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ウミウシの自切(2021年3月22日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 潮が引いた浜辺などに見られるウミウシの一種、コノハミドリガイは変わった「特技」を持つ。頭より下の体を自分で切り取って、やがて心臓を含め大部分を再生できるのだ

▼奈良女子大の大学院生と教授が発見した。産卵を抑制する寄生者を排除するためと考えられている。頭部が活発に動き回って餌を食べ、約3週間で元通りに。なかなかのしたたか者である。研究成果は今月、米科学誌で紹介された

▼切ってもまた生えてくるといえば、これまではトカゲのしっぽだった。「桜を見る会」疑惑で、安倍晋三前首相の公設第1秘書が略式起訴され、安倍氏自身は不起訴となった際に、この言葉が人々の口の端に上った

▼しっぽどころか、体の大事な部分をも切り捨てて再生しようとするのは「ウミウシの自切(じせつ)」に例えられようか。総務省の中枢を担い、菅義偉首相の「懐刀」と言われた前総務審議官の辞職はそれを思わせる

▼求められるのは、首相の長男が勤める放送事業会社からの接待に甘んじてきた組織体の一新だ。武田良太総務相は「私自ら先頭に立ち、国民の信頼回復に努める」と省の再生へ動き回るが、自身もNTT社長との会食を認め、改革の行方は心もとない

▼ウミウシの別名「雨虎(あめふらし)」は春の季語でもある。<雨虎甘言の世に在りつづく>(中尾寿美子)。なにやら、権力者への忖度(そんたく)がはびこる今の世を暗示するような一句である。



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