してもよかったのではないか。

 引き続き国全体で危機感を維持しなければならない。前のめりで対策を緩和することは禁物だ。

 兵庫県は、解除後の一定期間は飲食店などへの営業時間短縮要請を、1時間遅い午後9時までにして継続する。酒類の提供は同様に午後8時までとし、1日につき1店舗当たり4万円の協力金を支給する。

 今回の宣言解除が「もう大丈夫」という誤ったメッセージになってはならない。今後も状況を見極め、見直しはあくまで段階的に進める必要がある。政府や自治体は、なお「密」を回避するなどの努力が不可欠なことを繰り返し説明すべきだ。

 きのう、菅義偉首相は正式な記者会見を開かなかった。言葉を国民に届ける姿勢に欠けていると批判されても仕方がない。

 一方、首都圏4都県については感染者数や病床の逼迫(ひっぱく)具合が高い水準にあるため、月内解除を見送った。新規感染者下げ止まりの傾向も現れており、繁華街での検査拡充など、さらなる抑制策が求められる。

 兵庫県は、あさってで県内の感染初確認から1年になる。この間、感染者数は累計で1万8千人近くに達し、死者は500人を超えた。

 感染力が強いとされる変異株も、兵庫など各地で確認されている。最近は人出が増加している地点もみられる。年度末は人の動きが活発化するだけに、予断を許さない状況に変わりはない。

 3度目の緊急事態宣言発令は、経済により深刻な打撃を及ぼす恐れがあり、絶対に回避せねばならない。感染のリバウンドを起こさないよう、第3波での取り組みを検証し、次の波に備える対応が欠かせない。

 テレワークの推進など外出の自粛に努める。卒業旅行や歓送迎会、花見の宴会などを控える。外食は少人数の家族などで行う。宣言解除後も一人一人が対策を徹底したい。



【6府県先行解除】まだまだ気は抜けない(2021年2月27日配信『高知新聞』-「社説」)

 政府は新型コロナウイルス緊急事態宣言を発令中の10都府県のうち、東海2県(岐阜、愛知)、関西3府県(京都、大阪、兵庫)、福岡の計6府県を今月末で先行して解除することを決めた。

 感染状況について判断する病床の逼迫(ひっぱく)具合、療養者数などの指標で最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」ではないとみて、専門家らでつくる諮問委員会に諮り了承された。今回の宣言は1月から順次発令し、2月2日に10都府県は3月7日までの延長としていた。

 全国的に新規感染者が減少傾向にあるのは確かである。予定を前倒ししての解除は、知事からの要請も考慮してのことだろう。
 ただ、専門家の間には夜間の外出者が増加した地域がある点などに懸念の声がある。まだまだ気は抜けない段階だという意識が必要だ。

 暖かくなるにつれ各地で人の往来が増えるとみられる。進学や就職、人事異動もある。6府県などで宣言解除を受け、警戒心が緩むことも考えられる。早期収拾を目指し、政府は正確な情報を早め早めに発信しなければならない。

 何より心配されるのは、解除した地域での感染再拡大(リバウンド)である。政府は繁華街や駅、空港などで無症状の人を対象に無料のPCR検査を行うことにした。新型コロナウイルス感染症対策分科会から提言を受けた措置だ。

 緊急事態宣言は昨年4月、安倍政権時に新型コロナ特別措置法に基づき初めて発令した。以来、解除した後、感染拡大第2波、第3波を迎えている。同じ事態を再び招くことがあってはならない。

 残る首都圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)は注視を続けるという。当然、慎重な判断が求められる。同時に、政府は感染防止策にさらに力を入れる必要がある。

 供給量不足となっているワクチンに関して、菅義偉首相は4月12日から65歳以上を対象に接種を始める方針を明らかにした。検査態勢の一層の拡充も求められる。

 理解に苦しむのは、先行解除に当たって菅首相が記者会見を開かないとしていたことだ。

 加藤勝信官房長官は強く否定しているものの、総務省の違法接待問題が要因とみるのが自然だろう。首相の長男らから高額の接待を受けたと批判されている山田真貴子内閣広報官は、首相会見で常に司会役を務めている。

 追及を避けるのが目的だとしたら、不信を招きかねない。結局、会見ではなく記者団の取材に応じる形を取りはしたが、コロナに対する国民の不安を取り除くためにも、解除について首相が自らの言葉で丁寧に伝える必要がある。

 本県は昨日で8日連続の新規感染確認ゼロとなっている。さまざまな面で行動が制約され不便な生活だが、引き続き会食時の換気などに注意する必要がある。マスク着用、手洗いと手指の消毒など基本的な事柄を徹底していきたい。



緊急事態の解除 警戒はまだ緩められない(2021年2月27日配信『西日本新聞』-「社説」)

 市民の感染への警戒が緩んでしまわないか。不安が募る。

 政府は新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づき10都府県に出している緊急事態宣言について、首都圏を除く福岡県など6府県は3月7日の宣言期限を待たず、2月末で解除することを決めた。

 新規感染者数は全国的に減少傾向で、感染状況を判断する指標も全般に改善してきた。とはいえ、宣言が出された都府県の病床使用率は依然として高い水準にあり、医療現場には重い負担がのし掛かっている。

 特に福岡県の病床使用率はとても安心できるレベルには下がっていない。「感染者数の減少に伴い医療提供体制も改善していく」との意見があるが、希望的な観測ではなかろうか。

 これから歓送迎会や花見といった会食の機会が増え、卒業旅行など人の移動が活発になる季節を迎える。6府県は解除を機に、逆に警戒を強めるべきだ。感染対策の徹底を呼び掛け、医療提供体制をさらに拡充する努力を続ける必要がある。

 宣言を解除された府県では、飲食店などに対する時短営業の要請は継続される。福岡県は現在の午後8時から、同9時までに緩和する方針という。

 会食の場では飛沫(ひまつ)感染のリスクが高くなる。営業の条件を段階的に緩和する措置はやむを得まい。ただ飲食業界にはこれまでの規制による打撃も蓄積している。実情を把握し、要請に応じた店には財政的支援の積み増しも検討すべきではないか。

 注意したいのは、厚生労働省の専門家組織が感染者数の減少スピードの鈍化を指摘している点だ。各地の高齢者施設ではクラスター(感染者集団)も相次いで確認されている。

 夜間に出歩く人が再び増えた地域があり、飲食店の時短営業でも感染者が減りにくくなったとも指摘している。感染力が強いとされる変異株の確認も増えた。専門家組織は宣言解除後も感染状況を示す数値をさらに引き下げる取り組みの必要性を強調している。国も自治体も重く受け止めてほしい。

 昨年夏の感染第2波は感染者が減少に転じた後も500人規模の新規確認が続き、秋以降に大きな第3波へつながった。政府はこの間、観光支援事業「Go To トラベル」を継続した。これが感染拡大の一因となったとの指摘も根強い。

 専門家は今回も、感染者が再び増加に転じるリバウンドに警鐘を鳴らしている。政府は状況の変化を慎重に見極めつつ、わずかでも増加の兆しがあれば、第4波を防ぐために躊躇(ちゅうちょ)なく特措法に基づく感染拡大防止策を打ち出すべきだ。






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