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大阪大空襲から76年 91歳「最後の語り」活動半世紀で区切り(2021年3月12日配信『毎日新聞』)

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スマートフォンでビデオ会議システムを使い、中学生に大阪大空襲の体験を語る久保三也子さん=大阪市福島区の自宅で2021年3月8日午後3時8分、園部仁史撮影

 約4000人の命が奪われ、約50万人が家を失った第1次大阪大空襲から13日で76年。大阪市福島区の久保三也子さん(91)はこれまで小中学校などで600回以上、体験を語ってきた。しかし、高齢になり、病気もあって続けることが難しくなった。今年は、自身が代表を務めた「大阪大空襲の体験を語る会」の発足から50年の節目にあたる。「これで最後にしよう」。半世紀にわたる語り部の活動に区切りを付けた。

 「真夜中に火の滝が落ちてきて、B29が次から次へと上空を飛んでいた。91年の人生で一番記憶に残っているのはあの日のこと」。8日、久保さんは自宅でスマートフォンに向かって語りかけた。孫にビデオ会議システムでつないでもらったのは、大阪府大東市の四條畷学園中学校。画面の向こうで2年生157人が久保さんの「最後の語り」に静かに耳を傾けた。

 第1次大阪大空襲があった1945年3月、久保さんは府立泉尾高等女学校(現・府立大正白稜高校)の生徒だった。約270機の米軍機による空襲が未明まで続いた14日の朝、福島区の自宅から、動員されていた大正区の工場まで歩いた。一面の焼け野原、防火用水の水槽の周りなどに何十人もの黒焦げの遺体が散らばっている惨状は「この世のものとは思えなかった」。二度と起こさないためにも語り継がないといけないと、71年に発足した「語る会」の設立メンバーになり、20年前から2020年3月に解散するまで代表を務めた。

「戦争ない世の中を作って」

 四條畷学園中の講演は1年前に予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期になっていた。「戦争は国によっていつの間にか始められ、取り返しのつかない多大な被害を出して終わるもの。自分の考えを持ち、選挙に行くなどして戦争のない世の中を作ってほしい」。会って直接話すことはできなかったが30分間、懸命に思いを伝えた。

 生徒からは「戦争は正しいという教育を受けていたのですか」「今はアメリカにどんな感情を持っていますか」などと質問された。「戦争体験を家族などから聞く機会が少ない若い世代も、興味がないわけではなく、話せば真剣に考えてくれる」と感じている。

 語る会は97年までに9冊の空襲証言集を刊行した。体験画も募集し、09年には約310点を大阪国際平和センター(ピースおおさか、大阪市中央区)に寄贈した。一部は常設展示されている。「体験者は減る一方で、私の語り部としての役目も終わった。でも、証言集や体験画を通して空襲のことを多くの人に知ってもらい、あの時の惨状が二度と生まれない社会であり続けてほしい」。久保さんはそう願っている。【園部仁史】




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