FC2ブログ

記事一覧

(論)「アウティング(暴露)」禁止条例に2021年3月26日)

暴露禁止条例 差別意識なくす一助に(2021年3月26日配信『東京新聞』-「社説」)

 性的少数者(LGBT)の性自認などを本人の了解なく明かす「アウティング(暴露)」禁止の条例が、都道府県で初めて三重県で制定された。「暴露は人権侵害」との認識を広める契機としたい。

 4月に施行される「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例」は、性的な理由での差別を禁じ、性自認のほか性的指向の暴露やカミングアウトの強制も禁止した。

 アウティングが社会問題化したきっかけは、一橋大(東京都国立市)の男子学生が2015年、同性愛者であることを友人に暴露された後、転落死した問題だ。同市は全国の自治体で初めて18年に禁止条例を制定した。

 この後、三重県いなべ市や東京都港区などが続いた。LGBTの人権を研究する中京大の風間孝教授(社会学)は「市区町村より広い区域をカバーする都道府県のレベルでも禁止条例が制定されたのは画期的で、意義は大きい」と三重県の取り組みを評価する。

 司法も動きだした。国立市の転落死の遺族が大学を相手に起こした訴訟で、東京高裁は昨年、アウティングを「人格権ないしプライバシー権などを著しく侵害する許されない行為」と認定し、初めて違法性を指摘した。

 条例の効果も出始めている。東京都豊島区では、区内の会社で性的指向を上司に暴露された男性が休職する被害があったが、同区が19年に施行した条例に基づいて救済を申し立て、区のあっせんで会社側と和解した。

 しかし、「アウティングは人権侵害」の意識は浸透しきっていない。大津市では昨年、「市立保育園児が自分の性別に違和感を訴えた」とする園の評価書を市が園児側の許可なくウェブで公開。同市は「アウティングは禁止」などと記載した冊子を作っていたものの、生かされなかった。

 昨年施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)では、職場内でのアウティングをパワハラと位置付けているが、アウティング被害は教育現場など職場以外でも起きている。

 「同性婚を認めないのは違憲」(札幌地裁)「同性事実婚に法的保護を」(最高裁)−と、国に法整備を促す司法判断が続いているが、本来は法や条例によらずとも「少数者を差別する意識」自体をなくしていくことこそが重要だ。規制がかえって差別意識を潜在化させることがないよう、啓発や相談などにも知恵を絞ってほしい。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ