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田原総一朗「難題山積のなか、東京五輪“強行”開催に意義はあるか」(2021年3月24日配信『AERA.com』)

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.田原総一朗

 25日に聖火リレーが出発する東京オリンピック・パラリンピック。日本政府は開催を前提にした姿勢を崩さないが、世界の新型コロナウィルス感染拡大は収束の見通しがたっていない。ジャーナリストの田原総一朗氏は、大会開催の意義に疑問を呈する。

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 今回のオリンピック・パラリンピックの東京招致を成功させたのは、当時の都知事の猪瀬直樹氏であった。だが、私が捉えている限りでは、猪瀬氏は不運も重なって、自ら開催できず、都知事を辞任せざるを得なかった。

 その東京オリ・パラが今夏開催されることになっているのだが、本当に開催できるのか。

 本来は昨年の夏に開催されるはずだったのが、コロナ禍のために1年延期となったのである。新型コロナの感染は世界中ですさまじく拡大し続けている。

 日本政府は、感染が沈静化したと見てか、3月18日に緊急事態宣言の解除を決めたが、現実には感染者数は下げ止まりで、逆に増えそうな気配さえ示している。

 それに、英国、ブラジル、南アフリカなどで発生した変異株は、従来のウイルスよりも感染力が強く、ワクチンを接種しても再感染する危険性がある、と言われているが、こうした変異株が日本国内でも増え始めている。英国などでは、変異株が主流になっているようだ。

 そして、肝心のワクチン接種が日本国内でどのように開始されるのか。一般国民への接種はいつから開始されて、大半の国民の接種が終わるのはいつごろなのか。

 一般国民への接種が夏までに開始されないと、東京オリ・パラの開催は無理ということになるのではないか。

 そうなると、おそらく菅義偉内閣は持続できなくなるであろう。

 東京オリ・パラの開催は、国際オリンピック委員会(IOC)がやると決めているので、日本政府も開催することを前提にしている。

 政府は外国人の観客はなしとの方針を決めたようだが、世界の国々からの選手たちと、その関係者たちだけで数万人が来日することになる。

 おそらく世界各国の中で、選手を日本に派遣できない国が、いくつか生じるはずである。

 選手を派遣できない国が少なからずあっても、それでも東京オリ・パラは開催することになるのか。

 さらに、選手を日本に派遣できても、自国で選手にPCR検査をできない国も生じるはずである。

 そういう選手を東京オリ・パラに出場させるために、日本政府としてはどうすべきなのか。難しい問題がたくさんある。

 菅首相は、「人類が新型コロナウイルスに勝利したことを示すために、東京オリンピックを開催する」のだと強調している。

 だが、たとえ日本では新型コロナの感染が沈静化しても、世界の国々で沈静化するのは来年以降になるであろう。

 各国で新型コロナの感染が拡大している中で、東京オリ・パラを開催することに、どのような意義があるのだろうか。

 1964年に東京オリンピックが開催できたのは、日本が高度経済成長で経済協力開発機構(OECD)に加盟できて、世界の先進国の仲間になれたことを世界に示し、それを日本人が自覚するためであった。

 猪瀬都知事(当時)は、日本が世界に冠たる先進国で、東京がその中心都市であることを示すためのオリンピックだと強調した。

 だが、現在の東京はその自負を持続できているのだろうか。

※週刊朝日  2021年4月2日号

■田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数




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