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宣言再延長(2021年3月7日配信『しんぶん赤旗』)

首相 「検査拡充」いうなら 徹底した抑え込み戦略を

 菅義偉首相は5日夜の記者会見で、首都圏4都県での緊急事態宣言の再延長にあたり、なぜ「再延長」なのか、なぜ「2週間」なのかという基本的疑問に答えない一方、延長の理由として「リバウンド(再拡大)を防ぐ」と言及。3月末までに3万カ所の高齢者施設で検査を行い、市中感染探知のため無症状者のモニタリング検査を大都市で実施するとしました。

 2月2日に10都県での宣言延長を表明したとき菅首相は、「これまでの対策を徹底」というのみだったのに対し、5日の会見では高齢者施設等での社会的検査の拡充や無症状者に焦点をあてた市中の感染源発見のための検査を明確に位置付けました。

 会見に同席した政府対策本部分科会の尾身茂会長は「解除すれば感染増加は必ずみられるので、本当のリバウンドにならないような防止策の体制強化をこの2週間でしっかりやる」と述べました。

 5日改定の政府の基本的対処方針には「感染拡大の予兆や感染源を早期に探知するため幅広いPCR等(モニタリング検査)を実施」と新たに明記されました。政府は「1日1万件」規模を目指し、無症状者に焦点をあてた検査を広げるとしています。

10万の桁必要

 ただ、この検査は、緊急事態宣言が解除された地域での取り組みとされています。これでは宣言が再延長された4都県での封じ込め対策につながりません。また、首都圏や中部、京阪神、福岡などの大都市部、繁華街での市中感染把握のためには「1日1万件」でも少なすぎます。本当にリバウンドを防ぎ封じ込めをはかるなら、10万の桁で幅広いモニタリング体制をつくるべきです。1台で1日2500件の検査が可能な全自動PCR機も開発されており、プール式検査を活用すればさらに検査数を増やすこともできるなど、大量検査の技術的条件は整備されてきています。

 モニタリングで感染拡大の予兆をつかみ感染集積地をしぼり込んだら、地域の住民や在勤者全体への大規模な面的検査を行い、無症状感染者を発見し、保護につなげることが必要です。モニタリングから感染制御措置への連携を明確にすることも急務です。

専門家 変異株へ警戒

 分科会の尾身茂会長は「首都圏においては他の地域に比べ、クラスターの源がわからない」と述べました。尾身氏は昨年末に、「見えない感染」の要因の多くは「飲食店における感染」としていました。飲食店対策を強めても感染が下がりきらない行き詰まりを認めた格好です。

大規模検査を

 「わからない」というならば市中感染の実態把握を強めるしかありません。この面からも大規模検査の体制を急いで強めるべきです。

 菅義偉首相は「高齢者施設について国の責任で今月中に3万カ所検査を行っていく。定期的にも徹底してクラスターの多い部分をつぶしていく」と述べました。「飲食店に的を絞って」対策を強めてきたが、高齢者施設対策を「新たに力を入れてやりたい」としました。

 医療機関や高齢者施設でのクラスターは、飲食店のクラスターが減少する中でも増加・頻発しており、検査対策を強めることは重要です。職員だけでなく、対象を入所者全員に広げるべきです。

 問題は、高齢者施設への検査拡充へ、政府の対応が大きく遅れたことです。

 昨年末の政府分科会の「分析」(12月23日資料)では、「飲食を介しての感染拡大が原因であり、院内感染は感染拡大の結果」などとされ、「見えない感染」も「飲食店における感染が多い」とされました。飲食店対策を強めれば院内感染や高齢者施設での感染が防げるかのような「強引な論理」となり、検査拡充は置き去りにされました。年初の緊急事態宣言で、もっぱら飲食店の時短要請に焦点があてられたのはこうした事情からです。

傾向を見直せ

 しかし、飲食店の時短など社会的な人の接触制限を強めても、医療機関や高齢者施設などのケア労働では、人が人を抱きかかえるなど直接的な接触は避けようがありません。無症状感染を通じたウイルスの持ち込みがある限り、感染を防ぎきれない特別の事情があります。しかも、ひとたびウイルスの侵入を許せばクラスターを引き起こす危険が大きく、医療のひっ迫、停止をもたらします。市中の無症状感染者発見と同時に、定期的な関係者の検査でウイルス侵入の芽を徹底して摘み取ることが肝要で、政府方針を転換するうえで高齢者施設対策の特別の重要性を明確にする必要があります。また、もっぱら「クラスター」を感染源としてとらえ、感染源としての無症状感染者の存在を軽視する傾向も見直す必要があります。

 菅首相は、変異株対策について「短時間で検出できる新たな方法の検査をすべての都道府県で実施し、国内の監視体制を強化」すると述べました。

 他方「(変異株の)地域的な広がりは確認されていない」と楽観的な認識を示しました。しかし、陽性者の5~10%にしかゲノム検査が行われておらず、「確認されていない」というのは「存在しない」ということではありません。陽性者の6割にゲノム解析した神戸市では半数が変異株だったとされ、全体の半数が変異株に置き換わっている可能性があります。専門家は変異株の拡大への警戒を強めており、宣言再延長の大きな要因と見られています。(中祖寅一)

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