FC2ブログ

記事一覧

(論)同性婚否定は「違憲」 (2021年3月18・19・20・21・22・25・31日)

歌は世につれ、世は歌につれ(2021年3月31日配信『新潟日報』-「日報抄」)

 歌は世につれ、世は歌につれ。往年の名口上を思い出す番組が先日、民放BSで放送された。音楽評論家のスージー鈴木さんとタレントのマキタスポーツさんの「ザ・カセットテープ・ミュージック」だ

▼「歌謡曲における女性像の変容と変遷」と題し、トークが進んだ。奥村チヨさんの「恋の奴隷」(1969年)は男性に従属的な女性を、北原ミレイさんの「ざんげの値打ちもない」(70年)は男性に身をささげた末の悲劇を歌った。現代の価値観とは異なる女性の姿に、出演者は驚いた様子だった

▼転機となった曲として紹介されたのは、尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」(71年)。別れを決めた2人は暮らしていた部屋のドアを一緒に閉め、表札の名前を消す。歌詞から浮かぶのは男女の対等な関係だ

▼時代は進む。女性版「関白宣言」といえる平松愛理さんの「部屋とYシャツと私」(92年)や広瀬香美さんの「ロマンスの神様」(93年)に至ると、女性はしなやかな強さを身に付けた

▼流行歌だからインパクトも重要だろう。ただヒットの裏には、その世界観に共感する大衆の支持があったのは間違いない。パートナーの理想像や、人々が結婚に求めるものは変化し続けている

▼札幌地裁は、現行法が同性婚を認めていないことは「法の下の平等に反する」として、初の「違憲」判断を示した。同性のカップルを法的にどう扱うか。国民と立法機関は、真摯(しんし)な議論を求められている。地裁の判断はそのイントロだっただろうか。









同性婚訴訟で違憲判決(2021年3月25日配信『宮崎日日新聞』-「社説」)

◆国は法整備の議論進めよ◆

 同性同士の結婚を認めないのは憲法違反として、北海道に住む同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟の判決があり、札幌地裁は「同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」とする初判断を示した。賠償請求は棄却したが、家族の在り方が多様化している時代の変化と要請に目配りした司法判断といえよう。

 同性婚を巡る訴訟は2019年2月、各地のカップルが札幌をはじめ東京、名古屋、大阪の4地裁に一斉に提訴。その後、福岡地裁への提訴もあり、現在5地裁で争われている。その中で初の判決となり、他の訴訟はもとより、性的少数者(LGBTなど)に対する社会全体の意識にも影響を及ぼすとみられる。

 世界で初めて同性婚が法的に認められたのはオランダで、01年のことだ。今や米国や英国、台湾など30近い国・地域に広がり、異性間の結婚に準じる権利を認めている例も少なくない。日本では自治体が同性カップルを結婚に相当する関係と公的に認める制度を創設したり、企業がLGBTに配慮した職場づくりに取り組んだりしている。

 とはいえ、同性婚は認められておらず、生きづらさを訴える当事者は後を絶たない。社会の受け止め方はさまざまで同性婚の法制化には強い反対も予想されるが、生きづらさをどう取り除いていくかという視点から法整備の議論に本腰を入れることが求められよう。

 札幌訴訟の原告は男性同士の2組と女性同士1組。婚姻届を提出したが、不適法と受理されなかった。裁判で「同性と結婚できず、婚姻の自由を不当に侵害された」とし、さまざまな法的・経済的不利益を受け、法の下の平等に反すると主張した。

 札幌地裁は「同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部ですら与えないのは立法府の裁量権を超え、差別に当たる」とし、憲法14条に違反すると結論付けた。ただ立法府の対応については、比較的高い年齢層に否定的な意見が多いなどの社会情勢を踏まえ「違法ではない」とし賠償請求を退けた。

 原告らが訴える不利益は▽パートナーの法定相続人になれない▽遺族年金の受給ができない▽緊急手術の署名ができない▽職場での福利厚生を受けられない▽公営住宅にカップルで入居できない―などだ。

 東京都渋谷区や世田谷区、札幌市など複数の自治体が同性パートナーの証明書発行を行う制度を導入し、それにより当事者の困難が一部解消することもある。だが国単位の制度ではなく、法的拘束力もない。法整備の議論を積極的に進めてこなかったことを踏まえ、国は早急に対応すべきだ。





パートナー制度 偏見なくすきっかけに(2021年3月22日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 県内にもさらに広げていきたい。

 性的少数者らのカップルを結婚に相当する関係として自治体が公認する「パートナーシップ制度」である。4

月から導入予定の松本市に続き、駒ケ根市も2022年度から導入する方針を決めた。

 認定を受ければ、公営住宅にカップルで入居することや、公立病院での付き添いなどが可能になる。勤務先によっては手当など既婚者と同等の待遇も受けられる。

 何より、不安定な2人の関係に公的機関の認証という「後ろ盾」ができる意味は大きい。

 15年に東京都渋谷区と世田谷区が導入したのをきっかけとして、全国に広がっている。既に全国の79自治体で導入された。

 ただし、導入は首都圏などの自治体が中心で、地方は進んでいるとはいえない。

 県内では性的少数者らの団体が3年前から、地元議会に請願を提出するなどして、パートナー制度の導入を働きかけてきた。松本市議会は18年3月に請願を採択し、駒ケ根市議会は同年12月に意見書を可決した。地道な運動が理解を得て、広がり始めた。

 パートナー制度には限界もある。法的な婚姻関係と異なり、税制面での優遇はなく、遺産相続も同等ではない。パートナーが病気になっても、病院によっては病状説明も受けられない。

 性的少数者に対する社会の理解は不足し、偏見や差別も存在する。性的少数者であることを隠して暮らしている人は県内にも多い。性的少数者だと知られることを恐れ、制度が導入されても利用をためらう人もいる。この機会に理解を深めたい。

 17日には札幌地裁が同性同士の結婚を認めない民法などの規定を違憲とする判決を出した。

 判決は「(どの性別を好きになるかという)性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質」と強調した。性別や人種と同じで変えることはできない。異性を好きになる人と同じ権利があるのは当然である。

 パートナー制度が広がることで関心を高め、「精神疾患」や「治療できる」などの誤解や偏見をなくしたい。他国では自治体レベルのパートナー制度の広がりが政府を動かし、同性婚の実現につながった例も少なくない。

 県内では、性的少数者への理解を深めることなどを求めた請願を採択した議会が、ほかにもある。パートナー制度の導入に向け検討してほしい。



同性婚訴訟/法制化を求める違憲判決(2021年3月22日配信『神戸新聞』-「社説」)

 国が同性同士の結婚を認めないのは憲法違反として、3組の同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁が違憲と認める判決を出した。賠償請求は棄却したが、国の措置は憲法14条で定めた「法の下の平等」に反するとの判断である。

 同種の訴訟は全国5地裁に提訴され、今回が初の判決となった。

 性的少数者(LGBT)の人権を尊重する方向で、市民の意識が大きく変わりつつある。司法が社会の変化を捉えて判断するのは当然とはいえ、画期的な判決と言える。

 同性カップルを巡る司法判断は分かれていた。2020年の名古屋地裁判決は男性同士を事実婚と認定しなかった。一方、今年2月の東京地裁判決は、同性同士の不倫を不貞行為に当たるとし、最高裁は今月、女性カップルを法的保護の対象となる「結婚に準じた関係」と認めた。

 札幌地裁は「性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質で、性別や人種と同様だ」と指摘し、「同性愛者に婚姻の法的効果の一部ですら受ける手段を提供しないのは差別的」と断じた。

 判決は他の訴訟にも影響するとみられる。原告は控訴する方針だが、違憲判断が示された以上、同性婚の法整備を真剣に検討すべきだ。

 疑問が残るのは、損害賠償を認めなかった点だ。原告は同性婚の立法措置を国が怠ったと指摘したが、地裁は議論が起こったのは15年になってからだとし、「国会が違憲性を認識することは容易ではなく、違法とは言えない」と述べた。

 だが、15年に東京都渋谷区と世田谷区が同性カップルを法的に認めるパートナーシップ制度を導入し、それが全国に広がっている。兵庫県内でも16年の宝塚市から阪神間などの7市で制度が始まり、西宮市や姫路市も導入する予定だ。国の議論だけが遅れていると言うしかない。

 憲法24条には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有する」とある。判決はこれを異性婚について定めたもので「民法などが同性婚を認めていないことは違憲ではない」とした。

 ただ、24条の趣旨は戦前の家制度を廃し、個人の尊厳と両性の平等を保障するものだ。「制定当時に同性婚が想定されていなかっただけで、同性婚を否定していない」という過去の地裁判決もある。国の主張のように「男女が前提」とは言えまい。

 個々人の生き方は旧来の考えにしばられず、結婚や家族についても新しい形を選べるようになるのが望ましい。同性婚だけでなく、選択的夫婦別姓などの検討も必要だ。幅広い国民的な議論を進め、必要な法制化を急がねばならない。



同性婚を「容認」 社会の変化踏まえた判決(2021年3月22日配信『西日本新聞』-「社説」)

 結婚とは何か。家族とは何なのか。従来の価値観を揺さぶる画期的な司法判断である。

 同性同士の結婚を認めない民法などの規定は違憲だとして、同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は「法の下の平等を定めた憲法14条に反する」との初判断を示した。

 現行制度で同性カップルは、パートナーの法定相続人になれず緊急手術の署名もできないなど多くの制度上の不利益を被っている。今回の判決は、そうした立場の人々に寄り添った判決と言えるだろう。

 判決で最も重要な点は、自分の性別をどう思うかという性自認や、好きになる相手の性別を指す性的指向に対し、正面から理解を示したことだ。

 生物学的な性別は受精した瞬間に決まり、脳の性差は胎児期に現れるとされる。判決は性的指向について、自らの意思にかかわらず決定され「性別、人種と同様のもの」と指摘した。

 判決の背景には、性的少数者(LGBTQ)への社会の理解が近年急速に広がったことがある。人口の5~8%を占め、左利きの人と同程度ともいう。

 判決は、国会が違憲状態を認識するのは容易でなかったとして損害賠償は認めなかった。原告側は判決を評価しつつ「国会に速やかな立法措置を促したい」と控訴する方針だ。

 ただ判決には分かりにくい面もある。婚姻に関する憲法24条は「両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有する」としている。判決は24条を異性カップルの結婚を想定した条文として踏み込んだ判断を避けたが、原告の訴えの趣旨は24条の「両性」「夫婦」といった言葉こそ対象ではないのか。

 同性婚を巡る同様の裁判は福岡など他の4地裁でも続いている。今回の判決が先行例になるのか、最高裁が最終的にどのような判断を示すのか。注目されるところだが、家族の在り方に関わる問題であり、国民的な幅広い論議の方も不可欠だ。

 同性婚は2001年、オランダで法的に世界で初めて認められ、各国に広がっている。日本でも、同性カップルを公的に認めるパートナーシップ制度を持つ自治体は増えてきた。法的な拘束力はなく当事者の不利益解消には限界はあるものの、こうした取り組みを積み重ねることで、社会全体の認識にも変化が期待できるはずだ。

 LGBTQの人々が苦しんでいるのは法的な婚姻についてだけではない。今も偏見や差別を恐れ、声を上げにくい現実もあろう。今回の判決は「多様な私」を認め、誰もが自分らしく生きられる社会の仕組みを考える問題提起と捉えたい。





同性婚訴訟で違憲判決/法整備へ議論を始める時だ(2021年3月21日配信『河北新報』-「社説」)

 同性同士の結婚を認めないのは憲法に違反するとして、北海道の同性カップル3組が国に1人100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁が「不合理な差別で法の下の平等に反する」と初めての違憲判断をした。

 国への賠償は認めなかったが、違憲判決が出た意味は重い。性的少数者の権利保護の意識は高まっているものの、国の動きは鈍い。速やかに議論を始めるべきだ。

 原告は2019年1月に婚姻届を出したが、不適格として受理されなかったため訴えを起こした。同性婚を認めていない民法などの規定は、憲法24条が定めた婚姻の自由を侵害し、法の下の平等をうたう憲法14条が禁じる差別的扱いに当たると主張した。

 判決は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」とした24条は異性婚を想定しており、民法などの規定が同性婚を認めていないことが憲法違反とは言えないとした。

 14条については「性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質で、性別、人種などと同様」と指摘。同性愛者が婚姻の法的利益を一切受けられないのは不合理な差別と結論付けた。

 同性婚を認める動きは海外が先行している。01年4月にオランダが世界で初めて合法化したのを皮切りに、フランスや英国、米国、台湾など30近い国・地域に広がる。

 日本でも15年11月、東京都渋谷区や世田谷区が同性カップルを公的に認めるパートナーシップ制度を導入し、同様の制度を始める地方自治体が増えている。

 ただ法的拘束力はない。同性カップルはパートナーの法定相続人になれず、遺族年金の受給や緊急手術の署名ができないなどの不利益はそのままになっている。

 国立社会保障・人口問題研究所が全国の既婚女性約6000人を対象にした18年の調査で、ほぼ7割が同性婚を法律で認めるべきだと回答している。特に50代以下が肯定的だったという。

 しかし、政府、与党は消極的だ。同性婚を巡り、今回の札幌を含め各地で一斉提訴があった19年2月、衆院予算委員会で当時の法相は「家族の在り方の根幹にかかわる問題で、極めて慎重な検討を要する」と答弁した。

 同年6月には野党3党が同性婚の制度化を図る民法改正案を衆院に提出したが、与党の賛同が得られず、審議入りしていない。

 特に自民党は保守的な支持勢力を刺激することを恐れているように見える。選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案を政府が2度も準備しながら、同党の反対で提出を断念したのと同じ構図だ。

 家族の在り方が多様化している。司法に促されるまでもなく、時代の変化に対応するのが立法府の責務だ。議論すらしないのであれば、怠慢のそしりは免れない。



同性婚判決 差別解消への力としたい(2021年3月21日配信『新潟日報』-「社説」)

 多様性を重視する社会の変化も十分に踏まえ、性的少数者の人権尊重を求めた判決であり、評価できる。こうした司法判断が後押しとなって、差別解消のための法整備などが進むことを期待したい。

 同性婚を認めていない民法などの規定が憲法に違反するとして同性カップルが国に損害賠償を求めていた訴訟の判決が札幌地裁であり、「不合理な差別で法の下の平等に反する」とした初の違憲判断が示された。

 判決は性的指向について「自らの意思にかかわらず決定される個人の性質で、性別や人種などと同様」と指摘。

 同性愛者は婚姻で生じる法的な利益を全く得られていないとし、法の下の平等を定めた憲法14条が禁じる不合理な差別に当たると判断した。

 法律婚ができない同性カップルについては、さまざまな不利益が指摘されている。

 パートナーの法定相続人になれない、緊急手術の際に署名ができない、遺族年金が受け取れない-などだ。こうした現状を差別的な扱いと捉えたということだろう。

 注目したいのは、判決が同性婚を巡る歴史や社会意識の変化を冷静に見据え、結論を導いている点だ。

 判決は、民法などの規定が同性婚について定めなかったのは1947年の民法改正当時、同性愛が精神疾患とされ正常な婚姻を築けないと考えられたためとし、現在ではそうした知見は完全に否定されたとした。

 意識調査では同性カップルの保護に肯定的な人がおおむね半数程度まで増え、同性のカップルを「パートナー」として認めるパートナーシップ制度も広がっていると強調した。

 日常を描くテレビドラマや漫画などのエンターテインメント作品でも、同性愛カップルが登場することはもはや珍しくなくなった。社会の理解が進んでいる表れだろう。

 パートナーシップ制度を導入する自治体は全国で広がっており、県内でも新潟市が制度を設けている。

 時代の流れを見据え、人種などと同様に自らの意思で変えられない「性的指向」に基づく差別は許されないとした判決には強い説得力がある。

 違憲判決は、同性婚を巡る法整備などに動いてこなかった国に対応を迫るものといえる。

 だが加藤勝信官房長官は判決を受け、記者会見で「婚姻に関する民法規定が憲法に反するとは考えていない」と述べた。

 国はこれまで同性婚について家族の在り方の根幹に関わる問題で「国民的議論が必要」としてきたが、具体的アクションを起こしてきたとはいえない。与党も慎重姿勢を貫いてきた。

 政府、与党は同性婚を巡る問題が人権問題だという認識をまずきちんと持ち、時代の変化に目を向けてほしい。

 その上で性的少数者への国民理解をさらに深める活動なども併せ、差別解消に本気で取り組むべきだ。



不合理な差別解消へ国は行動(2021年3月21日配信『愛媛新聞』-「社説」)

同性婚を認めない現行制度に対し、札幌地裁が初の「違憲」判断を示した。北海道の同性カップルが「結婚の自由」などを保障した憲法に反するとして、国に損害賠償を求めて提訴していた。

 判決は国の立法不作為までは認めず、賠償請求は棄却したものの、結婚がもたらす法的利益を同性カップルに一切与えていない現状を、「不合理な差別で法の下の平等に反する」と断じた。多様性を認め合う社会の流れを重んじる判決で、司法が差別解消を促した意義は大きい。

 時代の変遷と共に家族観は様変わりし、同性カップルへの理解も広がっている。今回の判決を踏まえ、政府や立法府は、法整備への検討を本格化させるべきだ。

 民法や戸籍法には同性カップの結婚を認める規定がなく、婚姻届も受理されない。法律婚ができないと①パートナーの法定相続人になれない②遺族年金の受給ができない③緊急手術の署名ができない―などの不利益があり、一緒に暮らしていく上で大きな障壁となっている。

 札幌地裁の判決は、こうした不安定な立場にある性的少数者の実情を直視したものだ。異性愛・同性愛という性的指向は、性別や人種などと同様に自分の意思で変えられない「個人の性質」である点を重視。誰もが生まれながらに持っている法的利益に差異はないはずなのに、同性愛者だけが婚姻による法的利益を得られないのは、憲法14条が定めた平等原則に反すると結論付けた。

 さらに同性婚に対する社会意識の変化にも言及。同性カップルの法的保護に肯定的な国民が増え、異性愛者との間の区別を解消すべきだという要請が高まりつつあると強調した。実際、国立社会保障・人口問題研究所が全国の既婚女性を対象にした2018年の調査では約6千人のほぼ7割が同性婚を法律で認めるべきだと回答している。地方自治体の間でも同性カップルを公認するパートナーシップ制度導入の動きが広がるなど、法制化への機は熟しつつある。

 法務省は他の地裁で同種訴訟が係争中であることを理由に静観の構えを崩していない。しかし対応が遅れれば不利益を被る当事者の救済も先送りとなる。少数派の人権を守る役割を積極的に果たさねばならない。

 海外では先進国を中心に徐々に容認する国や地域が増えてきた。01年にオランダで法的に認められたのを皮切りに、20年5月時点で29の国・地域に上る。先進7カ国では米国、英国、ドイツ、フランス、カナダで認められている。

 今回の判決の後、注目すべき判断が最高裁で確定した。同性カップルでも不貞行為をすれば民法上の不法行為に当たるとされたもので、結婚に準じた法的保護の対象として認めた。司法は性的少数者に手を差し伸べる流れにある。国も呼応して早急に動くべきだ。





同性婚訴訟判決 「違憲」判断には疑問が残る(2021年3月20日配信『読売新聞』-「社説」)

 同性同士の結婚を認めるかどうかは、家族のあり方の根本にかかわる。社会的な合意がない中、同性婚を認めない民法などの規定を違憲と断じた判決には疑問が残る。

 北海道の同性カップル3組が、同性婚が認められないのは憲法が保障する婚姻の自由や平等原則に反するとして、国に損害賠償を求めた訴訟の判決が札幌地裁であった。全国5地裁で同種訴訟がある中、初の司法判断である。

 判決は賠償請求を棄却する一方、「婚姻によって生じる法的利益を同性愛者が一切享受できないのは不合理な差別にあたる」と述べた。法の下の平等を定めた憲法14条に違反するという論理だ。

 結婚すると、配偶者としての相続権や税制上の優遇措置、子の共同親権など、様々な法的利益を得られる。同性カップルが、こうした利益を全く得られないのはおかしいということだろう。

 ただ、「違憲」を導いた判決の考え方は分かりにくい。

 憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると定めており、判決も異性婚について定めたものだと認めている。これを踏まえれば、現行の民法や戸籍法に同性婚に関する規定がないのは、当然のことと言えよう。

 にもかかわらず、これらの法律が同性婚を認めていないのは憲法14条に違反するというのは、解釈に無理があるのではないか。

 原告側は政府に早期の立法を促すため、控訴する方針だという。今後、控訴審や残る4地裁で示される判断を注視したい。

 同性カップルを行政が公に認める「パートナーシップ制度」を導入する自治体が増えている。

 夫婦と同様の関係であることを認める証明書を発行し、パートナーが病気で手術を受ける際の同意などを可能にする制度だ。2015年に東京都渋谷区で始まり、現在は札幌市や大阪市など78自治体が導入しているという。

 同性カップルに対し、異性間の夫婦と同様の福利厚生やサービスを提供する企業も出てきた。まずは、こうした取り組みを広げることが大切ではないか。

 世界では、29か国・地域で同性婚を認める法が整備されているという。日本でも、若い世代では、同性婚を肯定的にとらえる人が多いという調査結果がある。

 同性婚を法的に認めるには、社会の幅広い同意が不可欠だ。時代の変化を踏まえつつ、伝統や国民感情を含めた社会状況に基づいて、慎重に議論すべきである。



ユニークさで知られる新明解国語…(2021年3月20日配信『山陽新聞』-「滴一滴」)

 ユニークさで知られる新明解国語辞典らしい語釈の一つだろう。「他の全てを犠牲にしても悔い無いと思い込むような愛情をいだき…」。「恋愛」のことである

▼昨秋の9年ぶりの改訂で、その対象が「特定の異性に対して」から「特定の相手に対して」に変わった。他にも「相合傘」の語釈は「男女が一緒に差す」から「二人が一緒に差す」になり、「アイライン」は「女性が」の主語がなくなった

▼いずれも社会の意識が変わったことを映したに違いない。そうした変化から同性カップルに対する区別を解消すべきだという要請が高まりつつあるとして札幌地裁は先日、同性婚を認めないのは違憲との判決を下した

▼原告が訴える問題は、より現実的だ。パートナーの法定相続人になれない、緊急手術の署名ができない、職場での福利厚生を受けられない。そんな不利益をなくすように求めている

▼法整備だけで解決することではなかろう。他の地裁で争われる同様の訴訟での判断に注目しながら、性の多様性がさらに知られ、当事者が相談などをしやすい社会を目指したい

▼改訂された新明解には、性的マイノリティーの総称であるLGBTなどの語釈が加わった。その理解を普及させ、社会の寛容さを広げていくことは性的少数者ばかりではなく、多くの人が暮らしやすくなるのにつながる。



美しく生きるコツ(2021年3月20日配信『宮崎日日新聞』-「くろしお」)

 だいぶ以前だが、宮崎市のバイク店が映画「ローマの休日」で使われた物と同型のスクーターを展示していた。結構な人寄せ効果があったから、これほど愛される映画はほかにないだろう、と思ったものだ。

 昨日、県立美術館で開会式があった写真展「オードリー・ヘプバーン」を巡り、映画とともに彼女のみずみずしい魅力は語り継がれるだろうと確信した。ただ彼女の笑顔は大変チャーミングだが、無邪気一辺倒ではない。時折差す憂いの表情が魅力を加えている。

 例えばこの映画で「願いの壁」という大戦中の戦跡を訪ねる場面。空襲の話を聞き、悲しみが表情に浮かぶ。「アンネの日記」の作者と同年生まれの彼女は、同様にオランダで少女時代を送り、戦争の惨禍を見聞。りんとした雰囲気があるのは、悲しい体験がにじむからか。

 「噂の(うわさ)二人」(1961年)という映画では、憂いの表情が濃かった。学園を共同経営する仲のいい女性2人が同性愛の関係にある、といううわさを流されて悲劇へ進む。うわさが拡散する怖さに主眼が置かれていたが、当時は同性愛をタブー視する風潮自体を疑問視する空気は乏しかったようだ。

 先日、札幌地裁で同性婚導入を前進させる判決があった時、この映画を思い出し時の流れを感じた。同展では努力家だった一面など「永遠の妖精」のさまざまな表情に出会える。内面からにじみ出る魅力に、年齢を重ねながら美しく生きるこつを学べそうだ。



好きな人が同性だったら(2021年3月20日配信『琉球新報』-「金口木舌」)

 映画「チョコレートドーナツ」は、米国カリフォルニア州を舞台に男性同士のカップルがダウン症の少年を育てる物語。性的指向を理由に、2人は職場や近所の人から好奇の目で見られる

▼2人は母親から虐待された少年を引き取った。読み聞かせや宿題を教えたり伝統行事を一緒に楽しんだりと少年に深い愛情を注ぐ。異性カップルの家庭とは何が違うのか。映画から問い掛けられているような気がした

▼同じような感覚を覚えた場面があった。性的少数者が生きやすい社会づくりを目指し例年、開催されている「ピンクドット沖縄」。2016年、男性カップルが聴衆の前で人前結婚式を挙げた

▼日本の民法は同性婚を認めていない。婚姻届は受理されないが、多くの人に祝福され晴れやかな表情を見せた。「自分たちのような生き方を発信していきたい」。男性2人の言葉が印象に残った

▼先日、民法の規定に一石を投じるような判決があった。札幌地裁が同性婚を認めない民法などの規定は「法の下の平等に反する」と初の違憲判断を下した。今後の同性婚をめぐる議論に影響しそうだ

▼米カリフォルニア州では既に同性婚が認められている。多様な結婚の形が公認されたら、差別や偏見の解消につながる。好きになったのが同性という理由で苦しんでいる人たちがいる。普段の暮らしを幸せに送る権利は誰にでもある。





同性婚を巡る議論を深めたい(2021年3月19日配信『日本経済新聞』ー「社説」)

 人の生き方はひとつではない。多様性を認め、すべての人が暮らしやすい社会の実現は、新たな活力を生む源泉にもなりうる。LGBT(性的少数者)の尊厳が守られ、安心して生活できる環境づくりはその大切な一歩だ。

 海外では同性の結婚を法的に認める国が徐々に増えてきている。日本企業が国際化を進め、多くの外国人と一緒に働いていくうえにおいて、LGBTへの差別をなくし、待遇などで不利益が生じないようにすることは避けて通れない重要な課題である。

 そうしたなか、同性婚を認めていない日本の現行制度は、法の下の平等を定めた憲法14条に反するとの判決が札幌地裁で出された。この問題を巡り、司法が憲法判断をしたのは初めてだ。

 判決は性的指向について「自らの意思にかかわらず決まる個人の性質で、性別、人種などと同様のもの」と指摘した。同性カップルに対し「婚姻によって生じる法的効果の一部ですらも受ける手段を提供しないのは合理的根拠を欠く差別的取り扱い」と結論づけた。

 判決には様々な受け止めがあろう。国は憲法24条の「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」との規定を根拠に法律婚を男女のみに認めてきた。判決は24条は異性婚についての定めだとしつつ、同性カップルへの「一切の法的保護を否定する趣旨ではない」とした。さらなる司法判断が必要だろう。

 家族のあるべき姿を巡っては国民に多様な意見があり、世代によっても受け止め方は異なる。同性カップルの保護をどう図るか、憲法改正にまで至る問題なのかなどは、国会や法務省の法制審議会のような場でよく議論すべきだ。

 重要なのは、同性カップルが被っている不利益をどうすれば縮小、解消できるかである。互いの法的相続人になれず、共同で子どもの親権を持てない、などの法的な制約が指摘されている。自治体がふたりの関係を公的に証明するパートナーシップ制度などを拡充する検討も急ぐべきだ。



「同性の人同士でする結婚」(2021年3月19日配信『神戸新聞』-「正平調」)

 テレビドラマでも人気を博した、よしながふみさんの料理漫画「きのう何食べた?」は男性カップルの日常を描く。こんな独白がある。「結婚ちゅーものがない」自分たちは「一緒に住むって事がまあひとつの区切りな訳で」-

◆手元の国語辞典をひくと、「同性婚」は「同性の人同士でする結婚」と当たり前の説明がある。ただし載っているのは昨年改訂された最新版で、同じ辞典でもそれまでの旧版に「同性婚」の記述は見当たらない

◆世の中が変われば辞典も変わる。「結婚できない」という漫画のせりふもいずれは過去のものに…そんな判決だろう。同性婚を認めないのは「法の下の平等」をうたった憲法に反していると、札幌地裁が断じた

◆異性を好きになる。同性を好きになる。どちらにせよ、そうした性的指向は性別や人種と同じで、自らの意思で決められないものだと判決は言う。ゆえに結婚できないために生じる不利益は「差別にあたる」と

◆画期的とはいえ、その論理に飛躍のウルトラCは見えず、とても分かりやすい。読み上げる裁判長の声は震えていたそうだ。それほどに重い判断でもある。「多様な性」への理解を深め、議論を急ぐときだろう

◆制度による差別は心の差別もまた助長する。忘れてはならない。



同性婚否定「違憲」 法整備を検討すべきだ(2021年3月19日配信『琉球新報』-「社説」)

 同性間の結婚を認めないのは憲法に反する―。婚姻届を受理されなかった北海道の同性カップル3組が国と争っている訴訟で、札幌地裁は17日、婚姻による法的権利が同性カップルに認められないのは憲法14条が禁じた不合理な差別に当たると判断した。

 少数者の基本的人権を救済する司法の役割を果たすと同時に、多様性を認め合う社会の流れに沿った画期的な判決だ。現状は差別だと裁判所が明確に踏み込んだ意味は重い。違憲状態の解消に向け、政府や国会は法整備を早急に検討すべきだ。

 同性愛を巡って社会全体の意識が肯定的に変わってきた中で、自治体が先導する形でパートナーシップ制度の導入が進んできた。同性カップルを「結婚に相当する関係」と認めて証明書を発行し、自治体が認めたサービスが利用できるようにしたものだ。

 2015年に東京都渋谷区と世田谷区が開始したのを皮切りに、パートナーシップ制度がある自治体は1日時点で78に上る。県内でも16年に那覇市が導入し、浦添市では開会中の市議会3月定例会で条例案が可決の見通しだ。

 しかし、パートナーとして自治体に登録されても、法的に保障された関係ではない。互いの死亡時に法定相続人になれず、養子の共同親権を持つことができない。税制上の配偶者控除を受けられないなど、異性カップルであれば認められる権利が保障されない不利益が生じている。

 17日の判決で、札幌地裁の武部知子裁判長は「性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質で、性別や人種と同様」と指摘。愛する人が異性か同性かで法的利益に差異がある現状は、合理的根拠を欠いた差別的な取り扱いだとした。

 一方で、原告が求めた損害賠償については、日本で同性カップルの権利保護の議論がされてきたのは比較的近年であることから、「国会が違法性を直ちに認識することは容易ではなかった」として退けた。ただこれも、社会の変化に合わせた法整備の対応を国会に促したといえる。

 海外では01年にオランダが初めて同性婚を認め、昨年5月時点で同性婚を容認する国や地域が29に上っている。先進7カ国(G7)で同性カップルを法的に認めていないのは日本だけだ。

 野党3党は19年に同性婚の制度化を図る民法改正案を衆院に提出したが、具体的な動きになっていない。伝統的家族観を重視する与党の自民党内に、同性婚の法制化に抵抗が強いためだ。この構図は、選択的夫婦別姓の導入を巡る議論にも通じる。結婚の自由や権利が全ての人に保障されることの意義は、性的少数者だけの問題ではない。

 制度的な不平等を放置すれば、少数者への偏見を助長することにもなる。多様化する家族の在り方に合わせた、柔軟な法制度が必要だ。



同性婚訴訟の判決(2021年3月19日配信『しんぶん赤旗』ー「主張」)

差別解消へ国は責任を果たせ

 同性間の結婚が認められないのは婚姻の自由などを保障した憲法に違反するとして、北海道の同性カップル3組が国を訴えた裁判で、札幌地裁は同性婚を認めない民法などの規定を違憲とする初めての司法判断を示しました。判決は、性的指向を理由に差別的な扱いを受けることは憲法14条の「法の下の平等」に反すると明確に認定しました。性的少数者の人権と尊厳を保障する立場から、不利益の解消を国に迫った画期的な判決です。政府と国会は判決を真摯(しんし)に受け止め、法律の整備に直ちに踏み出すべきです。

初の「違憲」判断に喜び

 同性婚を否認する現行制度の違憲性を問う「結婚の自由をすべての人に」訴訟は2019年、同性カップルが札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5地裁に提訴していたものです。

 初の判決となった札幌地裁が同性婚否認を「違憲」と判断したことは、原告をはじめ全国の同性カップルや支援の人たちに大きな励ましと勇気と喜びを広げています。司法を動かしたのは粘り強い運動です。

 現在の民法や戸籍法は男女の結婚を前提にしており、同性婚を認めていません。そのため、同性カップルは相続権や税金の配偶者控除など法的・経済的な権利が認められていません。

 病院で家族としての面会や付き添い、手術の際の同意判断も許されないことなども問題になっています。異性カップルであれば抱えなくてもいい物理的・心理的な負担が同性カップルには重くのしかかっています。

 今回の判決は、性的指向の違いでもたらされるこれらの数多くの差別を憲法14条の平等原則に照らして不合理としました。

 判決は、性的指向は「性別、人種などと同様」に自分の意思によって選択や変更ができない個人の性質であると指摘しました。同性カップルと異性カップルの違いは、変えることのできない性的指向によるものです。ところが異性カップルは結婚によって法的な地位や権利を受けることができているのに、同性カップルはその一部さえも受けることができません。このことを「合理的根拠を欠く差別的な取り扱いに当たる」(判決)と解決を求めたことは、重要な前進です。

 国側は裁判で、同性愛者でも異性との結婚は可能であり現行制度は差別でないと主張しました。個人の性的指向を否定し、望まない結婚を事実上強いる暴論です。判決は、この国の言い分をきっぱりと退けました。ここにも性的少数者に寄り添った判決の姿勢があらわれています。差別を押し付ける現行制度に固執する国の態度に道理はありません。

法整備に踏み出す時だ

 同性婚を認める国・地域は約30にのぼります。日本でも同性カップルを認証するパートナーシップ制度を導入する地方自治体が約80に広がっています。同性婚を認めることは大きな流れです。

 日本共産党など野党は19年の国会に「婚姻の平等」法案を提出するなど同性婚法制化に力を注いでいます。自民党は、「(同性婚を進めることは)社会の混乱につながる」(下村博文政調会長の17日の記者会見)などという否定的な立場を改め、法整備に責任を果たさなければなりません。





同性婚訴訟 時代が求めた違憲判決(2021年3月18日配信『北海道新聞』-「社説」)

 同性婚を国が認めないのは憲法に反するとの初の司法判断がきのう、札幌地裁で示された。

 差別であり、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する―。

 判決はそう明確に指摘した。

 同性カップルの置かれた現状と、昨今の社会情勢を踏まえた意義ある画期的な判断だ。

 東京など4地裁で続いている同種訴訟への影響も注目される。

 政府と国会は判決を時代の要請と重く受け止め、違憲状態の解消を図るべきだ。

 民法と戸籍法は婚姻に関する規定に「夫婦」の用語を使っている。このため結婚は男女間に限られると国は法解釈してきた。

 これにより婚姻届が受理されなかった道内の同性カップル3組が国の扱いは違憲だと訴えていた。

 判決は、同性カップルが結婚できないのは「異性愛者に比べ、自ら同性愛を選択したのではない同性愛者の保護にあまりに欠けている」とした上で、「合理的根拠を欠く差別に当たる」と断じた。

 同性への性的指向はかつて病気とされる風潮もあったが、今では自分の意思でコントロールできない生来の属性だと広く理解されている。

 差別は原則許されないという人権尊重の考え方に立った判決であり、妥当な論旨と言える。

 原告側は、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると定める憲法24条が、同性カップルにも婚姻の自由を保障しているとも訴えていた。

 これについて判決は、同条は異性婚について定めたもので、同性婚を認めないのは24条違反には当たらないと結論づけた。

 ただ原告は、同条は結婚に戸主の同意が必要とされた戦前の家制度からの解放を目指す趣旨だと主張していた。

 これに対する言及は判決にはみられない。憲法制定過程のさらなる検証が今後求められよう。

 同性カップルは、税の優遇措置や遺産の相続など多方面でさまざまな不利益を受けてきた。違憲判決が出たとはいえ、現状では婚姻届は受理されない状態が続く。

 政府と国会は民法など関係法令の改正に早期に動きだすべきだ。

 夫婦が子を産み育て共同生活を営むという伝統的な結婚観に加え、近年はパートナーとの人格的な結びつきに結婚の価値を見いだす人が増えている。

 憲法を生かし、今にふさわしい婚姻制度の構築を目指すのが国のとるべき姿勢だ。



「普通」の同性婚(2021年3月18日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 小学校の帰りの会で教師がみんなに尋ねた。「七崎(ななさき)君ってオカマかい?」。指名された児童たちが答える。「オカマじゃありません」「普通の男子です」。そのしぐさからオカマと呼ばれた児童を教師は心配したのだろう。だが、当の本人の頬を涙が伝った。「自分は普通ではないんだ」

▼道内出身の七崎良輔さんの「僕が夫に出会うまで」(文藝春秋)は、同性愛者であることで受けた体験を赤裸々につづった

キャプチャ

▼封印した少女戦士アニメ「セーラームーン」への憧れ。ためらった告白と偽りの彼女。恐れた親の失望。あるがままに伝える方が、悩む人たちの心に届くと考えた

▼文春オンラインでの連載には多くの共感の声が寄せられた。閲覧がきっかけでいじめが発覚した例もあった。20年前の七崎さんを苦しめた差別意識は根強く残る

文春オンライン➡ここをクリック

▼同性婚を認めないのは違憲だとして道内の3組が起こした訴訟で札幌地裁はきのう、請求を棄却した。だが、家族として扱われない状態や法的利益を受けられないことは法の下の平等に反すると判断。立法府の対応を求めたものといえよう

▼七崎さんがパートナーとともに婚姻届を提出した2015年、江戸川区役所の担当者は申し訳なさそうに「今はまだ受理できないんです」と言った。「今はまだ」に「いつかきっと」の希望を見いだした七崎さん「夫夫(ふうふ)」。同性婚が普通になる日も遠くないかもしれない。



法整備の議論 本腰入れよ/同性婚訴訟で違憲判決(2021年3月18日配信『東奥日報』-「時論」/『茨城新聞」-「論説」)


 同性同士の結婚を認めないのは憲法違反として、北海道に住む同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟の判決があり、札幌地裁は「同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」とする初判断を示した。賠償請求は棄却したが、家族の在り方が多様化している時代の変化と要請に目配りした司法判断といえよう。

 同性婚を巡る訴訟は2019年2月、各地のカップルが札幌をはじめ東京、名古屋、大阪の4地裁に一斉に提訴。その後、福岡地裁への提訴もあり、現在5地裁で争われている。その中で初の判決となり、他の訴訟はもとより、性的少数者(LGBT)に対する社会全体の意識にも大きな影響を及ぼすとみられる。

 世界で初めて同性婚が法的に認められたのはオランダで、01年のことだ。今や米国や英国、台湾など30近い国・地域に広がり、異性間の結婚に準じる権利を認めている例も少なくない。日本では自治体が同性カップルを結婚に相当する関係と公的に認める制度を創設したり、企業がLGBTに配慮した職場づくりに取り組んだりしている。

 とはいえ、同性婚は認められておらず、生きづらさを訴える当事者は後を絶たない。社会の受け止め方はさまざまで同性婚の法制化には強い反対も予想されるが、生きづらさをどう取り除いていくかという視点から法整備の議論に本腰を入れることが求められよう。

 札幌訴訟の原告は男性同士の2組と女性同士1組。いずれも婚姻届を提出したが、不適法と受理されなかった。裁判で「同性と結婚できず、婚姻の自由を不当に侵害された」とし、さまざまな法的・経済的不利益を受け、法の下の平等に反すると主張。同性婚を可能にする立法措置を怠った国の対応は違法とした。

 憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると定め、民法や戸籍法が「夫婦」という言葉を使っていることから、婚姻は男女間に限られるというのが政府見解。国側は「憲法は同性婚を想定しておらず、不合理な差別には当たらない」「夫婦が子どもを産み育てながら、共同生活を送る関係に法的保護を与えるのが婚姻制度の目的」などと反論した。

 札幌地裁は「同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部ですら与えないのは立法府の裁量権を超え、差別に当たる」とし、憲法14条に違反すると結論付けた。ただ立法府の対応については、比較的高い年齢層に同性婚に否定的な意見が多いなどの社会情勢を踏まえ「違法ではない」とし賠償請求を退けた。

 原告らが訴える不利益は▽パートナーの法定相続人になれない▽遺族年金の受給ができない▽緊急手術の署名ができない▽職場での福利厚生を受けられない▽公営住宅にカップルで入居できない-などだ。自分の性的指向が表に出たら学校でいじめに遭ったり、職場でハラスメントにさらされたりする恐れがあることから、当事者は誰かに相談するのもためらう。

 弘前市、東京都渋谷区、札幌市など複数の自治体が同性パートナーらの証明書発行を行う制度を導入し、それにより当事者の困難が一部解消することもある。だが国単位の制度ではなく、法的拘束力もない。法整備の議論を積極的に進めてこなかったことを踏まえ、国は早急に対応すべきだ。



同性婚否定は「違憲」 人権尊重した画期的判断(2021年3月18日配信『毎日新聞』-「社説」)

 同性同士の結婚を認めない現在の制度は、憲法に違反するとの初めての判断を札幌地裁が示した。法の下の平等を定めた14条に違反していると認定した。

 性的指向は多様であるのに、同性カップルは不当な扱いを受けている。そうした人たちの人権を尊重した画期的な判断だ。

 民法や戸籍法は男女が結婚することを前提としており、同性カップルは婚姻届が受理されない。

 判決は、性的指向は人種などと同様に自分の意思によって選択、変更することができないものであり、同性婚を認めないのは合理的な根拠を欠いていると指摘した。

 異性カップルならば結婚によって法的な地位や権利を得られるにもかかわらず、同性カップルにその手段がないのは、差別的な取り扱いに当たると判断した。

 裁判では、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」とした憲法24条の解釈も争点だった。

 判決は、異性婚について定めた規定だと指摘しつつも、同性カップルに対する法的な保護を否定するものではないと明言した。

 同性婚を巡っては社会の意識も変化している。

 実現を目指す団体が一昨年に実施した調査では、7割以上が同性婚に賛成している。同性カップルに社内の福利厚生を適用する企業も増えている。

 東京高裁は昨年、同性間でも事実婚が成立し、法的に権利が保護されるとの判決を出している。

 今回の判断は、時代に即したものだと言える。

 同性カップルの関係を自治体が公的に証明する「パートナーシップ制度」も広がっている。東京都渋谷区が2015年に始め、今月時点で78自治体が導入した。

 法的な拘束力はないが、住宅の入居やパートナーの入院、生命保険の契約などで活用されている。

 しかし、それだけでは限界がある。パートナーの法定相続人になれず、共同で親権は持てない。税制や社会保障でも不利益がある。

 政府は同性婚について「憲法で想定されておらず、極めて慎重な検討が必要」との姿勢だ。

 世界では28の国・地域が同性婚を認めている。国は今回の判決を重く受け止め、権利を守る法制度の整備に乗り出すべきだ。



同性婚否定「違憲」 婚姻制度理解せず不当だ(2021年3月18日配信『産経新聞』ー「主張」)

 婚姻届が受理されなかった同性カップルが、国に損害賠償を求めた訴訟の判決があった。

 札幌地裁は賠償請求を棄却しながらも、同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に反すると「違憲」判断を示した。耳を疑う。

 婚姻制度は男女を前提とし、社会の根幹を成す。それを覆す不当な判断だと言わざるを得ない。

 同性婚をめぐる訴訟は、この札幌を含め東京、大阪など全国5地裁で起こされ、初の判決として注目されていた。札幌地裁の訴訟の原告は、男性カップル2組と女性カップル1組で、婚姻届が受理されなかったため、国に計600万円の損害賠償を求めていた。

 札幌地裁は、国は当時、違憲性を認識できなかったとして、損害賠償は認めなかった。

 判決は、民法などの婚姻に関する規定が同性婚を認めないのは憲法14条に反するとした。同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部すら与えないことは立法府の裁量権の範囲を超え差別にあたるなどとも判じた。

 一方で、札幌地裁は、憲法24条の「婚姻は両性の合意のみに基づく」との条文について、「異性婚について定めたものであり、同性婚について定めるものではないと解するのが相当である」として、原告側の主張を退けた。

 それでは憲法24条は、14条違反ということになる。24条について判決は「同性愛者が営む共同生活に対する一切の法的保護を否定する趣旨まで有するとは解されない」と述べたが、「両性の合意のみ」の両性を異性間と規定する以上、この解釈には無理がある。

 この矛盾を解消するためには、憲法改正を議論しなければならないはずだ。

 国側が主張してきたように、婚姻制度は、男女の夫婦が子供を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的がある。社会の自然な考え方だ。

 同性愛など性的少数者への偏見や差別をなくす取り組みが必要なのはもちろんだが、そうした権利擁護と、結婚や家族のあり方の議論は分けて考えるべきだ。

 同性カップルを公認するパートナー証明などを設け、権利を擁護する自治体もある。企業などを含め、法的・経済的不利益について事情を十分考慮し、きめ細かな施策を進める方が現実的である。



憲法は同性婚を禁止している(2021年3月18日配信『産経新聞』‐「産経抄」)

 昨日の札幌地裁の判決には驚いた。国が同性婚を認めていないのは、憲法に違反するというのだ。原告は、男性カップル2組と女性カップル1組である。3組は平成31年1月に婚姻届を提出したが、不適法として受理されず、翌月に提訴した。

 ▼妻と不倫した女性に夫が損害賠償を請求できるか。東京地裁は先月、同性同士の性的行為も不貞行為に当たるとして女性に賠償を命じる、これまたびっくり仰天の判決を言い渡している。2つの判決は、整合性が取れているといえば、その通りだが。

 ▼札幌地裁は、同性同士の結婚が認められないのは、法の下の平等を定めた憲法14条に反すると判断した。では憲法24条はどうなるのか。「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」。

 ▼「両性」と「夫婦」が「男女」を意味するのは明白である。憲法は同性婚を禁止している。同性婚を可能にするために、憲法改正を求めていくという主張なら、筋が通っている。

 ▼確かに世界を見渡せば、同性婚を認めている国は少なくない。国内でも平成27年、東京都渋谷区が、同性カップルを結婚に相当する関係として認める条例を制定している。同様の制度が全国の自治体に広がりつつある。同性婚をめぐる議論も活発になっていくだろう。性的少数者への偏見がなくなっていくのなら、大いに歓迎する。

 ▼ただ心配もある。最近の国会で、丸川珠代男女共同参画担当相が選択的夫婦別姓に反対していたとつるし上げにあっていた。男女平等と夫婦別姓は別の問題である。同じように、同性婚に消極的な意見を口にすれば、差別だと糾弾される日が来るのが恐ろしい。



同性婚判決 社会意識の変化捉えた(2021年3月18日配信『東京新聞』ー「社説」)

 同性婚を認めないのは違憲−。北海道在住の同性カップルが損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁が初判断を示した。性的少数者の人権を重んずるのは当然で、立法府は法整備を検討すべきだ。

 「同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部すら与えないのは差別に当たる」−。札幌地裁の裁判長はそう述べた。憲法14条が定めた「法の下の平等」に照らし「違憲」としたのだ。

 3組の同性カップルが婚姻届を出したのに、「不適法」と受理されなかったため、同性婚を認めない民法や戸籍法は憲法違反だと2019年に提訴していた。

 原告たちにとっては喜びの瞬間だったろう。

 性別や人種などで差別があれば、むろん「法の下の平等」に反する。婚姻についても同性愛者の権利保護を明確にしたわけで、司法の役割は果たしたと評価できる。他の地裁で進む同様の裁判にも影響は必至だろう。

 もちろん下地はあった。15年に東京都渋谷区が全国で初めて、同性カップルに「パートナーシップ証明書」を発行する条例を施行した。

 同様の制度は既に全国約08の自治体で導入され、計約1500組に交付されている。企業でも福利厚生面で認める動きがある。

 司法でも19年には、宇都宮地裁真岡支部で女性同士のパートナーの事実婚について「内縁関係に準じた法的保護」を認めた。
 その一方で昨年3月に大阪地裁は四十年以上続いた男性同士のパートナー間の相続を認めない判決を出している。

 司法判断は揺れていたわけで、その意味でも今回「同性婚を認めないのは違憲」と踏み込んだ札幌判決は意義深いといえる。

 性的少数者(LGBT)への差別をなくすべきだという世論は近年高まっている。電通が18年に行った調査では、LGBT差別撤廃の法整備に約72%が賛成している。同性婚の合法化も「賛成」「どちらかというと賛成」の回答が約78%に上っていた。


 国側は一貫して「同性婚は想定されていない」と繰り返し、旧民法下の「家制度」ばりの家族観を示す政治家もいる。

 だが、もはや性的マイノリティーに対する社会意識が大きく変化しているのは明らかだ。性的指向で婚姻まで差別するのは不当だとの司法メッセージを重く受け止めるべきである。



同性婚判決 「違憲」解消する法改正を(2021年3月18日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 同性同士の結婚を認めないのは、法の下の平等を定めた憲法14条に反すると断じた。同性婚の法制化に道を開き、性的少数者の人権保障を大きく前進させ得る画期的な判決である。

 北海道に住む同性のカップル3組が起こした裁判だ。札幌地裁は、合理的根拠を欠く差別にあたると認め、違憲と結論づけた。

 異性を愛するか、同性を愛するかの性的指向は、意思によって変えられない個人の性質だとした上で、区別する扱いが妥当かを検討した。同性愛者が、婚姻による法的効果の一部すら受けられないのは立法権の裁量の範囲を超えるとの判断を示している。

 婚姻制度から閉め出されてきた各地の当事者が自ら声を上げ、全国5地裁で28人が争う訴訟の最初の判決である。同性婚をめぐる違憲判断は初めてだ。

 憲法が保障する婚姻の自由を侵害しているとの原告側の主張は認められなかった。「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と定めた憲法24条について判決は、同性婚について定めていないと解するのが相当と述べ、この条文に反するとは認定していない。

 とはいえ、裁判所が現状を差別と認め、明確に違憲と判断した意味は重い。同性婚を異性間の婚姻と同様に保護する法制度の実現に政府、国会は動くべきだ。

 政府は「憲法は同性婚を想定していない」との見解を示し、極めて慎重な検討を要するとして法制化に背を向けてきた。与党の自民党内には「伝統的な家族観」と相いれないとする反対論が根強い。野党は一昨年、同性婚を認める民法改正案を国会に提出したが、棚上げにされたままだ。

 世界では2001年にオランダが初めて法制化して以降、欧州を中心に30近い国・地域が同性婚を認めている。アジアでも一昨年、台湾が法制化した。

 国内では、同性カップルを自治体が公的に認証するパートナーシップ制度が広がっている。70を超す自治体が既に導入し、県内でも松本市が4月から始める。

 けれども、法的な保護や保障が及ぶわけではないため、当事者が受ける不利益は依然大きい。税の配偶者控除は受けられず、遺産の法定相続人にもなれない。

 憲法は個人の尊重を核に置く。多様な個のあり方を認めることはその前提だ。異性を愛する人も同性を愛する人も、結婚の自由は等しく保障されなければならない。同性婚の法制化へ、国会での議論を促す働きかけを強めたい。



同性婚否定は「違憲」 多様な家族、認める国に(2021年3月18日配信『中国新聞』-「社説」)

 同性同士の結婚が認められないのは憲法が保障する婚姻の自由などに反するとして、北海道の同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁が「違憲」の初判断を示した。

 賠償請求は棄却したものの、多様化する家族の実情や社会の意識変化を踏まえ、性的少数者の人権を重んじた司法判断と言えよう。

 同性カップルは法的に婚姻関係が認められておらず、税の控除や相続が受けられない、手術の際に同意できないといったさまざまな不利益を被っている。国は司法に指摘された「違憲」の現状を放置することなく、法整備に向け、国会での幅広い議論を急がねばならない。

 原告の男性カップル2組と女性カップル1組は2019年に婚姻届を提出したが、受理されなかった。そのため、同性婚を認めない民法や戸籍法は、憲法違反だとして提訴していた。

 武部知子裁判長は判決で、人が人に対して魅力を感じる「性的指向」は「人の意思によって選択・変更し得るものではない」と指摘。「同性愛者に婚姻による法的保障の一部すら与えないのは差別的で、法の下の平等を定めた憲法14条に反する」と踏み込んだ。

 原告側は「婚姻は両性の合意のみに基づく」との憲法24条についても、両者の自由で平等な合意で婚姻が成立するとしたもので、同性同士の結婚を禁止していないと主張してきた。これに対し、国側は「両性」は男性と女性を意味し、「夫婦が子を産み育てながら共同生活を送るという関係に法的保護を与えるためで合理的」などと訴えを退けるよう求めていた。

 菅義偉首相はこれまで、同性婚について「家族の在り方の根幹に関わる問題で、慎重な議論が必要」と繰り返してきた。実際、高年齢層では否定的意見が根強いそうだ。明治から昭和にかけて、同性愛は治療すべきものとされ、社会道徳に反すると教えられてきたことなども背景にあるのだろう。

 しかし、同性婚に否定的な意見や価値観を持つ国民がいるからといって、同性カップルの人権が損なわれてはなるまい。

 単身世帯が増え、子どもを持たない選択をする夫婦も少なくない。時代と共に家族の形や価値観は大きく変わっている。同性同士というだけで、婚姻制度の法的保護の枠組みから排除することは差別に当たる―。そんな判決の指摘には多くの人が納得できるのではないか。

 自治体単位では、同性カップルを婚姻に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」の導入が進んでいる。15年に東京都渋谷区と世田谷区が取り入れて以来、全国へ広がる。ことし1月からは広島市でも始まった。支援団体の調べでは、すでに70余りの自治体が導入し、今後も増える見通しという。だが国の制度ではなく、法的には権利が保障されない。

 厚生労働省が18年に既婚女性を対象に実施した調査では、同性婚を法律で認めるべきだとした人が約7割を占め、30代以下では約9割が賛成している。性的少数者の権利を重んじる意識は高まっている。

 誰もが自分らしく生きられる社会へ、多様な家族が重んじられる必要がある。国は早急に議論を始めるべきだ。



【同性婚訴訟】法整備への議論を始めよ(2021年3月18日配信『高知新聞』-「社説」)

 同性婚を国が認めていないのは憲法違反かどうか。北海道に住む同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は憲法14条に定めた法の下の平等に反するとし「違憲」との初判断を示した。

 社会で性的少数者への理解が広がる中で、画期的な判決である。国は人権の問題として真摯(しんし)に受け止めなければならない。国会は同性婚の法整備に関する議論を始めるべきだ。

 原告側は男性2組、女性1組で、いずれも2019年1月に婚姻届を提出したが、不適法として受理されなかった。婚姻の自由を不当に侵害され、さまざまな法的・経済的不利益を受けていると主張した。

 憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」するとし、結婚に関する民法の規定では「夫婦」という用語が使われている。

 このため、国側は「憲法は同性婚を想定しておらず、不合理な差別に当たらない」と反論した。民法上の婚姻制度は、夫婦が子どもを産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的があり、同性婚を認めていないことは「国会の立法裁量の範囲内だ」としていた。

 これに対して札幌地裁は「同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部すら与えないのは、差別的で憲法に違反する」とし、立法府の裁量権を超えていると結論付けた。

 一方、国が同性婚を認める立法措置を講じなかったことへの賠償請求は「違憲性を国会が直ちに認識することは容易ではない」と棄却した。

 当事者は「希望の明かりになる」と喜んでいる。同種の訴訟はほかの4地裁でも進んでおり、違憲判断は他の訴訟に影響する可能性もある。

 同性カップルを巡っては、男女の夫婦と同様の生活を送っていても、法律婚ができないために税制や相続など法的保護の枠組みから外れていることが問題になっている。

 現行憲法が施行された70年以上前には、同性婚は想定されていなかったかもしれない。だからといって同性カップルが法的に守られず、不利益を被ったままの現状をそのままにすることは許されまい。

 家族のあり方も大きく変化した。夫婦は今や、国が婚姻制度の目的に考えるような、子どもを産み育てながら共同生活を送る関係にとどまらない。子どもを持たない夫婦や、子どもの養育を前提としない中高年の結婚も珍しくなくなった。

 性的少数者への認識も変わった。ゲイやレズビアンといった性的指向は、人種などと同様に自らの意思にかかわらず決まる個人の性質である。趣味や嗜好(しこう)の問題ではないという理解が広がりつつある。

 高知市など全国の自治体で、性的少数者の権利を守る取り組みも進んでいる。同性カップルを男女の夫婦と同等の関係と認めるパートナーシップ制度を導入する動きが盛んだ。

 同性婚を認める国は欧州を中心に増えている。日本でも導入を検討することは時代の要請であろう。少数者の権利を守り、差別的な取り扱いは解消していかねばならない。



自分らしく(2021年3月18日配信『高知新聞』-「小社会」)

 15年以上会っていない友人男性から昨年、1通の電子メールが届いた。件名は「重大告白」。50人以上に一斉に送られていた。数年前からうつ病になり、長く休職していたとあった。

 ユニークな性格で、見た目も屈強そうなので意外だったが、重大告白とはうつ病の原因の方だった。通院するうちに「性同一性障害」と判明したという。心の奥に外見の性とは違う意識があり、長年、ストレスになっていたらしい。

 診断後、友人は女性の服装で出勤しており、戸籍の名前も変えた。職場の理解もあるようだ。告白には勇気がいったろうが、文章が生き生きとしているのが印象的だった。

 国が同性婚を認めていないのは違憲との司法判断が初めて示された。婚姻届が受理されなかった同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は法の下の平等を定めた憲法14条に反するとした上で、訴えは棄却した。

 LGBTなど性的少数者や同性婚への社会的な理解は、少しずつだが高まっている。海外では同性カップルの法律婚を認めるところも増加。日本でも独自の公認制度を導入する自治体が相次いでいる。高知市も始めた。国も本質的な論議を進めてほしい。

 自分らしく生きようと決めた友人には多くの激励が寄せられた。仲間は皆、中高年。人生後半をどう生きるか自問する年齢というのもある。札幌地裁判決に改めて人の生き方とその尊厳を考えさせられる。



同性婚判決 法整備へ議論を深めたい(2021年3月18日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 札幌地裁は17日、国が同性同士の結婚を認めていないのは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとの初の司法判断を示した。LGBTなど性的少数者のカップルを異性間と同様に受け入れる動きは自治体や企業で広がる。一方、国が同性婚を認めない現状では当事者の権利は制限され、不安定な立場に置かれたままだ。今回の判決を同性婚法制化への議論を深めるきっかけにしたい。

 原告は同性のカップル3組。国が法整備を怠り精神的苦痛を受けたとして計600万円の損害賠償を求めたが、請求は棄却された。

 一昨年、全国4地裁で同種の訴訟が起こされ、その後、熊本市の同性カップルが福岡地裁に提訴。5地裁のうち、札幌が初の判決になった。

 争点は大きく三つ。まず、「両性」は男女かという点。憲法24条は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と規定する。政府は、憲法は同性婚を想定していないとの見解。民法や戸籍法にある「夫婦」を、男である夫と、女である妻と捉えているからだ。一方、原告側は同性婚を禁止した規定ではないと訴えた。

 そもそも24条は、旧民法下の「家」に縛られず、個人の尊重と男女の平等を確保するために設けられたものだ。こうした「婚姻の自由」の立法趣旨に照らせば、同性同士の婚姻も保障されているとの原告主張は理解できる。しかし判決は24条を「異性間の結婚を定めたもの」とし、同性婚が認められなくても違反ではないとした。

 2点目は不合理な差別が生じたか。国側は同性婚を想定しておらず、異性間の婚姻との差別も生じないと主張。これに対し、原告側は同性カップルは法的な結婚ができないため、お互いに法定相続人になれないなどの不利益が生じているとした。

 判決は「同性カップルに婚姻で生じる法的効果の一部すら与えないのは立法府の裁量権を超え、差別に当たる」と結論づけた。

 3点目の同性婚を可能とする立法措置を国が怠ったかについて、判決は「国会が違憲性を直ちに認識することは容易でなかった」として賠償責任を否定した。

 厚生労働省が2018年に既婚女性約6千人を対象にした全国家庭動向調査では、「同性婚を法律で認めるべきだ」がほぼ7割。理解は進んでいると言えよう。ただし世代別では29歳以下が92・1%、30代は89・5%が賛成したのに対し、60代は59・3%、70歳以上は42・2%と開きがあった。

 性的少数者のカップルを婚姻と同等の関係と認めるパートナーシップ制度は、東京都渋谷区を皮切りに熊本市や宮崎市などが相次ぎ導入。しかし法的効力はなく、権利は限定されている。

 世界に目を向けると20年5月現在、29の国・地域で法的に同性婚を容認。アジアでは台湾が初めて法制化に踏み切った。

 性的少数者の人権尊重はもはや潮流といえる。国は判決を重く受け止め、速やかに対応すべきだ。



[同性婚訴訟] 法の整備が不可欠だ(2021年3月18日配信『南日本新聞』-「社説」)

 札幌地裁はきのう、国が同性婚を認めていないのは憲法14条が定める法の下の平等に反し「違憲」との初判断を示した。
 国に対する賠償請求は棄却したが、家族の形が多様化する社会の変化を踏まえた司法判断と言える。国は法整備に向けた議論を急がなければならない。

 原告の同性カップル3組はいずれも婚姻届を提出したが不適法として受理されず、2019年2月に提訴した。

 原告側は「同性と結婚できず、婚姻の自由を不当に侵害している」とし法的・経済的不利益を受けていると主張。これに対し国側は「憲法は同性婚を想定しておらず、不合理な差別には当たらない」と反論していた。

 判決は「同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部すら与えないのは立法府の裁量権を超え、差別に当たる」と指摘した。法整備の議論を積極的に進めてこなかった国に早急な対応を求める内容である。

 国が同性婚を認めていないのは、憲法24条に「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立する」と定められ、「同性婚を想定していない」と解釈しているからだ。

 しかし、24条の本質は婚姻に戸主の同意が必要だった旧民法下の「家」制度に縛られず、個人の尊重と男女の平等を確保することにある。

 現行憲法が制定された約74年前、同性婚は想定されていなかっただろうし、夫婦が子どもを持たない選択をするなど家族観は近年大きく変わってきた。

 また、LGBTなど性的少数者のカップルを公認するパートナーシップ制度が15年11月、東京都渋谷区と世田谷区で日本で初めて導入され、鹿児島市と指宿市が運用へ準備を進めている。同性カップルへの理解が徐々に広がっているのが現状だ。

 ただ、同制度ではパートナーの法定相続人になれず、遺族年金も受給できないなど異性婚と同じ恩恵は受けられない。法の下での平等を保障するには、こうした不利益を解消できるよう法の整備が不可欠である。

 同性婚は01年4月、オランダで法的に認められたのを皮切りに、欧州を中心に20カ国以上で制度化され、アジアでは台湾が導入している。

 菅義偉首相は国会で「極めて慎重な検討を要する」と答弁したが、生きづらさを訴える当事者は後を絶たない。人権や多様性が尊重される社会の実現へ前向きな取り組みを求めたい。



[同性婚禁止は違憲]時代の変化に沿う判決(2021年3月18日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 当事者が声を上げた画期的な訴訟で、時代の変化を踏まえた画期的な判断が示された。

 国が同性同士の結婚を認めないのは憲法に違反するとして、北海道に住む同性カップル3組が訴えた裁判で、札幌地裁は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると認定した。

 全国5地裁で争われている同様の訴訟では、初の判決となる。

 注目したいのは、武部知子裁判長が判決理由で指摘したこの言葉だ。

 「性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質で、性別や人種などと同様」

 「同性愛者が婚姻によって生じる法的効果の一部すら受けられないのは立法府の裁量権を超え、差別に当たる」

 性的指向は本人が選んだり、決めたり、変えたりできるものではないと踏み込み、一人一人の性の在り方を尊重する姿勢を強く打ち出した内容といえる。多様性を認め合う社会の要請にも沿うものだ。

 判決は「差別」という言葉を使い、性的少数者(LGBT)の権利保護にも触れる。

 愛する人と家族になって生きていく権利は誰にとっても重要だ。にもかかわらず同性婚が認められていないため、法定相続人になれなかったり、緊急手術の署名ができないなどの不利益は、人としての尊厳にもかかわる深刻な問題である。

 家族の在り方が多様化する中、国は判決を重く受け止め、法制化を含めた議論を急がなければならない。

■    ■

 違憲判断を後押ししたのは、性的少数者に対する社会の意識の変化や、同性カップルを異性間と同じように受け入れようとする自治体や企業の動きだ。

 電通ダイバーシティ・ラボが2019年に発表した6万人アンケートでは、11人に1人がLGBTに該当した。同性婚に賛成する人の割合も8割近くに上った。

 LGBTのカップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」も約80自治体で導入されるなど広がりを見せている。

 消極姿勢の政府に代わって、住民により近い自治体が、差別を解消し、生きづらさを取り除こうと工夫を凝らしているのだ。

 ただ法的効力を持たないパートナーシップ制度に限界があるのも事実だ。制度の有無による地域差も生じている。

■    ■

 日本政府は同性婚について「慎重な検討を要する」との立場で、導入への議論は進んでいない。

 政府が同性カップルに結婚という法的地位を与えないことと、自民党内で繰り返されるLGBTへの差別的言動は無関係には思えない。

 先進7カ国では米国、英国、ドイツ、フランス、カナダで同性婚が認められている。

 判決が指摘するように同性カップルへの理解は広がっている。

 人権という観点から、もはや無視できない問題である。ボールは立法府に投げられた。



「結婚の自由をすべての人に」(2021年3月18日配信『しんぶん赤旗』ー「潮流」)

 街角で若い男女の友人が話している。男「おれ、結婚したんだ」。女「相手は男の人、女の人?」。男「男だよ。それより知ってる? この国では昔、同性同士の結婚は禁止されていたんだって」女「うそでしょ。そんな野蛮な国だったの!」

▼2年前のバレンタインデーに13組の同性カップルがいっせいに起こした「結婚の自由をすべての人に」訴訟。その原告のひとりが描いた未来の風景です。「オランダには同性婚が禁止されていた時代があったことすら知らない若者が多くいるという。日本でも当たり前になる日がきっとくる」

▼きのう札幌地裁で画期的な判決がありました。同性婚を認めないのは違憲。「合理的な根拠を欠いた差別的な扱い」で、法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断です

▼裁判で示された国の態度は、あまりに理不尽でゆがんでいました。想定していない、伝統的な結婚制度が破壊される、結婚制度は「子孫繁栄」のため、同性愛者も異性と結婚できるから不平等ではない―

▼カラフルな虹色に染まった地裁前にかかげられた「結婚の平等へ大きな一歩」の横断幕。原告は「涙が止まらなかった。真摯(しんし)に私たちの問題に向き合ってくれた」と

▼欧米を中心におよそ30の国や地域で認められている同性婚。日本でもパートナーシップ制度を取り入れる自治体が各地にひろがり、多くの国民は同性婚の合法化に賛成しています。勝ち取ってきた一つ一つの人権。それが多様で豊かな未来をつくりあげます










スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ