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狂った続投シナリオ 山田氏辞職、対応後手 野党、菅首相に矛先〔深層探訪〕(2021年3月6日配信『時事通信』)

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山田真貴子内閣広報官の辞職を受け、記者団の質問に答える菅義偉首相=1日午後、首相官邸

 菅義偉首相の長男正剛氏らによる高額接待を受けた山田真貴子内閣広報官が辞職した。山田氏の続投で幕引きを図った首相のシナリオは大きく狂った。一連の対応は後手に回った感が否めず、野党は首相に矛先を向けて追及を強めた。

 ◇ドミノ警戒

 「行政経験が豊かで、期待して任命した。このような形で辞任することは大変残念に思う」。首相は1日、首相官邸で記者団に対し、山田氏の辞職に無念さをにじませた。

 首相は、辞職に至る対応の遅れを指摘され、「そのように思っていない」と反論。総務相時代に長男を秘書官に任命したことが発端と追及されても、「(長男とは就職後の)12年間、会社のことで話したことがなかった」と否定した。

 接待問題の発覚後、首相は山田氏を厳重注意とする一方、辞職は一貫して否定し続けた。長男が関与しただけに、山田氏が辞職すれば、自身の責任を問われることが避けられないためだ。同じ問題で処分を受けた総務省幹部らの「辞職ドミノ」など、影響が拡大することも警戒したとみられる。

 政府内には「辞めるしかない」と更迭を進言する声もあった。しかし、首相に近い政権幹部は「食事をおごられた程度で辞めさせるわけにはいかない」と一蹴。野党の要求を受け入れ、1日の衆院予算委員会の集中審議に山田氏を出席させることとし、山田氏も「やります」と意欲を見せていたという。

 局面が変わったのは2月28日夕。山田氏が体調不良を訴えて東京都内の病院に入院したためだ。職務遂行が困難として、杉田和博官房副長官に辞意が伝えられ、首相も認めざるを得なかった。

 首相が一転して受け入れた背景には、健康問題が理由であれば、自らへの波及を最小限にとどめることができるとの読みもあったとみられる。自民党幹部は「体調不良なら野党は騒げない。政権への影響もない」と指摘した。

 首相はこの間、説明責任に積極的だったとは言い難い。2月26日に緊急事態宣言の一部解除を決めた際、山田氏が司会役を務める記者会見を見送り、野党などから「山田氏隠し」と批判を浴びた。1日も、午前の段階で報道各社の「ぶら下がり」取材をいったん拒否。午後になって応じたが、約2分間の対応にとどまった。

 首相は5日、首都圏の緊急事態宣言に関し、会見を行う方向で調整しており、どのような説明を行うかが焦点となる。

 ◇「忖度」拡大

 1日の衆院予算委で、野党は山田氏の辞職を取り上げ、首相の責任を問うた。立憲民主党の枝野幸男代表は「遅きに失した」と糾弾。鶏卵生産会社による農林水産省幹部への接待問題にも触れつつ、「忖度(そんたく)政治で官僚のモラルを低下させた首相の政治責任は大きい」と迫った。

 首相は「私の家族が関係して国家公務員が倫理法に違反し、国民に深くおわびする」と重ねて陳謝。「国民の信頼を回復し期待に応えられるよう襟を正して取り組む」と釈明に追われた。

 立憲の山井和則氏は「首相の長男が関係しているから断れなかった」として、山田氏ら接待を受けた官僚を「被害者、犠牲者」と表現。人事権をてこに中央省庁を掌握する首相の政治姿勢が原因と断じた。

 首相もこれには我慢できず、「感情で人事を行ったことはない。政策の方向性は政治が決めるべきだ」と色をなして反論した。

 野党は今後も、首相に照準を合わせ追及を続ける方針。共産党の小池晃書記局長は会見で「ここまで傷口を広げた。首相の責任は極めて重大だ」と批判した。



霞が関、深刻な「地盤沈下」 接待問題で大量処分 官邸主導弊害も〔深層探訪〕(2021年3月6日配信『時事通信』)

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衆院予算委員会に臨む参考人の山田真貴子内閣広報官(右)と総務省幹部=2月25日、国会内

 国家公務員倫理法に違反する利害関係者からの接待を受けていたとして、総務省、農林水産省で幹部らが大量処分された。総務省時代に高額接待を受けた山田真貴子氏は1日、内閣広報官を辞職。学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんをはじめ、官僚のモラルが問われる不祥事が相次ぐのはなぜか。官邸主導の弊害が官僚機構の地盤沈下を招いているとの見方も出ている。

 ◇法や常識上回る力

 接待問題で総務省は総務審議官ら11人を処分。農水省では、贈収賄事件で在宅起訴された吉川貴盛元農水相と鶏卵生産会社「アキタフーズ」の前代表の会食に同席していた事務次官ら6人が処分された。

 総務省では2016年以降、山田氏を含む計13人が菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」幹部らと会食。飲食代を負担してもらったり、一部の会合で手土産やタクシー券を受け取ったりしていた。

 同省は、放送行政を担う幹部が同社幹部らと会食を繰り返していた理由を「利害関係者と思っていなかったようだ」と説明。延べ39回の会食のうち21回に同席した首相の長男については「会食に影響を及ぼした事実は確認できなかった」と結論付けた。

 しかし同省は、総務相を経験した首相の強い影響力が及ぶ官庁で知られ、官僚の間では「総理の息子でなければ接待を受けていない」との声が絶えない。早稲田大大学院教授で元総務相の片山善博氏は「菅さんは『(長男とは)別人格だ』と言うが、それは通用しない。みんな忖度(そんたく)するわけだから」と推測する。

 7年8カ月続いた安倍前政権では、省庁の人事権を内閣人事局に集めるなど、官邸主導のスタイルが定着。森友問題では、人事を握られた官僚による官邸への忖度が取り沙汰された。

 ある省庁次官OBは「昔の官僚には『国民のために働く公僕』の自負があったが、今は政治家の方を向いて仕事をするようになってしまっている」と指摘。片山氏も「正論を言ったら外されるから、言わなくなる。法律や常識を上回る力が働いているということだ」と、行き過ぎた官邸主導が官僚を萎縮させているとの見方を示す。

 ◇若手の離職止まらず

 省庁では若手官僚の離職も深刻な問題だ。内閣人事局によると、19年度に自己都合で退職した20代の国家公務員総合職は87人。退職者数は増加傾向にある。ある若手官僚は「理不尽を受け止めることばかりで、閉塞(へいそく)感しかない」と下を向く。

 幹部候補となる国家公務員総合職の20年度採用試験では、東京大出身の合格者数が大幅に減り、記録が残る1998年度以降で最も少なかった。片山氏は「権力の座に就いている政治家の質が劣化しており、それに官僚も振り回されている。東大に限らず、優秀で志のある人は行かない」と警鐘を鳴らした。







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