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中絶に「配偶者の同意」求めず 婚姻関係破綻なら 厚労省方針(2021年3月14日配信『毎日新聞』)

 女性が人工妊娠中絶する際、母体保護法の規定で必要とされる「配偶者の同意」について、厚生労働省は、ドメスティックバイオレンス(DV)などで婚姻関係が事実上破綻し、同意を得ることが困難な場合に限って不要とする運用指針を作成した。女性が中絶を望んでも配偶者の同意が得られず、複数の医療機関をたらい回しにされたり、望まぬ出産に追い込まれたりするケースが相次いでおり、支援団体が見直しを求めていた。

 母体保護法では、中絶手術をする際、医師は女性本人とその配偶者から同意を得る必要があると定めている。女性が未婚であっても、子の父にあたる男性との訴訟リスクやトラブルを恐れ、男性の同意を求める医療機関が多い。

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中絶手術を受ける際の同意書モデル。配偶者がサインする欄がある。未婚女性の場合、パートナーや相手の男性のサイン欄を設けている医療機関もある

 内閣府の2017年の調査によると、異性から無理やり性交された経験のある女性141人のうち、加害者の26・2%は「(元)配偶者」、24・8%は「(元)交際相手」だった。性的DVの深刻な実態を受け、DV被害者を支援するNPO法人「全国女性シェルターネット」は今年2月に母体保護法の配偶者同意要件を撤廃するよう求める要望書を国に提出。また、昨年6月には性暴力で妊娠した未婚女性が複数の医療機関に中絶手術を断られるケースがあったとして、「犯罪被害者支援弁護士フォーラム(VSフォーラム)」が日本医師会(日医)に運用改善を申し入れていた。

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日本医師会が厚生労働省の担当課にあてた照会文書の内容。これに対し、厚労省は「貴見のとおり」と同意する旨の回答を出した=2021年3月11日、中川聡子撮影

 こうした動きを受け、日医と日本産婦人科医会(産科医会)は同意のあり方をめぐって議論してきた。関係者によると、日医が今月4日、「妊婦が夫のDV被害を受けているなど婚姻関係が実質破綻しており、中絶について配偶者の同意を得ることが困難な場合、本人の同意だけで足りると解してよいか」と厚労省に照会をかけたところ、厚労省は10日付でこれに同意する旨の文書を回答したという。

 産科医会は14日にも都道府県の産婦人科医会に通知を出す。婚姻関係の破綻の有無については、「本人からの申し出に基づき、産科医会が指定する医師が判断するが、親族か、夫婦関係を知る第三者に確認するのが望ましい」とする。判断の理由についてもカルテに記載するよう求める方針だ。

 シェルターネット代表の北仲千里・広島大准教授は「DV被害者が夫の同意を得られず、望まぬ出産を余儀なくされるケースが後を絶たない。同意なく中絶したことが発覚したら、夫からの攻撃が激しくなる可能性があり、本人や医師が中絶をためらう一因になっている。国が明確な指針を示すことは大きな意義がある」と話す。【中川聡子】

母体保護法
第3章 母性保護

(医師の認定による人工妊娠中絶)
第14条 都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。

一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の同意だけで足りる。





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