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「男性の育休、当たり前の世の中に」フェンシング五輪銀メダリスト千田健太・JOC女性スポーツ専門部会員(2021年3月8日配信『東京新聞』)

 8日は国際女性デー。日本では、東京五輪・パラリンピック組織委員会前会長の森喜朗氏による女性蔑視の発言をきっかけに、スポーツ界で女性が活躍する環境が整っていないとの批判が起きた。フェンシング男子フルーレ団体の五輪銀メダリストで日本オリンピック委員会(JOC)女性スポーツ専門部会に所属する千田健太さん(35)に、男性目線での日本の女性アスリートを取り巻く現状、これから目指すべき未来を聞いた。

 日本のスポーツ界は女性進出が遅れている。JOCに加盟する67団体の役員の女性割合は2019年度で14・24%。女性指導者も依然少なく、男性社会だ。では、女性が活躍するために男性ができることは何か。

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男性目線でスポーツ界の女性進出を語る千田健太さん(本人提供)

 12年ロンドン五輪フェンシング男子フルーレ団体銀メダルの千田さんは、17年からJOC女性スポーツ専門部会に入り、「男性目線で貢献できることはないか」と考えてきた。女性は出産があり、スポーツに関わってきてもそこで途切れるケースが多く、その後、活躍するきっかけをつくりづらい。男性と比べて、ハードルがあるという。

◆国際会議で感じた「空気感」

 「各競技団体やJOCにしても女性の数が多いとは言えない。組織としてさらに女性が活躍できるように問題意識を共有し、男性が支援することも必要ではないでしょうか。その際、雰囲気づくり、空気感というのがすごく大事になると思う」。言葉にすると抽象的な「雰囲気づくり」と「空気感」。千田さんはJOCのアスリート委員として国際会議に初めて出席したときの印象が強く残っている。

 19年4月、スイス・ローザンヌで開催された国際オリンピック委員会(IOC)のアスリートフォーラム。各国・地域のアスリート委員、約200人が集まった。IOCアスリート委員長を務める競泳女子200メートル背泳ぎで五輪2大会連続金メダルのカースティ・コベントリーさん(ジンバブエ)は会場にいなかった。翌月に出産を予定し、オンラインによる参加だった。

 「僕はそれが『すごいな』と思ったんですが、逆に『すごいな』と思うこと自体が不自然かなと考えさせられる雰囲気でした」。出産を控え、画面の中からあいさつする姿を参加者はごく自然に受け入れている。特別な様子もない。「これは普通のことなんだ」と理解し「こういう空気感は重要だな」と痛感した。

◆女性活躍のためには男性の意識改革が必要

 コベントリーさんを見て、「国民性でもあるが、日本人は遠慮しがち。でも、遠慮でせっかくの機会を喪失することもある。チャンスを生かした方がいい」と女性を後押しする気持ちがより強まった。

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2014年、全日本選手権で2連覇を果たした千田健太(左)。女性が活躍するための「雰囲気づくり」を目指す=大田区総合体育館

 一方で、例えば要職を決める際、「あの人は出産があるから」と候補者から外していないか。それより、誰もが活躍できる場をつくる方が大切だとあらためて認識した。女性が躍進するためには男性の支援が欠かせない。

 「少しずつ変わってきたが、男女問わず平等に子育てをできる社会的な環境が必要ではないか。男性がもっと積極的に育休を取ったり、それが(組織内で)尊重され、当たり前という考えにならないと。やはり雰囲気というのが大事だと思う」

 男性の育休が自然と受け入れられる組織の空気感。あのローザンヌのフォーラムのような雰囲気をつくり上げるのは一人一人の考え方だ。女性進出のためにはスポーツ界に限らず、男性それぞれの意識改革が必要になるだろう。(森合正範)

 ちだ・けんた フェンシング男子フルーレで五輪は2008年北京大会に初出場。12年ロンドン大会で団体銀メダル。14年全日本選手権の個人で2連覇を達成。16年岩手国体を最後に現役を引退した。17年からJOCアスリート委員、JOC女性スポーツ専門部会員。宮城県気仙沼市出身。




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