FC2ブログ

記事一覧

(論)緊急事態解除(2021年3月18・19・20・21・22日)

「緊急事態」1年 場当たり対策から脱却を(2021年4月8日配信『西日本新聞』-「社説」)

 闘いは長期化し、今なお終わりが見えない。政府は一連の対策を真摯(しんし)に検証し、自治体との連携や国民の協力の輪を広げる努力をさらに重ねるべきだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で政府が昨年4月7日に初めて緊急事態宣言を出して1年が過ぎた。初の宣言当時、国内の累計感染者は約4400人、死者は100人足らずだった。それが現在、感染者は50万人、死者は1万人に近づき、100倍ほどの規模に膨らんだ。

 昨年末からの「第3波」では重症者の急増で医療提供体制が逼迫(ひっぱく)し、政府は2度目の緊急事態宣言に追い込まれた。それでも感染は抑え切れず、今週から関西と宮城県で緊急事態に準じる「まん延防止等重点措置」を適用する事態に至った。

 手ごわいウイルスが相手とはいえ、政府の対応は後手後手に回り、迷走している印象も拭えない。そこで改めて指摘したいのは、感染症のパンデミック(世界的大流行)に対する政府の警戒感が元来乏しく、それがいまだに尾を引いている点だ。

 新型コロナ対策は昨年3月に新型インフルエンザに対応する特別措置法を急きょ改正し、コロナを適用対象に組み込む形で始まった。政府は当初、その期限を政令で今年1月末までと定め、1年以内での事態収束を見込んだ。その甘い認識が観光需要喚起策などの前倒し実施につながり、感染の抑止が進まない中、ワクチン接種体制の構築も立ち遅れる状況に陥った。

 全国知事会は今回の重点措置適用に際し、政府に対策の拡充を求める緊急提言を発表した。重点措置により、知事は特定地域で強制力を伴う幅広い対策を進めることができる。ただ、この措置の適用を決める権限は国に委ねられ、自治体にはない。

 緊急提言は、知事にも適用権限を与えることや大規模なPCR検査の実施、飲食店に限らない幅広い業種への支援、ワクチン供給の不安解消など広範に及ぶ。これらは現場の危機感にほかならず、国と自治体の連携不足もうかがわせる。菅義偉首相は重く受け止めるべきだ。

 重点措置自体も、今年2月にわずか4日間の国会審議で特措法を再改正して導入された急ごしらえの方策だ。国会ではその際、一連の対策の妥当性について第三者的立場から客観的、科学的に検証し、結果を公表するよう付帯決議が行われている。首相はこれを誠実に履行することも忘れてはなるまい。

 ウイルスの研究が進み、ワクチンも開発された新型コロナはもはや「未知の病原体」ではない。政府には早急に、場当たり的な対策から脱却していく取り組みが求められている。





年度末は、経営不振の企業が…(2021年3月22日配信『毎日新聞』-「余録」)

 年度末は、経営不振の企業が資金繰りに追われる。過去には巨額の不良債権処理を迫られた大銀行が、取引先などから1兆円もの資金をかき集めて乗り切ったこともあった

▲コロナ下の年度末、大銀行のような力も持たず、窮地にある中小企業は多い。営業時間の短縮を求められている小さな飲食店は特に厳しい

▲東京・神田で藤枝勇(ふじえだ・ゆう)さん(41)が営むイタリア料理店は、10人も座ればいっぱいのカウンターだけだ。フィレンツェで修業して8年前に開店したところ、目の前で打つ本格パスタが評判を呼び、いつもにぎわっていた。それがすっかりまばらになり、売り上げは8割も減った

▲夜の予約が一組でも入れば、「ああ、この売り上げであすも店を開けられる」と胸をなで下ろした。時短への協力金はほかの店と同様、都の手続きが滞り、年末年始の分さえ届いていない。年度末どころか、毎日のように綱渡りを強いられ、「先が見えない」と店をたたむことすら考えた

▲続けられたのは、下町の雰囲気が漂う神田で小さな店同士の助け合いがあったからだ。居酒屋が困っていると聞けば、藤枝さんが食事に行った。すると居酒屋に紹介されたというお客さんが店に来てくれた。休業した喫茶店もコーヒーの差し入れで励ましてくれた。「みんな大変なのに温かい」

▲緊急事態宣言はきのうで解除されたが、感染再拡大が懸念され、客足がすぐ戻るとは思えない。地域の絆を支えに、パスタを存分に振る舞える日を辛抱強く待つつもりだ。





「此岸(しがん)」(2021年3月21日配信『産経新聞』-「産経抄」)

 わが国では、球体を「たま」と呼び、神仏には饅頭(まんじゅう)や団子といった丸い物を供える。人の魂は球のような形をしていると、先祖が考えていたからではないか-。仏教学者で東北福祉大学長の千葉公慈さんが『知れば恐ろしい日本人の風習』に書き留めている。

 ▼いわく「神」や「社」の「示(しめすへん)」は、供えた生贄(いけにえ)の血が台座から滴るさまを表す。赤や朱は邪気を払う色とされ、血の色をした小豆も珍重された。いつか先祖供養と結びついたのが「彼岸にぼた餅」という。いわれを聞き、供え物に伸ばしかけた手を止めた方もおられよう。

 ▼今年は、20日が彼岸の中日だった。新型コロナウイルス禍が依然として予断を許さぬ中で、遠方にあるご先祖の墓参りをやむなく見送った方は多いはずである。業者が代行する「リモート墓参り」も昨年から耳にするようになった。

 ▼感染症で亡くなる方は増え続け、東日本大震災から10年を経た東北地方は、いまも大きな余震に見舞われている。きょうと明日が地続きという保証のないこの列島で、いつにも増して命の重さを考えさせられる今年のお彼岸である。

 ▼首都圏の1都3県では、2カ月半に及んだ緊急事態宣言が解除される。自粛続きでは経済の息の根が止まり、かといって人々が感情のままに憂さを晴らせば、再びウイルスに付け込まれる。歓送迎会など誘いの声が多い季節、暮らしと健康の釣り合いをどう保つか。身の処し方が難しい。

 ▼仏教思想では、修行を積んで達した悟りの境地を「彼岸」、生老病死に苦悩するこの世を「此岸(しがん)」と呼ぶ。その両岸を隔てるのが煩悩の川だという。その流れが緩やかか、激しいかは知らない。「花より団子」の凡俗の身には、容易に渡れぬ厄介な川である。



緊急事態宣言、解除へ リバウンド対策万全に(2021年3月21日配信『中国新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス対策で政府の出していた緊急事態宣言が21日までの期限通り、残っていた首都圏の1都3県で解かれる。約2カ月半に及んだ宣言はこれで全面解除となるものの、事態が好転したわけではない。

 菅義偉首相は解除を決めた理由として、1都3県で新規感染者数や病床使用率が「目安とした基準を満たした」ことを挙げた。現実には、首都圏の新規感染者数は下げ止まり、微増に転じた東京では、連日300人を超えている。

 宣言再延長の際、菅首相は解除の条件を「ベクトルが下に行くことが大事」としていた。判断基準が一貫性を欠いていると言わざるを得ない。

 漫然と延長しても、これ以上の効果は見込めないというのが政府側の本音ではないか。その点では、発令中に複数の与党議員が深夜飲酒などに及び、「伝家の宝刀」である宣言の切れ味を鈍らせた責任は重い。

 手詰まりの宣言に代わる手段が、いかんせん首相の記者会見からはうかがえなかった。

 目下の問題は、リバウンド(感染再拡大)の兆しが見え始めていることである。

 東京の新規感染者数は再びステージ3(感染急増)に迫り、リバウンドが既に始まっているとの見方さえ、専門家の間で聞こえる。宣言が先行解除された近畿圏でも、感染者数が増加傾向に転じている。宮城県では、1日当たりの新規感染者数が過去最多を更新した。

 全国計でも千人台が続いており、昨年夏の第2波の水準である。宣言下に準じた状況と受け止め、政府は「第4波」に万全の備えを急ぐべきだ。

 これからの時期は、花見や卒業・入学祝い、歓送迎会といった春のイベントも多くなる。宣言の解除も重なり、会食の機会も人出も増えていく。

 本来なら、宣言解除は「ブレーキ」解除を意味するはずだった。感染の落ち着いている地域にすれば、「アクセル」に踏み換えたい段階だろう。

 きのう全国知事会は国への緊急提言案を示し、検査強化などリバウンド対策に併せ、観光支援事業「Go To トラベル」の段階的再開を盛り込んだ。無理からぬ要請といえる。

 とはいえ気の緩みは、リバウンドを助長する。「自粛疲れ」ムードを引き締めつつ、経済の持続を図る必要がある。それだけに自治体には以前にも増して、科学的データに裏打ちされたメッセージが望まれよう。

 重症化や発症を防ぐ効果を期待されるワクチンの接種が、2月に医療従事者から始まっている。ただ、接種の長期化は避けられそうにない。その後に続く高齢者や基礎疾患のある人、それ以外の市民に対する接種のスケジュールが具体的に示されていないからである。

 ワクチン供給のどこで目詰まりが生じているのか。それを見極め、早く手を打ち、接種のペースを上げてもらいたい。

 2020年4月に最初の緊急事態宣言が出てから、間もなく1年になる。

 昨夏の「第2波」でも昨冬の「第3波」でも、医療逼迫(ひっぱく)の危機にさらされた。これ以上、繰り返す愚は避けたい。国と自治体との役割分担や保健所業務の負担など、宣言発令の効果と課題の検証が急がれる。



傲慢な発言(2021年3月21日配信『愛媛新聞』-「地軸」)

鉄道の沿線で起きた人身事故のためダイヤが乱れて駅員を問い詰める男性や、区役所で上司を出すよう窓口の職員を怒鳴り続ける人を評して言う。相手も弱い立場にあることに心を寄せる惻隠(そくいん)の情を全く持ち合わせていない

▲ 評論家の小浜逸郎さんが著書「人はひとりで生きていけるか」(PHP研究所)で指摘している。人と共生しつつ日々を送っているという事実に対する感覚を鈍磨させている人間に出会う機会が増えていないかと問い掛ける。さらに冒頭の言動について嘆く。自分を王様か何かのように思う傲慢(ごうまん)な心理はないか

▲ この人は自分がどんな立場にいると思っているのだろう。麻生太郎財務相が会見で、質問した記者に対して「マスクはいつまでやることになってるのか」と逆質問したという

▲ 新型コロナウイルスの緊急事態宣言を解除すると決定し、政府としてマスク、手洗い、3密回避といった予防策を国民に呼び掛けたばかりだ。お願いをしている内閣の一員が期間を質問するようでは国民のやる気がそがれる

▲ 対策の長期化をぼやいたのだとすれば、閣僚としての自覚がなさすぎる。この1年、後手に回り続けた政府の対応が今の状況を招いたのではないか

▲ いつになったら新型コロナの感染が収束するのか聞きたいのは、国民の方である。いつまで、内閣の重要ポストを占めながら惻隠の情がうかがえない傲慢な問題発言を繰り返すのか。ぜひ聞きたい。



自粛疲れ(2021年3月21日配信『熊本日日新聞』-「新生面」)

 菅義偉首相が緊急事態宣言の全面解除へとかじを切った先週、所用で首都圏に滞在していた。暖かな晴天が続いたせいもあろうが、人々はどこか浮つき、街には弛緩[しかん]した雰囲気が漂っていた

▼在宅勤務や時差出勤はかなり定着しているようだ。都心へ向かう朝の電車は比較的空いていて、皆がマスク姿なので過度の不安を感じることもない。感染予防の意識は共有されていると強く感じた

▼だが、午後7時すぎに駅前の飲食店に入ると印象は一変した。仕事帰りの老若男女が肩をぶつけ合うようにして、時を競うかのように食事を楽しんでいる。マスクなしで飲み、語り合う。その様子を隣席から見ていて「さすがにまずいのでは」と身を縮めた

▼午後8時すぎの電車内も同様だった。帰途に就く人々でごった返す様子はコロナ禍以前の終電と変わらない。やはり首都圏は人が多過ぎる。匿名性も高いので、少しでも緩むと制御が利かなくなってしまうのでは。「自粛疲れ」の一断面を見た思いがした

▼今回の全面解除は市民の自粛疲れが広がり、宣言を出し続けても効果が期待できなくなったための判断、と理解する方が自然だ。首相は感染の再拡大について「大丈夫と思う」と繰り返すが、「進むも地獄」とならない保証はどこにもない

▼感染再拡大が進めば、影響は間違いなく地方にも及ぶ。変異ウイルスも気掛かりだ。あす以降、首都圏の様相はどう変わるのだろう。自粛疲れは地方の住民も同じ。遠出して羽を伸ばしたいのはやまやまだけれども。





「チェックメート」はチェスの詰みだが…(2021年3月20日配信『毎日新聞』-「余録」)

 「チェックメート」はチェスの詰みだが、チェスには「ステールメート」という終わり方もある。自分の手番で、王手はかかっていないが、王はどこへ動かしても取られ、他の駒は動ける場所がない状態のことだ

▲つまり文字通りの「手詰まり」で、この場合チェスのルールでは引き分けとなる。かつてはステールメートとなった方が負け、あるいはその反対のルールもあったそうな。ステールメートは人を行き詰まらせるという動詞にもなった

▲今、手詰まりによるゲーム終了――で連想してしまうのは、新型コロナ対策の切り札だった1都3県の緊急事態宣言の解除決定である。感染リバウンドの兆しが見える場面での切り札撤回に、不安を募らせる方の多いのも無理はない

▲敵の城を囲んだはいいが、攻めあぐねて兵の士気は低下、ついに包囲を解いた武将の心境とはこんな感じか。政府が局面転換したいのも分からぬではないが、態勢立て直しの柱となる感染再拡大の防止策を聞けばまたまた心配になる

▲飲食店対策、変異ウイルス対策、PCR検査の強化、ワクチン接種促進、医療提供体制の充実――ワクチンを除けば今まで何度も聞いている。「言葉だけいくら言ってもダメ」とは他ならぬ政府の対策分科会の尾身茂(おみ・しげる)会長の発言である

▲手詰まりも何も、ろくに手も出さずに「ステールメート」の引き分けを求めてもウイルスは許さない。国民個々の日々の感染防止の努力を裏切らぬ「チェックメート」への執念をみせるべきは政府である。



緊急事態解除 自治体との連携が重要だ(2021年3月20日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 収束に向かっていないのは明らかだ。新型コロナウイルスの第3波を受け首都圏で再延長されていた緊急事態宣言は、感染を抑え込めないまま、あすを期限に解除される。

 菅義偉首相は記者会見で、新規感染者数や病床使用率が解除の目安を下回ったことを強調。同時に、リバウンドへの懸念や変異株の警戒に触れた。

 全国の新規感染者数は第1波のピーク時を上回り、3月上旬以降横ばいから微増が続く。地方でも増加に転じ、独自に緊急事態や警報を出す自治体が出てきた。

 2カ月半に及ぶ宣言で自粛疲れや緊張感の慣れも生じ、各地で人出が増えている。いつ感染者急増を招いてもおかしくない。

 解除を決めたのは、これ以上宣言を続けても効果が期待できないと判断したのが実態だろう。新たな感染対策を講じていかなければならない。

 政府は、解除後の対応として▽飲食店などでの対策▽変異株の監視強化▽感染拡大の予兆を探るモニタリング検査▽ワクチン接種の推進▽医療提供体制の充実―の五つの柱を挙げる。

 どの対策も進めるのは都道府県などの自治体だ。

 一方的な指示では実効性のある対策につながらない。コロナ対策では既に政府から数多くの通知が出され、混乱の要因になっている。自治体との意思疎通を深めながら後押しすべきだ。

 自治体の側も、指示通りではなく、地域の実情に合った対策を念頭に取り組みたい。必要なら新たな対策を提言し、政府に人材や資材の支援を求めてもいい。

 地域住民にも、対策の具体的な進め方や目標をはっきりと示し、途中経過や効果を含めて知らせていくことが大切だ。協力を得る下地になるだろう。

 イベントや経済活動の緩和は急ぐべきでない。気になるのは、25日に始まる聖火リレーと、全国で停止中の観光支援事業「GoToトラベル」の再開時期だ。多くの人の広範囲な移動を伴う。慎重な判断と運用が欠かせない。

 コロナ対策を巡っては、官邸と一部知事とで主導権争いのようなやりとりが目についた。政府が自粛を呼び掛ける中、菅首相が多人数で、複数の与党国会議員がクラブで会食したことも発覚し、強い批判を浴びた。

 政府と自治体の連携不足や政治家の無責任な行動が、住民に不信を生み、感染を広げる要因になることも忘れてはならない。



緊急事態の解除 感染再拡大に警戒せねば(2021年3月20日配信『山陽新聞』-「社説」)

 政府は首都圏4都県に出していた新型コロナウイルス緊急事態宣言を期限通りの21日までで解除すると決めた。今年1月の発令から、約2カ月半ぶりの全面解除となる。

 政府は飲食店に重点を置いて対策を講じてきたが、流行の収束には至っていない。これ以上宣言を延長しても効果は乏しいとみられ、首都圏では「自粛疲れ」も出ていた。行き詰まった末の解除だと言わざるを得ないだろう。

 既に首都圏を含め、感染再拡大の兆候もみられており、感染力が強いとされる変異株の拡大も懸念される。警戒を緩めるわけにはいかない。

 1日当たりの新規感染者はピーク時より8割減ったとはいえ、全国では約1500人(18日)が確認されている。昨年の1回目の宣言解除時には全国で40人程度に抑えられていたのに比べると、桁違いに多い。政府が宣言解除を決めた18日には、感染者が急激に増えたとして宮城県が県独自の緊急事態宣言を出すなど、ちぐはぐさは否めない。

 宣言解除後も、首都圏などでは飲食店への営業時間短縮の要請を継続する。合わせて、感染の再拡大の兆候をつかむため、政府は変異株の有無を調べる検査や無症状者へのモニタリング検査の拡大などを打ち出した。

 変異株を見つけるため全都道府県で行っているスクリーニング検査は、抽出割合を現在の10%から40%程度へ引き上げる。繁華街や駅などで実施している無症状者のモニタリング検査は順次、主要な大都市で拡大していくという。いずれも重要だが、本来は宣言期間中に進めておくべきものだろう。無症状者への検査拡充の必要性は昨年来、指摘されてきた。着実に実行に移すべきだ。

 2回目の緊急事態宣言の対象とならなかった岡山県などの地域でも、飲食店など事業者は大きな打撃を受けている。岡山県は先日、売り上げが3割以上ダウンしたことなどを条件に最大40万円を支給する独自の支援制度創設を発表した。できるだけ速やかな給付を目指してもらいたい。

 事業者の苦境を思えば経済活動は再開したいが、感染の急拡大を避けるためには感染状況を慎重に見極めながら、段階的に進めていく必要があるだろう。

 ワクチンは来月から高齢者への接種が始まり、医療機関は対応に追われる。専門家は感染再拡大は避けられないと指摘するが、「第4波」をできるだけ抑え、医療機関に支障を来さないことが重要だ。

 年度替わりの歓送迎会や花見など、会食の機会が増える時期である。菅義偉首相は18日の記者会見でマスク着用、手洗い、3密回避などの予防策を続け、大人数での会食は自粛するよう国民に呼び掛けた。宣言解除が「もう大丈夫」という誤ったメッセージにならないよう、政府や自治体は丁寧に情報を発信していく必要がある。



緊急事態宣言解除 感染再拡大の阻止へ警戒継続を(2021年3月20日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 政府は、東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県に出している新型コロナウイルス緊急事態宣言を21日までで解除すると決定した。1月に発令された宣言は約2カ月半で全面解除されることになる。

 ただ新型コロナの新規感染者数は横ばい、微増の傾向が見られ、リバウンド(再拡大)が懸念されている。感染力が強いとされる変異株の広がりにも心配は募る。感染拡大への不安がなくなったから解除するわけではない。宣言をさらに延長しても効果が見込めず、打つ手を見いだせないまま解除に至った側面が強い。今後も感染拡大への警戒を緩めることはできない。国は有効な対策を早急に明示し、不安を抱える国民に丁寧な説明をしなければならない。

 菅義偉首相は解除の理由について、新規感染者数が8割以上減少し、病床使用率も改善したことを挙げる。使用率は16日時点で、埼玉と千葉が30%台後半で、東京と神奈川はいずれも25%。ステージ4(爆発的感染拡大)の目安とする50%以上を下回り、ステージ3(感染急増)の水準となっている。

 しかし、昨年の緊急事態宣言解除時と比べて感染者数は桁違いに多く、感染の第1波のピーク時も上回る。病床使用率も感染が再拡大すれば急速に悪化するのは必至だ。安心できる感染状況には程遠い。今は人が集まる機会の多い年度替わりの時期であり、むしろ警戒を強化する必要がある。

 解除を受けて4都県は飲食店に対する営業時間の短縮要請を緩和し、現在の午後8時から午後9時までとする。既に宣言を解除している関西3府県では、状況が落ち着いている京都が時短要請を21日で終了する予定だが、大阪と兵庫は感染者が増加傾向となり、3月末への延長を決めた。解除後に「気の緩み」で、感染者数が一気にリバウンドする事態は避けたい。首都圏の知事は都民や県民へ分かりやすいメッセージで警戒の継続を呼び掛けることが肝要だ。

 脅威が増す変異株への対応に万全を期すべきだ。感染力が強いとされる変異株は20を超える都道府県で確認され、今後流行の主流となる可能性が高い。政府は対策としてスクリーニング検査の抽出割合を今の10%から40%程度に引き上げるとする。監視や水際対策を強化し、変異株の拡大を食い止めたい。

 リバウンドへの備えも決して怠ってはならない。感染者が急増した年末年始は各地で対応が追い付かず、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)した。新型コロナ患者用の病床を最大限に確保するとともに医療機関の役割分担をさらに徹底する必要がある。

 これまでの感染防止対策の検証が不可欠だ。首相は飲食店への時短要請について効果を強調するが、現在の状況をみると飲食の場を「急所」とした対策にも限界がある。従来の対策を真摯(しんし)に見直し、具体的な出口戦略を構築しなければならない。



春を取り戻す(2021年3月20日配信『高知新聞』-「小社会」)

 宮城の若手俳人、浅川芳直さんには東日本大震災の津波の第一印象がない。地震で電気が止まり生活の全てが手探り。津波の第一報を知ったのは夜。視覚的な情報は翌日、地元紙を見たのが最初だった。

 「印象のなさ」はその後もつきまとう。合格していた大学の入学式は中止。授業が始まったのはゴールデンウイークが明けてから。〈春ひとつ抜け落ちてゐるごとくなり〉。当時詠んだ句に喪失感がよく表れている。

 「抜け落ちた春」を取り戻したい―。きのう開幕したセンバツ高校野球の出場選手には、そんな気持ちもあるのかもしれない。昨春はコロナ禍で中止。夢舞台に立てなかった先輩たちの思いも心に刻んでの戦いであろう。

 いつも通りの大会ではない。開会式は簡素化。観客の入場も制限し、選手らはPCR検査を受けた。試合中も出場選手以外は原則マスクを着ける。感染抑止へ互いが互いを思いやる。知恵と工夫を凝らした運営となっている。

 首都圏4都県の緊急事態宣言は21日まで。折しも花見や歓送迎会シーズン。我慢に我慢を強いられてきただけに解除後は鬱憤(うっぷん)を晴らしたい気持ちにもなろう。だが感染は抑え込めていない。ここでも求められるのは知恵と工夫だ。

 センバツで郷土代表の明徳義塾は宮城の仙台育英に敗れたものの、鉄壁の守備は随所に光った。やるべき感染対策を取りながら、全力でプレーする。球児の姿に倣いたい。



緊急事態全面解除(2021年3月20日配信『しんぶん赤旗』ー「主張」)

政府は姿勢改め抑止に総力を

 菅義偉政権が首都圏4都県に出していた新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を21日で解除することを決めました。これで緊急事態宣言は全国で解除されます。しかし感染者数は下げ止まり、東京都や既に解除した関西などで増加しています。感染力が強いとされる変異株の流行も拡大しています。本来、宣言を解除できる状況ではありません。2カ月半の緊急事態宣言で感染を抑え込めなかったことは菅政権の対策の破綻を示しています。これまでの対応を反省し、感染再拡大を防ぐ抜本的な対策に踏み出すべきです。

大規模検査の実行こそ


 厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は東京都、埼玉県で感染が増加している状況を踏まえて「緊急事態宣言の解除がリバウンド(再拡大)を誘発することへの懸念に留意が必要」と指摘しました。菅首相は宣言解除にあたって再拡大の懸念があることを認めましたが、対策が手詰まりになっている原因は語りません。

 何より重大なのは大規模検査の戦略が欠けていることです。政府対策本部分科会の尾身茂会長も、先に参院予算委員会で日本共産党の小池晃書記局長の質問に、高齢者施設への定期検査をはじめ大規模検査の必要性を認めました。

 高齢者施設や医療機関でのクラスター発生は感染下げ止まりの要因になっています。職員への定期的検査を自治体任せにせず国の事業として行い、入所者、入院患者に広げる必要があります。

 政府の方針では、感染拡大の予兆をつかむモニタリング検査は1日1万件をめざします。あまりに少なく、予兆の把握などおぼつかない水準です。10万の桁に引き上げることが求められます。

 変異株について政府は現在、全陽性者の10%程度となっている検査率を40%に高める目標を掲げました。数値目標の設定は一歩前進ですが、50%以上でなければ実態をつかめないと専門家が指摘しています。全例検査をめざし、思い切って拡大することが急務です。

 政府の方針には相変わらず医療機関の減収補填(ほてん)がありません。感染は拡大しつつあり、病床使用率が今低下していても、短期間で上昇し再び医療がひっ迫する恐れがあります。感染の次の波に備える上でも減収補填が不可欠です。

 宣言解除後も政府、自治体は飲食店を中心に営業時間の短縮要請を続けます。十分な補償は当然です。政府の方針には新しい支援策がなく、時短要請を1時間緩和することに伴って協力金を1日6万円から4万円に減らします。事業規模に応じた協力金や持続化給付金、家賃支援給付金の再支給の要望には応えません。宣言解除で支援を縮小してはなりません。

強権手法は分断招くだけ

 2月に改定されたコロナ特措法にもとづいて東京都は18日、時短要請に応じない一部の飲食業者に罰則付きの命令を出しました。命令を受けた業者は、不合理な協力金で一方的にがまんを強いる行政を厳しく批判しています。

 強権を行使して従わせる手法は分断を生み、国民の納得と協力で進めるべき感染対策の障害となります。なすべき対策は明確です。国民に忍耐ばかり求める姿勢を改め、感染を封じ込めるために大規模検査の戦略を立てて実行することが政府の責務です。





緊急事態解除 感染再拡大 不安大きい(2021年3月19日配信『北海道新聞』-「社説」)

 政府は約2カ月半に及んでいる新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言について、21日で全面解除することを決めた。

 菅義偉首相は首都圏1都3県の病床使用率などについて「目安とした基準を満たしており、解除の判断をした」と強調した。

 再発令後、1日の新規感染者数は8割以上減り、国民の協力の下で一定の効果があったと言える。ただそもそもの解除基準が甘い。

 1都3県は新規感染者数が下げ止まり、東京は微増に転じて連日300人を超している。

 大阪や宮城ではすでにリバウンド(感染再拡大)の兆候がある。

 この状況下で飲食店の営業時間拡大などに踏み切るのは拙速ではないか。解除をもって感染対策を緩める区切りとしてはなるまい。

 政府の説明で問題なのは、下げ止まりの原因への分析が乏しいことだ。今回の判断は科学的根拠に欠け、国民には不安が根強い。

 宣言慣れや自粛疲れに打つ手がないために解除するのが実情なら、無責任と言うほかない。

 政府はリバウンド対策の5本柱として、変異ウイルスの監視、ワクチン接種推進、感染拡大の予兆をつかむための無症状者へのモニタリング検査拡充などを挙げた。

 いずれも早期にやっておくべきことだった。緊急事態宣言下で十分に抑止できなかったのは後手続きの対応によるところが大きい。

 今後、特に力を入れるべきは、感染力が強いとされる変異株の抑え込みだ。飲食店や高齢者施設に重点を置いた従来の対策だけでは、次の感染の波は避けられまい。

 テレワークの徹底やイベント対策を含め、増加傾向にある市中の人出を最小限にとどめる広範な追加対策が必要だろう。

 やはり早期の発見、隔離、治療が欠かせない。変異株の検査を全国で徹底し、ゲノム(全遺伝情報)解析する体制の充実も急務だ。

 気になるのはフランスでPCR検査をすり抜ける変異株が見つかったことである。水際対策の強化に加え、国内での不要不急の移動は避けた方がいいだろう。

 東京五輪開催の可否は、より慎重な判断が求められる。

 東京都がきのう、時短要請に応じない飲食店に対し、改正特別措置法に基づく初の時短命令を出した。順番が違うのではないか。

 営業自粛への補償や生活支援の不十分さが、感染対策に十分な協力を得られない一因だ。

 苦しい立場の人たちにきめ細かな支援策を講じるのが先である。



「緊急事態」解除へ/有名無実の宣言 再構築せよ(2021年3月19日配信『河北新報』-「社説」)

 新型コロナウイルス対策として首都圏1都3県に発令中の緊急事態宣言は、期限の21日に解除される。

 新規感染者数は下げ止まり、東京や埼玉ではむしろ微増の傾向にあるが、政府は病床使用率が改善したことを重視した。ステージ4(爆発的な感染拡大)を脱し、ステージ3(感染急増)相当に下がっており、解除の目安をクリアしたと判断した。

 しかし、解除は妥当だろうか。不安材料が多々ある。

 第一に解除時期だ。3月下旬以降、学校が春休みになり、花見や歓送迎会など人が集まる機会も多くなる。昨年は観光地や繁華街の人出が増え、4~5月の緊急事態宣言の要因となった。

 宮城県では2月下旬以降、仙台市を中心に新規感染者が増加。今週、1日当たりの人数が過去最多を更新し、全国に先駆けて第4波に見舞われている深刻な状況だ。

 首都圏の解除に伴い、人の往来が一段と活発になるとみられ、仙台を起点に感染が広がる恐れが出てきた。

 より強い感染力が懸念される変異株も脅威だ。専門家は変異株が国内で早々に主流になると警告しているが、検査体制の確立に向けたスピード感が乏しい。

 専門家は昨年から、無症状者を対象にしたPCR検査の強化を政府や自治体に求めてきた。だが、無料でPCR検査を行うモニタリング検査を、政府が首都圏で実施する方針を打ち出したのは、宣言の2週間延長を決めた3月初旬になってからだ。

 広島県のほか、栃木や岐阜、愛知、大阪など宣言が先行解除された府県は順次検査を始めている。感染拡大の予兆をつかむため不可欠な検査だ。政府の対応が後手に回ったのは明らかだ。変異株に対応した検査と併せ、自治体も導入を急ぐべきだ。

 人の流れや検査体制のほか、危惧されるのは、宣言がもたらすはずの緊張感がほぐれ、引き締め効果が薄らいでしまっていることだ。

 宣言発令中、複数の与党議員が東京・銀座のクラブで深夜飲酒し、批判を浴びた。政府が国民に我慢を呼び掛け、飲食店には命令に違反したら罰則を科すと時短営業を迫っておきながらだ。

 政府側から国難と闘っている危機感がひしひしと伝わってこなければ、「緊急事態」は名ばかりになろう。

 ワクチン接種は始まったばかりだ。解除後も住民は重症化回避と治療の決め手を欠いたまま自粛生活を強いられる。感染の再拡大を防ぐため、政府は解除までの経緯を総括し、問題点を洗い出すことが肝要だ。

 宮城県で緊急事態宣言が出されたが、有名無実にしてはならない。宣言の効力を期待するなら、緊張感と切迫感が伴わなければならない。対策の内容とともに、宣言の意義を見直すべきだ。



正岡子規の俳句<銭湯で上野の花の噂(うわ…(2021年3月19日配信『河北新報』-「河北春秋」)

 正岡子規の俳句<銭湯で上野の花の噂(うわさ)かな>を枕に落語の『長屋の花見』は始まる。貧乏長屋の連中が大家の発案で花見に出掛ける話だ。家賃も払えないような店子(たなこ)たちだから花見弁当は豪勢とはいかずに…

▼弁当は代用品ばかり。かまぼこの代わりに大根、卵焼きはたくあん。一番肝心な花見酒はお茶だ。ひょいと見ると、茶柱が立っている。「見ねえ、茶…いや、酒柱が立ってらあ、ことしは長屋にもいいことがあるよ」

▼コロナ禍の昨春はまともな花見ができなかった。コロナ禍が続くこの春も花見は期待薄だ。イベントは早々と中止が決まっている。代用品で結構楽しく花見を繰り広げた落語のように、花見の代わりになりそうなものを見つけないと

▼首都圏の1都3県に出ていた新型コロナウイルス緊急事態宣言が21日で解除される。新規感染者の再拡大、変異株の増加、宮城県など地方での増加傾向など、心配の種が尽きない中で恐る恐るの解除だろう。警戒はなお怠れない

▼卒業式や歓送迎会などで例年なら飲食の機会が多い時期。そして誰もがそわそわする花見の季節が控える。子規には<たらちねの花見の留守や時計見る>という句もある。母親の帰りを待ちあぐねて時計に目をやる病床の子規。その心境がコロナ禍の春愁と重なる。



変異株対策は大丈夫か/首都圏 緊急事態宣言解除(2021年3月19日配信『東奥日報』-「時論」/『茨城新聞』-「論説」)

 政府は首都圏4都県に出していた新型コロナウイルス緊急事態宣言を21日までで解除すると決めた。新規感染者数は横ばい、微増のままだが、宣言発令による対策は効果が薄れているとして、医療提供体制の改善を主な根拠に踏み切った。

 例えるなら、入院治療ではこれ以上良くならないとして退院させるような判断だ。感染力の強い変異ウイルスが日々拡大し、対策強化が急がれる今の局面で宣言解除は大丈夫なのか。政府は判断経緯の説明に加え、解除後に有効な対策の早期確立へ手を尽くすべきだ。

 4都県のコロナ患者用の病床使用率は埼玉、千葉が30%台後半、東京、神奈川が20%台半ばと全てステージ4(爆発的感染拡大)相当の50%を割り、ステージ3(感染急増)に下がった。しかし1週間ごとの感染者数比は埼玉、東京が1超と微増でなおステージ3~4だ。東京の新規感染者数は再びステージ3に迫り、既にリバウンドが始まっているとも指摘される。

 菅義偉首相は4都県で宣言を再延長した際には、各指標がステージ3に収まっているだけでなく「ベクトルが下に行くことが大事」とさらに下降の局面にあることが解除の条件との見解を示した。ところが、今回は感染者数微増でも「数字が解除の方向に入っている」と逆の判断をした。一貫性を欠き、基準が恣意(しい)的だと言わざるを得ない。

 そして変異ウイルスは全国に拡大中で、確認例は空港検疫も含めれば計500人に迫る。変異株は強い感染力に加え、一部ワクチンの効果が弱まる懸念も指摘される。

 特に心配なのは宣言が先行解除された大阪や兵庫で報告数が多いことだ。神戸市の調査では3月初めごろで感染者の4割近くが変異株だった。因果関係は不明だが近畿3府県は1週間ごとの感染者数比が宣言解除後に増加に転じ、いずれも1を超え、京都は2台後半と増え方が顕著だ。

 感染者が増えれば、せっかく改善した医療体制も再び逼迫(ひっぱく)する可能性が高まる。近畿の現状も踏まえ対策を強化していく必要がある。

 政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長も「今までの延長」の対策では不十分との立場だ。感染源やクラスター(感染者集団)発生場所が分からないケースが増えたため、飲食の場に絞った従来の対策では限界に来ているという重い指摘だ。

 今後の対策は(1)無症状者へのモニター調査強化で感染再拡大の予兆をより早くつかむ(2)変異ウイルスに備え医療提供体制を拡充(3)ワクチン接種の普及速度を上げる-などが重要になる。問題は卒業、入学、就職など春のイベントが多い時期に宣言を解除してこれらの効果が追いつくかだ。

 東京大の研究チームは宣言解除後に歓送迎会などが増えれば、経済活動再開が慎重でも6月には東京の新規感染者数が1200人を超え、また発令があり得るレベルに戻るとの試算を公表した。規模に大小はあれ、今後も感染の波は来る。その備えは不可欠だ。

 「延長しても感染を防げないなら解除しかない」(政府関係者)と言うが、菅政権は当初1カ月の宣言を2度にわたり1カ月半延長しても、飲食中心の対策に大きな追加、変更をしなかった。宣言中の対策に不足、不備はなかったのか。その検証、反省を第4波対策の土台とすべきだ。



「秋田がうらやましい」(2021年3月19日配信『秋田魁新報』-「北斗星」)

 「秋田がうらやましい」。新型コロナウイルス感染者数が多い首都圏在住者からの電話やメールであいさつ代わりに伝えられることがある。ただ感染者が少ない理由を考えると胸中はちょっと複雑だ

▼首都圏の緊急事態宣言が21日で解除されることが昨日決まった。東京都の感染者は連日300~400人台。感染再拡大の不安と隣り合わせの解除になりそうだ

▼本県の感染者数は累計でも270人台。全国2番目に少ない。対策を徹底する県民の努力に負うところが大きいと思う。だが感染者の少ない県の多くは過疎化に悩む地域だ。都会と比べ人の移動、接触が少ないことも無縁でないだろう

▼本県にとって克服すべき課題の人口減少が、ことコロナに関しては良い方向に作用したともいえる。太宰治の小説「ヴィヨンの妻」にある「トランプの遊びのように、マイナスを全部あつめるとプラスに変(かわ)る」という一節が思い出される

▼宣言解除の決定と日を同じくして知事選が告示され、現職と3新人による戦いが始まった。コロナ対策が目の前の重要課題であることは間違いないが、候補者4人には収束後をにらんだ本県の将来像を示し、それぞれ政見の違いを明確にすることも求めたい

▼人口減少に歯止めをかける戦略、地域を持続させる政策、過密に悩む都会から人や企業を呼び込むためのアイデア―。本県が直面する難題に立ち向かい、マイナスをプラスに転じてみせるという候補者の気概と覚悟を見極めたい。



4都県の宣言解除へ 懸念を拭う対策が必要だ(2021年3月19日配信『毎日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染対策として首都圏4都県に出されていた緊急事態宣言が、期限の21日で解除される。

 期間が2カ月半に及び、経済への影響が長期化していることを政府は考慮したのだろう。政権内には、延長しても効果がないとの声もある。

 だが、打つ手がないとの理由で解除するのでは、国民の不安は払拭(ふっしょく)されない。

 確かに1日当たりの新規感染者数は、政府が解除の目安としてきた「ステージ3(感染急増)」相当となっている。病床使用率も、再延長を決めた2週間前よりは改善した。

 しかし、感染者数は横ばいから微増に転じている。専門家の間には感染が再拡大することへの懸念が強い。

 宣言期間を振り返ると、当初は、夜の会食による感染リスクが強調されて国民に伝わった。政府は途中から昼間の飲食にも注意を呼び掛けたものの、国民には届かなかった。

気を緩めてはならない

 再延長を決めた際には、感染者数を減少させるための新たな対策を打ち出さなかった。病床使用率の改善を図る期間と位置付けたためだが、2週間の再延長期間を有効に活用できなかったとの指摘が出ている。教訓を次に生かさなければならない。

 新規感染者数は全国で1000人を超え、昨年の第2波の水準と変わらない。花見や歓送迎会などのイベントがあり、感染リスクが高まる時期を迎えている。

 宣言の解除で人出や飲食の機会は増える。気を緩めずに対策を継続することが欠かせない。

 4都県は感染対策の柱である飲食店への営業時間短縮要請を、午後9時までに緩和した上で継続する。今月末までというが、期間が十分かどうか感染状況をみながら判断すべきだ。

 繁華街などでの感染拡大の兆候を探知するため、政府はモニタリング検査を実施する。体制の確立が急務だ。

 ワクチンは重症化や発症を防ぐ効果が期待されるが、接種は遅れ気味だ。高齢者の接種開始は宣言の解除に間に合わなかった。供給量が増える5月以降、円滑な接種ができる体制を整え、万全を期さなければならない。

 今後、特に懸念されるのが変異株の広がりだ。感染力が強いとされ、重症化リスクが高い可能性も指摘されている。すでに変異株の感染者数は増加傾向がみられる。

 政府は監視体制を強化する方針だ。ワクチンの効き目や感染しやすい年代など情報の収集と分析を進め、感染拡大を防ぐ対策を迅速に打ち出す必要がある。

 海外では新たな変異株も確認されている。水際対策を強化すべきだ。医療提供体制を拡充することも欠かせない。

 病床の確保と同時に、コロナ患者の急増に機敏に対応できるよう、手順をあらかじめ定めておくことが肝心だ。

 自宅療養する人の体調急変に、かかり付け医や訪問看護師などが対応する体制も整えなければならない。

再拡大防ぐ対応機敏に

 経済との両立を重視するあまり、感染対策をおろそかにすることがあってはならない。

 気がかりなのは、需要喚起策である「GoToトラベル」などの再開だ。地方の知事からは、感染が落ち着いている県から早急に再開するよう要望が出されている。

 観光業界が経営に苦しんでいる事情はあるが、再開を急ぎすぎれば感染のリスクが薄れたという誤ったメッセージを国民に送りかねない。慎重な判断が求められる。

 感染者数の増加傾向が明確になった場合は、早い段階で対策を強化することが大事だ。そうすれば、経済への影響を最小限に抑えることができる。

 感染の第3波が始まった昨秋、政府の対応は遅れた。「総合的な判断」を理由に決断をためらい、対策の強化が先送りにされたと指摘されている。

 今夏には東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されている。五輪への影響を懸念して対策強化に二の足を踏むことは許されない。

 政府は第1波、第2波の十分な検証を怠り、医療や検査の体制が不十分なまま第3波を迎えてしまった。同じことを繰り返してはならない。



緊急事態解除 リバウンド回避へ警戒怠るな(2021年3月19日配信『読売新聞』-「社説」)

 医療現場は、なお綱渡りの状況が続いている。行動制限の緩和が感染の再拡大を招かぬよう、厳しい警戒が必要だ。

 菅首相が、新型コロナウイルス対策で首都圏に発令中の緊急事態宣言について、期限の21日で解除することを決めた。1月の発令から2度の延長を経て、2か月半ぶりの全面解除である。

 首相は、新規感染者数や病床使用率などの指標が最も深刻な「ステージ4」の水準から脱したことを、宣言を解く理由に挙げた。

 1都3県では、新規感染者数が横ばいか、むしろ増加傾向の自治体もある。繁華街の人出は増えているという。緊急事態が長期化し、国民が宣言に慣れてしまったと指摘する声が出ている。

 首相は、さらに継続しても効果は乏しいと判断したのだろう。

 医療機関や高齢者施設では、クラスター(感染集団)の発生が相次いでいる。変異ウイルスの感染もじわじわと増えている。

 感染源を見極めるためには、大規模なPCR検査が不可欠だ。繁華街などで検査を繰り返し、感染拡大の予兆を把握してほしい。

 政府は、飲食店に重点を置いて対策を講じてきたが、流行の収束には至らなかった。従来の延長線上の施策では、感染が再拡大するリバウンドは避けられまい。

 病床の確保は進んだのか。自宅待機の患者をケアする取り組みは十分だったのか。政府は、対策の遅れを真摯しんしに反省すべきだ。

 政府は基本的対処方針を改定し、リバウンド防止策として、感染力が強いとされる変異ウイルス対策の強化、ワクチン接種の推進、医療体制の充実などを打ち出した。変異ウイルスかどうかを検査する割合も引き上げるという。

 こうした施策は、実際に機能しなければ意味がない。政府は、自治体と協力して具体的な措置を講じなければならない。進しん捗ちょく状況にも目配りしてもらいたい。

 宣言が解除されても、油断は禁物だ。東京都は昨年、初の緊急事態宣言の解除後に、宿泊療養のために確保していたホテルをキャンセルした。その後の流行で、療養施設の不足に直面した。

 政府は現在、海外から帰国する日本人を含めて、入国者数の上限を1日2000人にとどめている。水際対策の緩和は、慎重に進めることが大切だ。

 首相は、今後も大人数での会食を控えるよう求めた。不要不急の外出自粛の要請が続く地域もある。行政が対策を尽くすことが、国民の協力を得る鍵となろう。



緊急事態の解除 変異株把握に全力挙げよ(2021年3月19日配信『産経新聞』ー「主張」)

 一つの戦いの終わりではなく、戦術変更を余儀なくされたと認識すべきである。大事なのはこれから何をすべきかだ。

 政府は、首都圏1都3県に発令している新型コロナウイルス緊急事態宣言を21日までで解除することを決めた。1月に再発令した宣言はこれで全面解除となるが、感染拡大を押さえ込んだことによる前向きな解除とはいえない。

 菅義偉首相は「1都3県の新規感染者数は大きく減少し、医療提供体制の負担も軽減させることができた」と述べた。

 だが、首都圏の新規感染者数は下げ止まりから微増に転じ、感染力が強いとされる変異株の脅威も増している。

 感染再拡大への懸念を払拭できない中での解除である。最近は繁華街の人出も増しており、宣言の効果は極めて限定的だった。確かに、このままずるずると宣言期間を延ばしても、感染抑止への期待はかけられなかった。

 政府は解除後の対応として(1)飲食での感染防止(2)変異株の監視強化(3)戦略的検査の実施(4)安全迅速なワクチン接種(5)医療提供体制の充実-を5つの柱として挙げた。いずれも当然の対策で、多くはとっくに整備されていなくてはならなかったものだ。この機に履行を徹底してほしい。

 変異株把握のためのスクリーニング検査について田村憲久厚生労働相は目安を陽性となった検体の5~10%から40%程度に引き上げる方針を明らかにした。すでに積極的な把握検査を実施している神戸市では、多くの変異株による陽性例が発見されている。首都圏では、そうした実態把握がないまま宣言を解除したことになる。

 変異株による感染には症状の重症化、長期化の指摘があり、蔓延(まんえん)すれば一気に病床の逼迫(ひっぱく)が進む可能性が高い。変異株対策こそ最優先課題であり、自治体に任せず、国が全力で主導すべきである。

 首都圏だけではなく関西や宮城県などでも再拡大の兆しがある。各自治体は蔓延防止等重点措置を適宜適用し、新たな事態に備えなくてはならない。

 ワクチンの接種が少なくとも高齢者に行き渡るまで次の感染の山を作らない。そのために各自は何をすべきか。政府は、メリハリをつけた明確な指針を提示してほしい。「お花見自粛のお願い」だけでは、危機は去ってくれない。



緊急宣言を解除 感染再拡大を懸念する(2021年3月19日配信『東京新聞』ー「社説」)

 政府は東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県に発令している緊急事態宣言の解除を決めた。しかし、感染者数は微増に転じている。宣言解除が深刻な感染再拡大を招かないか、懸念は消えない。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、この時点での宣言解除は果たして適切なのか。

 医療態勢への負荷が一部地域で減っていないことを理由に、政府が五日に宣言延長を決めてから二週間が経過した。確かに、医療現場の負担は減り、流行状況を示す指標は改善してはいる。


 しかし、直近一週間の新規感染者数は、東京都や埼玉県では前週に比べて微増傾向にある。

 これから花見や年度替わりの歓送迎会の時期を迎える。感染力が既存株より強いとみられる変異ウイルスの広がりも気になる。
 厚生労働省の専門家組織が再拡大への懸念を示す中での宣言解除は、宣言を続けてもこれ以上の感染防止効果が見込めず、対策の行き詰まりを政府自ら認めたことにもなる。

 緊急事態宣言の解除により社会経済活動が活発化すれば、感染の再拡大が懸念される。既に宣言が解除された関西では新規感染者が増え始めている。愛知県では若者の感染が再び広がりだした。

 昨夏の「第二波」の感染を十分に抑え込めなかったことが、秋から年末年始にかけて大規模な感染拡大を許したのではなかったか。

 宣言を解除しても、感染再拡大時には、法改正で新設された「まん延防止等重点措置」を含む感染防止策を遅滞なく講じるべきだ。政府は宣言解除に至った理由とともに、今後の感染防止策についても説明を尽くさねばなるまい。

 今月初めに宣言の延長を決めた際、一都三県の知事の間で連携が乱れた。同様の混乱が続けば、判断や対応の遅れにつながりかねない。政府と自治体は意思疎通を十分に図り、住民に対して明確なメッセージを発するべきだろう。

 店舗の営業時間短縮の緩和は状況を見極め、段階的に実施する必要がある。その際、十分な経営支援策を講じるのは当然だ。
 感染源を割り出し、クラスター(感染者集団)対策を早期に講じるための積極的疫学調査は、保健所の対応が冬の感染者増に追いつかず十分に機能しなかった。態勢立て直しを急ぐべきだ。

 変異株の監視強化など検査態勢の拡充と併せ、医療機関同士の連携を進めて病床確保を図るなど、対応力向上にも努めてほしい。



緊急事態解除 リバウンドの不安拭えぬ(2021年3月19日配信『新潟日報』-「社説」)

 感染拡大が十分に収まって宣言を解除するのではない。長期化により「慣れ」が広がり、効力が薄れたことが要因だ。

 本県でも入学や就職で首都圏などとの往来が活発化する時期だ。解除されても引き続き、一人一人が感染に用心する必要がある。油断すればすぐに再拡大(リバウンド)し、「第4波」となって広がりかねない。

 政府は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、首都圏の4都県に再発令していた緊急事態宣言を期限通り、21日で解除する。

 5日の再延長から2週間、1月の再発令からは2カ月半に及んだ4都県の宣言が、ようやく終わる。

 解除の根拠について菅義偉首相は18日、宣言再発令後の新規感染者が約8割減少し、逼迫(ひっぱく)していた病床使用率が改善したなどと説明した。

 しかし、首相が解除方針を固めた17日、東京都では新規感染者が1カ月ぶりに400人を超えた。宮城県では過去最多を更新した。

 感染性が高いという変異株は本県を含め26都道府県に拡大した。収束と呼ぶには程遠い。

 専門家は、感染者は横ばいから微増傾向にあり、特に若者の感染が増えていると分析し、解除によりリバウンドが誘発される恐れがあると指摘する。

 歓送迎会など会食機会が増すシーズンでもある。解除に伴う緩みに加え、季節的な要因による感染リスクにも注意したい。

 政府は解除に伴い、飲食対策、変異株対策の強化、検査拡充など五つの柱でリバウンドを防ぐという。「第4波」の兆候を早めにつかむ構えだ。

 感染防止の司令塔である政府は、緊張感を維持してほしい。状況を見ながら必要な手を打ち、効果的な対策を構築する工夫も怠らないでもらいたい。

 首相は18日の記者会見で「国民の命と暮らしを守るために全力で取り組む」と述べたが、これまでの感染防止対策は後手に回ることが多かった。その轍(てつ)を踏んではならない。

 宣言期間が長引き、時短営業を求められた飲食店や、イベント業者、観光業などは経営に大きな打撃を受けた。

 ただしワクチン接種も途中段階の現時点では、経済活動を一気に再開するのは困難だろう。

 政府は観光支援事業「Go To トラベル」の再開を見合わせるという。当面はそうした慎重な対応が不可欠だ。

 解雇や雇い止めは累計9万5千人を超え、増加ペースが速まった。解除したからといって、すぐに好転するわけではないだろう。十分に目配りしたい。

 政府は、休業しても給料が補償されない非正規労働者らに向けて休業支援金・給付金を創設したが、改定を重ねて複雑化し、利用は低迷している。

 ウイルス禍で立ち行かなくなった生活困窮者らへの緊急支援策も講じた。

 こうした支援策は、必要とする人が確実に活用できなくては意味がない。体制を整え、しっかりと支えてもらいたい。



「群れないこと」「頼らないこと」、そして「慣れないこと」(2021年3月19日配信『新潟日報』-「日報抄」)

「緊急事態」が半ば日常のようになっている。本来は相当な緊張感を伴う言葉だったはずだ。新型ウイルス感染拡大に歯止めをかけるための緊急事態宣言だったが、私たちはこの用語にすっかり慣れてしまったのだろうか

▼宣言が継続していた首都圏では、新たな感染者数が増加に転じる兆しがある。「宣言を延長しても感染者は減らない」。政府や与党からは、こんな声も聞こえてきた。一種のあきらめや、開き直りのような姿勢とも受け取れる。「継続しても意味がない」と消極的な理由もあり、宣言は21日で解除されることになった

▼日本画家の堀文子さんは、2019年に100歳で亡くなるまで旺盛な創作活動を続けた。人生のモットーとして挙げていたのは「群れないこと」「頼らないこと」、そして「慣れないこと」だった

▼「群れない」「頼らない」とは自分の内なる声に耳を澄ませ、他者の意見に依存することなく生きていく覚悟であろう。「慣れない」は小さな変化を見逃さず、鋭敏な感性を保とうとする姿勢ではないか。こうした指針があったからこそ、晩年まで意欲が枯れることがなかったのだろう

▼緊急事態宣言が出ていてもいなくても、感染禍という非日常への「慣れ」は再度の災厄をもたらすかもしれない。慣れを遠ざけ、疫病を正しく恐れる姿勢を保てるかどうかが問われそうだ

▼本県が独自に発する「警報」は継続中。県内でも、一定数の感染者が連日報告されている。慣れはないだろうか。自問してみる。



首都圏の緊急事態解除(2021年3月19日配信『福井新聞』-「論説」)

再拡大への懸念が拭えぬ

 政府は首都圏の4都県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言を21日までで解除すると決めた。新規感染者数が横ばいか、微増の状況にありながら、医療提供体制の改善などを根拠に踏み切った形だ。

 確かに4都県のコロナ患者用の病床使用率は埼玉と千葉が30%台後半、東京と神奈川が20%台半ばと、いずれもステージ4(爆発的感染拡大)に当たる50%を割り、ステージ3(感染急増)相当に下がった。ただ菅義偉首相は4都県の宣言再延長の際、各指標がステージ3の中に収まっているだけでなく「ベクトルが下にいくことが大事」と下降局面を条件としていた。

 ところが、4都県の1週間ごとの感染者数を比べると、埼玉と東京が1を上回るなど、既にリバウンドが始まっているとも指摘されている。首相はこうした局面にあるのに「数字が解除の方向に入っている」と判断するなど、基準が一貫性を欠いているとしか言いようがない。「延長しても感染を防げないなら解除しかない」(政府関係者)というのが実情だろう。

 懸念されるのは、感染力の強い変異ウイルス(変異株)が日ごとに拡大していることだ。一部ワクチンの効果が弱まる可能性があるとの報告もある。福井県でも感染が初確認され、確認例は空港検疫も含め計500人に迫っている。

 とりわけ、危惧されるのは、福井県に近い大阪や兵庫で報告数が多いことだ。神戸市の調査では3月初旬ごろには感染者の4割近くが変異株だったという。変異株との因果関係は不明とされるが、関西の3府県は1週間ごとの感染者数比が宣言解除後に1超えの増加に転じており、京都は2台後半と顕著だ。

 政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長も「変異株が国内でも主流になる」とし、「今までの延長」の対策では不十分と強い警告を発している。飲食の場に絞ったこれまでの対策では限界に来ているとの重い指摘だろう。

 政府は▽無症状者へのモニタリング調査の強化で感染再拡大の予兆をより早くつかむ▽変異株に備え医療提供体制を拡充▽ワクチン接種の普及促進―などを対策として掲げる。宣言解除となる22日以降は入学や就職、転勤に加え花見シーズンにも重なる。スピード感をもって取り組むべきだ。

 東京大の研究チームは、首都圏の解除後に歓送迎会などが増えれば、6月には東京の新規感染者数が1200人を超え、再発令のレベルに戻りかねないと試算している。改善した医療体制も再び逼迫(ひっぱく)する可能性が高まる。菅政権は再び「後手」批判を招かないよう、感染再拡大の抑止へ全力を挙げるしかない。



私事だが免許更新に出かけた。そこ…(2021年3月19日配信『福井新聞』-「越山若水」)

 私事だが免許更新に出かけた。そこで講師の話に興味を持った。恐縮ながら内容より話しぶりの方である。声の張り方、高低、しゃべりの速さ、そして表情も小気味よく変化し続ける。何を強調したいか、よく分かる話者だった

▼聞いていて思い起こしたのは、菅首相である。講師とは対照的に、すでに「棒読み」の評が定まってしまった。言葉数も常に足りない。官房長官時代は「知らない」をあえて多用した節がある(「菅義偉とメディア」毎日新聞出版)というから、意図的かもしれない

▼「客は論理ではなく音色で聞いている」とは俳優、声優の壤晴彦さんの言葉。壤さんは芝居で大切なことをツイッターで積極的に教えてくれている。「ロジックをちゃんと言えば伝わると思ったら大間違い」で、話が変わるときは同じ音色を使わないのが鉄則という

▼ここでの音色とは、声色やせりふの抑揚などを指すのだろう。一定だと聞く方は話題転換に気付かない。講師は経験からそれをご存じなのに違いない。菅さんは知ってか知らずか、記者会見や国会答弁の音色がいつも同じ

▼弁舌さわやかな政治家は逆に警戒したくなる。とはいえ菅さんはもっと「伝える」ことに気遣いしてはどうか。首都圏で新型コロナ再拡大がうかがえる中、緊急宣言解除が決まった。理由を知りたくて会見を注目したが、音色は普段のままだった。



宣言全面解除へ/再拡大阻止に全力傾注を(2021年3月19日配信『神戸新聞』-「社説」)

 政府は、首都圏4都県で継続している新型コロナウイルス緊急事態宣言を、21日の期限で解除することを決めた。最大で11都府県に拡大し、2度延長された宣言は、約2カ月半で全面的に終了する。

 本当に大丈夫なのか、安堵(あんど)よりも懸念が先立つ対応である。

 菅義偉首相は「首都圏の新規感染者数は(宣言発令時から)8割以上減った。病床の使用率も解除目標の50%を切っている」と述べた。

 確かに感染者はピーク時と比べて大幅に減り、医療現場の負担もかなり改善している。だが、最近になって感染者が微増傾向に転じ、埼玉、千葉県では病床使用率に余裕があるとは言えない状況だ。

 感染力が強いとされる海外由来の変異株も、兵庫県や首都圏など全国で拡大している。神奈川県などでは感染者の死亡も確認された。

 政府の専門家分科会の尾身茂会長は「首都圏はリバウンド(感染再拡大)が起こる可能性が極めて高く、宣言解除後の対策がより重要になる」と指摘している。首相はこの言葉をどこまで重く受け止めたのか。

 政府内には、宣言の効果が薄れ、「続ける意味はない」との見方もあるとされる。首都圏の住民も解除への賛否は分かれているようだ。

 若い世代を中心に「自粛疲れ」が指摘される。営業時間短縮を要請された飲食店などは苦境に直面している。半面「第4波」への不安もあり、国民の受け止めは複雑だ。

 そうした状況で、首相から納得、安心できる言葉が聞けなかったのは残念というしかない。

 リバウンドを抑え込むには、今以上に踏み込んだ対策が欠かせない。政府は宣言解除後の対応として、飲食対策▽変異株対策の強化▽検査拡充▽ワクチン接種の推進▽医療体制充実-の五つの柱で感染再拡大を防ぐとする。都道府県と連携して、感染状況のモニタリング検査や変異株の検査を増やす方針も示した。

 尾身会長は「従来の延長線上にない」対応を求めている。対策を底上げし、これまで以上にスピーディーに進めねばならない。

 首都圏4都県は、22日から飲食店への営業時間短縮要請を1時間緩和する。一方、宣言が先行解除された関西3府県では新規感染者数の増加傾向が顕著となり、兵庫県は3月末まで、一部地域での飲食店に対する営業時短要請継続を決めた。

 春は人の集まる機会が多い季節である。宣言の解除が「もう大丈夫」という誤ったメッセージにならないよう、政府や自治体は感染対策徹底の呼び掛けを強める必要がある。

 大事なのはこれからだ。そのことを私たち一人一人も自覚したい。



【緊急事態解除へ】怠れない再拡大への警戒(2021年3月19日配信『高知新聞』-「社説」)

 首都圏1都3県に発令中の新型コロナウイルスの緊急事態宣言は、21日の期限で解除される。1月の再発令から2カ月半かかった。

 新規感染者数の減少や、病床使用率の改善などが判断材料になったという。東京五輪・パラリンピックの聖火リレーを25日に始めるには、これ以上延ばせないという思いもあっただろう。

 「宣言慣れ」「自粛疲れ」という言葉も聞かれる中での解除だ。感染者数はピークを過ぎたとはいえ、抑え込めてはいない。変異株も気になる。次回3度目の宣言となると訴える力はさらに薄れかねない。

 政府は今後も、必要な感染対策を継続するとしている。感染が再拡大して医療崩壊へとつながるような事態を招かないように、対策を再構築することが欠かせない。

 再発令は1都3県に続いて関西など7府県が加わった。この7府県は2月中に順次解除されたが、首都圏は2度にわたり延長されていた。

 振り返ると、「第3波」の流行は昨年11月前半に本格化している。政府が重点的対策を呼び掛けた下旬からの「勝負の3週間」でも感染拡大は止まらなかった。

 政府は観光支援事業「Go To トラベル」の見直し提言を受けても、全国一時停止にはなかなか踏み込まなかった。経済再生を優先して対応が後手に回ることに批判が強まり、内閣支持率は低迷した。

 再宣言の際、菅義偉首相は、1カ月後には必ず事態を改善させると意欲を示した。しかし、解除にはさらに1カ月半を要したことになる。国民の協力が必要な局面に、議員が銀座のクラブを訪ねたりして世論の不信感を高めたこともあった。

 この間、飲食店の時短営業やテレワーク推進による出勤者数の削減、イベント人数制限などが求められた。公的支援の下支えはあるが経営環境は厳しく、雇用にも響いた。生計維持が困難になっている世帯も多い。緊急小口融資の貸付決定件数は東日本大震災時の10倍を超える。

 宣言解除に伴い、政府は飲食対策や医療提供体制の充実などを打ち出す。変異株を見つけるスクリーニング検査は、現行の5~10%から40%程度に引き上げる方針を示した。大切なのは、それが実際にできる体制を構築することだ。

 厚生労働省に助言する専門家組織の分析では、全国の感染者は横ばいから微増が続いている。特に若者の感染者増が見られるとして、新たな流行への懸念を示す。

 経済回復へ向けて、感染を防ぎつつ制約を段階的に緩和し、同時にワクチン接種率を高めていくのが政府の思惑だろう。しかし、接種スケジュールもまだ定かではない。再拡大で医療従事者らの負担が大きくなるとさらに見通せなくなる。

 昨年春の花見シーズンに「気の緩み」で人出が増え、4月の緊急事態宣言につながった。1年がたち、コロナと向き合う知見も増えている。国、自治体、住民が一体となって難局を乗り切りたい。



緊急事態解除へ 安心できる状況ではない(2021年3月19日配信『西日本新聞』-「社説」)

 政府はきのう、首都圏1都3県に出している新型コロナウイルス緊急事態宣言を期限の21日で解除することを決めた。2回目の宣言は、2カ月半で全面解除となる。とはいえ、安心できる状況には程遠いことを、私たちは肝に銘じるべきだ。

 新規感染者数は減少に転じ、感染状況を判断する指標の多くは改善した。しかし、首都圏の病床使用率は高い水準にある。感染者数が下げ止まり、リバウンド(感染再拡大)の始まりを指摘する声さえある。

 宣言が長引き、さまざまな制約を強いられる市民の疲労は蓄積している。「宣言慣れ」といった警戒感の緩みが一部で広がり、都心部では週末の人出が増えているという。宣言の引き締め効果は薄れつつある。

 感染状況が十分に落ち着いたというより、宣言効果の限界が見えたため、政府は解除に踏み切ったと考えるべきだろう。

 政府の分科会の尾身茂会長は「今までの延長ではなく、質的にも量的にもジャンプさせる必要がある」と対策の見直しを訴えている。濃厚接触者を洗い出す積極的疫学調査の徹底など、政府は対策の改善・強化に取り組むことが肝要だ。

 最も急ぐべきは、九州も含めて全国で感染確認が続く変異株への対策強化である。

 感染力が強いとされるだけでなく、致死率が高いという指摘もある。一部のワクチンの効果に疑義が示された変異株もある。変異株の流行は感染症対策に大きな影響を与えかねない。にもかかわらず、その検査は新規感染者の一部にとどまり、市中感染の実態が分からない。検査態勢の整備は喫緊の課題だ。

 変異株の感染が拡大すれば、病床は短期間で逼迫(ひっぱく)する恐れがある。現在、病床に余裕がある自治体も油断はできない。

 流行の「第4波」に備え、医療機関の役割分担の明確化や受け入れ病床の積み増し、軽症者向けの宿泊施設の確保などに力を入れる必要がある。

 新型コロナの感染防止で最も効果的な対策は、飛沫(ひまつ)感染の機会を減らすことだ。自治体は感染拡大の兆しを見逃さず、飲食店などへの営業時間短縮要請を積極的に検討すべきだ。無論、協力に応じた業者への手厚い経済的支援が欠かせない。

 宣言が先行解除された福岡県では、病床使用率は高止まりしている。高齢者施設のクラスター(感染者集団)が相次ぎ、若者を中心に、感染症対策の緩みも懸念される。

 今回、首都圏ではリバウンドも懸念される状況で、宣言が全面解除される。安心するのではなく、警戒感を引き上げる契機としなければならない。



トップの決断(2021年3月19日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 2007年秋、中日対日本ハムのプロ野球日本シリーズ第5戦。中日の山井大介投手は8回を終わって1人の走者も出さず、日本シリーズ史上初の完全試合へ期待が高まった。だが、中日の落合博満(ひろみつ)監督は9回のマウンドに抑えの切り札岩瀬仁紀(ひとき)投手を迷わず送る。岩瀬投手は三者凡退で締め、中日は53年ぶりの日本一を手にした

◆当時、落合監督の起用法に賛否が分かれた。チームの勝利は大事だが、大記録に挑戦させたいと、個人的にも思った。組織の規模にかかわらず、リーダーは孤独である。落合監督が批判を浴びたように、揺るがぬ信念が理解されない時はある。だが、満場一致の決定が必ずしもいい方向に進むとも限らない

◆きのう、首都圏への緊急事態宣言が21日で解除されることが決まった。菅首相の判断が優先された格好だ。賛否両論ある中で、最後は国のトップが決断すべき問題だろう

◆落合監督は後日、「監督というものは全員が乗った船を目指す港に到着させなければいけない。誰か一人のためにその船を沈めるわけにはいかない」と語っていた。判断理由を自分の言葉できちんと説明できれば周囲も納得する。普段からの信頼関係も大切だろう

◆気がつけば、菅内閣の発足から半年が過ぎた。視界不良の中で船が進む今、乗り組むみんなでもう一度力を合わせるしかない。



緊急事態宣言解除(2021年3月19日配信『宮崎日日新聞』-「社説」

◆変異ウイルス対策は万全か◆


 政府は首都圏4都県に出していた新型コロナウイルス緊急事態宣言を21日までで解除すると決めた。新規感染者数は横ばい、微増のままだが、宣言発令による対策は効果が薄れているとして、医療提供体制の改善を主な根拠に踏み切った。

 例えるなら、入院治療ではこれ以上良くならないとして退院させるような判断だ。感染力の強い変異ウイルスが日々拡大している今の局面で大丈夫か。政府は、解除後に有効な対策の早期確立へ手を尽くすべきだ。

 4都県のコロナ患者用の病床使用率は埼玉、千葉が30%台後半、東京、神奈川が20%台半ばと全てステージ4(爆発的感染拡大)相当の50%を割り、ステージ3(感染急増)に下がった。しかし1週間ごとの感染者数比は埼玉、東京が1超と微増でなおステージ3~4だ。東京の新規感染者数は再びステージ3に迫り、既にリバウンドが始まっているとも指摘される。

 そして変異ウイルスも全国に拡大中である。確認例は空港検疫も含めれば計500人に迫る。変異株は強い感染力に加え、一部ワクチンの効果が弱まる懸念も指摘されている。

 中でも心配なのは、宣言が先行解除された大阪や兵庫で報告数が多いことだ。神戸市の調査では3月初めごろ、感染者の4割近くが変異株だった。因果関係は不明だが、近畿3府県は1週間ごとの感染者数比が宣言解除後に増加に転じ、いずれも1を超えた。

 政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長も「今までの延長」の対策では不十分との立場だ。感染源やクラスター(感染者集団)の発生場所が分からないケースが増えたため、飲食の場に絞った従来の対策では限界に来ているという指摘だ。

 今後は、(1)無症状者へのモニター調査強化で感染再拡大の予兆をより早くつかむ(2)変異ウイルスに備え医療提供体制を拡充(3)ワクチン接種の普及速度を上げる―といった対策が特に重要になる。問題は卒業、入学、就職など春のイベントが多い時期に宣言を解除してこれらの効果が追いつくかだ。

 東京大の研究チームは首都圏の宣言解除後、気の緩みで花見などの宴会が盛んに行われた場合、5月には東京の新規感染者数が千人を超え、再び緊急事態宣言が不可避になるとの試算を公表した。規模に大小はあれ、今後も感染の波は必ず来る。その備えは不可欠だ。

 菅政権は当初1カ月の宣言を2度にわたり1カ月半延長しても、飲食中心の対策に大きな追加、変更をしなかった。そもそも宣言中の対策に不備はなかったのか。検証と反省を第4波対策の土台とすべきだ。



[緊急事態宣言解除へ]変異株対策を徹底せよ(2021年3月19日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 政府は首都圏1都3県に発令している新型コロナウイルス緊急事態宣言を、21日の期限で解除すると発表した。

 菅義偉首相は対策本部で「新規感染者数が8割以上減少し、病床使用率も改善されている」と解除の根拠を説明した。

 数値に一定の改善がみられるのは確かだ。だが、全面的に好転したわけではない。

 1都3県の新規感染者数は他の地域と比べ依然として高い水準にある。特に東京や埼玉では再び増加の動きに転じており、決して安心できない状況だ。

 現時点で最も警戒しなければならないのは、感染性が高いとされる新型コロナウイルスの変異株の拡大である。厚労省によると、16日までに沖縄を含む26都道府県で399人から変異株が検出され、全国へ広がっている。

 一部のウイルスには、これまでに開発されたワクチンの効果が弱まる可能性が指摘される。

 専門家は今後、変異株が流行の主流となる可能性が高いとみている。リバウンド(感染再拡大)へとつながる恐れがあり心配だ。

 政府は変異株対策として、スクリーニング検査の抽出割合を現在の10%から40%程度に引き上げるというが、それで十分なのか気になる。

 解除を受け4都県は、飲食店への営業時間の短縮要請を現在の午後8時から段階的に緩和する。政府はこれまで飲食店に的を絞った対策を進めてきた。それが有効だったかどうかを検証し、今後に生かしてもらいたい。

■    ■

 緊急事態宣言の発令から2カ月半。首都圏では「コロナ疲れ」「自粛疲れ」が広がる。

 新規感染者数が下げ止まる中で宣言を解除するのは、再延長してもさらなる改善は難しい、と宣言による効果の限界を認識した上での判断だ。

 ただ、新年度を控えたこれからの時期は、人事異動や入社、入学などで人の流れが大きくなる。

 東京大の研究チームは、解除後に市民の気が緩み歓送迎会や花見などの宴会が盛んに行われた場合、再び感染者数が急増し、緊急事態宣言の再発令が必要な状態になると分析した。

 菅首相は「引き続き緊張感を持って対応いただくことが極めて重要」と述べたが、いったん緩んだ人々の気持ちを再び引き締めるのは難しい。

 政治に今求められるのは、なぜ危機感を持ち続けなければならないのか、国民に響く具体的なメッセージを送ることだ。

■    ■

 県独自の緊急事態宣言が解除されて2週間余りになる県内でも、クラスター(感染者集団)の発生が相次ぐなど感染拡大の傾向がみられる。

 18日は新たに43人の感染が確認された。直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は全国で3番目と高水準だ。医療提供体制の逼(ひっ)迫(ぱく)も続いている。

 ワクチン接種スケジュールは不透明で、一般向けの接種はまだ見通せない。いま一度気を引き締め、自分や周りの人の命を守る行動を再確認したい。





緊急事態の全面解除後も万全の対策を(2021年3月18日配信『日本経済新聞』ー「社説」)

約2カ月半に及んだ新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が、21日に全面解除となる。だらだらと続けても意味はなく、政府の判断は妥当だが、この先の取り組みこそが重要だ。医療体制の総点検と拡充を急ぎ、感染再拡大への備えを万全にすべきだ。
 
 医療の逼迫を再び招いてはならない(2020年8月、大阪府大阪狭山市の近畿大病院)
最後まで残った1都3県の緊急事態宣言が解除される。東京の新規感染者数は増加傾向で不安もあるが、病床の使用率や重症者の割合は低下し、感染急増を示す「ステージ3」の水準を下回る県も出てきた。

 政府は3月5日に1都3県の緊急事態宣言の再延長を決めたが、効果を疑問視する人も多かった。飲食店の時短営業だけでは新規感染者数は減らず、手詰まり感が強まっていた。

「最後の手段」としての宣言のメッセージ性は薄れている。では、どのような新たな手があるのか。残念ながら、18日の菅義偉首相の記者会見からは、それが見えなかった。

 宣言は解除されても、感染症の危機はなくならない。17日に開いた厚生労働省の専門家組織の会合では、都市部で既に感染の再拡大(リバウンド)が生じ始めているのではないかとの指摘が出た。

 特に、感染力が強く重症化率が高い可能性も指摘される変異ウイルスの増加は気になる。遺伝子解析を増やし、海外とも連携してリスク評価をしっかりすべきだ。

 2020年4月に初めて緊急事態宣言が出てからまもなく1年がたつ。当時、検査の徹底、陽性者の療養場所の確保、病床の拡充などが急務とされた。

 厚労省は自治体や医療機関向けに関連通知を連発したが、現場は簡単には変われなかった。夏の感染の「第2波」で再び医療の逼迫が起き、冬の「第3波」でも患者の急増に対応しきれず受け入れを断る医療機関があった。

 医師や看護師は今後、新型コロナワクチン接種でも忙殺される。そこへ感染の「第4波」が重なる事態も予想されるが、四たび医療の逼迫を招くことは避けたい。

 国と自治体の意思疎通は十分か。重症者、中等症者の受け入れなど医療機関の役割分担はできているか。介護などケアを提供可能な高齢者施設との連携はどうか。

 今こそ徹底検証し、解決を急がねばならない。国民にも結果をわかりやすく説明し、対策への協力を求める必要がある。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ