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NTT社長招致で幕引きのつもりか 総務省身内調査の噴飯(2021年3月10日配信『日刊ゲンダイ』)

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接待問題は省内調査では限界(9日、演壇で陳謝する武田良太総務相)/(C)日刊ゲンダイ

 違法接待問題が拡大し、総務省が対応に追われている。武田大臣は9日、「可能な限り対象職員を広げる。事実関係の確認を正確に、徹底的に行う必要がある」と発言。元検事の弁護士らを入れて徹底調査する考えを示したが、今さらお笑いだ。総務省に自浄能力があるとはとても思えない。

 先月上旬に放送事業会社「東北新社」から総務省幹部が接待を受けたことを週刊文春に報じられた直後は、接待したのが菅首相の長男だったことから、官邸も総務省もできるだけコトを小さく収めようとした。接待を受けた側が、次期総務事務次官の呼び声高く、菅肝いりの携帯電話料金値下げの旗振り役の谷脇康彦総務審議官(当時)だったからなおさらだ。

 会食時の音声が暴露され、総務大臣の「放送行政が歪められたということはない」という答弁が揺らぎ、東北新社からの接待リストに山田真貴子内閣広報官(当時)まで挙がってくると、総務省はスピード調査で懲戒処分を決定。谷脇氏を減給で済ませて次官昇格の目を残したうえ、山田氏に広報官を続投させ、2人をかばい続けたことを官邸と総務省は忘れたのか。

 その後、山田氏は入院して辞職。さらなる文春砲で、NTTからも高額接待を受けていたことが発覚し、谷脇氏は官房付に更迭され、今月末で定年退官する見通しとなったが、ここに至るまでにハッキリしているのは、総務省の調査なんてお粗末極まりなく、あてにならないということ。今さら「弁護士を入れての徹底調査」と言ったって、あくまでも省内の調査チームであり、現役職員に聞き取りをするだけ。身内の調査では限界がある。

■官邸は犯人捜しに躍起

 もっとも、菅官邸には動揺が広がっているようだ。東北新社の接待もNTTの接待も、文春報道は、まるで見てきたかのような詳細な描写だった。菅の長男が総務官僚に「今度ササニシキを送ります。桐箱に入ったサクランボも、いつか送りますよ」と話したことは録音された音声にあったとしても、NTTの“迎賓館”での様子はまさに情景が目に浮かぶよう。高級シャンパンのドン・ペリニヨンで乾杯し、キャビアや黒アワビを用いた前菜、福岡県のウニや琵琶湖の天然稚鮎、短角牛ヒレ肉のポワレが振る舞われた。1本12万円のシャトー・マルゴーが抜かれると、<誰からともなく歓喜の溜息がもれた>とまで書いてあるのである。

 接待が、その日その場所で行われることを、なぜ一度ならず何度も察知されてしまったのか。菅官邸は情報源の犯人捜しに躍起になるとともに、次なる文春砲は何なのか、いつまで続くのかに怯えてもいる。

 東北新社の一件では、「菅首相の長男に対する社内のやっかみか」などと、東北新社側からの情報流出という見方もあった。しかし、NTTの一件が表沙汰になると、やはり両接待に登場する総務省内部からの情報リークではないかとの見方もくすぶる。

 さらには、官邸内の内紛めいた噂話まで出回っている。NTTには現在、安倍前首相の秘書官だった柳瀬唯夫氏が天下って執行役員を務めている。かつて加計学園問題で「首相案件」と発言した文書の存在が物議を醸した元経産官僚だ。携帯電話のNTTドコモを完全子会社化しようとしていたNTTが、総務省の谷脇氏を通じて菅の了承を得て、官邸が柳瀬氏をNTTに送り込んだ。ドコモ子会社化の見返りに、NTTは携帯電話料金の大幅値下げに踏み切り、菅のメンツを立てた。そうした水面下の工作を知っている官邸内の誰かが菅の足を引っ張るために情報を流したというのだ。

 衆院事務局に30年余り勤めた元参院議員の平野貞夫氏が言う。

「総務省は2001年の中央省庁再編で旧自治省と旧郵政省が一緒になった役所です。いまだに出身省庁間の争いがあるので、総務省の内部告発の可能性があるのではないか。携帯電話料金の問題や放送法の問題などに菅首相は関心が強い。旧郵政の放送・情報通信部局は菅首相の息が特にかかっており、その先頭に立っていたのが谷脇総務審議官でした。見るに見かねた旧自治省の連中が動いたのではないか」

東北新社、NTTの先に横たわる深い闇


 来週15日には、参院予算委員会にNTTの澤田純社長が参考人として招致される。野党がどんなに菅の長男や東北新社の関係者の国会招致を求めても、自民党は「民間人」を理由に断固拒否してきたのに、NTT社長についてはあっさり了承した。「NTTは民間企業だが、政府が3分の1を出資している。いわゆる純粋な民間会社とは一線を画する」(世耕参院幹事長)などと自民党は説明しているが、額面通りには受け取れない。東北新社や菅長男から世論の目をそらし、総務省の一部ゴチ幹部の個人的問題に矮小化する目的があるのだろう。

 東北新社に関しては、放送法の外資規制に違反していたにもかかわらず、総務省がBS4K事業の認定を取り消さなかったことが明らかになっている。そのうえ、事業を子会社に継承するにあたって、外資規制逃れの“脱法スキーム”を総務省が指南した疑いまで浮上している。菅が、これ以上、東北新社や長男に触れられては困るのは想像に難くない。

「それだけじゃありません。NTTだけをさらし者にするのは、さらに深い闇があるということ。NHKや大新聞と系列関係にあるテレビ局にも目を向けた方がいい。総務省の監督下にあるテレビ局の存在です。第2次安倍政権以降の政治家と行政の不健全な関係に加え、官僚と許認可を受ける民間企業との接待や癒着が顕著になったわけです。これは権力の私物化。そういう仕組みを作ったのは官房長官であり首相になった菅氏です。今回の問題では政治家の責任も問われなければおかしい」(平野貞夫氏=前出)

■絶大な許認可権が生む癒着

 TBS出身の立憲民主党・杉尾秀哉参院議員が野党合同ヒアリングで総務省とテレビ局の慣れ合いを暴露した。「テレビ局の幹部は(総務省幹部と)ずっと会食している。私も立ち会ったことがある」「東北新社は衛星関係では大手だが事業規模は小さい。(総務省とより関係が深いのは)テレビ局だ」と言ったが、実際そうなのだろう。

 総務省の菅の子飼いだけがかくも脇が甘いのはなぜなのか。電波は使用に限りがあるため、役所の許認可権は絶大であり、一度認可を受ければ、その既得権益も大きい。放送・通信行政を担当する官僚と許認可を受ける民間企業には必然的に上下関係が生まれる。

 放送免許が必要なテレビ局や系列の新聞社には、かつて「波取り記者」と呼ばれる人たちがいて、原稿を書かずにロビイング活動を行っていた。

 NTTは1985年に民営化されるまで電電公社として国内の電気通信事業を独占。民営化されても政府が株式を保有しているうえ、かつての主従関係は今も残る。

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。

「放送も通信も総務省が許認可権を持っている限り、そこに絶対的な権力が生まれる。企業側がなんとしても電波を取りたい、持っている電波を守りたいとなれば、そこに接待文化が生まれ、癒着や利害関係が生まれるのは必然でしょう。総務省のような行政官庁が放送や通信の許認可権を持つのは世界では例外的で、米国など諸外国では独立した行政委員会が監督しています。このまま総務省が許認可権を持ち続けていいのかどうか。一連の問題は、癒着の土壌を変えるいいきっかけになるのではないか」

「徹底調査」の名のもとにズルズル時間をかけて問題をフェードアウトさせたり、再びのお手盛り調査で幕引きなんてことは、絶対に許されない。




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Author:gogotamu2019
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