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愛媛県警誤認逮捕 再発防止へ検証の徹底を求める(2019年8月4日配信『愛媛新聞』ー「社説」)

 無実の人を確かな根拠もないまま犯人と決めつけた、ずさんな捜査だった。県警は被害者への償いに誠心誠意努めるとともに、問題の原因を徹底的に洗い出し、実効性ある再発防止策を示さねばならない。

 タクシーから現金入りのセカンドバッグを盗んだとして、松山東署が20代女性を誤認逮捕した問題である。容疑を否認し続けた女性に対し、署は必要な裏付け捜査をすることなく、証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕した。その後の捜査で別の女が容疑者として浮上し、女性の嫌疑は晴れたが、任意の聴取から逮捕、拘束されるまで女性が被った恐怖や不安、屈辱は察するに余りある。自白を迫られるような取り調べがあったと訴えており、県警はこの点の真相も明らかにする責任がある。

 県警が女性の逮捕の決め手としたのがタクシーのドライブレコーダーに残る映像だった。バッグを盗んだ後、タクシーから降りた女を周囲の防犯カメラで追跡すると、近くのアパートの特定フロアに2人の女性が住んでいることが分かった。捜査員はドライブレコーダーに写っていた女の顔立ちから、誤認逮捕した女性の方を犯人だと思い込んだという。

 とはいえ、タクシーには容疑者の女のほかに3人が同乗していた。女性はタクシーに乗っていないことや、身に覚えがないことを一貫して訴えており、県警がこの3人を捜し出し、面識を確認していれば誤認逮捕を防げた可能性は高い。

 防犯カメラやドライブレコーダーは普及とともに、性能も大きく向上している。捜査機関にとって欠かせない武器となる一方で、鮮明な画像が思い込みを助長させ、肝心な裏付け捜査の軽視につながっているとの疑念が拭えない。防犯カメラの映像をうのみにした誤認逮捕が全国で後を絶たない中、警察全体の課題として省みる必要がある。

 女性は手記を公表し、県警の捜査手法を強く批判した。任意の取り調べは長時間に及ぶこともあり、最初から犯人視されたと主張。捜査員からは「認めないと終わらないよ」「犯人なら目の前にいるけど」などと「自白を強要するかのような言葉を執拗(しつよう)に言われた」とつづっている。就職への影響を示唆する言葉もかけられたという。

 県警は「違法な取り調べがあったとは認識していない」と説明するが、脅しや誘導などがなかったか経緯をつぶさに検証し公表するべきだ。県公安委員会には県警が内部調査や女性への対応をしっかり果たすよう指導強化を求めたい。

 組織のチェック機能が働かず「シロ」の捜査も尽くしていなかった。県警幹部は過去に起きた冤罪(えんざい)事件の教訓が現場に十分浸透していないことを重く受け止めるべきだ。誤認逮捕は許されない重大な人権侵害であり、県民の捜査機関への信頼も失わせる。その自覚を組織の隅々まで行き渡らせねばならない。




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