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児童虐待に即応できる体制を(2019年8月5日配信『日本経済新聞』―「社説」)

 痛ましい事件をなくし、子どもの健やかな成長を支えていけるよう、対策を急がねばならない。

 2018年度に全国の児童相談所が対応した虐待件数は、過去最多の15万9850件を記録した。前年度より2割も多い。虐待で死亡した子どもは17年度で65人いた。今年6月には札幌市で2歳女児が衰弱死している。

 虐待を疑う通告があったら48時間以内に子どもの安全を確認する「48時間ルール」は、子どもを守る第一歩だ。だが厚生労働省のまとめでは、48時間以内に対応できなかったケースが19年6月までの1年間に約1万2千件あった。件数の急増に児童相談所の体制が追いついていない。

 まず急ぐべきは児童相談所の人材の確保・育成だ。政府は18年、虐待への対応にあたる児童福祉司を22年度までに大幅に増員するプランをまとめた。今年度中に17年度比で1000人増やす予定だが、4月1日時点で600人弱にとどまっている。

 単に数を増やすだけでは足りない。難しいケースにも適切に対応できるよう職員の資質を上げていくことも不可欠だ。研修の充実などに加え、資格のあり方をどう考えるかは大きな課題だ。

 警察や学校など関係機関の連携を深めることも欠かせない。あと一歩踏み込んで情報を共有できていれば……。過去の事件ではこんな後悔が繰り返されてきた。

 妊娠・出産のときから親に寄り添い、不安や悩みの相談にのる。そうした取り組みを自治体が広げることも、虐待を未然に防ぐうえで役に立つだろう。児童虐待防止に特効薬はない。子どもにかかわるあらゆる機関が当事者として知恵を絞ってほしい。

 児童虐待防止をめぐっては、今年6月、児童福祉法などの改正法が成立した。児童相談所の体制強化などとともに、親による子どもの体罰禁止も盛り込んでいる。虐待を許さない社会にしていくために、わたしたち自身にできることもあるはずだ。




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