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河井克行被告、一転して買収認め議員辞職表明 初の被告人質問(2021年3月23日配信『産経新聞』)

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東京地裁に入る河井克行被告=23日午前9時21分、東京都千代田区(代表撮影)

 令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)の公判が23日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれ、被告人質問が始まった。克行被告は「妻の案里(前参院議員)の当選を得たいという気持ちが全くなかったとはいえない。全般的に選挙買収罪について争うことはしない」と買収の大半を認めた。克行被告は初公判以降、無罪を訴えていたが、主張を一転させた。さらに議員辞職の意向も表明した。

 一方で、「すべてが買収目的であったことはございません」とも述べ、事務所スタッフらへの現金提供について、買収の趣旨はないとした。案里前議員との共謀も否定した。

 起訴状によると、克行被告は平成31年3月~令和元年8月、参院選で案里前議員を当選させるため、票の取りまとめを依頼した報酬などとして、地元議員ら100人に計約2900万円を渡したとしている。

 克行被告は昨年8月の初公判で「選挙運動を依頼する目的で(現金を)供与したのではない」と無罪を主張。案里前議員との共謀や、選挙を取り仕切った「総括主宰者」だったことも否定した。一方、公判では地元議員やスタッフら計100人への証人尋問や供述調書の朗読が終了し、94人が買収の趣旨を認めた。

 今年1月、案里前議員の東京地裁判決で、高橋裁判長がうち4人分を克行被告と共謀したことや、克行被告が現金供与の全体を計画したことを認定した。



「できることは辞すること…」 議員辞職を表明の河井克行被告(2021年3月23日配信『産経新聞』)

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東京地裁に入る河井克行被告=23日午前9時21分、東京都千代田区(代表撮影)

 令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で公選法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)は、23日の東京地裁での被告人質問で、「あまりにも多くの皆さまにご迷惑をかけ、中には人生を変えてしまった方もいると聞きました」と発言。選挙の信頼を損ない、自民党にも迷惑をかけたとの認識を示し、「私にできることは(議員の)職を辞すること。すべての責任は私にあります」と述べた。



【克行議員初の被告人質問】1「結婚20年」「案里の当選得たい気持ち、なかったとはいえない」(2021年3月23日配信『産経新聞』)

 《令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)の公判が23日、東京地裁(高橋康明裁判長)で始まった。この日は被告人質問が行われる。克行被告が事件について説明するのは実質的に昨年8月の初公判以来。初公判では「選挙運動を依頼する目的で(現金を)供与したのではない」と、無罪を主張していた》

 《克行被告は午前9時20分ごろ、弁護人とともに車で地裁に到着した。紺色のスーツに白いYシャツ、水色のネクタイに白いマスク姿で、左胸には議員バッジをつけていた。克行被告はゆっくりとした足取りで、集まった報道陣に軽く会釈をしながら地裁に入っていった》

 《午前10時ごろ、報道陣が入廷。克行被告は、落ち着いた様子で弁護側の席に座っていた。弁護側、検察側双方の証拠請求に対する採否が決まったあと、克行被告は午前10時35分ごろに証言台へ向かった。克行被告は左手にペットボトルを持ち、弁護側へ一礼すると着席し、被告人質問が始まった》

 弁護人「公訴事実について、初公判の認否ではすべて否認、あるいは争うとしていたが、現在は」

 克行被告「はい、裁判長おはようございます。今日から被告人質問が始まるということで、改めて考えを整理してみました。今日の冒頭で私の意見を述べさせていただきたいと思う」

 「まず、妻、河井案里と共謀して選挙買収をしたという点、これはまったく事実と異なりますので、無罪を主張させていただく。2つ目、自民党広島県参議院第7選挙区支部の職員に対する、(いわゆる)陣営関係者に差し上げたお金につきまして、選挙買収に当たらないと考えますので、これも無罪を主張する」

 《克行被告はまず、公選法違反罪で有罪が確定した妻の案里前参院議員(47)との共謀について「事実と異なる」と明確に否定した》

 弁護人「後援会関係者らや、地元議員に対する現金供与も公訴事実に含まれている」

 克行被告「はい、後援会の役員の皆様や地方議会、首長に対してお金を渡しました。一人一人に固有の理由、趣旨、事情がございます。私自身、あからさまに投票依頼を行ったことはない」

 「そのうえで、令和元年の参院選で広島選挙区は大きく、自民党は2議席を獲得するという党の大方針を実現するために、(自民党公認の競合候補だった)溝手顕正氏に加えて新人である妻、河井案里の当選を得たいという気持ちが全くなかったとはいえない、否定することはできないと考えている」

 「一人一人におけるさまざまな事情、理由は各論で詳しく述べるが、すべてが買収目的であったことはございません。全般的に買収罪ということについては、争うことをいたしません」

 《克行被告はこれまでの主張を一変させ、地元議員への買収を認めた》

 弁護人「事前買収についても、公訴事実に含まれているが」

 克行被告「今、申し上げたような観点から争うことはしない」

 弁護人「(参院選における)総括主宰者とされていることについては」

 克行被告「活動実態がどうであったか、知りうる限りの事実をご説明させていただきます。一方で、本来ならば県連が果たすべきだった役割、これを補完、代行せざるをえなかったことも事実。総括主宰者にあたるのであれば致し方ない。裁判所におかれましては、適切に判断していただきたい」

 《これまでの全面的な対決姿勢が嘘のように、選挙運動の全体を取り仕切る「総括主宰者」であることもあっさりと認めた克行被告。これまでの公判の中で、現金を受け取ったとされる100人のうち実に94人が買収を認めたことも、影響しているのだろうか》

 弁護人「(公判の)冒頭では否認し、他は争わない。その理由は」

 克行被告「1つには、検察の供述調書を前提とした公訴事実そのものを私がすべて認める、これはとても、あの夏、春から夏にかけて…」

 《ここまでよどみなく話し続けていた克行被告だが、ここで少しの間が空いた》

 克行被告「実際に何が広島県で行われていたのか、その真実と私の真意とはかけ離れている。すべてがお金をささげた行為、選挙買収であったと断じられることについて、政治家として到底受け入れることができなかった」

 「もう1つは、100人といわれるお金を渡した人、金額、場所、狙い、関係性すべてが100通りの事情があります。十把一絡げに一括して、選挙買収であると断ぜられることも納得できなかった」

 「この法廷で、検察の証人尋問、弁護側の反対尋問がたくさんの方に対して行われてきました。この法廷での議論をもとに、何が真実であったか裁判長はじめ、みなさまに知ってもらいたい」

 弁護人「当初、争うことにいたった理由は。案里前議員のことも考えたのか」

 《克行被告は水を口に含み、外していたマスクをつけると、やや間を置いてから、再び口を開いた》

 克行被告「えー、来月で私たち夫婦は、結婚してちょうど20年になる。長年にわたり苦楽を妻とは共にして、参りました」



【克行議員初の被告人質問】(2)「独房で自問自答」「罪認めることが政治家としての責任」(2021年3月23日配信『産経新聞』)

 《令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公職選挙法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)の公判が東京地裁で続いている。これまでの主張から一転、大筋で起訴内容を認めた克行被告は、公選法違反罪で有罪が確定した妻の案里前参院議員(47)を「当選させたかった」という思いを持っていたことを明かした》

 《なぜ主張を翻したのか。克行被告は、ゆっくり、はっきりした声で経緯について説明していく》

 克行被告「令和元年の選挙(参院選)で、妻、案里は当選しました。当初から一部にせよ、罪を認めることによって、一緒に頑張ってくれたスタッフや、(広島)県内で自分のことのように応援していただいた後援会や支持者の皆さまに、当選に泥を塗るのではないかと考えました。案里の尊厳や、票を投じた多くの人の尊厳を守るため、私の潔白を主張してきました」

 弁護側「なぜ主張を変えたのか」

 克行被告「私は東京拘置所に259日間収容され、この法廷に、数えると46回出廷して、多くの証人の皆さんの証言をこの法廷で聞きました。後援会の三矢会の皆さんは、家族同然です。平成2年に県議に出るため、政治の世界に入ってから30年間、お支えし続けてくれました。私は世襲でも、官僚出身でもありません。普通の青年でした。そんな私を自分の子や孫、弟のようにお支えし続けてくださったのが後援会の皆さんです。30年経ち、ほとんどが高齢者です」

 「その皆さんが証言されている姿を拝見し、夜、拘置所の独房で自問自答を繰り返しました。本当に、案里を参院選に当選させたいという気持ちがなかったのか。家族同然の後援会の皆さんが証言されている姿を見て、連日深く自省しました」

 「その中で、多くの皆さんにご迷惑をかけ、取り返しのつかない心の傷をつけてしまった。中には心身の不調を訴え、入院加療されている方もいると聞いています。そういう話を聞くうち、自らの内面にまっすぐに向き合い、逃げることなく、認めるべきは認めることが、長年にわたり私を支えていただいた皆さまに対し、政治家としての責任と考えるに至りました」

 弁護側「証人尋問の中で、被告人から『もう後援会の人を呼ぶのをやめて』という話があったが、忍びないと思ったのか」

 克行被告「後援会の関係者は、まったく一般の善良な市民、県民です。裁判所に出廷するだけで心を痛めたかと思います。証人の皆さんの証言を一つ一つきながら、数十年の公私両面の付き合いを思うと、いたたまれない気持ちになりました。これ以上、私の行ったことに巻き込むのはできない、と申し上げました」

 《地元の後援会関係者に対する思いを吐露する克行被告。国政に対する思いも口にする》

 克行被告「後援会のみならず今回、大勢の皆さんが関わりを持ってしまいました。ご迷惑と、言葉に尽くせぬご心痛をお掛けしました。また、結果として、案件が公職選挙法に関わり、代議制民主主義の、日本国の在り方を決める、最も重要な国政選挙に対する信頼を損なうことになり、深く反省し、おわび申し上げます」

 弁護側「案里さんの有罪確定は影響したか」

 克行被告「案里の事件と私の事件は別の物と考えている。冒頭でも言った通り、共謀した事実は天地神明に誓ってない」

 《話題は、金を渡したとされる支持者らについて、具体的な内容に移る。起訴状には地元首長や議員ら100人の名前が挙がったが、克行被告はおおむね買収したことを認めた》

 克行被告「選挙人買収の目的のみではないが、事実として(買収したことを)認めさせていただきます。ただし、これからいう6人については、買収目的を否定します」

 《克行被告は、自身が単独で現金を渡したとされる議員らのうち、渡辺典子・広島県議ら地元議員や、事務所スタッフの名前を挙げた》



克行議員初の被告人質問(3)「神父様からの電話で決心」「衆議院議員を辞す」(2021年3月23日配信『産経新聞』)

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議員辞職を表明した河井克行元法務相の議席氏名票=23日午後、国会・衆院本会議場(春名中撮影)

 《令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)の公判は被告人質問が続いている》

 《これまでの否認から一転、多くの事実について認めるに至った経緯について改めて問われた克行被告は、しばしの沈黙後、ゆっくりと口を開いた》

 克行被告「3月2日に保釈を許して頂き、それから間もなくして、20年以上親身になって指導頂いている教会の神父さまから激励の電話を頂戴した」

 《克行被告は、神父からの「自分の内面に誠実に向き合ってください」という言葉で、起訴内容の大半を認める決意を固めたと述べた》

 克行被告「後援会や、支えてくださった方々に取り返しのつかないご迷惑をかけてしまった。お金を差し上げたことで公職を辞した方もいる。同じ政治の仕事をしているからよく分かるが、実現したい政策があるのに、志半ばで退場を余儀なくされた。心からおわびを申し上げたい気持ちでいっぱいです」

 「自民党に対しても、ご迷惑をおかけした。私が成長できたのは、ひとえに自民党の支援のおかげ。愛している自民党に対する信頼を傷つけ、申し訳なく思います。国民や広島県民の選挙への信頼を損ない、弁解の余地は全くない」

 《妻の案里前議員について問われると、克行被告は少しの沈黙のあと、言葉に詰まりながら答えた》

 克行被告「保釈後は妻と一緒に生活している。彼女は参議員として国民に尽くすことができると夢と希望に胸を膨らませていた。夫である私の行為によって政治生命を絶ってしまった。深い悔悟を毎日抱いている」

 「今日から被告人質問が始まりました。政治家として説明責任を、この法廷の場で果たしていきたい。妻の当選を得たいという気持ちあったことは否定しない。一方で、全てを選挙買収と断ぜられることは禍根を残す。選挙活動を萎縮させる悪影響があってはいけない。できるだけ正確に、あの春から夏にかけて、どういう現場の状況だったのか理解していただけるように説明していきたい」

 《今後の公判では真摯に対応すると強調する克行被告。続いて、出処進退について問われると、15秒ほど沈黙したのち、口を開いた》

 克行被告「衆議院議員を辞することとします。あまりにも多くの皆さまにご迷惑をお掛けし、中には人生を変えてしまった方もいると聞きました。民主主義の根幹である選挙の信頼を損なう行為をした。私にできることは、衆議院議員の職を辞することです」

 《克行被告は「すべての責任は私にあります」と、繰り返し強調した》

【克行議員初の被告人質問】(4)「『夫バカ』かもしれないが…」 案里前議員を高く評価(2021年3月23日配信『産経新聞』)

 《令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)の公判は、午前中の審理が終了し、休廷。午後1時15分から再開された。入廷した克行被告は、隣の弁護人と談笑するなどリラックスした様子。裁判長や検察に会釈をし、証言台に立った。弁護人は、妻の案里前議員の公認をめぐる関係から質問していく》

 弁護人「被告人は長い間、案里さんと政治家として一緒にいるが、(案里前議員の)政治家としての資質はどう思っているか」

 克行被告「高く評価している。私は30年近く政治家の仕事をしてきたが、案里ならば国政を十分担うことができる人材であり、彼女なら多くの期待に応えられると思った」

 弁護人「どういった点を評価しているか」

 克行被告「あんまり言うと『夫バカ』になるかもしれないが、他の政治家と比較して感じるのは、まず1つは、時代を先取りした問題意識、政策能力が卓越していた。2つめは、妻の性格。多くの方々と良好で円滑な人間関係(を築き)、私はどちらかというと厳しい人間だが、私と違って人を思いやることができる。胆力もある。自分が正しいと信じることを相手が誰でもひるまず、正々堂々と主張する」

 《妻の政治家としての資質を高く評価する克行被告。選挙区の広島で発生した豪雨被害の被災者に対して「共感する力を持っている」とも語った》

 弁護人「支援者と密接に交流することは」

 《弁護人の質問は、案里前議員の地元の支援者との関わり方などに移った》

 克行被告「(広島市)安佐南区では、私より妻の方が人気が高い。(克行被告の後援会の)三矢会の中心は案里だった。案里が人間関係の構築(を担った)」

 《続いて、弁護人は令和元年に案里前議員が参院選へ出馬したことについて質問する》

 弁護人「公認は、どのような意味を持つか」

 克行被告「公認候補として政治家の能力、資質、将来性を政党として保障する意味合いがある。もう一つは党勢拡大。自民党として応援していくと、公にする意味合いもある。党員や協力してくれる団体に対し、『応援してください』と党として要請していく意味合いもある」

 弁護人「(公認には)党として熟慮し、慎重になる?」

 克行被告「自民の公認は政治的に意義が深い。当選するという確信があって決定するものと考えている」

 《弁護人は、案里前議員が支部長を務めた第7支部について質問を重ねていく》

 克行被告「(支部の目的の一つは)党勢拡大。その政党の理念を広め、政策について1人でも多くの国民に指示していただけるよう広めていく。それが党勢拡大と理解している。有権者との関係性が最も重要。政党は政権を獲得するのが目的で、それがないと存在意義がない。1議席でも多く獲得し、1人でも多くの同士を確保すること(が重要)」 

 《続いて話題は、案里前議員の公認決定の時期に移る。自民党は公示3カ月前の平成31年3月に公認を決定。選挙戦を踏まえると、決定時期は遅いといえる》

 弁護人「過去に出馬した選挙で出馬を表明した時期は」

 克行被告「案里の各種選挙への表明は毎回遅い。(初出馬だった平成15年の)県議選は告示3週間前で、(21年の)県知事選では告示9日前。よく立候補したものだなと」

 《苦笑交じりに話す克行被告。一方で、案里前議員をこう評価した》

 克行被告「常識にとらわれないのが河井案里の面白いところ。限られた時間で完全燃焼し、死に物狂いでやって困難を突破してきた」

 《21年の知事選では、現在も知事を務める湯崎英彦氏に2倍近くの差をつけられ敗れたものの、約20万票を獲得した》

 弁護人「20万票を獲得したことは驚きか」

 克行被告「客観的に見て、(当時)自民党は下野していた。県の長を選ぶ選挙で(案里前議員は)若すぎると不安感があったと思う。その中であれだけ票をもらったのは大きな自信になったと思う」

 《自民が逆風にある中で20万票獲得したため、参院選でも公認が遅くなっても「厳しいという認識はなかった」という克行被告。また、自民党広島県連が当時現職だった溝手顕正氏を一本化し支援するという状況も、案里前議員に有利に働くという見方も示した》

 克行被告「県連は河井案里を一切支援しないと機関決定していた。公認に至るまでのいきさつなどが報じられるほど河井案里に有利で、遅れがあっても十二分に補えると踏んでいた」

 弁護人「(案里前議員の公認に)県連が消極的、反対する理由は」

 克行被告「長年にわたって、広島の参院選は何もしないで、自民党1議席、野党1議席というぬるま湯につかった選挙。公示日の朝に届け出をした時点で選挙が終わると言われていた。溝手氏や、県連会長を務めていた宮沢洋一氏からすると、河井案里が出馬することで安楽な選挙ができなくなる。それが嫌だと思ったのではないか」

 弁護人「溝手氏の票が奪われるという見方は」

 克行被告「大きく(票が)奪われるなどと予期していない。(ベテランの溝手氏と若手で女性の案里前議員では)顧客層が全然違う。選挙は商品(候補者)とそれを買う(投票する)客(有権者)がいる。公認されることで自民党支持層が溝手氏から河井案里に移ることはあり得ない」

 《広島の選挙戦の在り方について苦言を呈した克行被告は、選挙における持論も展開した》

 弁護人「決まったパイを取り合うことは想定していないか」

 克行被告「パイは限られていない。(参院選広島選挙区は)事実上、無風状態が続いてきた。真面目に地盤培養、党勢拡大をしてきたとはとても思えない。パイは切磋琢磨(せっさたくま)することで広がる」

 《案里前議員という“新しい血”を入れることで、無党派層や若年層への浸透を狙ったと主張する克行被告。弁護人は、選挙活動の仕組みについて質問を続ける》



克行議員初の被告人質問】(5)「街頭演説3000カ所」 妻の努力を強調(2021年3月23日配信『産経新聞』)

 《令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)の公判は、弁護側の被告人質問が続いている。克行被告は、妻の案里前議員(47)が当選へ向けて奔走した様子や、選挙活動の仕組みなどについて、依然として雄弁に語り続けている》

 弁護人「参院選広島選挙区に候補者を2人擁立することは、比例区にも影響があるのか」

 克行被告「参院選は地方区と比例区で、1人の有権者が2票持っている。全国比例にも候補者を擁立する。地方区の切磋琢磨(せっさたくま)が活発になることによって、比例区の活動も活発になる」

 弁護人「選挙に向けた準備については」

 克行被告「党勢拡大活動と地盤培養行為を真面目にやっていくことに尽きる。党勢拡大と地盤培養行為は、裏と表の関係だ。政党の公認を得ている場合は、公認を前面に打ち出していく。立候補予定者の政策、理念、人柄を後援会の世話人を通じて広げてもらう。もう1つは知名度を上げていくこと。人は知らない人に一票を入れない」

《これまでの主張を一変させた午前中の被告人質問では時折、言葉を詰まらせる場面もあった克行被告だが、選挙に関する己の主張を開陳しているせいか、終始よどみなく話を続けていく》

 弁護人「案里前議員が(立候補した後に)重要視していたことはなにか」

 克行被告「とにかく、街頭演説を最重要視していたと私は思う。(案里前議員)本人は後任が決まってから3000カ所に行ったと言っておりましたが、党の幹部、選挙の専門家、先輩議員から異口同音に言われていたのが『とにかく顔を表に出しなさい』ということだった。『自分で走り回って風を起こしなさい』と」

 弁護人「3000カ所回ることは大変だと思うが、案里前議員の様子は」

 克行被告「最後は足の筋肉を痛めて満足に歩けない。案里の場合は、街頭演説だけではない。聴衆がいたら、そこまで走ってそこで握手をする。街頭演説プラス、走りながらやっている。暑い時期ですから、目の角膜がやられて麻酔を打って、死に物狂いでやっていたと聞いていた」

 弁護人「やはり、党勢拡大を意識していたのか」

 克行被告「県連は妻を支援しないと決定していたが、妻は(自民党公認の競合候補だった)溝手顕正氏の名前を先に出して、自民党のために頑張ると、ずっと一貫して訴えてきたと聞いています」

 《克行被告は、妻がいかに選挙に情熱を注ぎ込んでいたかを再三力説する》



【克行議員初の被告人質問】(6)「是非お聞きしていただきたい」 県連の代わりに党勢拡大と主張(2021年3月23日配信『産経新聞』)

 《令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)の公判は被告人質問が続いている》

 《弁護人から選挙に向けた県連の役割について問われると、克行被告は滔々(とうとう)と内容を語った》

 克行被告「公示日前には2連ポスターを作ります。候補予定者と、もう一人を誰にするのか、相手と交渉して写真を収集します。後援会入会申込書を友好団体へ配布をお願いしたり、街頭演説会を開催する際には準備や応援をお願いしたりします。公示日後も、さまざまな最終調整などを行います」

 《弁護人から参院選当時、案里前議員が県連からの支援が一切なかったことが改めて確認された》

 弁護人「なぜ県連は支援しないことになったと思いますか」

 克行被告「大事なところです。是非裁判長にはお聞きしていただきたい」

 《突然、目の前の裁判長らに呼びかけた克行被告は、広島県内の情勢について熱く説明を始めた》

 克行被告「県連は県議が主体の組織であり、彼らの政治的な目標は、一義的には県政であることが1番大きな違いです。県政の延長線上に国政選挙がある。国政では与党と野党で政策を異にしていますが、広島では共に県政を運営してきた。彼らにとっては、これを維持することが最重要の政治課題なのです。過去21年続いていたように、県知事選挙と国政において自民と民主系の議席を仲良く分け合うことが、彼らの政治的目標なのです」

 《思うところがあったのか、克行被告の言葉はいくぶん皮肉っぽく聞こえる》

 克行被告「河井案里は一貫して距離を置いた政治活動をしてきた。よって県連は案里を応援、支援しないのではないかと私は考えている」

 弁護人「応援しない姿勢がはっきり現れた事象は」


 克行被告「あー…。いろいろとありました」

 《克行被告は目線を遠くにやった。思いをめぐらせているようだ》

 克行被告「一昨年は県連大会が無期延期になりました。参院選に向かって党の結束を訴える絶好の機会だったのに、溝手(顕正)先生の隣に河井案里を並べたくないと県連会長が決めたと聞きました。全国で開かれなかったのは広島だけです」

 「他には、県連のホームページに河井案里の情報が一切ありませんでした。溝手先生の公認のみです。それから…」

 《次から次へと県連の「案里外し」エピソードを挙げていく克行被告。「さらに」「それから」「あるいは」と言葉を継ぎつつ4つの例を披露し、言い終わると「今となっては懐かしい」と感傷に浸った。検察官、裁判官は、手元や証言台の方を見ながらひたすら聞いている》

 弁護人「被告人や案里さんが主体となって(本来は)県連がする党勢拡大をしないとならなかったと」

 克行被告「全くその通りです」

 弁護人「県内の案里さんの知名度は」


 克行被告「知事選で立候補したので一定程度の知名度はありましたが、無所属で出馬した。今回は自民党公認の河井案里だから、有権者の頭の中ですぐに結びつかないのではないか。まして比較的若い女性で、野党系と受け止められていたかもしれないと」

 《自民党公認候補としての知名度に不安を持っていたとする克行被告。県連の協力も得られず、自らが選挙活動に力を入れる必要があった、という趣旨のようだ》

 弁護人「自民党の大方針は、広島で2議席」

 克行被告「間違いない。県連のホームページと裏腹に党本部では溝手先生と案里を紹介いただいた。党本部のパンフレットにも2人。(当時の)安倍晋三総裁が広島に来たときも溝手先生と河井案里の2人を応援した。決してどちらか1人ではなかった。選挙後に妻が官邸に行った際、安倍(晋三)総裁は『2議席獲得できなかったのが残念だった』といった」

 弁護人「外部向け(のメッセージ)は」

 克行被告「案里が公認される前から、広島は2人とすべきと訴えていた。2人で競争して切磋琢磨(せっさたくま)しないと、あぐらをかくようなことをしていては、いくら広島で自民の基盤が強固でもいけないと思っていた。別に私は、妻が2人目に公認されたから党勢拡大をしたわけではない」

 《克行被告は、夫としてではなく、あくまで広島3区支部長としての立場を強調する》

 克行被告「私の責任を果たすため、3区の緊急報告会で妻だけでなく溝手先生の2人が公認されたことの意義を、すべての会場で訴えました。河井案里講演会でも支部長として理解してほしいと説明した。企業を回り2人当選しないといけないと訴えました」

 弁護人「案里さんではなく、有望な政治家として公認をしたと」

 克行被告「はい」



【克行議員初の被告人質問】(7完)「『厳しい選挙』政治家の常套句」(2021年3月23日配信『産経新聞』)

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被告人質問に臨む河井克行被告(イラストと構成・勝山展年)

 《令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)の公判は被告人質問が続いている》

 《2議席を有する参院広島選挙区では、自民党は議席独占を目指し、妻の案里前参院議員と、溝手顕正参院議員の2人を公認したが、党内の亀裂は深まっていた。現職の溝手氏に対し、国政初挑戦の案里氏は当選すら難しいとの見方があった》

 弁護人「選挙の情勢をみて、被告人は案里さんに勝算があると考えていたのか」

 克行被告「私は河井案里は当選するだろうと思っていました」

 弁護人「公認が2人いれば、票が割れ、新人にとっては不利という見方ができる。実際、証言からそういう言葉も出てきているが」

 《克行被告は、有権者の心理から、女性候補で新人の案里氏が有利だったとする持論を展開。不利と見るのは「選挙の表面だけを見ている」と指弾した》

 克行被告「こういうことになって申し訳ないですけど、案里の清廉潔白なイメージが(有権者に)評価してもらえると思いました」

 弁護人「証言の中で、被告人がいろんな人に会う際に『厳しい選挙になる』と言っていたようだが」

 克行被告「政治家にとってそれは常套句(じょうとうく)ですね。大丈夫と思っても、大丈夫なんて言ったら油断して内部崩壊します。陣営を引き締めるためです。『克行が投開票日の数日前にすごい形相でやってきて、案里の選挙が厳しいと言った』という三矢会の役員の供述(調書)を読んで、しっかり目的が達成できたと思いました」

 《一方、自民党が4回行った選挙区の情勢を調べる世論調査では、公示前、案里氏は溝手氏と野党候補に続き3位で、当選は難しいことを示していた。克行被告はそれでも勝算があったと反論する》

 克行被告「責任政党の自民党が、当選の可能性のない新人を立てることがあると思いますか。勝算があって、立てたのだと思います」

 「調査結果では3番手だが、2位(の野党候補)の数字と遜色ない」

 《証言台の克行被告の横に弁護人と検察官が立ち、世論調査の資料を確認していく》

 克行被告「裁判長にごらんいただきたい。主要候補のなかで、一貫して上昇しているのは案里だけ」

 《裁判長は、資料を確認しながら、克行被告の説明に耳を傾ける》

 克行被告「実数より、方向性、ベクトルが重要。当たり前だが、公示日1カ月前に最高の支持率があっても仕方がない。期日前(投票)もあるが、一番の盛り上がり、頂(いただき)をもっていくのは投票日。その判断がベクトル」

 《弁護人は、資料から案里前議員、溝手顕正氏、野党候補それぞれの支持率の推移を確認していく》

 克行被告「今日示された数字が、私が案里に勝算があると踏んだ材料の1つ」

 《裁判はここで閉廷。証言台から席に戻った克行被告は真剣な表情で弁護人と話し込み、何度も小さくうなずいていた。次回の被告人質問は24日午前10時から行われる》=完




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