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タレント侮辱 五輪開催(2021年3月20・21日

五輪関係者と人権 差別と気づかない深刻さ(2021年3月21日配信『毎日新聞』-「社説」)

 今夏に開催が予定される東京オリンピック・パラリンピックをめぐり、大会関係者の差別的言動がまたも表面化した。

 開閉会式の演出を担当するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が、人気タレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するようなアイデアを提案していたという。

 無料通信アプリ「LINE」を使った演出チーム内でのやりとりだった。女性に対して不適切だなどと反対意見が相次ぎ、アイデアは撤回された。

 昨年3月の出来事だったが、週刊誌報道で問題が発覚し佐々木氏は総合統括のポストを辞任した。

 容姿で人をからかう行為は「ルッキズム」と呼ばれ、差別に当たる。人権意識の欠落は明らかだ。謝罪文で佐々木氏は「私が調子に乗って出したアイデアです」と述べた。その言葉通り、差別の認識がなかったとすれば逆に深刻だ。

 東京大会は「多様性と調和」を理念に掲げる。とりわけ、開閉会式は五輪やパラリンピックの素晴らしさとともに、日本としての価値観を世界に発信する場であるはずだ。佐々木氏がそれを理解していたとは思えない。

 佐々木氏は広告代理店、電通の出身で、2016年リオデジャネイロ五輪では、人気ゲームのキャラクターに扮(ふん)した安倍晋三首相(当時)を閉会式に登場させる演出を手がけた。

 演出チーム内ではトップの立場をめぐる不協和音もささやかれていた。当初は狂言師の野村萬斎氏が総合統括だったが、昨年12月にチームは解散し、代わって佐々木氏が就任した経緯がある。

 残り約4カ月で演出プランの大幅な変更は難しいとしても、大会の理念を実現できるよう、体制を立て直さなければならない。

 大会組織委員会では、森喜朗氏が女性蔑視発言で会長を引責辞任したばかりだ。

 今回の問題について、渡辺さんは「それぞれの個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しく豊かな世界を心より願う」とコメントした。東京大会が取り組むべき姿がそこに見えるのではないか。

 新型コロナウイルスの感染拡大で自由な交流が制限される中、人々をどう結びつけるか。大会の本質が問われている。





「ブサイク」と「イケメン」(2021年3月20日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 美人は得でブサイクは損なのか。「ブサイク女子」を主人公とする少女漫画26作品を分析した「少女マンガのブサイク女子考」(左右社)で、著者のトミヤマユキコさんは美醜の本質を問いかける

▼たとえば、「カワイイはつくれる!」と整形で成功するモデルのお話。美を維持しようともがく苦行の人生をだれが否定できようか。他人の言動に左右され、不健康なダイエットの結果、大事な人を失う「OL」を笑う気にはなれまい。あるがままの姿で告白する女子高生。その行動は周囲の評価に惑わされる人たちより胸がすく

▼東京五輪・パラリンピックの式典演出を担当する総合統括者が辞任した。昨年春、人気タレント渡辺直美さんの容姿を侮辱するような演出を提案したと週刊文春が報じていた

▼人の外形を画一的な基準で評価する「ルッキズム」の不当性が指摘されて久しい。外見は千差万別だが、その見た目で差別的に扱ったり、あざけることは許されない

▼少女漫画には「美人」になった途端に、性格が変わる子も登場する。何が問われているのか。これほどわかりやすい例もないだろう

▼「見た目を揶揄(やゆ)されることも理解したうえでお仕事をさせていただいています。私自身はこの体型で幸せです。なので今まで通り、太っている事だけにこだわらず『渡辺直美』として表現していきたい」。だれが「イケメン」か。一目瞭然である。



古びた価値観にまみれた人たちが招く失態(2021年3月20日配信『しんぶん赤旗』ー「潮流」)

 スタンドの中央にできた滝。流れ落ちる水に覆われた床に、ひとりの女性が円を描くように灯(とも)した火。彼女を囲んだ炎の輪は滝を登って、聖火台へ―

▼記憶に鮮やかな幻想的な光景。2000年、シドニー五輪の開会式です。最終の聖火走者は先住民族アボリジニの陸上選手でした。入場行進では南北朝鮮の統一旗が翻り、日本選手団は虹色のマントで登場。世紀の節目の五輪は民族融和と多様性を発信しました

▼世界平和や共生、五輪やスポーツの発展、開催国の歴史や文化。華美な演出を批判されながら、時に人類の進歩と重なるメッセージを呼びかけてきた開会式。それは大会を象徴するかたちにも

▼東京五輪の式典を統括する人物が資格を欠いていたことがわかりました。出演予定だった女性タレントを豚に見立て、「オリンピッグ」として演出しようと提案していたのです。他のメンバーから批判され撤回したといいますが、容姿をやゆする企画を平気で出すこと自体、人権感覚が疑われます

▼いまや国外でも活躍する、このタレントは「私自身はこの体形で幸せです」とコメント。そして「個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しく豊かな世界になれること」を心から願っていると

▼女性蔑視の森発言につづき、古びた価値観にまみれた人たちが招く失態。ふり返れば、未来を描くどころか、時代に逆行する問題ばかりが取りざたされてきました。そのうえコロナ禍での強行。このまま五輪史に汚点を残す大会を開催するつもりなのか。





タレント侮辱 五輪開催の意味問い直せ(2021年3月20日配信『産経新聞』ー「主張」)

 次元の低い話にあきれる。これが祭典の開幕を4カ月後に控えた組織の実態なら、国民をばかにしている。

 東京五輪・パラリンピックで開閉会式の演出統括役を務める佐々木宏氏が、式典に出演予定だった女性タレントの渡辺直美さんの容姿に豚を重ねるような演出案を、昨年3月に通信アプリ上で関係者に示していた。

 「多様性と調和」という大会理念を理解しているとは思えぬ、低俗な発想である。

 佐々木氏は謝罪文を出し、辞任したが、日本社会の後進性を象徴する騒ぎとして報じた海外メディアもあり、その責任は重い。

 大会の開閉会式は当初、狂言師の野村萬斎氏をトップに各界で活躍する計7人のチームで制作を進めてきた。しかし、新型コロナウイルス禍による延期で簡素化が不可避になったとして、昨年12月にチームが解散した後は、佐々木氏が統括役に就いていた。

 式典チーム内の不協和音を指摘する声は以前からあった。それが聖火リレーの開始を目前にした時期に世界に発信されたことも情けなく、恥ずかしい。

 大会組織委員会も一連の経緯を猛省すべきだ。2月には、前会長の森喜朗氏が女性蔑視と取れる失言で引責辞任したばかりで、度重なる失態は目に余る。

 救いがあるとすれば、渡辺さんの発表したコメントだろう。「それぞれの個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しく豊かな世界になれる事を心より願っております」。大会開催の意味を過不足なく伝える言葉である。

 開会式のチケットは高額で販売され、近年の大会では、開催国が競うようにして演出に力を入れている。その陰で、五輪やスポーツの価値という大会の本質に関わるメッセージは、置き去りにされて来なかったか。

 橋本聖子会長は後任の人選を急ぎ、佐々木氏の企画案をベースに式典準備を進める考えを示した。それはやむを得ないとしても、五輪開催の意味を問い直し、演出のあり方を精査すべきだろう。

 放送権者の顔色をうかがう国際オリンピック委員会(IOC)の都合に振り回されてはならない。何のために五輪を開くのか。東京大会のメッセージを世界に伝えること以上に、優先すべき課題はないからだ。





「何を笑うかでその人柄が分かる」と言ったのはフランスの劇作…(2021年3月19日配信『東京新聞』‐「筆洗」)

 「何を笑うかでその人柄が分かる」と言ったのはフランスの劇作家らしい。何で人を笑わせるかに演出の力量やセンスは表れると思わされて、感心したのが、映画監督ダニー・ボイル氏によるロンドン五輪の開会式だ

▼厳かな雰囲気も漂う中、エリザベス女王と「007」のスパイ、ジェームズ・ボンドがパラシュートで、降りてくる映像が流れた。映画「Mr.ビーン」のコメディアン、ローワン・アトキンソンさんが楽団の演奏者にふんして登場する場面もあった。笑顔がたくさんあったのを覚えている

▼おそらく、こちらもコメディー風の場面を目指したのだろう。タレントの渡辺直美さんを起用する東京五輪開会式の「オリンピッグ」の演出案である。実現していれば、ロンドンのような笑顔は望めなかったはずだ。心が痛む人もいたかもしれない。演出の統括役の佐々木宏氏が、渡辺さんへの侮辱的な演出の提案を認めて辞任した

▼社会の枠から時にはみ出すこともある創造的な分野の話であり、実現しなかった案の話でもある

▼とはいえ、強くかばう気持ちにもなれないのは、五輪・パラリンピックの式典が、冷笑されることにならなかったかと不安を感じるからだ

▼佐々木氏の力量を高く評価した森喜朗氏も組織委会長を引責辞任した。大会は近づくが、機運をくじくようなことが続く。たくさんの笑顔はあるのだろうか。




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