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女性活躍「120位」が示す日本の無策(2021年3月31日配信『日本経済新聞』)

木村恭子

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衆院議員の女性比率は1割足らずだ(3月2日、衆院本会議)

世界経済フォーラム(WEF)が3月31日に発表した世界各国の男女平等の度合いを示すランキング「ジェンダー・ギャップ指数」。日本は156カ国中120位と、前回(121位)同様、先進国の中で最低水準だった。いつまでも浮上しない日本の課題はどこにあるのか。

安倍晋三政権が女性の活躍を成長戦略の柱に掲げたのは2013年。当時のランキングは136カ国中105位だったのだから、この8年間の取り組みは「女性不活躍政策」だったのかといいたくもなる。20年までに女性リーダーを3割にするという目標を立てたものの、男女共同参画白書(20年版)によると、企業では管理的職業従事者に占める女性の割合は14.8%。就業者に占める女性の割合は44.5%と米国(47.0%)やノルウェー(47.1%)と大差ないが、管理的職業従事者の割合は米国(40.7%)、ノルウェー(34.5%)に比べ大きく見劣りする。

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働く女性は非正規雇用が半分以上を占めており、賃金は男性の4分の3程度にとどまる。上場企業の取締役の女性比率はさらに悲惨だ。経済協力開発機構(OECD)の調べ(20年)ではフランスで45%、米国で27%なのに対し、日本は11%にすぎない。

今回のランキングを分野別に見ると、経済は117位と前回から2つ順位を落とした。項目別では管理職の女性比率(139位)や専門職・技術者の女性比率(105位)、勤労所得の男女差(101位)が足を引っ張っている。

政治は3つ順位を落として147位だ。国会議員の女性比率(140位)、閣僚の女性比率(126位)が低いことに加え、過去50年間で女性が一度も首相に就いていないことが影響しており、今回のリポートでは日本について「政治への女性の参加のレベルは低いまま」と指摘している。昨年秋に菅義偉政権が発足した際には女性閣僚が増えると期待されたが、わずか2人だ。

衆院の女性比率は9.9%。女性が参政権を得て戦後初めて実施した衆院選でも8.4%だった。75年間、女性の政治参画はほとんど進んでいない。候補者ができるかぎり男女同数になることを目指した「政治分野の男女共同参画推進法」は18年に施行された。だが罰則規定がないためか、19年7月の参院選で女性の候補者比率はわずか28%。当選者は28人で改選前と同じだった。

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一方、諸外国は大きく変わった。リポートによれば、今回ランキングが躍進したリトアニアは昨年女性の首相が誕生。米国は閣僚に占める女性の割合が21.7%から46.2%に増えた。前回120位で日本の1つ上だったアラブ首長国連邦(UAE)も国政レベルで議員の男女半々を実現している。

企業では英ユニリーバが女性管理職5割を達成し、スウェーデンのイケアは賃金の男女平等を保証する。12回連続でランキングトップのアイスランドは企業に対し男女同額に賃金を支払っているという証明書を取得するよう義務付ける。

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日本では今年、衆院選が実施される。年初に報じた日経集計では立候補予定者の女性比率は16.2%で17年の実績を下回る。自民党はわずか8.3%だ。このまま無策を続ければ世界との差は開くばかり。夏には東京五輪・パラリンピックも開催予定で、例年になく海外の関心が日本に集まっている。すでに大会組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言が世界中で批判されているが、スポーツ競技以上に日本社会の男女格差が注目されるのではないかと心配だ。ペナルティーも辞さない本気の政策を施してはどうか。

(女性面編集長 中村奈都子)

公務員からクオータ制導入も一案 コロンビア大学の本田桂子客員教授

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コロンビア大学の本田桂子客員教授

日本は女性活躍の波に完全に出遅れた。今や国際機関では性別のみならず、人種や出身国などが偏らないよう、多様性を踏まえたメンバーで構成されるのが当たり前だ。そうでなければ公的機関としてちゃんとしたサービスが提供できないと考えられている。国際会議などで日本の代表者として来るのは決まって男性で、世界の中でもおかしいと思われている。

日本の企業などで中核にいる45~49歳の男性の人口は2045年には20年より36%減ると予想されている。一定の年齢層の男性からリーダーやリーダー予備軍を選ぶのは難しくなる。女性も積極的に登用しないと人材を確保できない。

四年制大学への進学率をみると男女差は年々縮まっているのに、公務員の女性の採用はまだ少なく、役職が上がるごとにその比率は低くなる。特に公的セクターでは多様性があってしかるべきだ。公務員でクオータ制を採用してもいいのではないか。日本より速いスピードでジェンダーギャップを解消している国の多くはクオータ制を取り入れているか、採用などで男女比に配慮している国がほとんどだ。自然に任せていては、日本の現状を大きく変えることは難しい。

明るい兆しも見える。経団連の「2030年までに役員の女性比率30%以上」という目標への賛同企業がすでに70社を超えた。日本の企業は一旦、目標を掲げると達成に向けて努力する傾向がある。ほかの企業や組織にも波及することを期待したい。
(聞き手は生活情報部 関優子)

12回連続1位、カギは男女間の給与格差是正 次期駐日アイスランド大使のステファン・ホイクル・ヨハネソン氏

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ステファン・ホイクル・ヨハネソン次期駐日アイスランド大使

ジェンダー・ギャップ指数のランキングで、アイスランドが12回連続1位になれたことをとてもうれしく、誇らしく思う。男女平等は政府やあらゆる団体、企業がともに団結し、政治的意思をもって協力しあい、取り組まなければならない。

アイスランドは男女間の給与格差を是正することに取り組んできた。2021年からは育児休暇を延長して父親に6か月、母親に6か月、そして6週間の共有可能な育児休暇期間を新たに設けた。

18年に制定した男女同一賃金や企業の役員の性別を一定の割合にするクオータ制に加え、充実した児童福祉も無視できないだろう。これらの要素が女性の活発な社会進出を後押ししている。

しかしアイスランドが真の男女平等社会を実現するにはまだまだ遠い道のりがあり、絶えず取り組んでいくことが重要だと理解している。最前線に立つアイスランドがたどってきた道のりが日本の参考となればうれしい。男女平等社会を実現するにはどうすればよいか、ぜひ多くの人と経験や学びを共有し、共に考えていきたい。
(聞き手は女性面編集長 中村奈都子)




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