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(論)パワハラ(2021年3月4日)

全柔連のパワハラ問題 山下会長の責任は重大だ(2021年3月4日配信『毎日新聞』-「社説」)

 全日本柔道連盟でパワーハラスメント疑惑が再び表面化した。

 連盟の会長は、日本オリンピック委員会(JOC)の会長を務める山下泰裕氏である。

 連盟のコンプライアンス委員会の調査によると、前事務局長が在職時、複数の職員に対して、大声で罵倒したり、業務時間外の労働を要求したりしていたという。

 委員会の聴取に対し、本人はパワハラを否定したが、昨年12月初旬から出勤しなくなり、今年1月に自己都合で退職した。

 パワハラ行為は言語道断だ。今回、それに加えて問題なのが、処分の検討を一任された山下会長ら連盟幹部の対応だ。

 山下会長は本人と連絡が取れなくなったことを理由に理事会にも諮らず、処分も行わなかった。事務局内の出来事として公表の必要もないと判断したという。これでは疑惑を放置し、事実を隠蔽(いんぺい)したと受け取られても仕方がない。

 山下会長は「五輪開催国としてJOC会長に全精力を傾注する中で、全柔連会長の職責を果たしてこなかった」と、事務局内への目配りが欠けたことを謝罪した。

 全柔連では2013年に不祥事が相次いだ。

 日本代表の女子選手らに対する指導者の暴力行為やパワハラが大きな問題となった。他にも助成金の不正受給が明るみに出て、全柔連執行部を含む大半の理事が辞任に追い込まれた。


 その結果、組織が刷新され、副会長に就いたのが山下氏だった。だが、過去の教訓が生かされたようには見えない。

 山下会長には問題を内輪だけで処理しようとする傾向がある。

 JOCでも、女性理事らの反対を押し切って理事会を完全非公開にした。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の人事では、候補者を選ぶ会議を非公開にするよう率先して提案した。

 全柔連、JOC、組織委はすべて公益法人だ。いずれの組織も透明性が求められるが、一連の対応は山下氏の閉鎖的な姿勢を際立たせた。

 山下氏は日本の競技団体を代表する立場にある。スポーツ界全体の組織が健全に運営されるためにも、責任の重大さを自覚しなければならない。



「嘉納治五郎の精神に反する」…(2021年3月4日配信『毎日新聞』-「余録」)

 「嘉納治五郎(かのう・じごろう)の精神に反する」。こう非難したのは国際柔道連盟(IJF)、非難されたのは全日本柔道連盟だ。8年前、柔道女子日本代表らの告発により監督・コーチのパワハラが明るみに出た際である

▲この時、選手たちは連盟の自浄能力に不信をぶつけ、内閣府が抜本改革を勧告するはめになった。国際団体に「嘉納治五郎の精神」を説教され、政府に隠蔽(いんぺい)体質の一掃を促される――日本の柔道界は深刻に恥じ入らねばならなかった

▲「精力善用」「自他共栄」は、講道館柔道の創始者で五輪運動を主導した治五郎の2大精神である。力は人を威圧するためでなく世のために用い、自他相互に尊重し合えば共栄できる――まあ、パワハラや不祥事隠しとは対極をなす

▲幹部職員によるパワハラが疑われる行為の調査報告を受けながら公表せず、当人の自主退職を認めていた今回の全柔連トップの対応だった。山下泰裕(やました・やすひろ)会長は当人の弁明を聞く機会がなかったと釈明するが、それで世人は納得するのか

▲昨年、全柔連の不祥事の公表基準を後退させたのも山下会長だった。日本オリンピック委員会(JOC)会長としても、理事会を非公開にしたのが批判を浴びた。ともかく物事を内々ですませるのがトップの役目と思っているらしい

▲世に開かれたスポーツガバナンスこそ、世界と歩みを共にすべき日本のスポーツ界の近年のテーマである。またまた「嘉納治五郎の精神に反する」との非難を世界から浴びないよう願いたい全柔連とJOCだ。




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