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コロナ禍で女性が家事負担増 深まる不平等に「男性は7対3の意識を」専門家が指摘(2021年3月12日配信『AERA.com』)

深澤友紀,宮本さおり

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コロナ禍でテレワークが増え、家族内のスケジュール調整や宅配の管理など目に見えない家事も増えている(撮影/写真部・松永卓也)

 女性を蔑視した「森発言」で改めて浮き彫りになったジェンダー問題。実は家庭内こそ男女不平等は根深く、女性が家事や育児で負担を強いられている。背景には何があるのか。「家庭内ジェンダー」を特集したAERA 2021年3月15日号から。

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 収入の格差も家事分担の不平等につながりやすい。19年の男女間の賃金格差は、男性を100とすると、女性は74.3%と大きな格差がある。そのため、より高い収入を得やすい男性が有償労働を主に担い、家事育児などの無償労働は女性に、となる。ただ、中には夫と同程度かそれ以上の収入を得ている女性が、夫婦間のバランスを取って夫に屈辱感を持たせないよう、家事育児を多く負担するという家庭もあるという。性別役割分業意識が根強く、妻が夫より稼いでいても不平等が解消されるわけではないのだ。

 ほかにも、家庭内男女不平等の原因として、家事の中身の変化がある。食器洗い機やロボット掃除機、全自動洗濯乾燥機など、いわゆる「新三種の神器」を活用することや家事代行などで外注することで、代表的な家事の負担は減っているが、情報管理や収集など新しいタイプの「名もなき家事」が重要になってきた。その代表例が保活や受験の情報収集、夫婦でのタイムスケジュール管理などだ。

「こうした家事は目に見えず、その存在に気づいてさえいない夫も少なくない。女性側の負担がますます増える要因の一つです」(日本女子大学の永井暁子准教授)

■男性の長時間労働も壁


 長時間労働など仕事中心の生活も男性の家事育児参加を妨げる要因だ。

 神奈川県のフルタイム勤務の女性(35)は、夫が過労死するのではと心配で家事育児の分担をお願いしにくいと漏らす。第2子の育休に入る前までは、週に2日、保育園のお迎えを頼んでいたが、代わりに残りの3日は全て残業で終電帰りになった。

「夫が会社に『子育て中なので仕事を減らしてほしい』と頼んでも全く減りません。夫の会社は女性社員が少なく、専業主婦家庭が多いので、共働きフルタイム勤務の子育て世帯の家庭事情がわからないのだと思います。この春に復職しますが、夫の体が心配で、とても家事育児を平等に半分ずつなんて言えません」

 家事は、シャンプーの詰め替えや、トイレットペーパーなど消耗品の在庫確認など、気づいた人が気づいたときにやることが多く、どうしても家庭内の滞在時間が長く、目配り気配りができる女性のほうに負担が偏ってしまう。永井さんは言う。

「女性のほうが比較的察するのがうまいのは、小さいころから家庭の中で『女の子らしく』と育てられ、女子の社会で過ごす中でジェンダー化されたものです。周りの空気を読み、共感性や協調性を高めてきました」

 一方、男性はどうか。長年「暴力と男性性」の問題を研究してきた中村正・立命館大学教授によると、男性は幼いころから男性同士の中で競争を強いられ、序列や優劣の意識が強く、察することが苦手だという。

 妻が家事の分担について話し合おうとすると、夫が黙り込んで不機嫌な態度を取ったり、収入の格差などを理由に妻を侮辱したりして、話し合いにならないという家庭もある。こうした態度の土台には、女性蔑視やメンツへのこだわりなど「男らしさ」の問題が根底にあるという。

■7対3の意識で平等に

 日頃から不平等を感じ不利益を被っている女性は、男性以上に平等への意識が強い。一方でジェンダーの不平等で利益を受ける男性の多くは、そもそも不平等が存在することに気づいていないことが多い。

「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は誰しもが持っていますが、特に男性は、下駄を履かせてもらっていることを自覚して、脱ぐ作業が必要です。家事や育児は参加や協力という言葉でもなく、半分に分け合うだけでも足りず、自分が7対3ぐらいのつもりでやってこそ、それまでの不平等が是正されるのでしょう」(中村さん)

 コロナ禍では、在宅勤務が広がるなど働き方が劇的に変化している。ニッセイ基礎研究所が20年12月に実施し、2069人から得た調査レポート「アフターコロナに、共働き世帯の家事・育児分担は変わるか」では、第1子が高校生以下の男女を分析すると、20年12月時点で、コロナ前(20年1月)と比較して家事時間が増えたと回答したのは、女性は32.3%、男性はその半分以下の12.5%。育児時間については女性の29%、男性の17.5%が増えたと回答した。もともと家事育児を多く分担している女性の負担が、コロナ禍でさらに増えているのだ。

 調査では、感染収束後の予想も調べていて、コロナ前と比べて家事時間が増加すると回答した女性は35.5%で、男性の12.5%と大きな差が表れた。一方、男性は育児時間が減少すると予想した人が15%と、女性の3.2%の5倍ほど多かった。

■家族時間増に不安も

 レポートを担当した村松容子・准主任研究員は言う。

「男女の家事や育児への意識の違いが表れている。在宅勤務の増加などで妻が家事育児時間を増やしているのを見て、『自分は減らしても大丈夫』と考える夫が意外に多い可能性もあります。家族との時間が増えることに不安を感じているのも女性でした。働き方や生活時間が変わっていく中で、家庭内の家事や育児の分担について、各家庭でいいバランスを見つけていくことが重要だと思います」

 AERAが継続的に報じてきた家庭内ジェンダー問題。「協力的」な男性が増えるだけでは解決しない。この問題が注目されている今こそ、社会で、家庭で、根本的に考える必要がある。(編集部・深澤友紀、フリーランス記者・宮本さおり)

※AERA 2021年3月15日号より抜粋







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