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総務省違法接待問題を「公務員倫理法」で追及した野党の失策<なんでこんなにアホなのかReturns>(2021年3月6日配信『HARBOR BUSINESS Online』)

「反省の弁」はスルスル出てくるが……

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2月25日の衆院総務委員会で答弁する参考人の山田真貴子内閣広報官(中央・現在は辞任)。後方左は武田良太総務相(時事通信社)

 菅義偉総理お気に入りの山田真貴子報道官が辞任し、菅総理が次の総務事務次官に推していると噂される谷脇康彦総務審議官が渦中の人となった、総務省接待問題については、国会での疑惑追及が今も続いている。

 特徴的なのは、武田良太総務大臣のみならず、菅総理も含め、答弁にたつ閣僚や政府側参考人が「申し訳なかった」「深く反省する」を連発していることだろう。ここまで素直な反省の弁が閣僚連の口から発せられるのは、近年、稀と言っていい。

 森友や桜を見る会問題を思い出してみればいい。明々白々たる国有地の不当廉売、明々白々たる公職選挙法違反にも関わらず、当時の閣僚たちはここまで素直に謝ることはなかった。

 あの頃の閣僚といまの菅政権の閣僚の顔ぶれにそれほどの違いはない。総理自身も前政権での官房長官ではないか。閣僚たちのパーソナリティーに変化があったから素直さを取り戻したわけではなかろう。

 閣僚たちはたかを括っているのだ。

贈賄事件なのに公務員倫理法違反だけで追及する野党

 騒動の大元となった週刊文春の記事は、総理の息子・菅正剛が総務官僚を接待するのみならず、贈答品まで送っていたことを伝えている。立派な贈賄事件だ。

 しかし不思議なことに野党はなぜかこの事件を、公務員倫理法違反にのみ立脚して追及している。あの法律には「接待受けたら報告しろよ。その報告がなけりゃ、省内で処分するぞ」との規定があるだけ。省内での処分が済めば余人が口を挟むことはできない。

疑惑を追求される政府側からすれば、「はいはい。野党の皆さんのおっしゃる通りですよね。こいつら役人は、贅沢三昧の人非人。

処分しますねー。ごめんねー」とさえ言っておけば、話はすむということになる。これ以上法的にやれることはないのだから、早晩、この問題は立ち消えになるだろう。

 刑法に基づく贈収賄としての追及ではなく、公務員倫理法に基づく追及を基本に据えてしまった野党の戦略ミスと言う他はない。

 野党側は、世論の高まりに期待したのかもしれない。市民がコロナ禍による生活苦に喘いでいる中、総理の息子が、一回数万円の豪華な食事を官僚たちに振る舞っている。その様子が伝われば、政権に対する批判の声が高まるに違いないと踏んだのかもしれない。が、それは甘い。それはもう週刊文春が野党なんぞの手の届かないレベルの高さで、見事にやってのけているではないか。国会議員の出る幕ではないのだ。

野党時代の自民党こそあるべき野党の姿

国会議員の仕事は他にある。疑惑の追及をするなと言うのではない。疑惑の追及大いに結構。しかし、疑惑の追及は、今の権力者を引き摺り下ろし、自分が権力を握るための道具としてなされるべきものだ。それが政治と言うものだし、政治家、とりわけ皆等しく内閣総理大臣候補である衆議院議員とはそうあらねばならない。

野党のお手本は、常に、野党時代の自民党だ。

 今からちょうど10年前、東日本大震災の発災直後、野党自民党は国難に背を向けて、時の民主党政権の疑惑追及に明け暮れていた。安倍晋三のようにメルマガでデマを流す不逞の輩がいたほどだ。そしてその明け暮れの結果、ついに自民党は政権を奪取した。
 あれでいい。あの下品さ、あの権力に対する飽くなき渇望こそが、どの時代にも野党に求められるものだ。

「批判より対案」という美辞麗句

「批判より対案」などと俗耳に入りやすい美辞麗句なんざ、政治的にはナンセンス。対案を出したければ今から国家公務員試験を受けて官僚になればいい。そうではないから、国会議員諸君は、バッチをつけて政府と対峙しているのではないか。

 まずは、権力を握りに行く。握ろうとする。その気魄無くしては、どんな立派な対案・マニフェストであろうと画餅に帰してしまう。そしてその気魄を示すことこそが、自民党政権に蹂躙され、もはやこれ以上我慢できぬと叫ぶ我々有権者の負託に答える野党の責任ではないか。

<文/菅野完>

【菅野完】
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている





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