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聞こえなかった佐賀豪雨 補聴器外し就寝中に自宅が浸水 聴覚障害の平原さん、映像記録し防災模索(2021年3月1日配信『佐賀新聞』)

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佐賀豪雨を「忘れてはいけない」と映像記録を制作した平原圭介さん=武雄市内

 記録的な大雨が襲った「佐賀豪雨」から2月28日で1年半がたった。被災した聴覚に障害がある武雄市朝日町の平原圭介さん(45)は、未明の寝ている間に自宅が浸水し、「補聴器を外していて、雨の音や警報音は全く聞こえなかった」と振り返る。当時の写真や動画などを映像記録としてまとめ、聴覚障害者の立場から防災を模索している。

 2019年8月28日未明、自宅の2階で寝ていた平原さんは午前5時ごろ、泥臭いにおいで目が覚めたという。窓の外を見ると周囲は冠水し、トラックが流されていた。1階は浸水し、父と営んでいた印刷業の機材は全て水に漬かった。

 水が引くまで丸1日かかった。夜になってから食料を買いにコンビニへ。「靴が見つからずはだしで歩いた。二つだけ買えたパンを午後9時に食べたのがこの日初めての食事だった」。非常食など備えの大切さを痛感した。

 翌日から、泥だしや片付けなど気の遠くなる作業が待っていた。県聴覚障害者協会や手話サークルの仲間たちが駆けつけ、食料物資も届けてくれた。「今後の仕事や生活への不安が大きかったが、手伝ってくれる仲間やボランティアの人たちの励ましに助けられ涙が出た」

 床上浸水で冷蔵庫や洗濯機、パソコンなどの家具家電はほぼ処分、ボイラーは故障し、お湯が使えなくなった。浸水した車も処分した。機材もダメージを受け、祖父の代から続いた印刷の家業は廃業した。

 片付けの際、聴覚障害があるメンバーらは「ろう者」のビブスを身に着けた。安全に配慮して作業するため、周囲に分かりやすく聴覚の障害を示した。「災害の経験から工夫を重ねた結果だと思う」。平原さんは有事の記録を残す大切さを感じたという。スマートフォンカメラで撮影した写真や動画を編集、自身の身にふりかかった「武雄市豪雨水害記録」(17分)を制作した。「この災害を風化させず忘れないため。伝えたいことは、忘れてほしくないということです」

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安全のため、「ろう者」のビブスを着け、片付けを手伝う支援者ら=武雄市内(平原さん制作の記録映像から)

 現在は、武雄市内の市営住宅に住まいを移し、父と2人で暮らしている。昨年6月から県聴覚障害者協会の事務長に就いた平原さんは「防災には敏感になっており、協会でも取り組むテーマの一つ。経験を教訓にして、今度は誰かを支えたいと思っている」と話す。

 自治体側も、情報提供を充実させる動きがある。武雄市は1月から、事前に登録があったメールに防災行政無線の放送内容を送信するサービスを始めた。聴覚に障害がある人に対して同様にファクス文での配信にも取り組み、2月から登録を呼び掛けている。(中島幸毅)




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