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昭憲皇太后の洋装写真、2座像を新たに確認 撮影者も初めて特定、計4種類に(2021年3月27日配信『東京新聞』)

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丸木利陽撮影の座像写真で、星形ダイヤモンド着用状態のティアラ=学習院大学蔵の香川家史料

 1889(明治22)年6月に撮影された昭憲皇太后(明治天皇の后、美子皇后)の肖像写真は、4種類存在していたことが、3月末刊行の学習院大学史料館の学術誌に発表される。筆者は同館学芸員の長佐古美奈子さん。昭憲皇太后の洋装姿の肖像写真は希少だが、89年6月に何種類撮影されたのかは分かっていなかった。同誌では4種類の写真の撮影者も初めて特定している。 (編集委員・吉原康和)

 洋装姿の肖像写真はもともと、宮内庁と明治神宮に立像が2種類所蔵されていることが知られていた。長佐古さんは、皇后宮大夫を務めた香川家から3年前に学習院大に寄贈された史料の中に、2種類の立像に加え座像写真が1枚あるのを確認。その後、旧華族家に残されていた別の座像写真もみつけた。

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鈴木真一撮影の座像写真で、星形ダイヤモンドを外した状態のティアラ=個人蔵

 「昭憲皇太后実録」などによると、いずれも明治・大正期を代表する写真師の鈴木真一が1889年6月14日、丸木利陽が翌15日に、皇居内で肖像写真を2時間前後ずつ撮影したことが記されている。しかし、それぞれの写真の撮影者がどちらなのかは特定されていなかった。

 長佐古さんによると、学習院大の写真3枚のうち立像と座像の2枚の写真の裏側に「東京新シ橋 丸木利陽」と当時の丸木写真館のラベルが貼られていた。また、宝冠(ティアラ)の先端に星形ダイヤモンドをつけた状態と星形ダイヤを外し、胸に着けた状態の2種類が識別でき、丸木の撮影は星形ダイヤをつけた状態だったことも判明。撮影者名が書かれていない立像と個人蔵の座像の2種類は別の日に撮影され、星形ダイヤが取り外された状態や背景の構図などが一致することから、鈴木撮影と断定した。

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学習院大史料館学芸員の長佐古美奈子さん

 87年2月11日付の東京日日新聞によると、宝冠はドイツ製で、中央にある重さ21カラットの星形ダイヤモンドなどは「取り外し自由」などと記されていた。この宝冠は歴代皇后に代々引き継がれている。

 長佐古さんは「ティアラの星形ダイヤの取り外しや背景を変える準備の都合などから撮影が2日にわたった」と指摘。この時期に肖像写真が撮影された理由については「外国との交際には写真の交換が必要であり、これまで皇后の写真は明治5年撮影の和装のものしかなかった。大礼服やティアラが準備できたため、ようやくこの写真を撮影したのであろう」と分析している。

◆「皇后像の模索」知る手がかり

 表象文化史が専門の研谷とぎや紀夫・関西大学教授の話 昭憲皇太后の肖像写真が2日にわたり撮影され、複数のバージョンが存在していることは知られていたが、今回の長佐古氏の調査で各写真がいつ誰によって撮影されたかがほぼ明確になった。さらに4枚の写真を比較検証すると、各写真で背景や装身具を変更するなどさまざまな試みが行われており、あるべき「皇后像」を巡りさまざまな模索が行われていたことがわかる。これら4枚の写真は皇后のシンボリックイメージがどのように形成されたかを知る貴重な手がかりである。





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