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「選挙とカネ」似通う構図 藤田知事後援会不正と大規模買収事件【決別 金権政治】<第5部・あしき慣習>(特集)(2021年3月13日配信『中国新聞』)

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 故藤田雄山・前広島県知事の知事選を巡る疑惑で教訓を得たはずの県議会が、再び「政治とカネ」に揺れている。いま向き合うのは、2019年の参院選広島選挙区で起きた大規模買収事件。双方とも県内全域が選挙区の「全県選挙」が舞台で、自民党が分裂して激しく争っていた。選挙で現金をばらまいた二つの疑惑は構図が似通う。

 ▽故藤田前広島知事陣営、知事選で「数億〜数千万円」 議員に対策費、上納金も 真相は闇の中

 広島地検が05年12月、後援会の元事務局長を政治資金規正法違反の疑いで逮捕したのが発端。藤田氏の政治資金パーティーの収入を県選管に少なく報告したという容疑だった。

 だが06年2月に広島地裁であった元事務局長の初公判で様相は一変する。検察側は冒頭陳述で「毎回の知事選で各種議員へ対策費として現金を支払うなど多額の出費が必要で、激戦の時で数億円、無風の時でも数千万円に上った」と指摘。知事と県議会を巻き込んだ疑惑となり、県議会は翌3月に調査会を設置した。

 元事務局長の有罪判決が確定後、事態はさらに動きだす。確定した刑事裁判の記録を閲覧できる国の制度に基づき、元事務局長や元秘書の供述調書が知事や県議会、報道機関に開示されると、県政界の暗部が次々に発覚。中でも、元秘書の供述は衝撃的だった。

 元秘書の供述によると、藤田氏が初当選した1993年の知事選では、後援会側は対策費として計2億〜3億円を「国、地方のバッジ族、関係諸団体」に渡したという。97年の2期目の知事選でも3千万〜4千万円を配ったと供述。現職県議10人の実名を挙げて告白していた。

 さらに、藤田陣営の選挙活動を支援する自民党県連に「上納金」として裏金が渡ったとの疑惑も浮上した。元秘書の供述によると、元事務局長は「2期目の知事選で3千万円、3期目の知事選で1500万円を渡したが、領収書はもらえなかった」と話したという。当時、県議会議長で党県連会長代行だった桧山俊宏県議(76)の関与も指摘していた。

 知事、県議会による真相解明が進まない中、県議会は06年12月に藤田氏への辞職勧告を決議した。07年2月、藤田氏は「桧山氏から暗に金を要求された」とする元事務局長の証言を記者団に公表。一方、桧山氏は「荒唐無稽(むけい)な話」と全面否定した。対策費を受け取ったとされる10人の県議も中国新聞の取材に全員が金銭の授受を否定した。

 藤田氏は07年6月に真相解明の断念を表明。県議会も08年10月に調査を打ち切った。

 元事務局長は今回、中国新聞に対し「取材に応じるのは難しい」としている。真相は闇に包まれたままだ。

 ▽二つの選挙の共通点は 「全県」が舞台、自民は分裂 桧山県議の影が見え隠れ

 藤田氏の知事選を巡る疑惑と、河井夫妻による参院選の大規模買収事件はいずれも「全県選挙」が舞台。選挙区が広く、自民党では各地の地方議員の協力を得て支持拡大を図るのが通例だが、両選挙とも自民党は分裂。自民党の支持層を奪い合う激戦だった。

 藤田氏が初当選したのは1993年11月の知事選。自民党の参院議員だった藤田氏と、同党県議だった故亀井郁夫元参院議員が争う激しい選挙戦だった。亀井氏のバックには、実弟の静香元金融担当相がいた。

 この知事選について藤田氏の元秘書は捜査段階の供述調書で「対策費としての現金は想像をはるかに超える金が必要だった。2億あるいは3億円を使った」と説明。県議を含む「バッジ族」らに配った目的は「票の取りまとめであったり、いろいろな不評を抑えるため」と述べていた。

 一方、大規模買収事件が起きた参院選広島選挙区。通常は与野党で2議席を分け合う選挙区だが、19年7月の参院選では自民党が現職の溝手顕正氏(78)に加えて、県議だった河井案里氏(47)を擁立。野党の現職候補を含めた3人による激戦となり、溝手氏が落選した。

 検察側は初公判で「克行被告が案里氏の選挙情勢が厳しいと予想し、県議、市町議、首長らに現金を渡すことにした」と指摘。克行被告が案里氏と共謀し、票の取りまとめのため、各地域に支援者を持つ県議ら地方議員に現金を渡した疑いが持たれている。

 この二つの選挙に深く関わっていたのが桧山俊宏県議。93年の知事選は県議会議長として権勢を誇った時期でもあり、藤田氏擁立の中心人物だった。19年の参院選でも、溝手氏を推す党県連主流派とは距離を置き、県議時代に同じ会派だった案里氏の陣営を応援している。

 参院選での大規模買収事件では、桧山県議も検察当局の家宅捜索を受けたが、報道陣の取材に「現金の受け取りはない」と主張。克行被告が買収したとされる100人には含まれていない。

 ▽参院選・河井夫妻事件 100人に計2901万円渡す

 19年7月の参院選で広島選挙区に立った河井案里元参院議員(47)=有罪確定=を当選させるため、夫で元法相の克行被告(58)=衆院広島3区=が地方議員や後援会ら100人に計2901万円を配ったとされる。

 100人のうち40人が県議や市町議、首長といった県内の政治家で、克行被告の公判で証言したり供述調書が朗読されたりした。それによると克行被告は参院選前に県内各地を行脚。1対1で会って案里氏への応援を求めるなどした後、現金が入った封筒を渡すケースが多かった。領収書のやりとりはなかったという。

 被買収者とされる100人の証人尋問や供述調書の朗読は終わり、うち94人が現金を渡された時に買収の意図を感じたと認めた。一方、弁護側は「(参院選の3カ月前にあった統一地方選の)陣中見舞いや当選祝いだった」などと主張。無罪を訴えている。

 ▽広島県政界では過去にも 「小判」配布/辞職ドミノ/海砂…

 広島県政界では過去にも「政治とカネ」の問題が起きている。

 1962年に発覚したのは「大判小判事件」。3期目の県議が全国都道府県議会議長会から表彰された喜びを分かち合う趣旨で、全県議に模造金貨が配られた。県費を使っていたため、当時の大原博夫知事が辞職した。大原氏は藤田雄山氏の祖父に当たる。

 83年には県議選山県郡選挙区を巡り、自民党県議が旧豊平町議会の議長に、票の取りまとめ目的で400万円を渡したとして逮捕された。その後、町議会の16人のうち15人も現金を受け取ったとして逮捕される事態となり、全員が辞職。町長にも10万円が渡っており、首長、県議、町議の辞職ドミノとなった。

 当時、同僚町議を介して現金5万円を受け取った80代の元町議は「議会全体で責任を取ることになり辞職した。多くの人に迷惑を掛けた。二度と議員になる気はなかった」と振り返る。

 98年には、瀬戸内海の環境破壊につながる海砂採取の期限延長問題に絡み、業界団体が県議を介して延長工作をした疑惑が表面化した。広島地検が宇田伸県議らを政治資金規正法違反容疑で聴取。業界関係者側から受け取った100万円分の商品券について、政治資金収支報告書に虚偽の記入をした疑いが浮上したが、「県議らの法知識が十分でなかった」として起訴猶予処分にした。




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