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迷走菅政権はお先真っ暗 早期解散論が浮上のふざけた背景(2021年3月24日配信『日刊ゲンダイ』)

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「先頭に立って戦い抜く」(自民党大会であいさつをする菅首相)/(C)JMPA

 緊急事態宣言が解除された途端、早期解散論が浮上してきた。

 発端は、政府が宣言の全面解除を決めた18日、自民党の下村政調会長が4月解散に言及したことだ。菅首相が4月9日前後に訪米してバイデン大統領と首脳会談を行う日程が固まったことを受け、「内閣支持率にもプラスになる。その時に解散ということは可能性としてはある。追い込まれ解散という構図はつくりたくない」などと講演で話し、訪米直後の解散シナリオをブチ上げた。さらには「選択肢の幅として(7月4日投開票の)都議選と一緒ということも頭の隅にあるかもしれない」と観測気球を上げたのだ。

 これに対し、二階幹事長は「自分の選挙は大丈夫なのか」と不快感をあらわにした。とはいえ、この怒りもタヌキオヤジのポーズかもしれず、自民党内が浮足立ってきたのも事実だ。二階や菅に近い森山国対委員長も、19日のテレビ番組で4月解散について「否定はできない」と言い、「菅総理の性格からして、国民に信を問わなければならないことが起これば、ちゅうちょなくされる」と思わせぶりだった。

 当の菅本人は、18日夜の会見で訪米後解散を「まったく考えていない」と否定。新型コロナ対応が最優先だと繰り返したが、永田町では昔から、解散と公定歩合については嘘をついてもよいことになっているから額面通りには受け取れない。息を吐くように嘘をつく安倍前首相を踏襲している菅の発言なら、なおさらだ。

■耳を疑う“解散発言禁止令”

「4月中に菅首相肝いりのデジタル庁関連法案が成立する見通しなので、その成果を掲げて解散という説もあるようですが、常識的に考えれば、新型コロナ収束が見通せない中で解散なんてあり得ない。いざ国政選挙となれば、会場や人員などの面で自治体のワクチン接種事業にも支障が生じてしまう。国民の健康や安全を無視して自己都合の解散に走れば、自民党批判が高まることは必至です。首相サイドからすれば党内を引き締めて求心力を回復する効果があり、菅降ろしを仕掛けたい側は揺さぶる狙いで解散説を流し合っている。それが結果的に野党を牽制することにもなる。そういう構図が透けて見えるから、実際に早期解散カードは切れないという見方が大勢になっています。21日の自民党大会で菅首相は『秋までには総選挙がある。私は先頭に立って戦い抜く決意だ』と熱弁していましたが、それを聞いた自民党議員の間には、しらけたムードが広がっていました」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 自民党は22日の役員会で、衆院解散の時期は「総理の専権事項だ」として、党幹部が解散について発言するのは控えることを申し合わせた。あまりにバカバカしくて、言葉を失ってしまう。“解散発言禁止令”なんて聞いたことがない。

 菅にとって、東京オリンピック・パラリンピックの開催は命綱だ。たとえ無観客だろうが、海外からの参加がショボショボだろうが、なんとか開催して日本中が高揚感に包まれた中で総裁選を行えば、再選も可能だと計算している。

 だから、25日からの聖火リレーをどうしてもスタートさせる必要があり、全国的にリバウンドが懸念されている最中に緊急事態宣言を解除した。

 そんな非科学的な対応に加え、徹底的な検査体制の構築もワクチン接種も進まない現状では、コロナ第4波の到来は必至だ。それが4月なのか5月になるのか、いずれにせよ4月解散なんてできっこないのである。伝家の宝刀が竹光なのがバレた以上、解散発言そのものを封じるしかないのかもしれない。

戦う態勢が整わない野党が政権をツケ上がらせる

 菅は任期満了近くまで解散はできないというのが衆目の一致するところ。それでも早期解散説がくすぶるのは、この政権はお先が真っ暗だからだ。国民生活は今でも厳しいが、おそらく、秋にはもっと状況が悪くなっている。今のうちに解散に打って出るしか活路がないこともまた事実である。

 経済評論家の斎藤満氏が言う。

「菅首相の長男も関わっていた総務省の汚職事件は検証委員会が立ち上がったばかりで、これからが本番です。さらに文科省の接待汚職疑惑も報道されています。この先も政権にとっては悪い話しか出てこないとみられます。経済も厳しい。コロナ禍で個人消費はメタメタ、しかも外需もダメだから、5月ごろに発表される1~3月期のGDPは大幅なマイナスになりそうです。3月の年度末を控え、持ちこたえられない企業の倒産件数もこれから一気に増える。支援策頼みでなんとか経営を維持してきた企業も、5月ごろから返済が始まると黒字倒産のケースも出てくる。日銀が19日の金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)買い入れの目安を撤廃すると、株価も急落してしまいました。米国の大規模財政出動に連動して、長期金利が上昇していることも不穏です。債券市場が崩れ、日本株も売られる危ない局面にいつ転換してもおかしくない。これで夏の東京五輪が開催できなければ、インバウンド需要を当てにして設備投資してきた国内観光業には死活問題で、企業倒産もますます増える。株価のさらなる下落も避けられません」

■聖火リレー式典欠席が呼ぶ憶測

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 安倍政権以上に従属(日米安全保障協議委員会の共同記者会見を終え、肘タッチをする左からオースティン米国防長官と茂木敏充外相、ブリンケン米国務長官、岸信夫防衛相)

 菅は明日、福島県の「Jヴレッジィ」で行われる東京五輪の聖火リレー出発式典を欠席するという。「国会の日程などを総合的に勘案して、今回は出席を見合わせる」というのだが、不得手な答弁の機会をできるだけ避けたいはずの菅が国会出席を理由にして出発式を欠席なんて、どう考えてもおかしい。国会日程もお構いなくワクチンの“割り込み接種”をしてでもバイデンには会いに行くのに、福島に行く時間はないのか。そういうところにも、「復興五輪」の欺瞞が満ち満ちている。

 首相訪米に先立ち、16日にバイデン政権発足後初の「日米外交・国防(2プラス2)会議」が日本で開催されたが、発表された共同文書は驚くべき内容だった。「尖閣諸島を含む日本の防衛に対する米国の揺るぎない関与」「中国海警法等の最近の地域における混乱を招く動きについて深刻な懸念を表明」など、尖閣問題で日本にとって心強い共同声明を出せたと歓迎する声も多いが、中国を名指しして批判する踏み込んだ表現になったことは危うさをはらむ。

「日本政府は冷戦時代から特定の国を名指しで批判することは避けてきた。特に東アジア地域では、ロシアや中国と正面から敵対することは、政治的にも経済的にもリスクが大きい。米国に同調しながらも、どうとでも取れる表現で摩擦を避けてきたのです。ところが今回、中国を名指しして批判したことは、経済的にも軍事的にもきわどいゾーンに足を踏み入れたと感じます。バイデン政権で米中対立はますます激化しそうで、米国の対中戦略に日本が組み込まれようとしている。地政学的にも、米中対立の最前線に置かれる可能性があります。それにあらがう定見も外交力も菅政権は持ち合わせていないでしょう。4月の訪米で、菅首相は日米同盟の強化や中国包囲網を成果のように語るのでしょうが、その実態は安倍政権以上に米国への従属を深め、日本が対中国の前線基地化することもいとわないことを意味するのです」(元外務省国際情報局長の孫崎享氏)

 そんな“成果”で4月解散をチラつかせるのも、野党と国民が完全にナメられているからだ。世論調査では、内閣支持率が底打ち傾向にある。野党の共闘体制も整っていない今なら圧勝できる。政権側がそう考えるのも無理はない。

コロナや五輪の開催可否、省庁汚職など、待ち受ける難題に対処不能の菅政権が、解散で局面打破というのは十分考えられる話だ。野党が共闘できなければ、いつ選挙をやっても自民が勝つ。野党がまとまり、受け皿さえあればすぐにこの腐敗政治を終わらせることができるのに、政権維持のためのフザケた早期解散論を聞かされる国民は不幸でしかない。






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Author:gogotamu2019
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