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(論)パラリンピック(2021年3月1日)

パラ資格判定 選手の努力に報いる道を(2021年3月1日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 開幕まで半年を切った東京パラリンピックの代表候補になりながら、出場が危ぶまれる有力選手たちがいる。

 国際基準の障害クラス分けに必要な資格判定が新型コロナ下で受けられずにいるためだ。陸上や柔道、競泳、卓球など30人を超える。

 昨年春以降、資格審査の機会になるはずだった国際大会の中止が相次いだ。重い障害がある選手は渡航時の感染や重症化のリスクが高い。行動も制約される。

 選手たちは自らの障害、病と向き合い、残る身体機能を生かして練習を積んできている。

 国際パラリンピック委員会(IPC)や関係の競技団体は救済策について検討を重ね、選手の努力に報いる方策を講じてほしい。

 国際クラス分けは、専門の有資格者が選手の身体機能や技術とともに、実際の試合を観察して判定する。腕や脚の切断など症状が固定している選手は一度の審査で確定する場合が多い一方、進行性の障害がある選手は2~4年に1度の再審査を求められる。

 陸上車いすで北京大会金メダリストの伊藤智也選手は難病の多発性硬化症を患う。一昨年の世界選手権で活躍し代表に内定しながら、昨年末に国際クラス分け資格が失効した。再審査に向け4月以降の国際大会出場をにらむが、開催の可否は見通せない。

 パラリンピックでは過去、障害者を装った健常者の出場が発覚している。こうした不正を防ぎ、公正、公平を保つため、厳格なクラス分けが確立されてきた。ルールは尊重すべきだとしても、コロナ下にある今は期限延長などの特例も検討されてよいはずだ。

 クラス分けが進まない悩みは海外でも同様だ。IPCに条件緩和を求める声が上がっている。

 IPCは昨年春、予選方式やクラス分けの手順を見直し、新たな指針を示す考えを表明していた。だが、競技関係者が納得できる形の指針は依然示さず、規定の変更にも消極的だ。

 選手たちが苦境に置かれる事態は1年前から見えていたはずだ。「公平性」の原則を唱えるばかりでは責任放棄に映る。具体的な代替策を示すべきだ。

 栃木県内で来月、国際クラス分けを受けていない視覚障害選手を対象に複数競技の合同判定会が予定される。国際資格を持つ専門家が関わるという。こうした機会の広がりも期待したい。

 日本パラリンピック委員会は各国の競技団体と連携し、粘り強くIPCに働き掛けてほしい。




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