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緊急事態延長なのに「なぜ五輪?」亡国政権の政治ゲーム(2021年3月5日配信『日刊ゲンダイ』)

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 1都3県に発令されている「緊急事態宣言」が延長される。菅首相は4日、「2週間程度の延長が必要」と改めて国会で表明。5日の夜、政府の対策本部で正式決定し、その後、会見する予定だ。

 緊急宣言の再延長は当然のことだ。予定通り3月7日に解除したら、大変なことになっていた。東大の仲田泰祐准教授(経済学)の試算によると、3月7日に解除した場合、現在200~300人の東京の新規感染者は、7月の第1週には1000人を突破し、宣言の「再発令」に追い込まれる恐れがあったという。

 実際、首都圏の新規感染者は下がりきっていない。直近1週間の新規陽性者数は前週比で、東京0・83▽神奈川0・94▽千葉0・94▽埼玉0・73という数字だ。ほとんど横ばいである。

 なぜ2週間の延長なのか、菅は“科学的根拠”を示していないが、本当は1カ月の延長が必要なのではないか。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は、こう言う。

「1月7日に発令した緊急宣言の期間は1カ月、2月7日に延長した期間も1カ月でした。どうして、今回は2週間なのか。根拠不明です。なかなか感染者が減らないのは、対策が限界にきているということです。現在の対策を2週間延長しても、劇的な効果は得られないでしょう。いま必要なのは、対策の強化です。たとえば、大相撲やJリーグを無観客にしてもいい。国民へのメッセージになるはず。2週間の延長期間が終わった後は、歓送迎会があり、人の動きが活発になる。効果が薄れた対策を2週間延長するだけでは、リバウンドする危険があります」

 どうにも2週間の延長は、中途半端なのだ。

■コロナ対策も科学的根拠より政治判断

 そもそも、菅は、数日前までは予定通り、緊急宣言を全面解除するつもりだったはずだ。1日の衆院予算委でも、「ほとんどの指標で解除基準をクリアしている」と胸を張っていた。

 それが一転、2週間の延長に動いたのは、科学的な理由でも、国民のためでもなく、すべて自分の都合によるものだ。

 決定的だったのは、“天敵”の小池都知事が動き出したことだ。

 小池は、神奈川、千葉、埼玉の3県知事とタッグを組み、3日にも政府に対して緊急宣言の延長を申し入れる予定だった。もし、4人の知事から再延長を要請されたら、菅は追い込まれた形になっていたはずである。

「菅首相が3日の夕方、突然、緊急宣言の2週間延長を表明したのは、小池知事の機先を制するためです。もし、4知事の要請を受けた後、緊急宣言の延長を決めたら、また“後手後手だ”と批判されてしまう。1月に緊急宣言を発令した時も、小池知事に追い込まれた形になり批判された。これ以上、大嫌いな小池知事に好き勝手はさせないと、先手を打ったのが真相です」(官邸事情通)

 緊急宣言の延長期間を2週間にしたのも、自分の都合だ。2週間延長なら、期限は3月21日となり、東京五輪の聖火リレーがスタートする25日には解除されている。もし、延長期間が1カ月だと「緊急宣言が発令されているのに聖火リレーをしている場合か」と批判が噴出する可能性が高かった。

 しかし、科学的な根拠もなく、自分の都合で緊急宣言を解除したり延長したりするなど、許されるのか。

「コロナ対策は、国民にとって一番切実な問題です。なのに菅首相は、科学的に判断するのではなく、政治的な思惑で決めているのだから、どうかしています。驚いたのは、専門家の議論を経る前に2週間延期を表明したこと。専門家に聞いたら、1カ月延長となるから避けたのでしょう。これでは新型コロナの感染収束は絶望的です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

政権維持のため「何としてでも五輪は開催」

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国内から中止論

 東京五輪を巡って、菅政権は「海外から観客を受け入れない」方向に舵を切ったが、これも「五輪強行」を狙う菅の勝手な自己都合だ。「中止論」が広がるのを防ぐため先手を打ったのは、ミエミエである。

「インバウンドを期待する菅首相は、本当は訪日外国人を入れたかった。でも、国民の多くは『五輪を開催したら新型コロナの感染が拡大してしまう』『開催するなら最低でも無観客だ』という気持ちを強めている。中止論を抑えるために、苦肉の策として“海外客はなし”と打ち出したのが実態です。それでも中止論が止まらなかったら、日本人の観戦も認めない“無観客”を打ち出すはずです」(組織委関係者)

 無観客だろうが、祝祭感が消えようが、感染が拡大しようが、菅は何が何でも東京五輪を開催するつもりだ。

 しかし、世界中で新型コロナの感染が拡大しているのに、五輪など開催できるのか。英タイムズ紙は〈東京五輪を中止すべき時がきた〉とのコラムを掲載。日本国民の大半も開催を望んではいない。

 そもそも、新型コロナの感染拡大をストップさせるために緊急宣言の延長を決めたのに、感染拡大リスクとなる五輪を強行するのは、矛盾もいいところだ。政治評論家の森田実氏が言う。

「もし、五輪が中止になったら政権に大打撃となり、自民党は衆院選で大敗必至です。だから、どのような形でも開催したいのでしょう。国民の思いは度外視です」

 しかし、たとえ訪日客をゼロにしても、五輪を強行したら、感染爆発は避けられない。

「仮に海外の観客受け入れを見送っても、選手と関係者だけで数万人が来日することになります。変異株の影響もあり、五輪が終わった後、一気に感染が拡大するでしょう。開催強行は、米軍に負けると分かっていながら、戦争に突っ込んだ戦前日本と同じです」(中原英臣氏=前出)

 ここまで五輪を弄ぶ政治家は初めてじゃないか。

■政策決定も「自己都合」

 菅政権は「国民のために働く」をキャッチフレーズに掲げているが、昨年9月の政権発足以後、いったい何をやってきたというのか。「自己都合」「国民不在」の政治を続けてきただけではないのか。

 コロナ対策のカギとなるワクチンも、散々期待感をあおっておきながら、何度となく接種スケジュールを変更。世界のワクチン争奪戦に敗北し、製薬会社にナメられ、重症化リスクの高い高齢者への接種さえ進まない状況にある。せめて、国民に情報をオープンにすべきなのに、都合のいい情報を小出しにするだけだ。これでは国民の不安は募るばかりである。

 結局、菅政権のやっていることは、「GoToキャンペーン」にしろ、株高政策にしろ、自分たちの支持基盤を潤わせてきただけではないか。

 しかも、国民には「自助」「共助」「公助」と、自己責任を強要しながら、自分の長男には大臣秘書官の箔をつけさせ、総務官僚とベッタリの関係をつくってやっているのだから、ふざけるな、という話である。

 いま国民が求めているのは、コロナ収束と生活支援だ。なのに、菅政権は全く目を向けようとしない。

「非常時の今、国は大きな借金を抱えてでも、医療現場や困窮者への手厚い支援策を打ち出すべきです。困っている人を救うためには、何度でも支援しなければならないはずなのに、菅政権はそれをしない。根本的な政策の方向性を誤っているのです。利権含みの『GoTo』を推進するなど、『自己都合』に走っている。しかも、五輪もコロナも、自分たちの利益につながるよう利用している。国民は選挙で鉄槌を下すべきです」(森田実氏=前出)

 そもそも、菅長男と総務省のスキャンダルが発覚しただけでも総辞職が当たり前。国民は黙って見過ごしてはダメだ。




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Author:gogotamu2019
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