FC2ブログ

記事一覧

欺瞞の聖火リレー 菅首相よ、今五輪をやめれば“英雄”だぞ(2021年3月29日配信『日刊ゲンダイ』)

キャプチャ
列をなす大仰な宣伝カー

 言わんこっちゃない展開だ。新型コロナウイルス第4波の兆候が各地で表れる中、強行された東京五輪・パラリンピック聖火リレーが物議を醸している。当初大義に掲げた「復興五輪」がなおざりなのは今に始まったことではないとはいえ、スポンサーが悪目立ちする単なるどんちゃん騒ぎになっているからだ。

 福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」からスタートした初日の演出は、五輪史に刻まれる品のなさだった。主役のランナーよりも、スポンサー車両が目立つこと。リレー最上位スポンサーのコカ・コーラ、トヨタ自動車、日本生命、NTTグループが大音量の音楽をズンジャカ流しながら「コンボイ」と呼ばれる宣伝用の改造車を走らせた。会話に難儀するほどのボリュームだったというから、もはや騒音だ。

 中でも問題視されているのが、10トントラックを改造した全長約12メートルの巨大コンボイを投入したコカ・コーラ。屋根部分に設置されたDJブースにマスクなしのMCが乗り込み、「踊って楽しみましょう」「共に最高の思い出をつくっていきましょう」「がんばってくださいね~」などとマイクを通して叫び、沿道に集まる観覧者に呼び掛け。飛沫が降り注がんばかりだったという。感染防止対策はどうしたのか。想像しただけで気分が悪くなるが、観覧者の不安はいかほどだったか。理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」にリスクを計算してもらいたいものだ。ほかにも、マスクを着用した10人ほどのスタッフが観覧客にタオルを配っていたという。

ただでさえ高額なスポンサー料が開催延期で上積みされ、何とか元を取りたいのかもしれないが、新型コロナは収束どころかリバウンド(感染再拡大)に転じ、リレーには賛否両論がある。ランナー辞退も相次ぐ中、一体どういう神経をしているのか。あまりにも浅はかではないか。もはや聖火リレーは正視に堪えない。

■演出優先、感染対策棚上げ

 輪をかけて悪質なのは大会組織委員会で、感染防止対策のなし崩しは許しがたい。ルートのあちこちで観覧客による密集、密接が出現。組織委は感染防止のガイドラインに〈過度な密集が生じた場合は、リレーを中断する場合がありますので、ご了承ください〉と明記しているのに、演出優先で目をつぶっている。沿道で観覧客の移動や分散を促す「密集」の基準について、「肩が触れ合う程度に密接している」「十分な感覚を空けずに複数列に重なり合っている」としているにもかかわらず、組織委は「我々の定義した密の状態ではなかった」とスルー。商業主義をひた走る五輪の本質はここに極まれり、である。ついでに言えば、台風並みの風雨でも「消えない聖火」という触れ込みで「日本スゴイ」と大騒ぎしていたトーチから、たびたび火が消える人為的ミスをやらかしていた。何をかいわんやである。

 聖火リレーは28日、福島県から栃木県入り。3・11関連のイベントで福島では新規感染者が増加傾向にある中、リレークラスターへの懸念は高まる一方だ。全国を回る聖火リレーがリバウンドの足跡になったらシャレにならない。国内外で不安が高まる中、米国内の五輪放映権を持つテレビ局のNBCは電子版(25日)に「聖火リレーの火は消されるべきだ」と題した批判コラムを掲載。「オリンピック秘史」などの著書がある筆者の政治学者ジュールズ・ボイコフ氏はこう書いている。

〈パンデミックの最中の聖火リレーは、五輪の華やかな行事のために公衆衛生を犠牲にするリスクをはらんでいる〉

〈日本でワクチン接種は進んでおらず、五輪開幕時に完全に接種を済ませていることはないだろう。海外からの観戦客を受け入れなくても、ワクチン接種を義務付けられない何千人ものアスリート、コーチ、ジャーナリストの入国が予想される。人々が不安を募らせるのは当然だ〉

 五輪でひと儲けを企むNBCにさえ、クサされるありさま。欺瞞の聖火リレースタートと未曽有の混乱で分かったのは、この国にはもはや、五輪をやる資格はもとより、イベント遂行能力すらないことだ。これ以上、恥の上塗りを重ねて、本番で世紀の赤っ恥をかき、コロナを拡大させてどうするのか。

ホワイトハウスは「招待受けていない」


キャプチャ
世界中が白眼視

 およそ2週間後に訪米し、対面では初の日米首脳会談に臨む菅首相は、バイデン大統領を五輪に招待すると国会で言っていたが、正気を疑われているんじゃないか。ホワイトハウスのサキ報道官は「私は行ってみたいが、大統領はまだ招待を受けていない」と“大人の対応”で受け流していた。ただでさえ史上最高齢の上、健康不安が絶えない大統領が市中感染を野放しにしている日本に遠路はるばるやって来るわけがない。「個人的な関係」とやらを深めれば何とかなると思っているのか。

 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。

「五輪中止を求める国際世論が出来上がりつつある中で、同盟国の大統領を招くなんて極めて恥ずかしいことですよ。しかし、菅首相は五輪開催が実質的にも既定路線となれば、東北新社に勤める長男に端を発した総務省違法接待問題をはじめ、数々の疑惑をうやむやにできると考えているのでしょう。開催が迫るほど、テレビも新聞も五輪関連ニュースで埋め尽くされていきますから。閉幕までは上げ潮に乗れると踏んでいるからこそ、五輪開催にこだわっているのです」

 むしろ、いま五輪中止を決断すれば英雄になれそうなものだが。

 咲き誇る桜に誘われ、繁華街も行楽地も人がごった返している。全国的な好天に恵まれた週末27日の人出は各地で増加。東京都内の桜の名所として知られる目黒川沿いは、満開の桜を楽しもうと多くの若者らが集まり、肩が触れ合うほどの混雑だった。東京の28日の新規感染者数は313人で、1週間前の同じ曜日を9日連続で上回り、増加傾向に歯止めがかからない。この先は一体どうなるのか。

■来月にも都内1300人超えか

 東大大学院の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師のグループによるシミュレーションでは、見通しは相当に厳しい。緊急事態宣言の全面解除後に歓送迎会や花見の宴会などで感染拡大が加速すると、経済活動を1カ月ほどかけて戻した場合でも、都内の新規感染者数は5月に過去最多を塗り替える1日1300人超え、1年後の死者数は3703人に増えるという。

 今月14日までのデータをもとに、感染拡大を予測する数理モデルと経済学の予測モデルを組み合わせたものだから、数字はさらに悪化するだろう。

 感染力の強い変異株の累計感染者は、大したスクリーニング検査をやっていないのに700人に迫ろうとしている。「GoToイート」で感染を広げた宮城県、隣接する山形県では独自の緊急事態宣言発令に追い込まれた。それでも五輪に固執する菅政権は「まん延防止等重点措置」を出し渋り、来月から都道府県独自の旅行需要喚起策に対し、1人あたり1泊につき最大7000円の支援を開始する。完全なアベコベで、第4波の強烈なうねりを手招きするようなもの。そうなれば、底を打ったかのように見える内閣支持率はあっという間につるべ落としで、2番底、3番底へまっしぐらだ。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

「聖火リレーを実施することで、政権は五輪開催しか選択肢がないと世論に訴えようとしたものの、かえって世論の反発を招いている。五輪を政治利用するな、新型コロナを政治利用するな。これが民意でしょう。ブラジルやインドでは新規感染者が爆発的に増え、欧州は軒並みロックダウンに追い込まれている。国内外のこうした情勢を踏まえれば、今回ばかりは開催中止を政治決断する意義があるのではないか」

 疑惑まみれの無能政権は今すぐ五輪中止を決めて、総辞職するのが筋だ。そうすれば、国民はホッと胸をなでおろし、拍手喝采するだろう。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ