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扶養照会見直し 自治体で異なる判断基準 国に是正求める声(2021年3月19日配信『毎日新聞』)

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生活保護の扶養照会について、親族と「10年程度音信不通である場合」は照会をしなくてよい、とする、厚生労働省が各自治体に出した今年2月の通知

 生活保護を申請した人の親族に、援助できるかを自治体が確認する「扶養照会」について、申請者が親族と20年ほど音信不通の場合は照会しなくてよいとされてきたが、厚生労働省は先月末、この期間を「10年ほど」に短縮した。照会による親族への発覚の恐れが、申請をためらう原因になると批判され、要件を緩和した。だが「申請者の承諾が前提」「音信不通の期間にこだわらない」などと自治体間で判断基準が異なるケースがあり、国に是正を求める声が上がる。

 扶養照会は、民法で定める両親や兄弟ら「扶養義務者」に対し、申請者の支援が可能かを尋ねるもの。厚労省は先月26日、今回の運用見直しを自治体に通知した。10年ほど連絡をとっていなければ、個別の事情に関わらず交流は断絶していると判断でき、照会の必要はないとした。音信不通となっている期間が分からなくても、相当長い間、やりとりがないと本人が申し出れば、それを否定する明確な根拠がない限り、照会を免除することなどを求めている。

 また、これまでも親族が70歳以上の高齢や未成年だったり、家庭内暴力(DV)を受けているといった事情があったりする場合には照会は不要としていたが、これに「虐待」も加え、さらに「本人が親族に借金をしている」「相続を巡って対立している」など、関係が非常に悪化している場合も不要とした。通知では、丁寧に生活歴を聞き取るなど、申請者に寄り添った対応をとるよう自治体に求めている。

 扶養照会の必要性を判断する要件について、厚労省は…



生活保護扶養照会やめて(2021年3月19日配信『しんぶん赤旗』)

支援団体 5.7万人超署名提出

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扶養照会の見直しを求める署名を政府(左)へ提出する支援団体の人たち=18日、衆院第1議員会館

 生活保護の申請時に親族に援助ができるかを問い合わせる「扶養照会」が保護利用をためらわせる大きな原因になっているとして、生活困窮者などを支援する団体が18日、運用の抜本的見直しを求める第2次分の署名を厚生労働省へ提出し、要請しました。提出は2月8日に続くもの。署名は計5万7478人に上りました。

 扶養照会は現在、福祉事務所側が本人の承諾なしに行っています。申請者の親、配偶者だけでなく、きょうだい、子、孫に加え、おじ、おば、おい、めいといった広範囲な親族を対象にしています。

 要請したのは、一般社団法人「つくろい東京ファンド」と生活保護問題対策全国会議。扶養照会は申請者が事前に承諾した場合に限ることなどを求めました。コロナ禍の長期化で行政の各種支援が切れる時期が迫っており、生活保護の重要性がさらに増すとしています。

 厚生労働省は2月26日、支援団体の要望におされ扶養照会に関する運用を一部見直しました。家庭内暴力や虐待がある場合は行わないよう各福祉事務所などに通知。しかし見直しは限定的で、支援団体は「問題の根本的解決につながらない」と抜本的な運用見直しを求めています。

2021年2月28日

厚生労働大臣 田村憲久 殿

一般社団法人つくろい東京ファンド
生活保護問題対策全国会議

生活保護の扶養照会に関する厚生労働省通知に関する緊急声明

1 はじめに
 厚生労働省は、本年2月26日、各自治体に対し、生活保護の扶養照会の運用を改善する通知(以下「本件通知」といいます。)を送付しました。
 私たちは、本年2月8日、貴職に対し、「生活保護の扶養照会を実施するのは、『申請者が事前に承諾し、かつ、明らかに扶養義務の履行が期待できる場合に限る』旨の通知を発出すること」を求める要望書を提出しましたが、以下述べるとおり、本件通知は、小手先の微修正であって、私たちが求めた要望内容からは程遠いと言わざるを得ません。

2 「申請者が事前に承諾した場合」に限定すべき
上記要望書で述べたとおり、「民法上の扶養義務は、扶養義務者が負うものであって、要扶養者が持つのは、処分や譲渡ができない一身専属権としての『扶養請求権』です。そして、扶養請求権は、要扶養者が特定の関係にある扶養義務者に扶養の請求をした時に初めて発生する」ものなので、「扶養を求めるかどうかは本来的に要扶養者の自由です」。
したがって、扶養照会の運用改善にあたっては、まず、「申請者が事前に承諾し」た場合に限定すべきです。この点を限定せず、扶養照会の運用について新たな通知を発出しても、コロナ禍が広がる中、扶養照会が生活保護の利用をためらう大きな原因となっている問題の根本的解決にはつながりません。
また、このような通知の内容は、2021年1月28日、参議院予算委員会における「扶養照会は義務ではない」という貴職の答弁内容と大きく背馳します。
よって、扶養照会の運用改善にあたっては、まず、「申請者が事前に承諾し」た場合に限定することを明確に通知として発出すべきです。
この点、東京都運用事例集問4-6の4(留意事項①・73頁)は、「扶養照会を行うことを事前に要保護者に説明し、了承を得ることが好ましい。要保護者が希望する場合は、要保護者本人から当該扶養義務者に照会文書を渡す。要保護者が扶養照会を強く拒否する場合は、理由を確認し、照会を一旦保留し理解を得る。」としているところですが、これをさらに一歩進めて、「扶養照会を行うことを事前に要保護者に説明し、事前に了承を得ること」等とすべきです。

3 扶養照会を行うのが例外的場合であることを明記すべき
さらに、「明らかに扶養義務の履行が期待できる場合に限る」との要件も明確にすべきです。
別冊問答集の改正は、「要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない者」について、「当該扶養義務者に借金を重ねている、当該扶養義務者と相続をめぐり対立している等の事情がある、縁が切られているなどの著しい関係不良の場合」という具体例を列記し、これまで「20年以上音信不通」と記載されていたものを「例えば10年程度」としています。
しかし、これでは極めて例外的な場合以外は直接照会をする、という枠組み自体は維持されているうえ、具体例を列記することによって、こうした「著しい関係不良」の場合以外は直接照会をしなければならないとの誤解を生むリスクさえあります。
 せめて、課長通知第5の問2における「要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない者」を、単に「要保護者の生活歴等から扶養の期待可能性がない者」に改める等、従前の原則と例外を逆転させる改正をするべきです。

4 分かりにくい局長通知を改正して調査手順の整理を明記すべき
次に、事務連絡において扶養の調査手順を整理した点は、私たちの要望に沿うものであり評価はできますが、問題は、現行の局長通知第5の2(1)(2)が複雑怪奇で非常に分かりにくいだけでなく、生活保持義務関係(夫婦・未成熟子に対する親)の場合には必ず扶養照会しなければならないとの誤解を生む記述となっていることにあります。
諸悪の根源である局長通知そのものを分かりやすく改正して、調査手順を明記しない限り、現場の混乱が収まるとは考えられません。

5 3親等内の相対的扶養義務者に関する違法な通知を直ちに削除すべき
 さらに、3親等内(おじ、おば、甥、姪)の相対的扶養義務者に該当するかどうかの判断を福祉事務所長が行うよう求めている現行の局長通知第5の1(1)イ(イ)及び課長通知問第(5の1)は、家庭裁判所の審判等によって初めて相対的扶養義務が発生するとする民法877条2項に明らかに違反しています。
別冊問答問5-4は、福祉事務所長が相対的扶養義務の判断を行う「法律上の根拠はない」と開き直っている始末であり、こうした違法な通知は直ちに削除すべきです。

6 まとめ

 以上のとおり、本件通知のような内容では、現在生じている問題の解決に結びつかないばかりか、貴職の国会での答弁と大きく乖離した内容になっていることは明白です。私たちは、改めて前記要望書のような内容の抜本的な通知の改正と生活保護の利用を阻害している要因や制度利用に伴う心理的な負担を調べる調査の実施を強く求めて本緊急声明を発出するものです。
なお、本件通知が、「夫の暴力から逃れてきた母子」に「虐待等の経緯がある者」を加え、答3において、「直接照会することが真に適当でない場合又は扶養の可能性が期待できないものとして取り扱うこと」とした点は、私たちの要望に沿うものであり評価できることを付言します。

以 上








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